マンドゥの物語|台所で包む韓国の餃子
夕方の台所で豆腐を布巾に包んで絞ると、ボウルの底に白い水分が少したまります。キムチを刻むと酸味のある香りが立ち、ゆでた韓国春雨が半透明に光る。そこへ豚ひき肉、にら、ねぎ、ごま油を混ぜると、焼き餃子とは少し違う、やわらかくて汁気を抱えた具になります。マンドゥは、包む作業そのものが食卓の一部になる韓国の餃子です。
マンドゥ(만두 / Mandu)は、朝鮮半島で食べられてきた包み料理です。英語圏の韓国料理レシピでは、白菜キムチ、豆腐、豚肉、韓国春雨を入れる家庭的な形がよく紹介されています。蒸してそのまま食べるチンマンドゥ、焼き目をつけるクンマンドゥ、スープに入れるマンドゥグクなど、同じ具でも食べ方が変わります。

日本で作る時に迷いやすいのは、皮と具の水分です。市販の餃子の皮で作れますが、具が水っぽいと蒸した時に破れ、焼くと底だけ焦げて中がぬるくなります。豆腐、キムチ、春雨の水分を先に整えると、皮がふくらみ、食べた時に具がほどけます。
この記事では、豚ひき肉、木綿豆腐、白菜キムチ、韓国春雨を使う家庭版を基本にします。皮は日本で買いやすい大判餃子の皮で代用し、蒸し、焼き、スープの3つの仕上げを同じ具で作れるようにします。辛い料理を合わせたい日はトッポッキ、汁物を濃くしたい日はキムチチゲ、肉を主役にしたい日はプルコギへつなげると、韓国料理の献立が組みやすくなります。
韓国語では 만두 と書きます。日本語ではマンドゥ、マンドゥー、韓国餃子と表記が揺れますが、この記事では検索されやすい「マンドゥ」に統一します。中国の餃子、日本の餃子、中央アジアのマンティと同じく、小麦の皮で具を包む料理文化の中にあります。
買い出し導線|専門食材と道具だけを見る

豚ひき肉、豆腐、ねぎ、にら、卵は近所のスーパーで十分です。買い出しで迷うのは、皮、韓国春雨、キムチ、ごま油、蒸し器です。皮は日本の餃子用で作れますが、できれば大判で厚めのものを選びます。薄い皮は焼くと軽く仕上がりますが、蒸すと破れやすく、スープではふやけやすいです。
| 買うもの | 優先度 | 見る理由 |
|---|---|---|
| 大判餃子の皮 | 高 | 具を多めに包め、蒸しても破れにくい |
| 韓国春雨タンミョン | 中 | 具の中で弾力が残り、肉汁とキムチの水分を受ける |
| 熟成キムチ | 中 | 酸味がある方が加熱後の味が立つ |
| 韓国ごま油 | 高 | 少量でも香りが強く、酢じょうゆにも使える |
| 蒸し器 | 中 | チンマンドゥをまとめて加熱しやすい |
| 中心温度計 | 中 | ひき肉入りの大きな包みで火通りを確認しやすい |
韓国春雨はチャプチェにも使えます。500g袋を買うと余りますが、短く切ってマンドゥ、残りをチャプチェや鍋に回すと使い切りやすいです。ない場合は普通の春雨で代用できますが、細い春雨は水分を吸うと切れやすいので、ゆで時間を短くします。
韓国ごま油は、具、焼き、酢じょうゆの3か所に少しずつ入ります。開封して時間がたった油だと、せっかく包んでも香りがぼやけます。マンドゥ以外にもビビンバ、チャプチェ、トッポッキへ回せるので、韓国料理を続けて作るなら見る価値があります。
蒸し器は必須ではありません。深い鍋に蒸し台を入れ、クッキングシートへ穴を開けても作れます。ただし30個前後を一度に作るなら、平らに並べられる蒸し器があると、皮がくっつきにくくなります。
具に生のひき肉が入るため、大きく包むほど火通りの判断が難しくなります。温度計は毎回必要ではありませんが、初めて作る時、冷凍マンドゥを加熱する時、鶏ひき肉へ替える時に保険になります。
失敗原因|水っぽい、破れる、火が通らないを直す

