黄色い油の香りが、もち米に入る朝
もち米を水から上げると、指の間で粒がきゅっと重くなっています。そこへ、玉ねぎをゆっくり揚げた油を回す。ターメリックを入れた瞬間、台所の色がぱっと黄色く変わります。カレー粉のように香りを前へ出すのではなく、油と米の間に薄く色を差す感じです。
シータミン(Hsi htamin / ဆီထမင်း)は、ミャンマーで食べられる黄色い油飯です。英語圏の資料では Burmese oiled rice と説明され、もち米、油、玉ねぎ、ターメリックを使う朝食や軽食の米料理として紹介されています。皿には揚げ玉ねぎ、ごま、豆、干し魚が添えられることがあり、甘い菓子ではなく、香ばしい主食寄りの一皿です。

日本で作るときに難しいのは、材料そのものよりも「油を入れすぎないこと」です。もち米は油を抱き込みやすく、勢いで大さじを重ねると、黄色いご飯ではなく油の重い塊になります。この記事では、玉ねぎ油を作ってから一部を米へ回し、残りは仕上げに調整する方法にします。
モヒンガーが朝の汁麺、タミンジョーが残りご飯を起こす炒飯なら、シータミンはもち米を主役にした朝食です。ラペットゥの苦味を小皿に置くと、米、油、茶葉、豆のつながりが見えます。
Hsi htamin は si htamin とも綴られます。日本語では「シータミン」と表記しますが、英語検索では Hsi htamin、Burmese oiled rice、Myanmar sticky rice with turmeric も合わせて見ると資料に当たりやすくなります。
炒飯ではなく、油で蒸すもち米
シータミンは、フライパンで米を炒めて作るタミンジョーとは違います。浸水したもち米に色と油をまとわせ、蒸気で火を通します。米粒はぱらぱらではなく、つやがあり、粒同士が寄り添う程度にまとまります。

| 守るところ | 現地らしい考え方 | 日本の台所での落とし方 |
|---|---|---|
| もち米 | うるち米ではなく、粘りのある米を使う | タイ産もち米か国産もち米を4時間以上浸水する |
| 油 | 米に油の香りをまとわせる | 玉ねぎを揚げた油を使い、全量を一度に入れない |
| 黄色 | ターメリックで淡く色づける | 小さじ1弱から始め、苦味が出るほど入れない |
| 具 | 米の中に具を増やしすぎない | 豆や干し魚は添え物にして、米の食感を残す |
| 仕上げ | ごまと揚げ玉ねぎで香ばしさを足す | 市販フライドオニオンか自作玉ねぎを最後に重ねる |
似た名前で混同しやすい料理に、Pe htaw bhut htamin があります。これは英語で butter rice と説明される別の米料理で、長粒米、バター、スパイス、レンズ豆などを使う祝宴寄りの料理です。シータミンはもち米と油が主役なので、同じ黄色い米でも目指す食感が違います。
買い出しは、もち米と香りを優先する

近所のスーパーで買うものは、玉ねぎ、油、きゅうり、レモンです。商品カードで見る価値があるのは、もち米、ターメリック、フライドオニオンです。米と色と仕上げの香りが決まると、シータミンはかなり近づきます。油、玉ねぎ、普通のごまは手元のもので十分です。
もち米は国産もち米でも作れますが、東南アジア料理の軽さに寄せるならタイ産もち米が扱いやすいです。粒が細長く、蒸したときに重くなりすぎません。
ターメリックは小さじ1でも、米全体の印象を変えます。カレー粉で代用するとクミンや唐辛子の香りが混ざり、ミャンマーの油飯よりカレー風味のもち米に寄るため、単体のターメリックを使います。
フライドオニオンは自作できますが、初回は市販品を使うと油の量を読みやすくなります。シータミン以外にも、ナシウドゥックやブブールアヤムの仕上げに回せます。
日本の台所で寄せる分岐

シータミンは材料が少ないぶん、どこを代替するかで印象が大きく変わります。最初の一回は、米、油、ターメリックを守り、添え物で調整するのが安全です。
| 迷うところ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 国産もち米でよいか | よい | ただし重くなりやすいので油を大さじ1減らす |
| 炊飯器で作れるか | 作れるが蒸し器優先 | 炊飯器は底がべたつきやすく、油の調整が難しい |
| バターで作れるか | 別料理に寄る | butter rice 系の香りになり、シータミンの軽い油感から離れる |
| カレー粉で代用できるか | 初回は避ける | クミンや唐辛子が入り、ターメリック油の料理ではなくなる |
| 干し魚は必須か | 必須ではない | 豆、ごま、揚げ玉ねぎだけでも食べられる |
| バナナリーフは必要か | 雰囲気づけ | なくても味は成立する。器に油が残りにくい程度の役割 |
炊飯器で作る場合は、浸水後のもち米450gを内釜に入れ、水を白米3合の目盛りより3mm下まで注ぎ、ターメリック油大さじ3と塩を混ぜて炊きます。炊き上がり後に5分蒸らし、残りの油は入れず、揚げ玉ねぎで香りを足します。蒸し器より柔らかくなりやすいので、水を入れすぎないことが大事です。
失敗原因と戻し方

