なぜ今、ジョージア料理が世界で注目されているのか
コーカサス山脈の南麓に位置するジョージア(旧称グルジア)は、人口約370万人の小さな国です。しかしその食文化は、面積や人口からは想像できないほどの深さと独自性を持っています。
2017年、ユネスコはジョージアの伝統的なワイン醸造法「クヴェヴリ製法」を無形文化遺産に登録しました。粘土の大甕(クヴェヴリ)を地中に埋めてワインを発酵・熟成させるこの技法は、8,000年前から途切れることなく続いてきた世界最古のワイン製造方法です。この登録をきっかけに、英語圏ではジョージアへの食の関心が急速に高まりました。
ニューヨーク・タイムズは2018年にジョージアを「その年に行くべき旅行先」に選び、ロンドンではジョージア料理レストランの新規オープンが相次いでいます。TasteAtlasの2025年版「世界のベスト料理」では上位20位圏内に入っています。ハチャプリは「世界で最も美味しいチーズ料理」として繰り返し紹介されています。
それにもかかわらず、日本語で読めるジョージア料理の本格的な情報はまだごく少数です。日本のレシピサイトでは「ハチャプリ」の検索結果がわずかに見つかる程度で、ジョージア料理の全体像を日本語で深く解説した記事はほぼ存在しません。中東料理や南米料理のように、まだ日本で開拓されていない「味の宝庫」がここにあります。
この記事ではジョージア料理の歴史と文化、基本の調味料とスパイスを解説します。自宅で再現できる代表料理10選まで、入門に必要な情報を一本にまとめました。
ジョージア料理の「入門ガイド」として全体像をつかんでいただき、気になった料理の個別レシピページへ進む構成です。各料理の詳しい手順はリンク先で紹介しています。
ジョージア料理には小麦(パン・餃子の皮)、乳製品(チーズ・バター・ヨーグルト)、卵(ハチャプリ)、くるみ(プハリ・サツィヴィ)を多用する料理が含まれます。ナッツアレルギーの方は特にご注意ください。

歴史と食文化 — 8,000年のワインと宴席の伝統
コーカサスの十字路 — 東西文明が出会う場所
ジョージアは黒海とカスピ海の間、コーカサス山脈の南側に位置し、古代から東西の交易路が交差する「文明の十字路」でした。シルクロードの支線が通るこの土地には、ペルシア、トルコ、ロシア、アラブの影響が流れ込みました。それでもジョージア人は文化的独立性を保ち、各地の要素を自国の料理に昇華させてきました。
ジョージアの固有文字(ムヘドルリ文字)は世界に14しかない独自のアルファベット体系の一つです。言語もインド・ヨーロッパ語族に属さない独自の系統(カルトヴェリ語族)に分類されます。この文化的独自性は料理にも如実に表れています。トルコ料理ともロシア料理とも異なる、独自のスパイス使い・チーズ文化・ワイン文化がジョージア料理の真骨頂です。
8,000年のワイン — クヴェヴリに刻まれた人類最古の醸造

