土器の器に盛った北インドのフィルニ。サフラン、ピスタチオ、アーモンド、バラの花びらを散らした冷たい米ミルク菓子
🔪下準備35分
🔥調理35分
🍽️分量6
🌍料理インド料理・北インド料理
南アジア

フィルニの作り方|北インドの冷たい米ミルク菓子

26分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 米を浸水し、粗く挽く
STEP 11 / 7

米を浸水し、粗く挽く

所要時間35分

火は使いません。バスマティ米60gをボウルに入れ、水を3回替えて軽く洗います。粒をこすり合わせると割れ方が細かくなりすぎるので、指先で水を回す程度にします。水に30分浸し、ざるに上げて5分置きます。ミキサー、スパイスミル、すり鉢のいずれかで、粗いセモリナ粉くらいに砕きます。粉末ではなく、0.5から1mmほどの粒が残る状態が目安です。粒が大きすぎると舌に残り、細かすぎると糊のように固まります。

手順2: 牛乳を温め、サフランを戻す
STEP 22 / 7

牛乳を温め、サフランを戻す

所要時間10分

牛乳1Lのうち大さじ2を小さな耐熱容器へ取り、電子レンジ600Wで20秒温めます。サフランを入れ、黄色がにじむまで置きます。残りの牛乳を厚手鍋に入れ、中火で8から10分温めます。鍋の縁に細かい泡が並び、表面が持ち上がる直前で弱めの中火に落とします。温度の目安は90から95度Cです。沸騰させると吹きこぼれ、乳たんぱくが鍋底に焦げ付きます。木べらで底をなで、薄い膜が張ったら鍋肌から戻します。

手順3: 粗挽き米を少しずつ入れる
STEP 33 / 7

粗挽き米を少しずつ入れる

所要時間5分

火加減は弱めの中火です。粗く挽いた米をいきなり全部落とすと塊になりやすいので、温めた牛乳を大さじ4ほど米へ混ぜ、ゆるいペーストにしてから鍋へ入れます。片手でペーストを細く流し、もう片方で木べらを動かし続けます。鍋の表面はふつふつと小さく泡立つ程度、90度C前後を保ちます。白い粒が牛乳の中へ散り、底に団子状の塊が残らなければ順調です。

手順4: 米に火を通し、とろみを作る
STEP 44 / 7

米に火を通し、とろみを作る

所要時間18分

弱火から弱めの中火の間で、85から90度Cを保ちます。2分に1回、鍋底を木べらで広くこすり、米が底へ固まらないようにします。10分を過ぎると、牛乳が少し重くなり、木べらの通った跡が一瞬だけ見えます。15分を過ぎたら一粒をすくい、指で押して芯が残らないか確認します。粒の形は細かく残り、口に入れるとざらつきではなく、やわらかい米の粒感として残る状態が目安です。

手順5: 砂糖、サフラン、カルダモンを加える
STEP 55 / 7

砂糖、サフラン、カルダモンを加える

所要時間6分

火を弱火に落とし、砂糖90g、塩ひとつまみ、サフラン牛乳、つぶしたカルダモンの種を入れます。砂糖が入ると一度さらっとゆるみますが、弱火で4から6分混ぜると再びまとまります。鍋の温度は85度C前後、表面に大きな泡が出ない状態を保ちます。カルダモンの香りが立ち、全体が淡いクリーム色になったらローズウォーター小さじ1/2を加えて火を止めます。ローズウォーターは最後に入れると香りが飛びすぎません。

手順6: ナッツを入れ、器に分ける
STEP 66 / 7

ナッツを入れ、器に分ける

所要時間8分

アーモンドとピスタチオの半量を加え、火を止めた鍋で1分混ぜます。全体がなめらかにまとまり、ナッツだけが底に沈まず米ミルクの中へ均一に散る状態にします。レードルですくうと、細いリボン状に落ち、器の中でゆっくり広がる粘度が目安です。重くぼとっと落ちる場合は牛乳大さじ2を足し、弱火で1分だけ戻します。土器風の器や陶器の小鉢へ分けます。器を水で軽く湿らせておくと、温かいフィルニが器に張り付きにくく、冷やした後もすくいやすくなります。

