アルバニアの国民食フェルケセ。焼きパプリカとトマト、溶けた白チーズが土鍋の中で黄金色に焼き上がった一皿
🔪下準備30分
🔥調理35分
🍽️分量4
🌍料理アルバニア料理
東欧・コーカサスレシピ

フェルケセの作り方|アルバニアの焼きパプリカチーズ

32分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: パプリカを黒く焼く
STEP 11 / 6

パプリカを黒く焼く

所要時間15分

赤パプリカ4個を丸ごとガスコンロの直火にのせ、中火から強めの中火で焼きます。トングで90度ずつ回し、全面の皮が黒くふくらみ、果肉が少ししんなりするまで焼いてください。怖くなって赤い皮を残すと、あとで皮が口に残ります。ガス火がない場合は、オーブンのグリル機能250℃で15〜20分、または魚焼きグリルの強火で12〜15分を目安にします。

皮は「一部が黒い」ではなく、面ごとにしっかり黒くします。黒い皮はあとでむくので苦くなりません。焼き足りない面だけが硬く残るため、持ち上げた時に全体が少し沈むくらいまで火を入れます。

手順2: 蒸らして皮をむく
STEP 22 / 6

蒸らして皮をむく

所要時間10分

焼いたパプリカをボウルに入れ、ラップまたは皿でふたをして10分置きます。余熱で皮が浮き、指で軽くこするとするりとむけ、果肉が柔らかくしなっている状態が目安です。皮をむいたらヘタと種を取り、果肉を2〜3cm幅の一口大に切ります。水で洗うと香りと甘みが流れるため、焦げた皮はキッチンペーパーで拭き取る程度にします。

手順3: トマトを煮詰める
STEP 33 / 6

トマトを煮詰める

所要時間10分

フライパンにオリーブオイル大さじ3とにんにくを入れ、中火で1分ほど温めます。にんにくの香りが立ち、縁が薄く色づいたら、ざく切りのトマトを加えます。中火のまま5分煮詰め、木べらでなぞると底が一瞬見える程度まで水分を飛ばします。パプリカ、甘口パプリカパウダー、アイバルを加え、さらに3〜4分炒めて、赤いソースが野菜に絡む状態にします。フライパンを傾けて赤い汁が大さじ2以上たまるなら、まだ焼き皿へ移さず、追加で1〜2分煮詰めます。

手順4: チーズと卵をなじませる
STEP 44 / 6

チーズと卵をなじませる

所要時間5分

火を弱火に落とし、小麦粉大さじ1を全体にふり入れて30秒混ぜます。白い粉が見えなくなったら、ほぐした白チーズを加え、塊がところどころ残る程度に混ぜます。溶き卵2個を回し入れ、弱火で1〜2分だけ混ぜ、卵が半熟に固まり始めたところで火を止めます。ここで強火にすると卵が細かく固まり、なめらかな焼き上がりになりません。フェタを多めにした時は、この段階で一口だけ味見し、塩を足す前にチーズの塩気を確認します。

手順5: 浅い器で焼き上げる
STEP 55 / 6

浅い器で焼き上げる

所要時間15分

耐熱の土鍋または20cm前後の浅いグラタン皿に移し、厚み2〜3cmになるよう平らにならします。200℃に予熱したオーブンで15分焼き、表面に黄金色の焼き色がつき、縁のチーズが小さな泡でふつふつしたら完成です。中央を軽く揺らして水っぽい汁が出る場合は、追加で3分焼いてください。トースターなら1200Wで10〜12分、オーブンがない場合はフライパンにふたをして弱火で10分加熱します。

手順6: 熱いうちにパンを添える
STEP 66 / 6

熱いうちにパンを添える

所要時間2分

焼き上がったら1〜2分置き、泡が落ち着いて表面が少し締まったところで食卓へ出します。スプーンで8cm角ほどをすくい、チーズの塊とパプリカが均等に入るよう中央を少し高く盛ります。仕上げにパセリを散らし、必要ならオリーブオイル小さじ1を回しかけます。アルバニアではブケ(bukë)と呼ばれる田舎パンと食べることが多く、日本ならバゲットやカンパーニュがよく合います。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
10品目