シータミンの失敗は、米の硬さより油の量で起きます。油を足すのは簡単ですが、抜くのは難しいため、大さじ3から始めて最後に足します。
| 状態 | 原因 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 油が底に残る | ターメリック油を入れすぎた | 新しく蒸したもち米または温かいご飯150gを混ぜて薄める |
| 米が硬い | 浸水不足、蒸気不足 | 霧吹きで水大さじ2を振り、蒸し器で中火5分追加 |
| 米がべたつく | 水切り不足、炊飯器の水が多い | 皿に広げて5分置き、追加油は入れない |
| 苦味が出る | ターメリックを高温で焦がした | 次回は弱火30秒。今回はライム数滴と揚げ玉ねぎで丸める |
| 色が薄い | ターメリック不足 | 仕上げで粉を直接足さず、油小さじ1に粉少々を溶いてから混ぜる |
| 玉ねぎが苦い | 焦げ茶色まで揚げた | 焦げた部分は米に混ぜず、市販フライドオニオンで補う |
一番戻しやすいのは硬い米です。再び蒸気に当てれば改善します。一番戻しにくいのは油が多すぎる米なので、ターメリック油は必ず一部を残してください。
食べ方と保存
シータミンは温かいうちが一番香ります。朝食にするなら、きゅうり、豆、干し魚、熱いお茶を横に置くと、油の重さがほどけます。日本の食卓なら、酸味の小皿としてきゅうりの浅漬けや紫玉ねぎの酢漬けを添えると食べやすくなります。
皿の組み方は、米を主役にして小皿を少量ずつ置くのが向いています。4人分なら、きゅうりの浅漬けは小鉢1杯、豆は1人あたり大さじ2、干し小魚はひとつまみで十分です。油飯を大盛りにして添え物を省くと単調になりますが、酸味、豆の甘み、魚の塩気を少しずつ足すと、最後まで重くなりません。
ミャンマー料理で並べるなら、汁気のあるモヒンガーとは別の日の主食にし、食後や副菜にラペットゥを合わせるのがおすすめです。炒めた米が食べたい日はタミンジョーへ進むと、同じ htamin でも調理法の違いが分かります。
| 保存方法 | 期間 | 温め直し |
|---|---|---|
| 冷蔵 | 2日 | 耐熱皿に広げ、水小さじ2を振り、600Wで1分30秒。混ぜてさらに30秒 |
| 冷凍 | 2週間 | 1人分ずつラップで平たく包む。600Wで2分30秒、上下を返して1分 |
| 弁当 | 当日中 | 完全に冷ましてから詰める。干し魚は別添えにする |
| 揚げ玉ねぎ | 開封後1か月目安 | 湿気るので密閉。食べる直前にのせる |
作り置きするときは、揚げ玉ねぎとごまを混ぜ込まず、食べる直前にのせます。混ぜ込むと香ばしさが米の水分を吸って弱くなります。
よくある質問
もち米ではなく普通の米で作れますか
普通の米だけでも黄色い油飯にはなりますが、シータミンらしい粘りと朝食の腹持ちは出にくいです。初回はもち米100%で作り、重く感じたら次回もち米300g、うるち米150gにします。
ピーナッツ油がありません
米油、太白ごま油、サラダ油で作れます。香りの強いごま油だけで作ると、ミャンマーの油飯というより中華風のもち米に寄ります。ごま油を使うなら全量の1/4までにします。
ターメリックを増やせば本場っぽくなりますか
増やしすぎない方がよいです。ターメリックは色づけが主役で、粉っぽさや苦味が出ると米の甘みが消えます。450gのもち米なら小さじ1を上限にし、色が薄いときは油に溶かして少量だけ足します。
豆は米に混ぜますか
この記事では添え物にします。米へ混ぜ込むと蒸しむらが出やすく、豆の水分で油の回り方が変わります。食べるときに横からすくう方が、米の香りと豆の甘みを分けて楽しめます。
蒸し布がありません
清潔なさらし、薄手の綿ふきん、穴を開けたクッキングシートで代用できます。厚いタオルは蒸気を通しにくく、柔軟剤の香りも移りやすいので避けます。












