ベラルーシの伝統料理マチャンカ。豚肉とソーセージのサワークリーム煮込みが土色の陶器に盛られ、横にジャガイモパンケーキのドラニキが添えられている
🔪下準備20分
🔥調理50分
🍽️分量4
🌍料理ベラルーシ料理
東欧・コーカサスレシピ

マチャンカの作り方|ベラルーシの豚肉グレイビー煮込み

37分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 豚肉に焼き色をつける(10分)
STEP 11 / 6

豚肉に焼き色をつける(10分)

豚スペアリブと肩ロースの表面の水分をキッチンペーパーで拭き取り、塩・黒こしょうを振ります。大きめの鍋(またはダッチオーブン)にバターを溶かし、強火で豚肉の全面に焼き色をつけます。スペアリブは骨に沿って1本ずつ切り分け、肩ロースは3〜4cm角に切っておくと火の通りが均一になります。

焼き色がついたら一旦取り出します。この「メイラード反応」の焼き色がマチャンカのグレイビーに深い風味を与えます。急がずに全面をしっかり焼くことが、完成時の風味を大きく左右します。

手順2: ソーセージと玉ねぎを炒める(8分)
STEP 22 / 6

ソーセージと玉ねぎを炒める(8分)

肉を取り出した鍋に、1cm厚の斜め切りにしたソーセージを入れ、両面に焼き色がつくまで3分焼きます。焼き色がついたら取り出し、肉と合わせておきます。

同じ鍋にバターを少量追加し、薄切りの玉ねぎを中火で5分、飴色になるまで炒めます。にんにくを加えて1分、香りが立つまで炒めます。鍋底に残った肉の焦げ(フォン)を玉ねぎの水分で削ぎ落とす(デグラッセする)ことを意識してください。このフォンがマチャンカの味の深みの源です。

手順3: グレイビーを作る(5分)
STEP 33 / 6

グレイビーを作る(5分)

玉ねぎに小麦粉大さじ2を振りかけ、1分間よく混ぜながら炒めます。粉っぽさがなくなったら、水(またはブイヨン)を少しずつ加えながら泡立て器でよく混ぜ、ダマにならないようにします。

全量を加えたらローリエとオールスパイスの粒を入れ、中火で2〜3分、とろみがつくまで加熱します。ここでベースのグレイビーが完成です。

木べらの背につけて指で線を引いたとき、線が消えずに残る程度の濃度が理想です。薄すぎると肉から出る水分でさらにゆるくなり、「浸す」ための粘度が足りなくなります。逆に濃すぎると、サワークリームを加えた後にペースト状になってしまいます。

手順4: 肉を戻してサワークリームで煮込む(30分)
STEP 44 / 6

肉を戻してサワークリームで煮込む(30分)

グレイビーに焼き色をつけた豚肉とソーセージを戻し入れます。全体を混ぜて肉がグレイビーに浸かるようにし、蓋をして弱火で25分煮込みます。

25分後、蓋を開けてサワークリーム200mlを加え、よく混ぜます。サワークリームを加えた後は絶対に沸騰させないでください。沸騰させるとサワークリームが分離し、グレイビーがざらざらした食感になります。弱火で5分、全体が温まる程度に加熱すれば完成です。

塩と黒こしょうで味を調え、ローリエとオールスパイスの粒を取り除きます。

サワークリームを加える前に、ボウルにサワークリーム200mlを取り、そこに鍋のグレイビーをお玉1杯分加えてよく混ぜます(テンパリング)。この「温度を近づける」操作をしてから鍋に戻すと、分離のリスクが大幅に下がります。[ハンガリーのグヤーシュ](/sekai-gohan/europe/hungary/goulash)でサワークリームを添える際にも同様の技法が使われます。

手順5: ドラニキ(ジャガイモパンケーキ)を焼く(15分)
STEP 55 / 6

ドラニキ(ジャガイモパンケーキ)を焼く(15分)

