ワサワサは、粉を粒に戻すガーナ北部の食事
粉ものを作る日は、台所が少し静かになります。水を一気に入れず、指先で粉をこすり、ざるで粒をそろえる。鍋で煮る料理の勢いとは違い、ワサワサは小さな粒を育てる料理です。
ワサワサ(Wasawasa / Wasa wasa)は、ガーナ北部、特にDagbonの食文化と結びつく蒸し料理です。Crop Trustのレシピでは、乾燥したヤムの皮を粉にし、蒸してクスクスのような食感にすると説明されています。Graphic Onlineも、乾燥したヤムを粉にし、小さな粒や団子状にして蒸す北部ガーナの伝統料理として紹介しています。
日本の台所で難しいのは、ヤム粉そのものの入手です。アフリカ食材店や通販でインスタントのヤム粉が見つかればそれが近道ですが、常備しやすい材料だけで寄せるなら、キャッサバ粉とコーンフラワーを混ぜる方法が現実的です。完全な伝統版ではありません。ただ、粉へ水を少しずつ打ち、粒をそろえ、蒸してほぐすという骨格を守ると、白いご飯ともフフとも違う、ほろほろした主食になります。
同じガーナ料理でも、豆と米を炊くワチェ、発酵とうもろこしをまとめるバンクー、粉を練り上げるトゥオ・ザーフィとは食感がかなり違います。ワサワサは汁を吸わせるというより、粒にソースと油をまとわせて食べる料理です。

ヤム粉またはインスタントパウンデッドヤム粉が手に入るなら、材料表のキャッサバ粉とコーンフラワーをヤム粉240gに置き換えます。水分の入り方が製品で違うため、水は100mlから始め、粒が湿ったパン粉くらいになるまで小さじ2ずつ足してください。
失敗しやすいのは水分と粒の大きさ
ワサワサは材料が少ない分、水分の入れ方が味になります。日本の粉は製品ごとに吸水が違うので、レシピの水を全部入れるより、粒の状態を見る方が安定します。
| 失敗 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 粘土のように重い | 水を一気に入れた、粒をふるっていない | 乾いたコーンフラワー大さじ1を足し、手で2から4mmにほぐす |
| 粉っぽい | 水が少ない、蒸気が弱い | ぬるま湯小さじ2を打ち、中火で5分追加蒸し |
| 大きなだまが残る | ざるを通していない | 熱いうちにフォークで割り、もう一度3分蒸す |
| 油っぽい | 仕上げ油を入れすぎた | ソースを控え、きゅうりやトマトを多めに添える |
| 苦みが強い | 粉の種類、焦げた油、古い粉 | 新しい粉に替え、油は煙が出る前に具を入れる |
現地のワサワサには、ヤムの皮や乾燥工程から来る少し土っぽい香りがあります。日本の代替版ではそれを完全には出せません。無理に焦がして近づけるより、粉を細かくしすぎないこと、赤いソースと魚でうま味を足すことを優先すると、食卓の料理としてまとまります。
フフのように弾力で食べる料理ではないので、練らないでください。混ぜすぎると「蒸し粉」ではなく「だんご」になります。粒を作る、蒸す、ほぐす。この三つだけを繰り返します。
食べ方、保存、翌日の戻し方

ワサワサは熱いうちに、辛いソース、魚、野菜、油を少しずつ合わせて食べます。African Food NetworkやPulse Ghanaのレシピでも、魚、唐辛子、油、野菜を添える形が紹介されています。家庭で出すなら、焼き魚をほぐしてのせ、きゅうりとトマトで水分を足すと食べやすくなります。
北部ガーナの食事として見ると、ワサワサは「粉を蒸した主食」だけで終わりません。Graphic OnlineがDagbonの文化的な料理として扱うように、乾いた土地で育つヤムやその加工、魚や辛い油、食卓で分け合う添え物が重なって一皿になります。日本で作る時も、白い主食だけを器に盛るより、赤いソース、魚、薄切り玉ねぎ、きゅうりを横に置くと、料理の意味がかなり見えやすくなります。
豆を添える場合は、レッドレッドのような黒目豆の煮込みを少量横に置くと、粉と豆で満足感が出ます。ピーナッツの香りを合わせたい日は、グラウンドナッツスープを汁物にし、ワサワサは少量ずつすくって食べると重くなりません。辛い屋台の雰囲気を足したいなら、揚げバナナのケレウェレを少し添えるのも楽しい組み合わせです。
保存する時は、ワサワサ本体とソースを分けます。本体は浅い容器に広げ、粗熱が取れたらふたをして冷蔵で翌日まで。ソースは別容器で冷蔵し、2日以内に食べ切ります。魚を混ぜた状態で長く置くとにおいが出やすいので、魚は食べる直前に合わせてください。
温め直す時は、電子レンジ600Wで1分温め、ぬるま湯小さじ2を回しかけてフォークでほぐし、さらに30秒温めます。鍋で蒸し直す場合は中火で5分。水を足しすぎると粥のようになるため、足す水は小さじ単位で止めます。
よくある質問
Q1. ヤム粉がありません。キャッサバ粉だけで作れますか?
作れますが、キャッサバ粉だけだと少しもちっとしやすく、粒が重くなります。初回はキャッサバ粉160gとコーンフラワー80gで作る方が、蒸した後にほろほろしやすいです。ヤム粉が手に入ったら、粉240gをヤム粉に置き換え、水は100mlから調整してください。
Q2. ガリで代用できますか?
細かいガリなら使えます。粗いガリはそのままだと硬い粒が残りやすいので、ミルで少し細かくしてから使います。ガリは発酵由来の酸味があるため、ワサワサ風の食感にはなりますが、ヤム粉の香りとは別物です。
Q3. 赤パーム油は必須ですか?
必須ではありません。現地ではシアバター油、落花生油、植物油で食べる例もあります。赤パーム油は西アフリカ料理らしい色と香りを足せますが、強すぎると粉の香りが消えるので、大さじ1以内にします。苦手なら落花生油か米油で軽く仕上げてください。
Q4. どのくらい辛くするのが現地風ですか?
辛いソースを添える食べ方が多い料理ですが、鍋全体を辛くする必要はありません。本文の分量は穏やかな辛さです。辛味を強くしたい人は食卓で唐辛子粉やシトーを足します。家族で食べるなら、基本ソースは控えめに作る方が失敗しません。
Q5. 作り置きできますか?
本体だけなら翌日まで作り置きできます。ただし、できたてより粒は締まります。保存時は浅い容器に広げ、温め直しでぬるま湯を小さじ2ずつ足してほぐしてください。ソース、魚、野菜を混ぜた状態での保存は食感も香りも落ちやすいため避けます。
参考文献
- Crop Trust「Wasa Wasa with Scotch Mango Aioli & Mushrooms」
- Graphic Online「Sacred Wasawasa - Traditional Dagbon delicacy steeped in culture and taboos」
- Access Agric「Yam sellers, public advised not to discard yam peels」
- African Food Network「Wasawasa」
- Pulse Ghana「DIY Recipes: How to make Wasawasa for Eid al-Fitr」
- Wikipedia「Wasawasa」