2015年、ジョージア東部のガダチリリ・ゴラ遺跡から、紀元前6,000年のブドウ由来の有機酸が付着した土器の破片が発掘されました。この発見により、ジョージアは「ワイン発祥の地」として科学的に実証されています(出典: Proceedings of the National Academy of Sciences, 2017年)。
クヴェヴリ(Qvevri)は容量800-3,500リットルの巨大な粘土の甕で、地面に首の部分まで埋めて使います。ブドウの果汁、皮、種、場合によっては茎まで一緒にクヴェヴリに入れ、蜜蝋で封をして6ヶ月間発酵・熟成させます。この製法で作られるオレンジワイン(アンバーワイン)は、白でも赤でもない独特のカテゴリーです。近年のナチュラルワインブームの先駆けとして世界的に再評価されています。
ジョージアには525品種以上の固有ブドウ品種が登録されており、これは世界のブドウ品種の約3分の1に相当します。サペラヴィ(赤)とルカツィテリ(白)が最もよく知られた品種ですが、家庭ごとに「うちの品種」を大切に育てている農家も少なくありません。
スプラ — 宴席の文化
ジョージア料理を語るうえで欠かせないのが**スプラ(Supra)**の文化です。スプラとはジョージア式の宴席のことで、単なる食事会ではなく、厳格な作法を持つ文化的儀式です。
スプラの中心人物はタマダ(Tamada) と呼ばれる宴の司会者です。タマダは乾杯の音頭をとり、各トーストにテーマを設定します。最初の乾杯は「神への感謝」、2杯目は「祖国への愛」、3杯目は「亡くなった人への追悼」と決まっており、その後も「家族」「友情」「平和」「愛」と続きます。各トーストの間にタマダは即興のスピーチを行い、参加者は「アラヴェルディ(引き継ぎ)」の形でスピーチを受け継いでいきます。
英語圏の文化人類学者は、スプラを「世界で最も構造化された食事儀式の一つ」と評価しています。乾杯のたびにワインをグラス一杯飲み干すため、一晩のスプラで消費されるワインの量は相当なものになります。しかしそれは酩酊が目的ではなく、あくまで精神的な交流と共同体の絆を深めるための行為です。
ジョージアの食卓に招かれたら、タマダの乾杯には必ず応じましょう。ワインが飲めない場合でもグラスに口をつける仕草は忘れずに。スプラでは「テーブルにまだ食べ物があるのにゲストが立ち去るのは失礼」とされるため、十分な時間の余裕を持って参加するのが礼儀です。
押さえておきたい基本の調味料とスパイス
ジョージア料理の味の柱は、くるみ、ハーブ、スパイスの三位一体です。中東料理がオリーブオイルとひよこ豆を基盤とするように、ジョージア料理はくるみとフレッシュハーブが基盤となっています。
フメリ・スネリ — ジョージアの万能スパイスミックス

フメリ・スネリ(Khmeli Suneli) はジョージアのもっとも基本的なスパイスミックスです。コリアンダー、ブルーフェヌグリーク、マリーゴールドの花弁をベースとする黄緑色の粉末です。バジル、セイボリー、パセリ、ディル、ミント、黒こしょうも加わり、ほぼ全てのジョージア料理に使われます。
特徴的なのはブルーフェヌグリーク(ウツホ・スネリ) の存在です。日本で一般に流通するフェヌグリークシード(種)とは異なり、ブルーフェヌグリークは葉と花を乾燥・粉砕したもので、ナッツのような甘い香りと、ほのかな苦みが特徴です。日本ではAmazonや輸入スパイス専門店で購入できます。
| スパイス・調味料 | 日本での入手先 | 用途 |
|---|---|---|
| コリアンダーシード | スーパーのスパイス棚 | 全般 |
| ブルーフェヌグリーク | Amazon、輸入食材店 | フメリ・スネリの核 |
| マリーゴールド花弁 | ハーブ専門店、Amazon | 黄色い色づけ(代用: ターメリック) |
| セイボリー | カルディ、Amazon | ロビオの必須ハーブ |
フメリ・スネリが手に入らない場合、コリアンダーパウダー大さじ1、ガラムマサラ小さじ1、ターメリック小さじ1/2、乾燥バジル小さじ1/2を混ぜると簡易版になります。ブルーフェヌグリークの代わりに通常のフェヌグリークシードを少量加えてもよいでしょう。
くるみ — ジョージア料理の「バター」
ジョージア料理におけるくるみの地位は、フランス料理におけるバター、日本料理における醤油に匹敵します。くるみをすり潰してペーストにし、にんにく、スパイス、酢を加えた「バジェ(Bazhe)」はジョージアの万能ソースで、肉にも魚にも野菜にも合います。
プハリ(くるみペーストと野菜の前菜)、サツィヴィ(くるみソースのチキン煮込み)、バジャーニ(くるみソースのナス巻き)など、くるみを使わないジョージア料理を探すほうが難しいほどです。日本のスーパーで手に入る素焼きくるみで十分に再現できます。
アジカとトケマリ — 2大ソース
アジカ(Adjika) は赤唐辛子、にんにく、くるみ、コリアンダー、フェヌグリークを練り合わせたペースト状の調味料です。辛さと旨みが凝縮されており、肉のグリルやスープの仕上げに少量加えるだけで劇的に味が変わります。
トケマリ(Tkemali) はジョージアの酸味ソースで、未熟なプラム(チェリープラム)を煮詰めて作ります。日本のポン酢のような位置づけで、脂の多い肉料理やジャガイモ料理に爽やかな酸味を添えます。日本では梅ペーストに少量のにんにくとディルを加えることで近い味が出せます。
代表料理10選 — これだけ知れば大丈夫
ジョージア料理は「パン・チーズ系」「肉料理」「野菜・豆料理」「スープ」に大別されます。以下の10品を押さえれば、ジョージアレストランのメニューで迷うことはありません。
1. ハチャプリ — チーズの溢れるジョージアのパン