じゃがいもの皮をむき、おろし金で細かくすりおろします。すりおろしたらすぐにキッチンペーパーやさらし布で水分をしっかり絞り出します。この水気絞りがドラニキのカリカリ感を左右する最重要ポイントです。

水気を絞ったじゃがいもに、すりおろした玉ねぎ、溶き卵、小麦粉、塩を加えてよく混ぜます。生地はスプーンですくうと山になって落ち、ボウルの底に水がたまらず、じゃがいもが卵でまとまった状態が目安です。フライパンにサラダ油を多めに引き、中強火に熱します。生地をお玉1杯分ずつ落とし、直径8〜10cm、厚さ7mmほどに平らに伸ばして片面3分ずつ、縁が濃いきつね色でカリカリ、中央を押すと軽く弾むまで焼きます。

焼き上がったドラニキはキッチンペーパーで軽く油を吸わせます。1回の分量で8枚前後焼けます。

手順6: 盛り付ける(5分)
STEP 66 / 6

盛り付ける(5分)

深めの陶器皿にマチャンカの煮込みをたっぷり盛り、横にドラニキを2〜3枚添えます。グレイビーが熱く、木べらの跡がゆっくり消えるとろみなら食べごろです。仕上げにパセリのみじん切り(または刻んだディル)を散らします。

食べ方は、ドラニキをちぎってマチャンカのグレイビーに浸すのが正統です。名前の由来の通り、「浸して(マチャツィ)」食べることがこの料理の本質です。ドラニキのカリカリの表面がグレイビーを吸い込み、もちもちの中身と豚肉の旨み、サワークリームの酸味が一体になる瞬間がマチャンカの醍醐味です。

ベラルーシのテーブルでは、ライ麦パンの黒パンとウォッカ(またはサマゴン / 自家製蒸留酒)が必ず添えられます。ピクルス(きゅうりの漬物)も定番の付け合わせです。

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Ingredients

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材料スライド
13品目

マチャンカ(煮込み本体)

材料 分量 代替・備考
豚スペアリブ 400g 骨付きが最適。バラ肉でも可
豚肩ロース 200g(2cm角に切る) 豚こまでも代用可
ソーセージ(粗挽き) 200g スモークソーセージ推奨。ポーランド産キエルバサが最も近い
玉ねぎ 2個(薄切り)
にんにく 3片(みじん切り)
サワークリーム 200ml 脂肪分20%以上のもの
小麦粉 大さじ2 グレイビーのとろみ付け
水またはチキンブイヨン 300ml ブイヨンの方がコク深い
月桂樹の葉(ローリエ) 2枚
小さじ1 味を見ながら調整
黒こしょう 小さじ1/2
オールスパイス(粒) 3粒 ベラルーシ料理の必須スパイス
バター 大さじ1 玉ねぎ炒め用
6品目

ドラニキ(ジャガイモパンケーキ — 付け合わせ)

材料 分量 代替・備考
じゃがいも 600g(メークイン推奨) 男爵は水分が多すぎる
玉ねぎ 1/2個(すりおろし)
1個 つなぎ
小麦粉 大さじ2
小さじ1/2
サラダ油 大さじ4 焼き用
アレルギー物質

この料理には小麦(グレイビーのとろみ・ドラニキのつなぎ)、乳(サワークリーム・バター)、卵(ドラニキのつなぎ)が含まれます。ソーセージの種類によっては豚肉以外の畜肉・香辛料が含まれる場合があります。アレルギーのある方は材料表示を必ず確認してください。

ソーセージの選び方

ベラルーシの本場マチャンカでは「ダマーシュニャヤ・カウバサ(домашняя каўбаса / 自家製ソーセージ)」が使われます。日本で最も近いのはポーランド産のキエルバサ(kielbasa)です。カルディや成城石井、業務スーパーで500円前後で購入できます。キエルバサが見つからない場合は、ドイツ風の粗挽きスモークソーセージ(シャウエッセンのような皮パリ系ではなく、太くて粗挽きのもの)で代用してください。ウインナーソーセージは細すぎて風味が弱いため、マチャンカには不向きです。