メインの材料

材料 分量 代替・備考
赤パプリカ 4個(大きめ、約600g) 焼いて皮をむく。黄・オレンジでも作れるが、赤がいちばん甘みが出る
トマト 3個(完熟、約450g) ダイストマト缶200gでも代用可。缶詰は酸味が強いので中火でしっかり煮詰める
白チーズ 200g 本場のジゼの代用。フェタ100g+カッテージチーズ100gが扱いやすい
2個 つなぎ兼仕上げ用。室温に戻すと分離しにくい
にんにく 3片(みじん切り) 香りの土台。焦がすと苦みが出る
オリーブオイル 大さじ3 バターを小さじ2足すと南部風の乳の香りに寄る
小麦粉 大さじ1 水分を抱かせるため。米粉大さじ1でも代用可
チーズの選び方

本場でよく使われるジゼ(gjizë)は、リコッタやカッテージチーズに近い、酸味のある白いチーズです。日本ではフェタだけで作ると塩気が強く、カッテージチーズだけでは味が軽くなります。初回はフェタ100g、カッテージチーズ100g、粉チーズ大さじ1の組み合わせが安定します。フェタを使う場合は、キッチンペーパーで表面の水分を押さえてからほぐしてください。

目指す味 チーズ配合 塩の入れ方 向く食べ方
現地の白チーズ感に寄せる フェタ100g+カッテージチーズ100g+粉チーズ大さじ1 塩は小さじ2/3から。焼く前に味見して足す パンですくる前菜、白ワイン
塩気を弱くして家族向け カッテージチーズ150g+粉チーズ大さじ2+無糖ヨーグルト大さじ1 塩小さじ1/2から 昼食、子ども向け、朝食
濃厚にして主菜寄り フェタ120g+リコッタ80g+バター小さじ2 塩は最後にひとつまみ単位 焼き肉、豆料理の付け合わせ

フェタを多くすると一口目は本場っぽく感じますが、パンで何度もすくると塩気が積み上がります。反対にカッテージチーズだけだと、水分は受け止めやすいものの、焼いた時の香りが弱くなります。粉チーズは本場の材料ではありませんが、日本の台所で酸味と塩気の輪郭を補うための少量の調整役として使います。

アレルギー情報

このレシピには乳、卵、小麦が含まれます。乳アレルギーの方はチーズなしでパプリカとトマトの煮込みとして、卵アレルギーの方は卵を省き、チーズと小麦粉のとろみだけで仕上げてください。小麦粉は米粉で置き換えられます。

フェルケセの主要食材。赤パプリカ、トマト、白チーズ、卵、にんにく、オリーブオイルが並ぶ
食材一覧。赤パプリカの鮮やかな赤が主役
7品目

調味料

材料 分量 備考
小さじ2/3 フェタの塩気で変わるため、最後に調整する
黒こしょう 小さじ1/2 焼いたパプリカの甘みに輪郭を出す
甘口パプリカパウダー 小さじ1 色と香りの補強。直火焼きが弱い時ほど効く
スモークパプリカ 小さじ1/4 任意。入れすぎると燻製香が前に出る
アイバル 小さじ2 任意。焼きパプリカの甘みを補う赤パプリカペースト
オレガノ(乾燥) 小さじ1/2 バルカン料理に合う乾燥ハーブ
パセリ 8g(みじん切り) 仕上げ用

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
80
kcal
4.0g
タンパク質
5.5g
脂質
3.5g
炭水化物
0.8g
食物繊維
155mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

パプリカを焦がした香りで始まるアルバニアの台所

赤パプリカを直火にのせると、最初は甘い野菜の匂い、少し遅れて皮が焦げる香りが立ちます。そこで怖くなって早く火から外すと、フェルケセは水っぽいチーズ焼きで終わります。皮を黒く焼き、トマトの水分を中火で詰め、白チーズの塩気を卵でやわらげる。フェルケセ(Fërgesë)は、材料よりも水分と塩味の扱いで味が決まるアルバニア中部の家庭料理です。

アルバニア語では、パプリカ版を「Fërgesë e Tiranës me piperka」と呼ぶことがあります。首都ティラナの名前が入る通り、ティラナ周辺でよく知られるスタイルです。一方で、南部ジロカストラにはパプリカを使わず、ジゼ(gjizë)、玉ねぎ、トマト、オリーブオイルでゆっくり焼く白いフェルケセもあります。肉やレバーを入れるフェルケセもあり、ひとつの正解だけで語りにくい料理です。

