赤ワインとトマトで煮込んだマルタの兎料理ストゥファット・タル・フェネック
🔪下準備35分
🔥調理1時間25分
🍽️分量4
🌍料理マルタ料理
ヨーロッパレシピ

ストゥファット・タル・フェネックの作り方

26分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 兎肉を赤ワインで休ませる
STEP 11 / 7

兎肉を赤ワインで休ませる

所要時間25分(漬け込み30分以上)

火は使いません。兎肉に塩小さじ1、黒こしょうをなじませ、赤ワイン、つぶしたにんにく2片、ローリエ2枚と一緒にボウルへ入れます。冷蔵庫で30分から一晩休ませます。短時間でも、肉の表面にワインの香りが入るだけで煮込みの一体感が出ます。

漬け込み後、肉を取り出してキッチンペーパーで水気をしっかり拭きます。マリネ液は捨てずに取っておきます。水気が残ると、次の工程で焼き色がつく前に煮え始め、ソースがぼんやりします。

手順2: 肉を焼きつける
STEP 22 / 7

肉を焼きつける

所要時間12分

厚手鍋にオリーブオイル大さじ2を入れ、中火で2分温めます。肉を入れた時に小さく音が立つ温度が目安です。兎肉を一度に詰め込まず、2回に分けて片面2分ずつ焼きます。表面が薄いきつね色になればよく、中まで火を通す必要はありません。

焼いた肉はいったん皿へ取り出します。鍋底の茶色い部分はうま味です。焦げて黒くなった部分だけ、湿らせたペーパーで軽くぬぐいます。

手順3: 香味野菜を炒める
STEP 33 / 7

香味野菜を炒める

所要時間8分

同じ鍋にオリーブオイル大さじ1を足し、中火のまま玉ねぎ、にんじん、セロリを入れます。塩小さじ1/2をふり、木べらで鍋底をこそげながら6分炒めます。玉ねぎが透き通り、にんじんの角が少し丸くなったら、みじん切りのにんにく2片を加えて1分炒めます。

にんにくを早く入れすぎると苦くなります。香りが立ったら、すぐトマトペーストへ進みます。

手順4: ワインとトマトで鍋底を溶かす
STEP 44 / 7

ワインとトマトで鍋底を溶かす

所要時間7分

トマトペーストを入れ、中火で1分炒めます。色が少し濃くなったら、取っておいたマリネ液を加えます。木べらで鍋底をこすり、茶色い焼き目を煮汁へ移します。中火のまま3分ほど沸かし、アルコールの鋭い香りが丸くなるまで煮詰めます。

カットトマト缶、水または薄いブイヨン250ml、ローリエ1枚、オールスパイスを加えます。ここで煮汁を味見し、塩気が薄いと感じるくらいで止めます。煮込みで詰まるので、最初から濃くしません。

手順5: 肉を戻して弱く煮る
STEP 55 / 7

肉を戻して弱く煮る

所要時間45分

兎肉を鍋へ戻し、煮汁を肉の7割くらいまでかぶせます。中火で一度ふつふつさせたら、すぐ弱火に落とします。温度計を鍋肌の煮汁へ入れるなら90から95度C、見た目なら鍋の端に小さな泡がゆっくり上がる程度です。ふたを少しずらし、35分煮ます。

途中で一度だけ肉を返します。ぐらぐら沸かすと、脂の少ない兎肉は締まり、ソースも濁ります。火が強いと感じたら、鍋を一度火から外して温度を落としてから戻します。

手順6: じゃがいもと豆を加える
STEP 66 / 7

じゃがいもと豆を加える

所要時間28分

じゃがいも、冷凍グリーンピースを加えます。煮汁が足りなければ水を50mlだけ足します。弱火から弱めの中火で、端に小さな泡が出る状態を保ち、ふたを少しずらして20分煮ます。じゃがいもに竹串がすっと入り、兎肉の厚い部分が71度C以上になれば火は通っています。

