白ごはんとプトを添えたフィリピンのディヌグアン。豚肉を黒く濃い豚血ソースで煮込んだ一皿
🔪下準備25分
🔥調理74分
🍽️分量4
🌍料理フィリピン料理
東南アジアレシピ

ディヌグアンの作り方|豚血で煮るフィリピン家庭料理

29分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 肉を切り、豚血を酢でほぐす
STEP 11 / 7

肉を切り、豚血を酢でほぐす

所要時間15分

豚肩ロース450gと豚バラ250gは2.5cm角、豚レバー80gは1.5cm角に切ります。食用豚血300mlはボウルに入れ、ココナッツビネガー30mlを加えて泡立て器で30秒ほぐします。大きな固まりがある場合は、ここでつぶしておくと後でだまになりにくいです。肉は表面の水気を紙で拭き、角がはっきり見える状態にします。

手順2: 香味野菜と豚肉を炒める
STEP 22 / 7

香味野菜と豚肉を炒める

所要時間10分

厚手鍋に米油大さじ1を入れ、中火で1分温めます。にんにく、玉ねぎ、しょうがを入れて4分炒め、玉ねぎの角が透き通り、香りが立ったら豚肉を加えます。中火のまま6分ほど炒め、豚肉の表面が白っぽくなり、鍋底に薄い焼き色がつけば十分です。焦げが黒くなり始めたら弱めの中火へ落とします。

手順3: 酢を煮立てて角を取る
STEP 33 / 7

酢を煮立てて角を取る

所要時間6分

ココナッツビネガー60mlを鍋肌から回し入れ、中火で2分、触らずに煮立てます。強い酸っぱい湯気が立ち、鍋の縁に細かい泡が出たら、パティス大さじ1と1/2、しょうゆ小さじ2、きび砂糖小さじ1、ローリエ2枚、黒こしょう小さじ1/2を入れます。そこから木べらで底をなで、焼き色を煮汁へ溶かします。

手順4: 豚肉を弱火で柔らかく煮る
STEP 44 / 7

豚肉を弱火で柔らかく煮る

所要時間35分

水または豚のゆで汁500mlと青唐辛子1本を加え、沸いたら弱火に落とします。ふつふつと小さな泡が上がる火加減を保ち、ふたを少しずらして30分煮ます。途中で水分が肉の高さより下がったら、水を50mlずつ足します。35分後、豚肩ロースに竹串がすっと入り、レバーの中心まで色が変わっていれば次へ進みます。

手順5: 豚血を温めてこす
STEP 55 / 7

豚血を温めてこす

所要時間8分

鍋の火をいったん止め、煮汁100mlを玉じゃくしで取り、豚血のボウルへ少しずつ加えます。泡立て器で1分混ぜ、色が均一でさらさら流れる状態にします。目の細かいざるでこし、固まりや筋を取り除きます。ここで急いで鍋へ戻すとだまが残るので、木べらから細く落ちるくらいの粘度を目安にします。

手順6: 弱火で血を加えてとろみを出す
STEP 66 / 7

弱火で血を加えてとろみを出す

所要時間10分

鍋を弱火に戻し、豚血を細く注ぎながら木べらで底をゆっくり混ぜます。温度は80から85度C前後、鍋の縁に小さな泡が出る程度を保ちます。強く沸騰させると粒っぽくなるので、泡が大きくなったら火を止めて30秒待ちます。8分から10分煮て、ソースが深い茶色になり、木べらの跡が一瞬残るとろみになれば火が入っています。

手順7: 辛味と酸味を整えて仕上げる
STEP 77 / 7

辛味と酸味を整えて仕上げる

所要時間5分

残りの青唐辛子1本を斜め切りにして加え、弱火で3分温めます。味を見て、パティス小さじ1と1/2、ココナッツビネガー小さじ1から2、黒こしょう少々で整えます。ソースが重くなりすぎたら水大さじ2を足し、逆に薄い場合は弱火で2分煮詰めます。器に盛り、白ごはん、プト、ライムまたはすだちを添えます。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
材料

買い出しの前に

4人分です。食用豚血は、解凍時に袋の破れ、強い異臭、泡立ちがないものを使います。入手できない場合は、豚血をレバーやブラックプディングで置き換えるより、アドボボピスへ料理を切り替えた方が自然です。

ディヌグアンの材料。角切りの豚肉、食用豚血、ココナッツビネガー、魚醤、玉ねぎ、にんにく、しょうが、ローリエ、青唐辛子、白米
ディヌグアンは豚肉、食用豚血、酢、魚醤、香味野菜をそろえる。豚血は食品として処理されたものだけを使う
9品目