この記事では、日本の台所で作りやすいティラナ風のパプリカ版を軸にします。本場のジゼは日本でほぼ手に入らないため、フェタ、カッテージチーズ、粉チーズをどう組み合わせるかが最初の分かれ道です。さらに、直火で焼けない家でも香りを補えるよう、アイバルやスモークパプリカの使い方も添えました。ボスニアのブレク北マケドニアのタブチェグラブチェが好きなら、同じバルカンの食卓としてかなり自然につながります。アルバニアの主菜まで広げるなら、ラムとヨーグルトを浅い皿で焼くタヴェ・コシも同じ食卓に置きやすい一皿です。

買い出しで迷ったら、先に「塩気」「焦げ香」「器の浅さ」の3つを決めてください。白チーズはスーパーで買えるものに寄せてよく、通販で無理に普通の乳製品を買う必要はありません。通販で見る価値があるのは、焼きパプリカの甘みを足すアイバル、直火なしの台所で香りを補うスモークパプリカ、そして表面を広く焼ける浅い耐熱皿です。ここを押さえると、材料は素朴でも「ただのチーズグラタン」から抜け出せます。

フェルケセとは

アルバニア中部を中心に親しまれる焼き料理。焼いたパプリカ、トマト、白チーズ、卵を合わせ、オーブンや土鍋で表面が黄金色になるまで焼く。ジゼ(gjizë)という酸味のある白チーズを使う地域が多いが、家庭や地方によって肉入り、レバー入り、パプリカなしの白いタイプもある。


買い出しで迷うもの

フェルケセは身近な材料で作れますが、本場らしさを左右するのは「焼きパプリカの香り」と「浅く焼ける器」です。白チーズや卵はスーパーで買い、通販で探すなら香りを補う食材と耐熱皿に絞るのが無駄がありません。

買う場所 買うもの 買わなくてよいもの 判断の理由
普通のスーパー 赤パプリカ、トマト、卵、にんにく、カッテージチーズ、フェタ 牛乳、生クリーム、普通の溶けるチーズ フェルケセは伸びるチーズ料理ではなく、白チーズが野菜を抱く料理
カルディ・輸入食材店 パプリカパウダー、オレガノ、バゲット 高価な万能スパイスミックス 味の軸はスパイス量より焼きパプリカと水分管理
通販 アイバル、スモークパプリカ、浅い耐熱皿 普通の乳製品、生鮮パプリカ 近所で買いにくく、料理の出来を左右するものだけに絞る

チーズを通販で探し始めると、フェタ、リコッタ、ハルーミ、カッテージチーズが並んで迷います。フェルケセでは、そこに時間を使いすぎるより、パプリカを黒く焼く準備と浅い器の確保に力を入れた方が味が安定します。普通の乳製品は商品カード化せず、材料表と買い出し説明に留めます。

直火でパプリカを焼けない家では、アイバルを少し足すと赤パプリカの甘みと香ばしさを補えます。味が濃いので、初回は小さじ2までにしてください。瓶を買って余った分は、パンに薄く塗ったり、チェヴァピの付け合わせにしたりすると使い切りやすいです。

掲載商品は、価格・在庫・レビュー傾向・入手しやすさを確認して選定しています。
アイバル(バルカンの赤パプリカペースト)370g
アイバル(バルカンの赤パプリカペースト)370g
リサーチ日時:2026-06-06

スモークパプリカは本場の必須材料ではなく、香りを補う保険です。魚焼きグリルやオーブンだけでパプリカの焦げ香が弱い時に、小さじ1/4だけ使います。入れすぎるとアルバニアの家庭料理というより燻製風のディップに寄るため、香りを「足す」程度で止めます。

スモークパプリカパウダー 100g
スモークパプリカパウダー 100g
リサーチ日時:2026-06-06

深い鍋で焼くと、中央に水分が残りやすくなります。20cm前後の浅い耐熱皿なら、表面に焼き色がつきやすく、パンですくいやすい厚みにまとまります。家に深いグラタン皿しかない場合は、量を半分にして薄く広げるか、ステップ3でソースをいつもより2分長く煮詰めてから焼いてください。