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📊 栄養情報(1人分)
155
kcal
9.5g
タンパク質
10.5g
脂質
5.5g
炭水化物
0.5g
食物繊維
195mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
人数に合わせて材料表を調整する
4人分

材料(4人分)

マチャンカ(煮込み本体)

材料 分量 代替・備考
豚スペアリブ 400 g 骨付きが最適。バラ肉でも可
豚肩ロース 200 g(2cm角に切る) 豚こまでも代用可
ソーセージ(粗挽き) 200 g スモークソーセージ推奨。ポーランド産キエルバサが最も近い
玉ねぎ 2 個(薄切り)
にんにく 3 片(みじん切り)
サワークリーム 200 ml 脂肪分20%以上のもの
小麦粉 大さじ2 グレイビーのとろみ付け
水またはチキンブイヨン 300 ml ブイヨンの方がコク深い
月桂樹の葉(ローリエ) 2 枚
小さじ1 味を見ながら調整
黒こしょう 小さじ1/2
オールスパイス(粒) 3粒 ベラルーシ料理の必須スパイス
バター 大さじ1 玉ねぎ炒め用

ドラニキ(ジャガイモパンケーキ — 付け合わせ)

材料 分量 代替・備考
じゃがいも 600 g(メークイン推奨) 男爵は水分が多すぎる
玉ねぎ 1/2 個(すりおろし)
1 個 つなぎ
小麦粉 大さじ2
小さじ1/2
サラダ油 大さじ4 焼き用
アレルギー物質

この料理には小麦(グレイビーのとろみ・ドラニキのつなぎ)、乳(サワークリーム・バター)、卵(ドラニキのつなぎ)が含まれます。ソーセージの種類によっては豚肉以外の畜肉・香辛料が含まれる場合があります。アレルギーのある方は材料表示を必ず確認してください。

ソーセージの選び方

ベラルーシの本場マチャンカでは「ダマーシュニャヤ・カウバサ(домашняя каўбаса / 自家製ソーセージ)」が使われます。日本で最も近いのはポーランド産のキエルバサ(kielbasa)です。カルディや成城石井、業務スーパーで500円前後で購入できます。キエルバサが見つからない場合は、ドイツ風の粗挽きスモークソーセージ(シャウエッセンのような皮パリ系ではなく、太くて粗挽きのもの)で代用してください。ウインナーソーセージは細すぎて風味が弱いため、マチャンカには不向きです。

「浸す」料理——ベラルーシの農村から届いた冬の知恵

ベラルーシの農村の冬は長く厳しい。気温はマイナス20度を下回り、雪に閉ざされた家屋の中で家族がストーブを囲む。台所では、秋に仕込んだ自家製ソーセージと豚肉の端切れがサワークリームのグレイビーの中でことことと煮込まれ、そこにジャガイモのパンケーキを「浸して」食べる。それがマチャンカ(Мачанка / Machanka)です。

マチャンカは、ベラルーシ語の「マチャツィ(мачаць)」——「浸す、つける」を語源とする料理名です。豚肉の端切れ(スペアリブ、バラ肉、頬肉など)と自家製ソーセージをサワークリームベースのグレイビーで煮込み、もちもちのジャガイモパンケーキ「ドラニキ(драники)」やブリンチキ(薄焼きクレープ)を浸して食べる、ベラルーシの冬の国民食です。

マチャンカとは

マチャンカ(Machanka / Мачанка)はベラルーシの伝統的な冬の煮込み料理。名前は「浸す(мачаць)」に由来し、パンケーキやクレープを煮込みの中に浸して食べることを指す。豚の屠畜後に残る端切れ肉、骨付き肉、内臓、ソーセージを無駄なく使い切る農村の知恵から生まれた。ベラルーシ全土で食べられるが、地方によってグレイビーの濃さ、使う肉の部位、付け合わせが異なる。付け合わせはドラニキ(ジャガイモパンケーキ)やブリンチキ(薄焼きクレープ)が一般的で、地域や家庭によって好みが分かれる。ウクライナ西部やポーランド東部にも類似の料理が存在する。