手順7: 冷やして仕上げる
STEP 77 / 7

冷やして仕上げる

所要時間2時間

器の表面に残りのナッツを散らし、粗熱が取れるまで15から20分置きます。表面が乾きすぎないよう、器に直接触れない高さでふたや小皿をのせ、冷蔵庫で2時間以上冷やします。冷蔵庫内では4度C前後を保ちます。食べる直前にサフランを数本、食用のバラの花びらを少量のせます。スプーンを入れて、表面は静かに固まり、中はなめらかに流れるくらいなら完成です。固すぎる場合は、冷たい牛乳を小さじ2ずつ混ぜて戻します。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
11品目

材料

フィルニに使うバスマティ米、牛乳、砂糖、サフラン、カルダモン、ナッツ、土器風の器を並べる
材料は少ないが、米の粗さと香りの量で仕上がりが大きく変わる

6人分です。食後の小鉢なら6人分、甘いものを主役にしたい時は4人で分けても構いません。土器の小鉢がなければ、浅い陶器、ガラスのプリンカップ、湯のみで作れます。

材料 分量 買い出しと代替
バスマティ米 60g 日本米なら50g。粘りが強いので粉にしすぎない
浸水用に適量 米を30分浸す
全脂牛乳 1L 成分無調整。低脂肪乳は濃度とコクが弱い
砂糖 90g 冷やすと甘さを感じにくい。控えめなら75g
サフラン ひとつまみ、0.05g前後 熱い牛乳大さじ2で戻す
カルダモン 4粒 さやを割り、種を軽くつぶす。粉なら小さじ1/3
ローズウォーター 小さじ1/2 あれば。入れすぎると香水のようになる
アーモンド 15g 薄切り。無塩
ピスタチオ 15g 粗く刻む。無塩
ひとつまみ 甘さを締める
バラの花びら 少量 食用があれば。なくてもよい
アレルギーと保存の注意

乳製品、ナッツ類を使います。ナッツを省いても作れますが、同じ器具を使う場合は交差接触に注意してください。牛乳を長く加熱した料理なので、粗熱を早く取り、清潔な器で冷蔵保存します。常温に長く置いたものを翌日に回さないでください。


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材料表の分量6人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
48
kcal
1.3g
タンパク質
1.7g
脂質
7.0g
炭水化物
0.2g
食物繊維
13mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

冷たい土器から、米と牛乳の香りが戻ってくる

鍋底を木べらでこすっている間は、かなり地味な料理です。牛乳、米、砂糖。白い材料ばかりで、最初は香りも弱い。けれど、粗く挽いた米が牛乳をゆっくり抱え始め、サフランの黄色がほどけ、カルダモンの青い香りが立つと、台所の空気が一段だけ祝祭寄りになります。

フィルニ(Phirni / Firni、ヒンディー語で फिरनी)は、粗く挽いた米を牛乳で煮て、冷やして食べる北インド系の米ミルク菓子です。日本語で「ライスプディング」と言うと、米粒をそのまま煮た甘い粥を想像しがちですが、フィルニは米を一度粗く砕きます。この違いで、口当たりはキールよりなめらかで、プリンよりも米の気配が残ります。

日本の台所で大事なのは、米を粉にしすぎないこと、牛乳を強火で詰めすぎないこと、温かい時点で少しゆるく止めることです。冷蔵庫で冷える間に米がさらに水分を吸うので、鍋の中で「完成形」にしてしまうと、翌朝には固い米の塊になります。この記事では、家庭のミキサーやすり鉢で作れる粗さ、焦がさない火加減、土器風の器がない場合の代替まで、作る手順に合わせて整理します。

同じ牛乳と米の甘味でも、ドゥードパクは西インド寄りで米粒を残した軽い牛乳米菓子、フィルニは北インド寄りで粗挽き米を使う冷たいデザートとして覚えると迷いにくくなります。食後に小鉢で出すならこのフィルニ、プーリーと甘い食事として合わせるならドゥードパク、という分け方もできます。

