台所が青い香りで満ちる、ガーナの緑スープ
葉物を刻むときの青い香りは、味噌汁や鍋ものとは少し違う気分を連れてきます。小松菜、ほうれん草、ケールをざくざく刻み、なすとトマトを煮た鍋に戻すと、スープの色が一気に深い緑へ変わる。そこに燻製魚の代わりになるさば缶と干しえびの香りが重なると、日本の台所でもガーナのアブヌアブヌ(Abunuabunu / Ebunuebunu)にかなり近い一杯になります。
アブヌアブヌは、コントミレと呼ばれるココヤムの葉を使うガーナの緑スープです。英語圏では green soup と紹介されることもあり、フフ、バンクー、ご飯、時にはゆでたヤム芋と合わせます。見た目はやさしい青菜スープですが、味の芯は葉だけではありません。燻製魚、干し魚、干しえび、唐辛子、なすに近い garden egg が重なって、フフを受け止める力のあるスープになります。
日本で難しいのは、コントミレと燻製魚です。コントミレは里芋やタロイモの葉に近い食材ですが、家庭では入手しづらく、扱いも慣れが必要です。この記事では、小松菜、ほうれん草、ケールを組み合わせ、葉の青さ、やわらかさ、軽い苦みを分担させます。燻製魚は本物があれば一番ですが、さば水煮缶と干しえび粉で、家庭の買い出しでも現実的に寄せます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 分量 | 4人分 |
| 下ごしらえ | 25分 |
| 加熱 | 45分 |
| 合計 | 約1時間10分 |
| 合わせる主食 | フフ、バンクー、白ご飯、ゆで芋 |
| 辛さ | 中辛。青唐辛子量で調整 |
買い出しで迷うもの

コントミレそのものを探し始めると、買い出しが難しくなります。初回は葉物を日本のスーパーでそろえ、味の芯になる魚介のうま味とフフだけを通販で補う方が成功しやすいです。
干しえびは、燻製魚や干し魚の海の香りを支える材料です。細かい粉にするとスープ全体へなじみ、さば缶だけでは出ない奥行きが出ます。甲殻類が大丈夫なら、ここは省かない方がアブヌアブヌらしくなります。
アブヌアブヌは、スープだけで完結するより、フフやバンクーと合わせてこそ食べ方が見えます。フフを一から作る時間がない日は、フフミックスを使うと、緑スープをすくう食感を体験しやすくなります。
赤パーム油は、このレシピでは主役ではなく香りづけです。小さじ2でも、魚介と葉物の間に西アフリカらしい赤い香りが入ります。緑色を強く保ちたい日は米油で作り、次回から少量ずつ足すのが現実的です。
青さを濁らせないコツ

アブヌアブヌで失敗しやすいのは、青さと魚介の香りのバランスです。葉物を長く煮すぎると、色が暗くなり、青い香りが重くなります。反対に、葉を後入れしすぎると、魚介のだしとなじまず、ただの青菜ポタージュのように浮きます。
守る順番は、先に肉となすの土台を作り、葉はペーストにしてから弱火で戻すことです。なすがやわらかくなるまで煮ておくと、青いペーストに自然な丸みが出ます。トマトは多く入れすぎると赤茶色へ寄るため、4人分で1個に留めます。
赤パーム油は入れすぎない方が、この料理では扱いやすいです。ナイジェリアのエグシスープやガーナのグラウンドナッツスープでは油の存在感が大きいですが、アブヌアブヌでは葉の緑が主役です。小さじ2で香りを添え、足りなければ食べる直前に数滴落とす程度にします。
食べ方、保存、温め直し

現地の食べ方に近づけるなら、フフを小さく取り、スープをまとわせて飲み込むように食べます。初めてなら噛んでもかまいませんが、フフは噛むほど味が出る主食ではなく、スープを運ぶための生地です。酸味のあるバンクーと合わせると、葉の青さと魚介の香りが少し引き締まります。ご飯の日は、スープをかけるより、深皿で別にして少しずつ合わせる方が塩気を調整しやすいです。
冷蔵保存は2日までです。魚介と葉物が入るため、常温に長く置かず、粗熱が取れたら保存容器へ移します。温め直しは小鍋で弱火5分、または電子レンジ600Wで1分30秒ずつ様子を見ます。強く沸かすと緑が暗くなるので、湯気が立ち、表面がふつふつし始めたところで止めます。
献立にするなら、同じガーナ料理のワチェやレッドレッドを別日に作ると、豆、米、主食、スープの違いが見えます。西アフリカの青菜スープを比べたい方は、カメルーンのンドレも近い方向にあります。ただしンドレは苦味とピーナッツが強く、アブヌアブヌはもっと葉と魚介の輪郭が前に出ます。
よくある質問
コントミレが手に入ったら、そのまま使えますか?
使えますが、タロイモ系の葉は扱いに注意が必要です。筋が硬い部分を除き、しっかり火を通してから使います。初回は日本の葉物で作り、味の方向をつかんでから現地食材へ進む方が失敗しにくいです。
さば缶ではなく燻製魚を使う場合は?
燻製魚120gを大きめにほぐし、手順5で加えます。塩分が強いものは、塩を小さじ1まで減らしてから味見します。魚の骨が多い場合は、加える前に大きな骨だけ外します。
赤パーム油を入れないと別料理になりますか?
完全に別料理にはなりません。アブヌアブヌの中心は葉の緑と魚介のうま味です。赤パーム油は香りと西アフリカらしい丸みを足す材料なので、色を優先する日や油が苦手な家庭では米油で作っても成立します。
辛くない家族向けにできますか?
できます。青唐辛子を半分にし、種を外して煮込みます。香りだけ移したい場合は、手順2で丸ごと入れ、手順4の前に取り出します。辛味を後から足したい人は、食卓で唐辛子ペーストを少量添える方が家庭では安全です。
フフなしでも作る価値はありますか?
あります。白ご飯、ゆでたじゃがいも、蒸した里芋でも食べられます。ただしフフやバンクーと合わせると、スープの濃度がなぜこのくらい必要なのかが分かります。初回は白ご飯で作り、気に入ったら次にフフを合わせる流れで十分です。