耐熱角型グラタン皿 20cm
耐熱角型グラタン皿 20cm
リサーチ日時:2026-06-06

フェルケセの食べ方

フェルケセは、前菜にも軽い主菜にもなります。小皿に少量を盛ればパンにつける温かいディップのように、耐熱皿のまま出せば休日の昼ごはんの中心になります。パンをちぎって、焦げ目のついた表面と柔らかい中心を一緒にすくうと、パプリカの甘み、トマトの酸味、チーズの塩気が一口でまとまります。レバノンのフムスをパンですくう感覚に近いですが、フェルケセは焼いた乳製品の温かさが主役です。

飲み物は、現地ならラキ(raki)というぶどう蒸留酒がよく出ます。アルコールを合わせるなら、酸のある白ワインが扱いやすいです。食事として出す場合は、きゅうりとトマトのサラダ、焼いた肉、豆の煮込みを添えると、バルカンの食卓らしい満足感になります。チーズの塩気が強い日は、ヨーグルトを水でのばしたドヒ(dhallë)のような飲み物や、無糖ヨーグルトを添えると口が軽くなります。

食卓では、熱々を大皿から取り分けるより、少しだけ落ち着かせてから出す方が食べやすいです。焼きたて直後はチーズと油が動き、パンにのせると流れます。1〜2分置くと表面が締まり、焦げ目の香りを残したまますくいやすくなります。翌日に残った分は、温め直してパンにのせるほか、オムレツの具、ゆでたじゃがいもの上、焼いた鶏肉の付け合わせにも回せます。


歴史と地域差

アルバニアの伝統的な食文化。ティラナのカフェと街並み
ティラナの旧市街。オスマン帝国時代の建築とカフェ文化が今も息づく

ティラナ風とジロカストラ風

フェルケセは、ひとつの固定レシピというより、白チーズを軸にした焼き料理の家系です。アルバニア政府観光サイトの英語版では肉、ヨーグルト、卵、バター、赤ピーマン、にんにくを使うフェルケセを紹介し、アルバニア語版ではジロカストラ風として、ジゼ、オリーブオイル、玉ねぎ、トマト、バターを使うパプリカなしのタイプを紹介しています。つまり、同じ名前でも地域でかなり姿が変わります。

この記事のようなパプリカ版は、現地系レシピサイトでも「Fërgesë e Tiranës me piperka」として紹介されることが多く、パプリカ、トマト、白チーズを浅い土鍋で焼くのが特徴です。レバー入りの「Fërgesë me mëlçi」は、より濃厚で主菜寄り。南部や山の料理というより、街の食堂で温かい一皿として出てくる雰囲気があります。

バルカン半島の料理は、国境できれいに切れません。焼いたパプリカ、白チーズ、パン、ヨーグルト、豆、羊や牛の乳製品は、アルバニアだけでなく周辺地域にも広く見られます。その中でフェルケセがアルバニアらしく見えるのは、濃いソースで覆うより、白チーズと焼き野菜を土鍋の熱でまとめる素朴さです。日本で再現する時も、派手なスパイスを足すより、焼きパプリカの甘みとチーズの塩気の境目を丁寧に作る方が近づきます。

スタイル 特徴 作る時の注意
ティラナ風パプリカ版 焼きパプリカ、トマト、白チーズ、卵を焼く パプリカの皮を黒く焼き、トマトの水分を残しすぎない
肉・レバー入り レバーや肉を加え、土鍋で焼く レバーは先に中火で色が変わるまで炒め、臭みを飛ばす
ジロカストラ風 ジゼ、玉ねぎ、トマト、オリーブオイル中心でより白くクリーミー パプリカを入れないため、チーズの酸味と玉ねぎの甘みが主役

日本の台所で守るところ

日本で作る時に守りたいのは、ジゼそのものではなく、酸味のある白チーズが野菜の水分を受け止める構造です。フェタだけで作ると塩が強く、リコッタだけではぼやけます。だからフェタとカッテージチーズを半量ずつにし、足りないコクを粉チーズで補うと、近い輪郭になります。