ハチャプリ(ხაჭაპური / Khachapuri) はジョージアの国民食であり、世界的にもっとも知名度の高いジョージア料理です。パン生地にチーズをたっぷり包んで焼くシンプルな料理ですが、地域によって形状が異なり、代表的なものだけで6つのバリエーションがあります。
最も有名なのは舟形のアジャラ式(Adjarian) で、焼きあがったパンの中央にチーズ、卵黄、バターをのせ、食卓でかき混ぜて食べます。丸型のイメレティ式(Imeretian) は最も家庭的なスタイルで、ピザのように切り分けて食べます。日本の食材で本格再現する方法はハチャプリの完全レシピで詳しく解説しています。
ジョージア統計局はハチャプリの価格指数(Khachapuri Index)を公式に発表しています。ジョージア版の「ビッグマック指数」として経済の指標に使われるほどです。国民食がそのまま物価の指標になるほど、ジョージア人の生活にハチャプリは欠かせません。
2. ヒンカリ — 肉汁あふれるジョージアの大型餃子
ヒンカリ(ხინკალი / Khinkali) はジョージア版の水餃子で、日本の小籠包に匹敵する肉汁を内包した大型の包み料理です。もともとはコーカサス山岳地帯の羊飼いの携帯食として生まれ、合い挽き肉にクミン、コリアンダー、玉ねぎ、大量の水分を加えた具を厚めの皮で包みます。
食べ方にはルールがあります。てっぺんの結び目をつまんで持ち上げ、端に小さな穴を開けて肉汁をすすり、次に本体を食べます。てっぺんの結び目(クチ)は食べません。皿に残った結び目の数で「何個食べたか」を数えるのがジョージアの慣習です。詳しい作り方はヒンカリの完全レシピをご覧ください。
3. ロビオ — ジョージアの豆シチュー

ロビオ(Lobio) は赤インゲン豆をスパイスとハーブで煮込んだシチューで、ジョージアのコンフォートフード(心安らぐ家庭料理)の代表格です。フメリ・スネリ、くるみ、パクチー、にんにくで味付けし、仕上げにザクロの実を散らします。
素朴な見た目に反して味の奥行きは深く、スパイスの温かみとパクチーの爽やかさが絶妙に調和します。日本のスーパーの水煮缶(赤インゲン豆)を使えば30分で完成するため、ジョージア料理の入門として最もおすすめの一品です。
4. サツィヴィ — くるみソースのチキン
サツィヴィ(Satsivi) は、鶏肉をくるみ、にんにく、シナモン、フェヌグリーク、サフランで作った濃厚なソースで煮込んだ冷製料理です。ジョージアのクリスマスと新年に欠かせない祝祭料理で、前日に作って冷蔵庫で冷やし、翌日に食べるのが伝統です。
くるみソースのなめらかさと鶏肉の旨みが溶け合い、シナモンとフェヌグリークの甘い香りが漂います。英語圏のフードライターはサツィヴィを「ジョージアのシチュー界の最高傑作」と表現することがあります。冷たいまま食べるのが本来のスタイルですが、温めても十分においしい料理です。
5. プハリ — くるみペーストの前菜