鶏肉代替の場合は、厚い部分が75度C以上になるまで加熱します。温度計がない場合は、骨の近くを少し開き、肉汁が透明で生っぽい赤みがないことを確認します。ただし、煮込みすぎると食感が落ちるため、できれば温度計で判断します。

手順7: ソースを整えて休ませる
STEP 77 / 7

ソースを整えて休ませる

所要時間10分

肉とじゃがいもを崩さないように軽く混ぜ、ふたを外して弱めの中火で3から5分煮詰めます。ソースが木べらに薄くまとい、鍋底をなぞると一瞬だけ筋が残るくらいが目安です。塩小さじ1/2を少しずつ足し、酸が強ければ砂糖小さじ1を入れます。

火を止め、ふたをして5分休ませます。皿に盛り、刻んだイタリアンパセリを散らします。スパゲッティに絡める場合は、鍋のソースをお玉1杯分取り分け、ゆでたスパゲッティと小鍋で軽く温めてから添えます。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
材料

買い出しの前に

ストゥファット・タル・フェネックに使う兎肉、野菜、赤ワイン、トマト、スパイス

18品目

主材料

材料 分量 日本での買い方・代替
兎肉(骨付きぶつ切り) 1.2kg 通販または精肉店の取り寄せ。なければ骨付き鶏もも肉900g
小さじ2 肉の下味と仕上げに分けて使う
黒こしょう 小さじ1/2 粗びきが合う
赤ワイン 300ml 渋すぎない辛口。飲み残しでよい
にんにく 4片 2片はつぶす、2片はみじん切り
ローリエ 3枚 乾燥でよい
オリーブオイル 大さじ3 肉を焼きつけるため多め
玉ねぎ 1個(200g) みじん切り
にんじん 1本(150g) 1.5cm角
セロリ 1/2本(50g) あれば。ない場合は玉ねぎを50g増やす
トマトペースト 大さじ2 ケチャップでは甘くなりすぎる
カットトマト缶 1缶(400g) トマトピューレでも可
水またはチキンブイヨン 250ml 兎肉なら水、鶏肉代替なら薄いブイヨン
じゃがいも 3個(360g) 煮崩れにくいメークイン寄り
冷凍グリーンピース 80g 現地式の豆感を少し足す
オールスパイス 小さじ1/4 省略可。肉の香りを丸くする
砂糖 小さじ1 トマトの酸が強い時だけ
イタリアンパセリ 10g 仕上げ
3品目

添えるもの

材料 分量 役割
スパゲッティ 160g ソースを前菜風に絡める場合
カンパーニュまたはバゲット 1/2本 ソースを受け止める
レモン 1/2個 好みで最後に軽く絞る
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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
140
kcal
10.5g
タンパク質
6.0g
脂質
9.0g
炭水化物
1.3g
食物繊維
245mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

赤ワインの湯気が立つ、マルタの兎煮込み

食卓に置いたストゥファット・タル・フェネックとソースを絡めたスパゲッティ

鍋のふたを少しずらすと、赤ワイン、にんにく、ローリエ、トマトの香りがふっと立ちます。牛肉のシチューより軽く、トマト煮よりも野性味があり、骨付き肉の周りからほどけるソースをパンでぬぐいたくなる。ストゥファット・タル・フェネックは、マルタで親しまれてきた兎の煮込みです。

現地語では「Stuffat tal-Fenek」。fenek は兎、stuffat は煮込みを指します。観光向けには「Maltese rabbit stew」と説明されることが多い料理ですが、食べ方まで見ると単なる肉のトマト煮ではありません。濃いソースを先にスパゲッティへ絡め、兎肉とじゃがいもを主菜にする家もあります。大皿で出して、パン、サラダ、ワインを置くと、地中海の島らしい食卓になります。

日本では兎肉が常に手に入るわけではありません。この記事では、兎肉で作る基本を軸にしつつ、骨付き鶏もも肉で「マルタ風」に寄せる時の違いもはっきり書きます。鶏肉に替えると正式な fenek ではありません。それでも、赤ワイン、ローリエ、トマトペースト、低い火で煮る時間を守れば、買い物で無理をしない範囲でマルタの味の輪郭に近づけます。