現地名と地域差

英語では Phirni と Firni の両方を見ます。北インド、パンジャーブ、ムグライ系の食堂、ラマダンや祝祭の食卓で語られることが多く、地域や店によってサフラン、ローズウォーター、ケウラウォーター、ナッツの量が変わります。カシミール周辺では米ではなくセモリナを使う phirin として説明されることもあります。


買い出しで迷う材料

牛乳、砂糖、ナッツは近所のスーパーで足ります。通販で見る価値があるのは、仕上がりの香りを決めるバスマティ米、サフラン、カルダモンです。どれも一度に使う量は少ないですが、サモサダルタドカライタにも回せます。

米は、香りのあるバスマティを使うと軽く仕上がります。日本米でも作れますが、同じ60gで作ると粘りが出やすいので、50gに減らし、粗挽きの粒をやや大きめに残します。

掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。

サフランは色付けではなく、牛乳の甘さの奥に香りを置く材料です。たくさん入れると薬草っぽくなるので、ひとつまみから始めます。熱湯ではなく温めた牛乳で戻すと、フィルニの丸い味から浮きにくくなります。

カルダモンは粉でも作れますが、ホールを割って種をつぶす方が、青い香りが牛乳にきれいに出ます。粉を使う場合は小さじ1/3から。白い菓子なので、入れすぎると香りだけが前に出ます。


キール、ドゥードパク、フィルニの違い

フィルニをチャイや軽い軽食と並べた北インド風の食卓
冷たいフィルニは、辛い食事の後やチャイの時間に小鉢で出しやすい

インドの牛乳菓子は名前が似ていて、検索だけだと混乱します。台所で迷わないように、米の扱いで分けると理解しやすくなります。

料理 米の扱い 食感 日本の台所での目安
フィルニ 浸水後に粗く挽く なめらかだが粒感が残る。冷やして食べる 牛乳1Lに米60g前後
キール 米粒をそのまま煮ることが多い 米粥に近い家庭的な甘味 日本米でも作りやすいが粘りが出る
ドゥードパク 米粒を少なめに残す 牛乳が主役で軽い 牛乳多め、米少なめ。温かくも食べる
バスンディ 米なしでも成立 牛乳を煮詰めた濃厚な甘味 米より牛乳の濃縮が主役

フィルニは、米粉で固めるプリンではありません。米を粗く砕くことで、牛乳にとろみを出しつつ、食べた時に細かな粒が残ります。家庭で作るなら、米を完全な粉にするより、少し粗いくらいで止める方が現地の食感に近づきます。

もう一つの違いは、器です。土器の小鉢は見た目だけではなく、冷え方と表面の水分にも関係します。素焼きの器は湿気を少し逃がし、フィルニの表面を落ち着かせます。日本では素焼きの器がなくても、浅い陶器や小さなグラタン皿で近い食べ心地にできます。深いグラスだと中心が冷えにくく、底だけゆるく残ることがあります。

失敗しやすいところ

左に固くなった米ミルク菓子、右にゆるく流れるフィルニを並べて濃度を比べる
冷やして固くなりすぎた状態と、スプーンから流れる正しい濃度を比べる

フィルニの失敗は、味付けより濃度で起こります。温かい鍋の中でちょうどよく見えたものは、冷えると固くなります。冷蔵後の食感から逆算して、火を止めるのが一番大事です。

失敗 起こる理由 直し方
冷やすと固い 米が多い、煮詰めすぎ、温かい時点で重すぎた 冷たい牛乳を小さじ2ずつ混ぜる。次回は米を5g減らす
だまになる 粗挽き米を直接鍋へ入れた 牛乳でゆるいペーストにしてから細く入れる
鍋底が焦げる 強火、薄い鍋、底をこすらない 厚手鍋で弱めの中火以下。2分に1回は底をなでる
香りが強すぎる サフラン、ローズウォーター、カルダモンの入れすぎ サフランはひとつまみ、ローズウォーターは小さじ1/2まで
粉っぽい 米を細かくしすぎた、火通りが足りない 次回は粗めに挽く。今の鍋は牛乳を足し、弱火で5分追加
甘さがぼやける 冷やす前提なのに砂糖が少ない、塩がない 塩ひとつまみを入れる。冷やすなら砂糖75g以下にしすぎない