肉とソース

材料 分量 代替・備考
豚肩ロースブロック 450g 2.5cm角。脂を控えたい場合の主役
豚バラブロック 250g 2.5cm角。脂が多い部分は1cm幅で落とす
豚レバー 80g 1.5cm角。香りが強いので入れすぎない
食用豚血 300ml 食品として処理されたもの。解凍後は当日使い切る
ココナッツビネガー 90ml 鍋へ60ml、豚血へ30ml。米酢60mlと黒酢30mlでも可
水または豚のゆで汁 500ml 煮込み中に100mlまで追加で用意
パティス 大さじ2 鍋へ大さじ1と1/2、仕上げで小さじ1と1/2
しょうゆ 小さじ2 色づけではなく塩味の補助
きび砂糖 小さじ1 酸味の角を少し丸める
10品目

香味野菜と食卓

材料 分量 代替・備考
玉ねぎ 1個(180g) 7mm角のみじん切り
にんにく 5片 粗みじん切り
しょうが 15g みじん切り
ローリエ 2枚 月桂樹の葉
青唐辛子 2本 1本は煮込み、1本は仕上げ。辛味が苦手なら種を除く
黒こしょう 小さじ1/2 粗びき
米油 大さじ1 サラダ油でも可
温かい白ごはん 4杯分 ソースを受ける主食
プトまたは蒸しパン 4個 入手時だけ添える。甘い蒸しパンで代用可
ライムまたはすだち 1/2個 食卓で酸味を足す
アレルギーと食品安全

この料理には豚肉、豚血、魚醤、しょうゆ(大豆・小麦を含む製品あり)を使います。豚血は食品として処理されたものだけを使い、常温で置かず、解凍後は当日調理します。豚肉とレバーは中心まで色が変わり、中心温度74度Cを目安に火を通してください。血液を入れた後も弱火でふつふつする状態を保ち、温め直しも中心まで熱くします。生肉と豚血を扱ったまな板、包丁、菜箸を盛り付けに使い回さないでください。

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
130
kcal
8.5g
タンパク質
8.5g
脂質
4.0g
炭水化物
0.5g
食物繊維
355mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

黒い煮汁が白ごはんにしみる、フィリピンの酸っぱい豚煮込み

鍋の中が、明るい茶色から深いチョコレート色へ変わる瞬間があります。豚肉を酢と香味野菜で煮て、火を弱め、ほぐした血液を細く加える。木べらを動かすたびに、ソースが急に重くなり、白い器の縁に黒い線を残します。ディヌグアン(Dinuguan)は、その見た目で少し身構えるのに、食べると酸味とごはんの相性に納得するフィリピンの家庭料理です。

Dinuguan はタガログ語の dugo、つまり「血」に由来すると説明されることが多い料理です。豚肉や内臓を、豚血、酢、にんにく、玉ねぎ、唐辛子で煮る濃いシチューで、白ごはんだけでなく、ほのかに甘い蒸し米菓の puto と一緒に食べられます。しょうゆと酢で輪郭を作るアドボよりも見た目は濃く、酸っぱい汁で食べるシニガンよりもソースが重い。けれど、根っこにあるのはフィリピン料理らしい「酸味で肉を食べやすくする」感覚です。

日本で作るときの難所は、豚血そのものです。普通のスーパーで代替できる材料ではありません。精肉店、アジア食材店、冷凍の食用豚血を扱う店で、食品として処理されたものだけを使います。この記事では、血液を安全側に扱い、ココナッツビネガーとパティスで香りを組み立て、煮立てすぎずになめらかなソースへ寄せる家庭版にします。

白ごはんとプトを添えたフィリピンのディヌグアン。深い器に豚血ソースと豚肉を盛り、ライムを添えた食卓
ディヌグアンは豚血、酢、豚肉を弱火でまとめる濃い煮込み。白ごはんやプトと合わせると酸味が生きる

同じフィリピンの豚料理でも、ボピスは刻んだ内臓を酢とアツエテで炒め煮にし、シシグは焼いた豚を刻んで柑橘と唐辛子で食べます。ディヌグアンはそこからさらに一歩進み、血液をソースとして使う料理です。派手な料理ではありませんが、食卓に置くと、白いごはんの存在感が急に増します。