プハリ(Pkhali) は、茹でた野菜とくるみペーストを合わせた冷たい前菜です。ほうれん草、ビーツ、キャベツ、いんげんなど、季節の野菜ごとにバリエーションがあり、スプラでは3-4種類のプハリが小皿に並びます。
くるみをフードプロセッサーで細かくし、にんにく、コリアンダー、フェヌグリーク、酢を加えてペーストにし、茹でた野菜と和えるだけ。丸く成形してザクロの実を飾れば、見た目も華やかなジョージアの前菜が完成します。日本のほうれん草のごま和えに通じる感覚で作れます。
6. チャホフビリ — トマト煮込みのチキン
チャホフビリ(Chahohbili) は鶏肉とトマトのスパイス煮込みです。もとはキジ(ジョージア語でフフヴィ)を使った猟師料理で、現在は鶏肉が一般的です。玉ねぎとトマトをたっぷり使い、フメリ・スネリとフレッシュハーブで味付けします。
日本人の味覚にもっとも馴染みやすいジョージア料理の一つで、チキンのトマト煮にスパイスを加えた味わいは「初めて食べたのに懐かしい」感覚を覚えるかもしれません。パクチーが苦手な場合はパセリで代替できます。

7. バジャーニ — ナスのくるみ巻き
バジャーニ(Badrijani) は薄切りにして焼いたナスに、くるみペーストを巻いた前菜です。くるみ、にんにく、フェヌグリーク、酢のペーストをナスで巻き、ザクロの実とパクチーを飾ります。スプラの定番前菜で、見た目の華やかさから日本のおもてなし料理にも向いています。
8. ムツヴァディ — ジョージアのシャシュリク
ムツヴァディ(Mtsvadi) はジョージア式のグリル肉で、ロシア語圏では「シャシュリク」として知られています。豚肉、牛肉、羊肉のいずれかをブドウの枝で焼くのが伝統で、ブドウの枝から立ち上る煙が独特の風味を肉に移します。シンプルに塩と玉ねぎだけで味付けする潔さが特徴です。日本ではバーベキューやグリルパンで再現でき、仕上げにトケマリソースをかけると本場の味に近づきます。
9. チュルチヘラ — くるみのキャンディ

チュルチヘラ(Churchkhela) は糸に通したくるみを、小麦粉で増粘したブドウ果汁(タタラ)に何度も浸して乾燥させた伝統菓子です。ロウソクのような外観から「ジョージアンスニッカーズ」とも呼ばれ、収穫の秋に大量に作り、冬の保存食として吊るして乾燥させます。
くるみの香ばしさとブドウの自然な甘みが口の中で溶け合い、砂糖を使わない素朴な味わいが特徴です。ジョージアの市場やワイナリーでは定番のお土産品で、英語圏の旅行者がSNSに投稿する「ジョージア土産No.1」としても知られています。
10. ハルチョ — 牛肉とくるみのスパイシースープ
ハルチョ(Kharcho) は牛肉、くるみ、米、トマト、プラムソース(トケマリ)で作る濃厚なスープです。ジョージアの冬の定番料理で、体を芯から温めるスパイシーな味わいは「コーカサスの薬膳スープ」とも呼ばれます。
酸味(トケマリ)・辛味(アジカ)・コク(くるみ)・旨み(牛肉の出汁)の四重奏が楽しめるこのスープは、ジョージア料理の味の設計思想を凝縮した一品です。
文化と歴史 — ジョージアのワインが世界を変えた
オレンジワインの起源

