葉を開くと、ココナッツと根菜が一つになる

焼き上がった葉包みを開くと、最初にココナッツの香りが立ち、表面には葉の蒸気を含んだつやが残ります。 中身は焼き菓子のように固いものではなく、すりおろした根菜がやわらかくまとまり、鶏肉の汁を受け止める蒸し焼きの生地です。
ラップラップ(Laplap)は、バヌアツの観光局が「国民食」と紹介する料理です。 タロイモ、ヤムイモ、キャッサバなどの根菜をすりおろし、ココナッツクリームと合わせ、葉で包んで熱石の下でゆっくり加熱します。 熱石を使うことで少し煙の香りがつき、祝いや kastom(受け継がれてきた慣習)の行事とも結び付く料理として、昼の市場でも売られています。 詳しい料理の説明はバヌアツ観光局のローカルフード紹介で確認できます。
観光客向けの名物料理というだけではありません。 ポートビラ、ルーガンビル、レナケルの市場や、町の外の路上販売では、庭で採れた野菜や根菜と一緒に地元料理が並びます。 ラップラップを市場で買って食べる場面には、島の畑、海から来る魚、ココナッツを絞る作業が同じ食卓に載る、バヌアツの食の組み立てが見えます。
日本の台所では、地下に石を並べるアースオーブンをそのまま再現できません。 それでも、根菜を細かくすりおろすこと、ココナッツの脂を生地に含ませること、葉とアルミホイルで蒸気を閉じ込めることは残せます。 根菜をすりおろし、葉と熱で一つにするという料理の骨格を守り、鶏肉と香味野菜は家庭向けの具として重ねます。
英語資料では「Lap Lap」「Laplap」「lap-lap」と表記が分かれます。 日本語では読みやすさを優先して、この記事全体で「ラップラップ」と表記します。
途中で見つける、味の決め手
調理のコツ|生地の水分と葉の閉じ方で決まる

ラップラップは、調味料を増やして味を強くする料理ではありません。 根菜の水分、ココナッツミルクの濃さ、葉の内側に残る蒸気が重なって、切れる柔らかさを作ります。 水分の見極めが、切り分けられるラップラップを決めます。
目が粗いと根菜の繊維が残り、細かすぎると水分が一か所に集まりやすくなります。 2〜3mmの細かいすりおろし器を使い、硬い塊を残さないようにします。 フードプロセッサーで刻む場合も、粒を米粒より大きくしないことが目安です。
タロイモの水分が多く、生地がボウルの底から流れ続ける場合は、ココナッツミルクを追加しません。 10分置いて根菜に吸わせ、まだゆるければ、すりおろしたタロイモを50gだけ追加します。 小麦粉や片栗粉を入れると、根菜を葉で蒸す食感から離れます。
破れた葉を一枚で使うと、そこからココナッツミルクが流れ、耐熱皿の底だけが水っぽくなります。 穴の上へ葉の小片を重ね、さらに外側の葉を十字に置きます。 葉がない場合はクッキングシートを二重にしてからホイルで包みますが、シートだけでは閉じません。
鶏肉を生地全体へ散らすと、薄い部分は火が通りすぎ、中央の厚い肉だけが遅れます。 鶏肉と玉ねぎは中央へ一層に置き、3cmを超える塊を作りません。 中心温度が74℃に届かなければ、包みを閉じて15分ずつ加熱を延長します。
にんにくとしょうがを包丁で細かく刻めば、乳鉢はなくても作れます。 ただ、鶏肉400gへ混ぜる香味をペースト状にして、根菜の一部へ味を集中させたいときは、すり鉢の底が深く、すりこぎが付いたものが扱いやすいです。 商品ページで天然花崗岩、内径10cm・容量350ml、すり鉢・すりこぎ・ふたのセット内容を確認できます。 他のスパイスや薬味にも使う人なら買う理由がありますが、にんにくを年に数回つぶすだけなら、おろし器で代用して購入を見送ります。
アレンジ|島ごとの根菜と具材を日本で組み替える

ラップラップは「タロイモと鶏肉の一品」と決められた料理ではありません。 資料には、キャッサバ、ヤムイモ、調理用バナナを単独または組み合わせる作り方があり、具も野菜、鶏肉、魚などへ変わります。 ただし、具材を替えれば加熱時間と水分が変わるため、鶏肉版の120分をそのまま使い回しません。
| 変え方 | 日本での組み立て | 確認する状態 |
|---|---|---|
| ヤムイモを使う | タロイモ600gをヤムイモ600gへ替える | 粘りが弱くなるので、生地を厚くしない |
| キャッサバを使う | 皮を厚めにむいたキャッサバ600gを細かくすりおろす | 必ず中心まで加熱し、硬い粒を残さない |
| 調理用バナナを使う | 青いプランテンなどをつぶし、根菜の一部にする | 甘みと水分が変わるため、ココナッツミルクを一度に入れない |
| 白身魚に替える | 鶏肉400gを骨なし白身魚400gへ替える | 180℃で45〜60分を目安にし、中心63℃または身が不透明でほぐれる状態を確認する |
| 肉と青菜を外す | 根菜、生地、ココナッツミルク、塩だけで包む | 西部サントの例に近い、具のない根菜料理として薄めに焼く |
マレクラ島のラップラップ・ソソウル(Laplap soso’ur)には、焼く前後に多くのココナッツミルクを使い、中央に肉や島の青菜を置く説明があります。 家庭でその雰囲気を試すなら、焼き上がった包みの中央を浅くくぼませ、温めたココナッツミルク40mlを食べる直前に注ぎます。 これは現地の一皿をそのまま再現する量ではなく、中央へソースを集めて周囲で分ける食べ方から発想した家庭向けの変化です。
魚版は鶏肉版より短時間で仕上がります。 根菜の厚さを2cmほどに抑え、白身魚が半透明のまま残らないところまで加熱します。 生地が先に固まって魚だけが遅いときは、魚を4cm角から3cm角へそろえ、包みを開けずに10分追加します。
バナナの葉で魚を包むフィジーのロヴォや、サモアのパルサミと並べると、葉を香りと蒸気の容器として使う太平洋料理の違いも見えてきます。 ラップラップは根菜の生地が中心で、パルサミは葉の中身とココナッツの濃さが中心です。
本来の材料に近い順は、タロイモ、ヤムイモ、キャッサバ、調理用バナナです。 日本の里芋やさつまいもへ替えると家庭では作りやすくなりますが、甘みや粘りまで同じにはなりません。 名前だけを残して別の料理にしないため、根菜をすりおろし、ココナッツミルクと葉で包む構造を保ちます。
バヌアツの市場と食卓|同じラップラップでも、島と家で姿が変わる