濃度の目安は、スプーンですくった時に「落ちる」より「流れる」です。冷蔵庫で2時間置いた後、表面は静かに固まり、中はなめらかに動くくらいがよい状態。固いプリンを目指すと、フィルニらしい米の柔らかさが消えます。

日本での代替と味の寄せ方

フィルニは材料が少ないぶん、代替を入れる場所がはっきりしています。全部を本場素材に寄せるより、守るものと代えるものを分ける方が作りやすいです。

迷う材料 守るなら 日本で現実的な代替 仕上がりへの影響
バスマティ米 日本米を50g、やや粗めに砕く 香りは弱く、少しもちっとする
牛乳 成分無調整の全脂牛乳 低脂肪乳は避け、足りない時だけ生クリーム大さじ2を足す 低脂肪乳だけだと薄い
サフラン 少量を牛乳で戻す 省略可。色は薄くなる 香りは減るが、カルダモンで補える
ローズウォーター 小さじ1/2 省略可。バニラは使わない方がよい 入れすぎると洋菓子寄りになる
土器の器 素焼きの小鉢 浅い陶器、プリンカップ 深い器は中心が冷えにくい
ナッツ ピスタチオ、アーモンド 片方だけでも可 食感と見た目の華やかさが変わる

日本のスーパーだけで作るなら、米は日本米、香りはカルダモン粉、ナッツはアーモンドだけでも形になります。その場合も、米を粗く砕くことと、冷やして完成させることは守ります。逆に、サフランやローズウォーターを増やして香りで押すと、牛乳と米の静かな味が負けます。

食べ方、保存、献立

冷やしたフィルニは、辛い料理の後に小さな器で出すと、口の中を丸く戻してくれます。タンドリーチキンやスパイスの強い豆料理の後、チャイと一緒に甘い締めとして出すのが扱いやすいです。重い揚げ物の後なら、器は小さめで十分です。

食卓にもう少し物語を持たせるなら、塩気のあるサモサ、酸味のあるライタ、豆のダルタドカと合わせます。甘いものを主役にせず、最後に冷たい小鉢が出てくる流れにすると、日本の家庭でも重くなりません。

保存は冷蔵で2日を目安にします。器に入れたまま保存する場合は、表面が乾かないよう小皿やラップで軽く覆います。ラップを表面へ密着させると、はがす時に表面が荒れやすいので、少し空間を残す方が見た目が保てます。翌日固くなったら、冷たい牛乳を小さじ2ずつ混ぜて戻します。温め直しはできますが、フィルニらしさは冷たい状態にあります。温かく食べたい場合は、電子レンジ600Wで20秒ずつ軽く温め、完全に熱々にしない方が香りが残ります。

よくある質問

米粉で作れますか?

作れますが、食感は変わります。市販の米粉は細かすぎることが多く、なめらかではあるものの、フィルニ特有の小さな粒感が出にくくなります。使う場合は、米粉40gを牛乳100mlでよく溶き、鍋へ少しずつ加えてください。だまになりやすいので、火加減は弱めにします。

日本米でも大丈夫ですか?

大丈夫です。ただし粘りが出やすいので、分量は50gに減らします。浸水後に砕く時も、粉にしすぎないよう短く回します。香りはバスマティより控えめになるため、カルダモンを少し丁寧につぶすと物足りなさが減ります。

土器の器がないと作れませんか?

作れます。浅い陶器の小鉢、プリンカップ、湯のみで構いません。土器の器は、見た目と冷え方、表面の落ち着きがよいだけです。深いグラスは底が冷えにくいので、急ぐ時は避けます。

サフランなしでもフィルニになりますか?

なります。サフランは香りと色の材料で、必須のとろみ材料ではありません。サフランを省く場合は、カルダモンとローズウォーターを少量使うと、白いフィルニとしてまとまります。ターメリックで黄色くするのは、香りが別方向に出るので避けます。

どこで火を止めればよいですか?

温かい鍋の中で、木べらから細く流れるくらいです。すくった時に重く落ちる、鍋底に跡が長く残る、米が水分をほとんど吸い切っている状態なら煮詰めすぎです。冷えると必ず固くなるので、完成前に止める感覚で進めます。

主な参考リンク

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