近年、世界のワイン業界で急速に注目を集めている「オレンジワイン(アンバーワイン)」。白ブドウの果皮を漬け込んだまま発酵させることで琥珀色になるこのワインのルーツは、ジョージアのクヴェヴリ製法にあります。
1990年代、イタリアのフリウリ地方やスロベニアのワインメーカーがジョージアの技法を取り入れ、ヨーロッパに広まりました。2010年代にはニューヨーク、ロンドン、東京のナチュラルワインバーでも定番メニューに加わっています。
ジョージアのワイン文化で特筆すべきは、ワインが「聖なる飲み物」として宗教と不可分な存在であることです。4世紀にキリスト教を国教として採用したジョージアでは、ブドウの十字架が信仰のシンボルとなり、修道院がワイン醸造の中心地となりました。現在もジョージア正教会の典礼にはクヴェヴリで醸されたワインが使われています。
ジョージア料理とロシア・トルコの関係
ジョージア料理はロシア料理に多大な影響を与えています。ロシア人がシャシュリク(グリル肉)、ハルチョ(スープ)、チュルチヘラ(菓子)として知る料理は、もとはジョージア起源です。19世紀のロシア帝国時代に、コーカサスに赴任したロシア人将校や文人がジョージア料理に魅了され、モスクワやサンクトペテルブルクに持ち帰りました。詩人プーシキンやレールモントフのコーカサス紀行にも、ジョージア料理への賛辞が残されています。
一方、南のトルコとの関係も深く、ラヴァシュ(薄焼きパン)、ドルマ(ブドウの葉の包み物)、バクラヴァ(層状の甘い菓子)など、両国に共通する料理も少なくありません。ただし同じ名前でもスパイスの使い方は異なります。ジョージアはくるみとフレッシュハーブを多用し、トルコはオリーブオイルとトマトを基盤とする傾向があります。
日本の食材でジョージア料理を作るために
必要な基本食材と入手先
ジョージア料理のハードルは、エチオピア料理に比べると低めです。主要な食材のほとんどが日本のスーパーで手に入り、調味料も汎用性の高いものが中心です。
スーパーで買えるもの: くるみ(素焼き)、にんにく、玉ねぎ、トマト缶、パクチー、赤インゲン豆(水煮缶)、鶏もも肉、牛すね肉、強力粉、モッツァレラ+フェタ(チーズ代用)、バター、卵、赤ワインビネガー
カルディ・成城石井で買えるもの: コリアンダーシード、フェヌグリークシード、セイボリー、パプリカパウダー
代用できるもの:
| ジョージア食材 | 日本での代替 | 代用の注意点 |
|---|---|---|
| スルグニチーズ | モッツァレラ7:フェタ3 | 塩味とのびの両立。さけるチーズでも可 |
| トケマリソース | 梅ペースト+にんにく+ディル | 酸味の質は異なるが役割は同じ |
| ブルーフェヌグリーク | 通常のフェヌグリーク(少量) | 香りが強いので控えめに |
| アジカ | 豆板醤+にんにく+コリアンダー | 辛味の質は異なるが代用可 |