バヌアツの食文化を研究する論文では、aelan kaekae(島の食べ物)として、ヤムイモやタロイモ、パンノキ、ココナッツ、バナナ、果物、魚介が挙げられています。 木の火やアースオーブンで作る料理に加えて、現代の島の食卓には米、麺、缶詰の肉や魚も入ります。 地元の材料と外から来た材料が混ざることは、料理の純度が崩れたという話ではなく、植民地期以降の交流と暮らしの変化を食卓が受け止めてきた結果です。 詳しくはオーストラリア国立大学の食と接触史の章で読めます。
地域差は、具材の種類だけに出ません。 サント島西岸を扱った研究では、ラップラップの種類が野菜、肉、ナッツなどの追加材料と、その置き方や包み方で区別される一方、その地域では肉や野菜を加えずに作る例も報告されています。 同じ「ラップラップ」という名前でも、根菜だけの厚い生地を主役にする家と、肉や青菜を中央へ置く家があり得ます。 J-STAGE掲載の調理容器研究は、こうした違いを島の調理技術と社会的な選択の中で説明しています。
マレクラ島のソソウルは、家族の再会や祝いの場で焼いて分ける料理として記録されています。 人が料理を囲み、生地を小さく取って中央のココナッツミルクや肉、青菜と一緒に食べる場面は、個別の皿へ配り終えてから会話を始める食事とは少し違います。 食べ方の中に、年長者から若い人へ調理の知識を渡す時間が含まれます。 ユネスコ・アジア太平洋無形文化遺産センターの資料では、料理の技術だけでなく、共同体で分ける行為そのものが紹介されています。
地下炉の代わりにオーブンを使う今回のレシピは、その共同調理を再現するものではありません。 石の熱、薪の煙、ココナッツを削って絞る作業まで含めれば、現地の一皿は時間も道具も別物です。 日本で残す判断は、根菜を生地にすること、ココナッツミルクを生地と葉の間に入れること、葉で包んで蒸気を逃がさないことの三つです。 そこへ鶏肉を加え、中心温度を測れる家庭の手順へ組み替えています。
保存とよくある質問|余った包みを安全に食べる

ラップラップは作り置きできますか?
できます。 葉を開いて粗熱を逃がし、浅い密閉容器へ移して冷蔵します。 常温で長く置かず、米国食品安全・検査局の案内に合わせ、冷蔵庫は4℃以下を保ち、調理済みの肉料理として3〜4日以内を目安に食べ切ります。 食べる分だけ取り出し、中心まで74℃に再加熱してください。 FoodSafety.govの保存表では、調理済みの肉や鶏肉の冷蔵保存期間を3〜4日としています。
バナナの葉が手に入らないときは?
オーブン対応クッキングシートを二重にして包み、アルミホイルを外側へ巻けば加熱できます。 葉の青い香りと、葉に触れた部分のしっとりした食感は弱まります。 クッキングシートを使う場合も、根菜の生地と具を中央に置き、継ぎ目を下にしてからホイルで密閉します。
里芋を使うと、タロイモと同じ味になりますか?
同じにはなりません。 里芋は日本で買いやすく、粘りが強いので生地をまとめやすい反面、タロイモより小さくねっとりした食感になりやすいです。 タロイモが見つかれば使い、里芋ならココナッツミルクを最初から全量入れず、すくってゆっくり落ちる状態に整えます。 どちらも生では食べず、中心まで加熱します。
生地が焼いたあとも水っぽいときは?
包みを開けたとき、中央から液体が流れ、生地が白くざらついているなら加熱不足です。 ホイルと葉を閉じ直し、180℃で15分ずつ追加します。 すでに鶏肉が74℃へ達している場合も、生地が固まるまで追加加熱し、次回は生地を2cmほど薄く広げます。 逆に端だけが固く中央がゆるいときは、具を中央へ厚く置きすぎた可能性があります。
鶏肉を魚に替えられますか?
替えられますが、同じ120分では加熱しません。 白身魚400gを3cm角にそろえ、根菜を薄くして45〜60分から確認します。 中心が63℃に達するか、身が不透明になってフォークでほぐれる状態まで加熱してください。 魚の種類や厚みで変わるため、時間より中心の状態を優先します。
ココナッツミルクの代わりに牛乳を使えますか?
料理の構造だけなら包めますが、ココナッツの脂と香りがなくなるため、ラップラップらしい味からは離れます。 乳製品を避ける必要がある場合は、無糖のココナッツミルクを選びます。 ココナッツアレルギーがある人は、代替を無理に試さず、別の根菜料理として扱ってください。