日本語で「マチャンカ」を検索しても、ベラルーシ旅行記に一言触れられている程度で、まとまったレシピ情報はほぼ皆無です。英語圏でも"Belarusian Machanka"として紹介されている記事は限られますが、ベラルーシ系の料理ブロガーやスラヴ料理研究者がレシピと文化的背景を公開しています。同じ東欧圏のウクライナのボルシチモルドバのママリガと並ぶスラヴの家庭料理でありながら、日本での認知度はほぼゼロです。英語圏とベラルーシ語圏の一次情報をもとに完全ガイドをお届けします。


調理のコツ

豚肉の部位は「端切れ」が正統

ベラルーシの農村では、マチャンカは豚を屠畜した後に残る端切れ肉を無駄なく使い切る料理として生まれました。スペアリブ、頬肉(ジョウル)、首肉、バラ肉の端、耳の軟骨部分——何でも入れてよいのがマチャンカの精神です。日本のスーパーで手に入る部位で最も適しているのは、豚スペアリブ(骨からゼラチンが出てグレイビーにコクが出る)と豚バラ肉のブロック(脂の甘みがサワークリームと合う)の組み合わせです。

サワークリームの脂肪分に注目

マチャンカのグレイビーの風味はサワークリームの脂肪分に大きく左右されます。ベラルーシでは脂肪分25〜30%の「スマターナ(сметана)」が標準ですが、日本で入手しやすいタカナシ乳業のサワークリーム(脂肪分40%)は実はマチャンカに最適です。低脂肪のサワークリーム(脂肪分10%以下)は分離しやすく、コクも不足するため避けてください。

ドラニキの水気絞りが命

ドラニキがべちゃべちゃに仕上がる最大の原因は、すりおろしたじゃがいもの水分が残っていることです。すりおろした後、さらし布またはガーゼに包んで全力で絞る工程を省略しないでください。絞り出した液体の底に沈殿するでんぷんは、上澄みを捨てた後に生地に戻すと、つなぎの役割を果たしてさらにカリカリになります。これはポーランドのピエロギの生地作りでも使われるスラヴの知恵です。

マチャンカのアップ。クリーム色のグレイビーに豚肉のスペアリブが半分沈んでいる
マチャンカのグレイビーのクローズアップ。サワークリームのなめらかな白と豚肉の褐色のコントラスト。表面にバターの脂がわずかに光る

アレンジ・バリエーション

ブリンチキ版(ポレシエ地方スタイル)

ベラルーシ南部のポレシエ地方では、ドラニキの代わりにそば粉のブリンチキ(薄焼きクレープ)をマチャンカに浸して食べます。そば粉100gと小麦粉50gを牛乳200mlと卵1個で溶いた生地をフライパンで薄く焼き、マチャンカの煮込みを包んで食べるスタイルです。そば粉の香ばしい風味がサワークリームのグレイビーと絶妙に合います。

きのこ入りマチャンカ(秋の森バージョン)

ベラルーシはヨーロッパ有数のきのこ大国で、秋になると森にポルチーニ(白きのこ / ベラヴィッチ)やアンズタケを採りに行く「グリバニキ(きのこ狩り人)」の文化があります。秋の森マチャンカでは、乾燥ポルチーニ30gを30分水戻しして煮込みに加えます。きのこの旨みが豚肉のグレイビーに加わり、深い大地の風味が生まれます。

チキン版(軽めのマチャンカ)

豚肉の代わりに鶏もも肉400g(骨付き)を使う軽いバリエーション。サワークリームの量を150mlに減らし、煮込み時間を20分に短縮します。ミンスクの現代的なレストランでは「マチャンカ・ス・クラトカイ(鶏のマチャンカ)」としてメニューに載っていることがあり、豚肉版より人気がある店もあるとのこと。ただしベラルーシの農村の祖母たちは「鶏のマチャンカは子供の食べ物。大人は豚だ」と言うそうです。