ストゥファット・タル・フェネックとは

マルタの兎煮込みを囲む食卓とソースを受けるパンやパスタ

マルタ政府の伝統農産食品登録では、rabbit stew はマルタ諸島由来の料理として扱われ、兎肉、野菜、トマトペーストまたはトマト、じゃがいも、豆、ローリエ、ハーブを低い火で煮る料理として説明されています。古くは土や石で作った簡易の炉、または伝統的な鍋でゆっくり火を入れたとされ、農村部の食文化と結びついています。

料理名の周辺には「fenkata」という言葉もあります。これは料理名そのものというより、兎料理を囲む食事の場を指すことがあり、前菜、兎ソースのパスタ、煮込みや揚げ兎を組み合わせる食べ方に広がります。日本で作るなら、一皿で完結させず、ソースを少し取り分けてスパゲッティへ絡めると、現地の食べ方に近い楽しさが出ます。

近い料理としては、スペインのフィデウアパエリア・バレンシアーナのように、地中海沿岸で米や麺、肉、魚介を大皿で分ける料理があります。ただしストゥファット・タル・フェネックは、兎肉と赤ワインの煮汁が主役です。米や麺を炊き込むのではなく、煮込んだソースをパンやパスタで受け止めるのが違いです。

兎肉がない時の日本向け代替

兎肉と骨付き鶏もも肉を比較して置いた日本の台所向け代替食材

兎肉は脂が少なく、鶏むね肉よりはしっとり、鶏もも肉より軽い食感です。日本で手に入りにくい場合、骨付き鶏もも肉を使うのが一番扱いやすい代替です。骨なし鶏もも肉でも煮込めますが、骨から出るうま味が弱くなるので、水ではなく薄いチキンブイヨンを使ってください。

鶏肉で作る場合の分量は、骨付き鶏もも肉900g、赤ワイン250ml、水または薄いブイヨン250mlで始めます。煮込み時間は兎肉より短く、肉を戻してから弱火で35分、じゃがいもを入れて20分が目安です。中心温度は鶏肉なら75度C、兎肉なら米国FoodSafety.govの目安に合わせて71度C以上を確認します。

代替してよいものと、変えないほうがよいものを分けると味がぶれません。

判断 置き換え
置き換えてよい 兎肉を骨付き鶏もも肉へ、セロリを玉ねぎへ、冷凍グリーンピースをいんげんへ
量を調整してよい 赤ワイン、トマト缶、水。鍋の大きさで煮汁の蒸発が変わる
変えないほうがよい ローリエ、にんにく、トマトペースト、肉を焼きつける工程、低い火で煮ること
避けたい ケチャップ大量置換、強い甘口ワイン、薄い片手鍋での長時間煮込み

この料理に使う食材・道具

厚手鍋、温度計、オールスパイス、ローリエを並べた買い出しの目安

近所で買うものは、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、トマト缶、赤ワインです。通販で見る価値があるのは、兎肉そのものではなく、何度も使い回せる道具とスパイスです。兎肉は店や時期で品質差が大きいので、初回は精肉店の取り寄せや信頼できる冷凍肉を探し、商品カードの数合わせにはしません。

オールスパイスは伝統的な必須食材ではありませんが、赤ワインとトマトで煮る骨付き肉に少量入れると、ソースの角が丸くなります。ガイアナのペッパーポットコンゴのバブテにも回せるので、瓶が余りにくいスパイスです。

掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。

煮込みは鍋でかなり変わります。薄い鍋だと底だけ焦げ、兎肉がぱさつく前にソースが詰まってしまいます。4人分なら22cm前後の厚手鍋が扱いやすく、弱火で小さな泡を保ちやすいです。

骨付き肉は「柔らかい」だけでは安全確認になりません。兎肉は71度C以上、鶏肉代替は75度Cを目安に、厚い部分を測ってから火を止めると、煮込みすぎも生焼けも避けやすくなります。