名前と地域差

Dinuguan はフィリピン各地で食べられる豚血煮込みです。イロコス地方では dinardaraan と呼ばれ、血を煮詰めてやや乾かし気味にする型もあります。パンパンガ周辺では tidtad と呼ばれる文脈もあり、刻んだ肉や内臓の食感を残す作り方が見られます。本記事では、日本の台所で再現しやすい、汁気を少し残す家庭版のディヌグアンに絞ります。

Dinuguanとは|血を固めず、酢で軽くする料理

Kawaling Pinoy の Dinuguan では、豚肉を炒めてから酢を加え、液体を足して煮込み、豚血を最後に入れて濃度を作る流れが紹介されています。Wikipedia でも、豚血、豚肉や内臓、酢、唐辛子を使うフィリピンのシチューとして説明されています。材料だけを見ると重そうですが、食べると酢と唐辛子が先に来るので、脂の強い豚煮込みとは違う軽さがあります。

ディヌグアンで守りたい芯は、次の5つです。全部を現地食材でそろえるより、何を守り、何を日本の食材へ逃がすかを先に決めると作りやすくなります。

守りたい要素 日本での現実解 外すと何が変わるか
食用の豚血 冷凍またはチルドの食用処理済み豚血を使う ここは代替不可。別の豚煮込みとして作る方がよい
酢の香り ココナッツビネガーが理想。米酢と黒酢の混合でも可 酸味が薄いと血の鉄っぽさが前に出る
豚肉の脂 肩ロースとバラを混ぜ、バラだけにしない 脂が多すぎるとソースが重く、冷めたときに固まる
パティス フィリピン魚醤。なければナンプラーを少量 塩だけだと、ごはんへ伸びるうま味が弱い
低い火加減 血を入れた後は弱火で小さな泡を保つ 強く沸かすとざらつき、ソースが分離しやすい

見た目を黒くするために濃口しょうゆを大量に入れる必要はありません。色は血液で出ます。しょうゆを増やすと日本の甘辛煮に近づき、酢と魚醤の輪郭が鈍ります。本文の分量ではしょうゆを小さじ2だけにし、塩味はパティスで支えます。

買い出し|肉より先に、酢と魚醤と温度計を決める

ココナッツビネガー、魚醤、料理用温度計、ローリエ、青唐辛子、鍋を並べたディヌグアンの買い出し材料
ディヌグアンで通販を見る価値があるのは普通の豚肉ではなく、ココナッツビネガー、パティス、火通りを見る温度計

ディヌグアンの買い出しで通販を見る価値があるのは、普通の豚肉ではありません。豚肩ロースや豚バラは近所のスーパーや精肉店で十分です。迷うのは、酸味の軸になるココナッツビネガー、塩味とうま味を作るパティス、火通りを確認する温度計です。

豚血は、商品カードで気軽に買う材料として扱いません。必ず、食品として処理されたものを精肉店やアジア食材店で確認してください。入手できる日だけ作る料理だと割り切る方が、安全面でも味の面でも無理がありません。

魚醤は、香りが強いからといって抜くと、酢と血の印象だけが残ります。パティスがあればフィリピン寄りに、なければナンプラーを少量で使います。仕上げで足す分を残すと、家族の塩味に合わせやすいです。

掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。

ココナッツビネガーは、米酢よりも酸味が丸く、血液の鉄っぽい香りを切りながらフィリピン料理らしい発酵感を出せます。頻繁に使わない場合は、米酢と黒酢の混合でも作れますが、フィリピン料理を続けるなら1本あるとフンバボピスにも回せます。

豚血を入れた後は、見た目だけで火通りや温め直しを判断しにくくなります。初回は温度計があると、豚肉の中心温度や再加熱の安心感が増します。ディヌグアン専用ではありませんが、鶏スープのティノラや内臓料理にも使い回せます。

失敗しやすいところ|ざらつき、臭み、酸っぱすぎを直す

なめらかなディヌグアンのソースと、ざらついたソースを小皿で比べた失敗例
ディヌグアンの失敗は、血を強く沸かしたざらつき、酢の煮立て不足、煮汁の薄さに出やすい
症状 原因 戻し方
ソースがざらざらする 豚血を入れた後に強く沸騰した 火を止め、水大さじ2を入れて木べらで混ぜ、弱火で温め直す
鉄っぽい匂いが強い 豚血の鮮度、酢の煮立て不足、煮込み不足 食用処理済みの新しい豚血を使い、酢を中火で2分煮立てる
酸っぱすぎる 酢を入れてすぐ水を足した、または仕上げ酢が多い きび砂糖小さじ1/2、水50mlを足し、弱火で5分煮る
水っぽい 血を入れる前の煮汁が多すぎる 血を入れる前に中火で5分煮詰め、肉が半分見える濃度にする
脂が重い 豚バラだけで作った、冷めて脂が固まった 次回は肩ロースを混ぜる。温め直す前に表面の固まった脂を取る