ビール煮込み版

グレイビーの水/ブイヨンの半量をベラルーシの黒ビール(またはダークラガー)に置き換えるバリエーション。ビールのほのかな苦味とモルトの甘みがサワークリームと意外なハーモニーを生みます。ベルギーのカルボナードがビールで牛肉を煮込むように、ベラルーシのバル文化の中で生まれた現代風アレンジです。

そば粉のブリンチキにマチャンカを包んだポレシエ地方スタイル
ポレシエ地方スタイル。そば粉のブリンチキ(薄焼きクレープ)にマチャンカの煮込みを包んで食べる。香ばしいそば粉の風味がグレイビーと合う

この料理の背景

ベラルーシの「豚殺しの日」と冬の保存食文化

マチャンカの起源は、ベラルーシの農村に何百年も続いてきた「スヴィナビーイ(свінабой / 豚殺しの日)」の伝統と切り離せません。初冬(11月〜12月)、気温が氷点下に下がった頃に豚を屠畜し、一頭分の肉を一冬の食料として加工・保存する——これがベラルーシの農村の冬支度でした。

豚の各部位はそれぞれの保存法で処理されます。最良の部位はソーセージ(カウバサ)に、脂肪分はラード(サーラ / сала)に、骨付き肉は塩漬けに。そして残った端切れ——骨に残った肉、小さすぎてソーセージに詰められない切れ端、内臓の一部を、サワークリームのグレイビーで煮込んだのがマチャンカの始まりです。

マチャンカは貧しさの料理ではなく、無駄にしない知恵の料理です。一頭の豚から最後の一片まで美味しく食べ尽くすという農村の倫理観が、この料理の根底にあります。こうした「端切れ肉の活用」は東欧全域に見られる食文化で、ポーランドの「ビゴス(狩人のシチュー)」やウクライナの「サーロ(豚脂の塩漬け)」とも共通する発想です。

サワークリーム——スラヴ料理の共通基盤

サワークリーム(スメタナ / сметана)はベラルーシ、ロシア、ウクライナのスラヴ三国で料理の基盤をなす乳製品です。マチャンカのグレイビーに使われるだけでなく、ウクライナのボルシチのトッピング、ロシアのペリメニのソース、モルドバのママリガの付け合わせとして、スラヴ料理のあらゆる場面に登場します。

Oxford Companion to Food(2014年版)のサワークリームの項目によると、東欧における乳酸発酵クリームの利用は少なくとも中世(12〜13世紀)に遡り、冷蔵技術がない時代に乳製品を保存するための自然発酵から生まれたとされています。ベラルーシの農村では、牛乳を放置して自然に酸っぱくなったクリーム(「キスラエ・マラコ / кіслае малако」)をマチャンカに使うのが元来の姿でした。

ドラニキ——ジャガイモがベラルーシのアイデンティティになるまで

マチャンカの相棒であるドラニキ(драники)は、ベラルーシの非公式な国民食です。ベラルーシ人は自国を「ブルバシュ(Бульбаш / ジャガイモ人)」と自称するほどジャガイモを愛しており、一人あたりの年間ジャガイモ消費量は世界トップクラス(FAO統計で約180kg/年)です。

ジャガイモがベラルーシに導入されたのは18世紀後半ですが、わずか数世代でベラルーシの食文化の中核を占めるようになりました。寒冷な土壌でも確実に収穫でき、カロリー効率が高く、保存が効く——これが何世紀も飢饉と戦争に悩まされてきたベラルーシの農民にとって、まさに「救世の作物」でした。

英語圏のスラヴ料理研究者 Anya von Bremzen 氏は著書 Please to the Table: The Russian Cookbook(1990年)で「ベラルーシ人にとってジャガイモは日本人にとっての米に等しい。ドラニキを焼く音と匂いは、ベラルーシ人の食の記憶の根幹だ」と記しています。