もうひとつは、浅い器で焼くことです。フェルケセはグラタンのようにたっぷりソースを抱える料理ではありません。パンですくった時に、チーズの塊、パプリカ、トマトの濃いソースが一緒にのるくらいの濃度がちょうどよいです。中央に水がたまった場合は失敗ではなく、焼き時間か煮詰めが少し足りないサインです。


失敗しやすいところ

水っぽくなる

原因は、トマトと焼きパプリカの水分が残りすぎていることです。ステップ3で木べらを引いた時に、底が一瞬見えるまで中火で煮詰めます。ダイストマト缶を使う場合は、缶汁を全部入れず、まず果肉中心で加えてください。焼く前の状態で汁がさらさら流れるなら、オーブンに入れる前にフライパンで2〜3分戻して煮詰めます。

しょっぱくなる

フェタの塩気が原因です。フェタを使う場合は、塩を最初から小さじ1入れず、小さじ2/3に抑えて最後に調整します。しょっぱくなった時は、カッテージチーズを50g足すか、無糖ヨーグルト大さじ2を混ぜてから焼き直すと角が丸くなります。

卵がぼそぼそになる

卵を入れてから強火で混ぜると、細かい炒り卵のように固まります。弱火に落としてから卵を入れ、半熟にまとまったらすぐ火を止めます。オーブンで15分焼く間にも火が入るので、フライパン上で完全に固める必要はありません。

焦げ香が弱い

魚焼きグリルやオーブンだけで焼いた場合、見た目は赤く柔らかくなっても、直火の香りが出にくいことがあります。皮面を上にして250℃で焼き、最後の3分だけ強い上火に寄せると香りが出ます。それでも弱い時は、アイバル小さじ2とスモークパプリカ小さじ1/4をステップ3で加えます。スモークパプリカを小さじ1まで増やすと香りが料理全体を覆うので、増やすならアイバルの方を優先します。

起きた状態 すぐできる戻し方 次回の予防
焼き皿の中央に汁がたまる フライパンへ戻し、中火で2分煮詰めてから再度焼く トマト缶の汁を最初から全部入れない
塩気が強い カッテージチーズ50gか無糖ヨーグルト大さじ2を混ぜて焼き直す フェタ使用時は塩を最後に足す
卵が固い 熱いうちにオリーブオイル小さじ1を混ぜ、パンにのせる 卵投入後は弱火で1〜2分だけ
香りが平たい アイバル小さじ1を追加して温め直す パプリカの皮を面ごとに黒く焼く

アレンジとバリエーション

レバー入りフェルケセ

鶏レバー100gを5mm角に刻み、塩少々と黒こしょうを振ります。ステップ3でにんにくを炒めた後、トマトの前に加え、中火で3分炒めて表面の色を変えます。赤い肉汁が出なくなったらトマトとパプリカを加えて通常通り進めます。レバーの鉄分の香りが出るため、オレガノを小さじ1に増やすとまとまりやすいです。

なす入りフェルケセ

パプリカ2個をなす2本に置き換えます。なすは1cm厚の輪切りにし、オリーブオイル大さじ1で両面に焼き色をつけてから加えます。トマトソースを吸って、ギリシャのムサカに近い満足感になります。なすは水分を吸うので、塩は最後に調整してください。

チーズを軽くする

フェタの塩気が苦手な場合は、白チーズ200gをカッテージチーズ150g、粉チーズ大さじ2、無糖ヨーグルト大さじ1に置き換えます。焼き色は弱くなりますが、朝食にも食べやすい軽さになります。焼く前に味見して、物足りなければ塩ひとつまみを足します。

前日の仕込みにする

パプリカを焼いて皮をむくところまで前日に済ませると、当日の作業がかなり軽くなります。皮をむいた果肉は2〜3cm幅に切り、オリーブオイル小さじ1を絡めて冷蔵します。翌日はトマトを煮詰めるところから始めればよいので、夕飯でも作りやすくなります。焼いたパプリカから水分が出た場合は、その汁を全部入れず、香りの強い大さじ1ほどだけソースに戻します。