失敗しやすいところと直し方

ソースの濃度を確認するため、木べらですくった赤ワインとトマトの煮汁

困った状態 原因 直し方
肉が硬い 火が強すぎる、焼きつけ後に煮立たせすぎた 煮汁を足し、弱火で15分追加。泡は小さく保つ
ソースが水っぽい ふたを閉め切った、鍋が小さく蒸発しにくい 肉を取り出し、弱めの中火で5から8分煮詰める
酸味が立つ トマト缶の酸、ワインの渋み 砂糖小さじ1、オリーブオイル小さじ2を足す
味が薄い 煮込み前の塩が少ない 仕上げに塩を小さじ1/4ずつ足す。ブイヨンキューブで急に濃くしない
じゃがいもが崩れた 強く混ぜた、早く入れすぎた 次回は最後の20分で入れる。今回はパンかパスタで受ける

この料理は「煮込むほど良い」ではありません。兎肉は牛すね肉のように長時間でとろける肉ではなく、脂が少ない分、火が強いと硬さが目立ちます。鍋の中で肉が踊るほど沸いていたら強すぎます。小さな泡、ふたを少しずらす、途中で一度返す。この三つだけで仕上がりがかなり変わります。

食べ方と保存

ストゥファット・タル・フェネックの残りを保存容器に分け、パスタを別にしたところ

現地の fenkata に寄せるなら、先にソースを少しスパゲッティへ絡めて小皿で出し、その後に兎肉、じゃがいも、パンを出します。日本の夕飯なら、最初から大皿に盛り、パンとサラダを添えるだけでも十分です。酸味のあるサラダ、焼いたズッキーニ、オリーブ、軽い赤ワインがよく合います。

余ったら、肉とソースを分けずに保存容器へ入れ、冷蔵で2日を目安に食べ切ります。パスタは一緒に保存するとソースを吸って重くなるため、別にします。温め直しは鍋に移し、水大さじ2から3を足して弱火で8分。電子レンジなら600Wで2分温め、一度混ぜてから1分追加します。

翌日にソースだけが少し残った時は、パンにのせる、ショートパスタに絡める、焼いたなすにかけると無駄がありません。マルタ政府の伝統食品登録では、兎の煮込みが残った場合にパイの詰め物に使われた記録にも触れられています。家庭料理らしい再利用まで含めて、この料理の面白さです。

よくある質問

煮込み鍋の中で骨付き肉の中心温度を温度計で確認しているところ

兎肉はどこで買えますか?

一般的なスーパーではほとんど見ません。ジビエや輸入肉を扱う精肉店、業務用食材店、冷凍肉の通販で探すのが現実的です。初回は丸ごと一羽より、ぶつ切り済みの骨付き肉が扱いやすいです。

赤ワインは白ワインに替えられますか?

家庭差はありますが、この記事の配合では赤ワインを推奨します。トマトと骨付き肉のソースに深さが出ます。白ワインで作る場合は、トマトをやや控えめにし、ローズマリーやタイムを足すと軽い仕上がりになります。

オールスパイスは本場の必須材料ですか?

必須ではありません。この記事では、日本の台所で兎肉や骨付き鶏を煮た時に香りが単調にならないよう、ごく少量だけ使っています。ローリエとにんにくを抜いてオールスパイスだけで補うものではありません。

子ども向けにワインなしで作れますか?

ワインの風味がこの料理の輪郭なので、完全に抜くと別のトマト煮に近くなります。使わない場合は、水200ml、無塩トマトジュース100ml、米酢小さじ1で酸味を補い、煮込み時間を同じにします。ワインを使う場合も、工程4で3分以上しっかり沸かします。

ほかの世界料理と組み合わせるなら?

地中海の食卓に寄せるなら、スペインのフィデウア、ギリシャのファソラーダ、キプロスのクーペピアと合わせて読むと、トマト、豆、ハーブ、煮込み文化のつながりが見えます。骨付き肉の煮込みとしては、ドイツのガイスブルガー・マルシュも火加減の比較に向いています。

主な参考リンク

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