調理のコツ — 3つの鉄則
鉄則1: くるみは徹底的に潰す くるみペーストはジョージア料理の基本です。すり鉢やフードプロセッサーを使い、なめらかなペースト状になるまで十分に潰します。ビニール袋に入れて麺棒で叩く方法もあります。粒が粗いとソースの舌触りが悪くなり、味のまとまりが落ちます。
鉄則2: パクチーは惜しまず使う ジョージア料理ではパクチー(コリアンダーの葉)を大量に使います。日本人が大葉を使う感覚で、仕上げに山盛りのパクチーをのせるのが現地の食べ方です(出典: Goldstein, "The Georgian Feast")。パクチーが苦手な場合はイタリアンパセリで代替できますが、風味はかなり変わります。
鉄則3: ザクロを飾りに使う プハリ、バジャーニ、ロビオの仕上げにはザクロの実を散らします。酸味と甘みのアクセント、そしてルビー色の見た目が料理を一段格上げします。日本では秋冬にスーパーでザクロが手に入ります。季節外れの場合は冷凍ザクロ(Amazonで購入可)で代用できます。
よくある質問
Q: ジョージア料理は辛いですか? A: 基本的に辛くありません。アジカ(チリペースト)を使う料理もありますが、ジョージア料理のベースはくるみの甘みとハーブの爽やかさです。中東料理やエチオピア料理と比べると、ずっとマイルドで日本人の口に合いやすい味わいです。
Q: ハチャプリのチーズは何で代用できますか? A: ジョージアではスルグニチーズ(塩味の強いモッツァレラに近い)とイメレティチーズ(フレッシュタイプ)を使います。日本ではモッツァレラとフェタを7:3で混ぜるのが最も近い代用法です。さけるチーズを裂いて使うレシピも英語圏で人気です。詳しくはハチャプリの完全レシピで解説しています。
Q: ジョージアワインは日本で買えますか? A: 増えてきています。カルディや大手ワインショップでサペラヴィ(赤)やルカツィテリ(白)が2,000-3,000円台で見つかります。オレンジワイン(アンバーワイン)はナチュラルワイン専門店やオンラインショップで購入できます。
Q: ヒンカリのひだは何個が正解ですか? A: 伝統的には最低19ひだとされますが、家庭料理では形が崩れなければ問題ありません。ひだの数より、皮を隙間なく閉じて肉汁を逃がさないことが重要です。詳しくはヒンカリの完全レシピで解説しています。
Q: くるみアレルギーがあります。代替はありますか? A: カシューナッツや松の実で代替できますが、味はかなり変わります。くるみを使わないジョージア料理としては、ハチャプリ、ヒンカリ、チャホフビリ、ムツヴァディがあります。これらだけでもジョージア料理の醍醐味は十分に味わえます。
東京では赤坂の「Saperavi(サペラヴィ)」、下北沢の「GEORGIA」などでジョージア料理が楽しめます。大阪では「ジョージアンキッチン」が知られています。現地の味を体験してから自宅で再現するのがおすすめです。
まとめ — ジョージア料理を始めよう
ジョージア料理は、8,000年のワイン文化、くるみとハーブの重層的な味わい、そしてスプラの宴席に象徴される「食を通じた人との絆」が一体となった食文化です。

世界ごはんでは、ジョージア料理のほかにも各地域の代表料理を紹介しています。中東料理まとめではフムスやシャクシュカなど10選を、南米料理まとめではセビーチェやエンパナーダを紹介しています。同じ東欧からはボルシチ(ウクライナのビーツ煮込み)も収録しています。アフリカ料理に興味がある方はエチオピア料理まとめもぜひお読みください。
参考文献
この記事は以下の英語圏の書籍・学術論文・専門サイトを主要な情報源としています。日本語で入手しにくいジョージア料理の情報を、原典にあたって確認しました。
書籍・学術論文:
- Goldstein, Darra. "The Georgian Feast: The Vibrant Culture and Savory Food of the Republic of Georgia." University of California Press, 2013年
- McGovern, Patrick E. et al. "Early Neolithic wine of Georgia in the South Caucasus." Proceedings of the National Academy of Sciences (https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1714728114) 2017年参照
Webソース:
- TasteAtlas. "Georgian Cuisine: Best Dishes and Restaurants" (https://www.tasteatlas.com/georgia) 2025年参照
- UNESCO. "Ancient Georgian traditional Qvevri wine-making method" (https://ich.unesco.org/en/RL/ancient-georgian-traditional-qvevri-wine-making-method-00870) 2024年参照
- Serious Eats. "An Introduction to Georgian Food" (https://www.seriouseats.com/introduction-to-georgian-food) 2024年参照