ベラルーシの食のアイデンティティ

ベラルーシは歴史的にポーランド、リトアニア、ロシアの影響下にあり、独自の文化的アイデンティティを確立する上で食文化が重要な役割を果たしてきた。マチャンカ、ドラニキ、サーラ(ラード)、マチュージ・シー(キノコのスープ)、コールドニキ(冷製ビーツスープ)などの料理は、ベラルーシの食の伝統を象徴する存在となっている。マチャンカはドラニキとセットで認識されることが多く、この二つの組み合わせが「ベラルーシの冬の食卓」の定番として親しまれている。

ベラルーシの農村の冬景色と伝統的な台所のイメージ
ベラルーシの農村。雪に覆われた木造家屋の中で、ストーブの上の大きな鍋からマチャンカの香りが立ち上る。何世代も受け継がれてきた冬の食の風景

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マチャンカはスラヴの農村料理の入口。周辺国の伝統料理もぜひお試しください。

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よくある質問

サワークリームの代わりに使えるものはありますか?

クレームフレーシュ(crème fraîche)が最も近い代替品です。脂肪分が高く、加熱しても分離しにくいため、むしろサワークリームより使いやすい場合があります。ヨーグルト(プレーン・無糖)でも代用できますが、脂肪分が低いため分離しやすく、酸味もやや強くなります。ヨーグルトを使う場合は、テンパリング(前述)を必ず行い、絶対に沸騰させないでください。生クリームにレモン汁を加えて一晩発酵させた自家製サワークリームでも美味しく作れます。

ドラニキなしでマチャンカだけ食べてもいいですか?

ベラルーシ人に聞けば「それはマチャンカの半分しか食べていない」と言われますが、ライ麦パンの黒パンや茹でたじゃがいも、マッシュポテトで代用しても美味しくいただけます。マチャンカの名前が「浸す」に由来する以上、何かを浸す対象は必要です。そうめんやうどんを浸す「つけ麺」スタイルも、日本的なアレンジとして意外に合います。

一晩寝かせた方が美味しいですか?

はい。マチャンカはギリシャのファソラーダと同じく、翌日が最も美味しい料理です。サワークリームのグレイビーが肉に浸透し、スパイスの風味がまろやかに融合します。温め直す際は弱火でゆっくり温め、サワークリームが分離しないよう沸騰させないでください。ドラニキは温め直すとべちゃっとするので、食べる直前に新しく焼くのがベストです。

ベラルーシ料理はロシア料理と何が違うのですか?

よく混同されますが、ベラルーシ料理にはいくつかの明確な特徴があります。第一にジャガイモの使用頻度が圧倒的に高いこと(ロシアのそば粥文化とは対照的)。第二にサワークリームを「煮込みの中に」使う手法が多いこと(ロシアではトッピングが主流)。第三に自家製ソーセージとラードの文化が中核にあること。マチャンカ、ドラニキ、コールドニキ(冷製ビーツスープ)はベラルーシ固有の料理であり、ロシアやウクライナには同名の料理が存在しないか、作り方が異なります。


栄養成分(4人分のうち1食分)

マチャンカは高たんぱく・高脂質の冬の料理です。ベラルーシの厳寒の中で体温を維持するためのカロリー源として機能してきました。ウクライナのボルシチと合わせれば、スラヴの冬の食卓が完成します。

栄養素 含有量
エネルギー 620kcal
たんぱく質 38g
脂質 42g
炭水化物 22g
食物繊維 2g
ナトリウム 780mg
ビタミンB1 0.8mg
亜鉛 4.5mg

参考文献

以下はスラヴ系フードブロガーによるレシピ情報です。

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行マチャンカの作り方|ベラルーシの豚肉グレイビー煮込み
URL
https://sekaigohan.com/recipes/east-europe/belarus/machanka
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年4月7日
主な参考リンク
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