豚血が入ると「もっと煮れば安全」と思って火を強めたくなりますが、ここが一番の落とし穴です。安全側に倒すなら、強火ではなく時間と温度で見ます。弱いふつふつを保ち、中心まで熱くし、温め直しも鍋底を混ぜながらゆっくり上げる。ソースをなめらかに保つことと、火を通すことは両立できます。

食べ方|白ごはん、プト、酸味のある副菜につなぐ

ディヌグアン、白ごはん、プト、ライム、青唐辛子を並べたフィリピン家庭の食卓
ディヌグアンは白ごはんにかけるだけでなく、甘いプトと合わせると酸味と鉄っぽさが丸くなる

現地の食べ方で面白いのは、puto との組み合わせです。甘い蒸し米菓が、酸味と鉄っぽさを丸くします。日本で完全な puto を用意しなくても、甘さ控えめの蒸しパン、小さな米粉蒸しパン、白い食事パンを少量添えると、ソースの印象が変わります。

白ごはんにかける場合は、丼のように全体へ広げるより、最初はごはんの半分だけにのせる方が食べやすいです。残りの白い部分で酸味を調整できます。副菜は、こってりした揚げ物より、きゅうりの酢漬け、トマトと玉ねぎのサラダ、青菜の軽い炒めものが合います。

フィリピン料理の献立として並べるなら、酸味の方向が違うシニガンとは同じ食卓で少し重なります。焼き物のチキンイナサル、澄んだスープのティノラ、祝いの大皿のレチョンと合わせる方が、黒い煮込みの存在感がきれいに立ちます。

保存と温め直し|作り置きは短め、再加熱はゆっくり

ディヌグアンを浅い保存容器に移して冷ましている様子
ディヌグアンは浅い容器に移して早く冷まし、温め直しは弱火でゆっくり行う

ディヌグアンは、作った当日が一番なめらかです。残す場合は、鍋のまま常温に置かず、浅い保存容器へ移して早く冷まします。冷蔵は翌日までを目安にし、温め直すときは鍋に移して水大さじ2から3を足し、弱火で混ぜながら中心まで熱くします。

冷凍はできますが、解凍後にソースが少しざらつきます。冷凍するなら1食分ずつ平たくし、2週間以内に使います。解凍は冷蔵庫で一晩、温め直しは弱火です。電子レンジだけで一気に温めると端が固まりやすいので、途中で一度混ぜ、最後は鍋で整える方が安定します。

弁当に入れる料理としてはおすすめしません。色が強く、香りもあり、温度管理もしにくいからです。家で炊きたてのごはんにのせる料理として扱う方が、ディヌグアンらしさが出ます。

FAQ

豚血が手に入らない場合、レバーで代用できますか?

できません。レバーを増やすと鉄っぽい濃い豚煮込みにはなりますが、ディヌグアンのソースにはなりません。豚血が手に入らない日は、無理に代替せず、酢としょうゆで煮るアドボへ切り替える方が満足度が高いです。

ココナッツビネガーがない場合は何を使いますか?

米酢60mlと黒酢30mlを混ぜると、酸味の角と色の深さを少し補えます。穀物酢だけでも作れますが、香りが鋭く出やすいので、最初は80mlに減らし、仕上げで小さじ1ずつ足してください。

内臓を入れないと本場から外れますか?

現地には豚の内臓を入れる作り方もありますが、家庭版では豚肩ロースと豚バラだけでも成立します。レバーを80gだけ入れると香りが近づきますが、入れすぎると血液ソースよりレバー煮の印象が強くなります。

辛くしないで作れますか?

作れます。青唐辛子は丸ごと1本だけ煮込み、仕上げの斜め切りを省きます。辛味を完全に抜くと味が重く感じやすいので、黒こしょうは小さじ1/2残してください。食卓で辛い酢を添えると、辛い人と辛くない人を分けやすいです。

ソースが真っ黒になりません。失敗ですか?

失敗ではありません。豚血の濃度、酢の量、加熱時間で、黒に近い茶色から深いチョコレート色まで幅があります。大切なのは、木べらの跡が一瞬残るとろみと、血液のざらつきがないことです。色を濃くするためにしょうゆを増やすと味がずれます。

主な参考リンク

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