フェルケセに合う副菜

フェルケセは乳製品とオイルがある料理なので、皿の外側は酸味や生野菜で軽くすると食べ進めやすくなります。

  • ブケ(bukë): アルバニアの田舎パン。日本ではバゲット、カンパーニュ、軽く焼いた食パンで代用できます。
  • サラタ・ショプスケ: トマト、きゅうり、白チーズのサラダ。チーズを使いすぎる場合は、フェルケセ側のチーズを少し減らします。
  • 焼きパプリカのマリネ: 皮をむいたパプリカを酢、オリーブオイル、にんにくで和える副菜。フェルケセ用に焼いたパプリカを1個分だけ取り分けると作れます。
  • ドヒ(dhallë): ヨーグルトを水でのばした飲み物。日本なら無糖ヨーグルト100g、水100ml、塩ひとつまみで近い雰囲気になります。

同じ東欧・バルカンの食卓に寄せるなら、ピティシャシリクビゴスのような肉や豆の料理につなげると、焼きチーズの皿だけで終わらない献立になります。

フェルケセだけを主役にする日は、パンと生野菜を多めにします。肉料理の横に置く日は、チーズを軽めの配合にし、塩を控えると食卓全体が重くなりません。もしグルジア風シャシリクのような肉串を焼くなら、フェルケセは温かいソース兼副菜として少量ずつ出すと相性がよいです。


よくある質問

Q1. フェタチーズ以外で代用できますか?

できます。いちばん使いやすいのは、カッテージチーズ150gに粉チーズ大さじ2を混ぜる方法です。リコッタチーズも近い食感ですが、味が軽いので塩ひとつまみと粉チーズを足すとまとまります。クリームチーズは脂肪分が強く、パプリカの香りを覆いやすいので主役には向きません。

Q2. パプリカを直火で焼けない場合は?

オーブンのグリル機能250℃で15〜20分、または魚焼きグリルの強火で12〜15分焼きます。半分に切って皮面を上にし、皮が黒くふくらむまで加熱してください。焦げ香が弱い場合は、アイバル小さじ2かスモークパプリカ小さじ1/4で補えます。

Q3. 作り置きできますか?

冷蔵で3日以内が目安です。粗熱を取ってから密閉容器に入れ、再加熱は電子レンジ600Wで2分、または180℃のオーブンで10分。冷凍も1か月ほど可能ですが、解凍時にチーズから水分が出やすくなります。再加熱前に表面の水分を軽く拭き、オーブンで温めると戻りやすいです。

Q4. 子どもにも食べさせられますか?

辛い料理ではないので、塩分を調整すれば食べやすいです。子ども向けにはスモークパプリカを省き、フェタを減らしてカッテージチーズを増やします。2歳以上ならパプリカを1cm角ほどに刻み、パンにのせやすい濃度にすると食べやすくなります。

Q5. オーブンなしでも作れますか?

作れます。ステップ4まで進めたら、フライパンの中で厚み2〜3cmに広げ、ふたをして弱火で10分加熱します。表面の焼き色は弱くなりますが、縁がふつふつして中央が固まれば食べられます。仕上げにトースターで3分だけ焼くと、表面の香ばしさが足せます。

Q6. アイバルなしでも作れますか?

作れます。直火でパプリカをしっかり黒く焼けるなら、アイバルは省いて構いません。オーブンや魚焼きグリルだけで香りが弱い時は、甘口パプリカパウダーを小さじ1から小さじ1と1/2に増やし、スモークパプリカ小さじ1/4を加えます。アイバルは必須材料ではなく、直火なしの台所で焼きパプリカの甘みを補うための保険です。


まとめ

フェルケセは、赤パプリカ、トマト、白チーズ、卵という素朴な材料で作れるのに、火入れの差がはっきり出る料理です。皮を黒く焼く、水分を中火で詰める、卵を弱火で止める、浅い器で表面を焼く。この4つを守るだけで、日本のスーパーの材料でもアルバニアの食堂に近い温かさが出ます。買い足すなら、普通の乳製品ではなく、アイバル、スモークパプリカ、浅い耐熱皿のように出来上がりを直接変えるものから選ぶと無駄がありません。

週末の昼に耐熱皿のまま食卓へ出し、パンですくいながら食べると、この料理の良さが分かりやすいです。バルカン料理の入り口としては、揚げ物や肉料理より軽く、野菜の甘みが前に出ます。次に作るなら、同じ白チーズ文化につながるボスニアのブレクや、豆を土鍋で焼くタブチェグラブチェへ進むと、東欧の台所が少し立体的に見えてきます。


主な参考リンク

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