水っぽい時は、豆腐、キムチ、春雨のどれかが原因です。豆腐は握って水がしたたる状態ではまだ水切り不足です。キムチは汁ごと入れると酸味は出ますが、皮が破れやすくなります。春雨は長いままだと具の中で絡まり、包む時に皮を押し広げます。具を混ぜた後に水分が出たら、片栗粉だけで受けるより、ざるに5分置いて余分な汁を落としてから包みます。
皮が破れる時は、具の量と閉じ方を見ます。大判皮でも1個24gを超えると閉じにくくなります。皮の縁に具の油やキムチの汁が付くと接着しにくいので、のせる時は中央へ置きます。包んだ後にトレイへぎゅうぎゅうに並べると、隣同士がくっついて持ち上げる時に破れます。間隔を1cm以上空け、乾燥を防ぐために布巾をかけます。
蒸したのに中がぬるい時は、湯気が弱いか、詰めすぎです。蒸し器の湯は先にしっかり沸かし、ふたを開けた瞬間に湯気が上がる状態から並べます。2段で蒸す場合は、上段の火通りが遅くなるので12分蒸した後に上下を入れ替え、さらに2分蒸します。中心温度計がある場合は、一番大きいものの中心に差します。
焼きマンドゥで底だけ焦げる時は、焼き目を付けた後の水が少ないか、火が強すぎます。焼き目は中火で3分、蒸し焼きは水70mlを入れてふたをします。水が一気に飛んでしまう場合は火を弱め、まだ皮が白く硬い場合は水大さじ2を足して2分追加します。最後にふたを外して底を乾かすと、焼き目は戻ります。
味がぼやける時は、塩を増やす前に水分を見ます。具がゆるい状態で塩やしょうゆを増やすと、さらに水が出ます。包む前なら片栗粉小さじ2を足し、包んだ後なら蒸し上がりに酢じょうゆで調整します。キムチが浅漬けで酸味が弱い場合は、具に酢を足すより、酢じょうゆの酢を大さじ1と1/2へ増やす方が味がきれいです。
保存と献立|冷凍して次の食卓へ回す

生のマンドゥは、包んだ直後に冷凍できます。トレイにクッキングシートを敷き、マンドゥ同士が触れないように並べ、冷凍庫で2から3時間凍らせます。固まったら保存袋に移し、できるだけ空気を抜きます。冷凍の目安は3週間です。凍らせる前に袋へまとめて入れると皮同士がくっつき、加熱前に破れます。
冷凍マンドゥを蒸す時は、解凍せずに蒸し器へ入れます。強火で湯気を上げてから並べ、中強火で14から16分蒸します。スープにする時も凍ったまま入れ、弱めの中火で8から9分煮ます。焼く場合は、凍ったまま中火で焼き目を付け、水90mlを入れてふたをし、6分蒸し焼きにしてから底を乾かします。
加熱済みのマンドゥは、粗熱を取り、2時間以内に冷蔵します。冷蔵の目安は2日です。温め直す時は、蒸しマンドゥなら耐熱皿に並べ、水小さじ2をふり、ふんわりラップをして600Wで1分30秒、様子を見て30秒追加します。焼きマンドゥはフライパンに並べ、水大さじ2を入れてふたをし、弱めの中火で3分温め、最後にふたを外して底を乾かします。
献立では、蒸しマンドゥに白ご飯、キムチ、わかめスープを添えると軽い夕食になります。焼きマンドゥは油の香りが出るので、コンバプのような雑穀ご飯や、酸味のあるキムチと合います。スープにした日は、主菜をプルコギにすると食卓が濃くなりすぎないです。
前日に分けて仕込むなら、豆腐の水切り、春雨の下ゆで、キムチの刻みまでで止めます。肉、卵、塩を混ぜた具を一晩置くと水分が出やすく、皮に包む頃にはゆるくなります。当日は、冷蔵庫から出した下ごしらえ材料とひき肉を混ぜ、すぐ包んで加熱します。家族で包むなら、蒸し器に入れる分、焼く分、冷凍する分を最初にトレイで分けておくと、食卓に出す分だけ焦らず火を通せます。
マンドゥだけで満腹にしたい日は、皮を厚めにして1人8個ほど。副菜として並べる日は、1人4から5個にして、チャプチェやビビンバへつなげます。包む作業が少し大変なので、一度に多めに作り、半分を冷凍しておくと次の韓国料理の日が楽になります。
よくある質問
日本の餃子の皮で作れますか
作れます。直径9cm前後の大判で、できれば厚めの皮を選びます。小さい皮なら具を18g前後に減らし、焼きマンドゥ中心にします。水餃子用の厚い皮があれば、スープにも向きます。薄い皮でスープに入れる場合は、煮る時間を短くし、皮がふやける前に食べます。
豚肉なしでも作れますか
鶏ひき肉で作れます。鶏ひき肉320gにし、韓国ごま油を小さじ1追加します。鶏肉は脂が少ないので、豆腐をしっかり絞りすぎるとぱさつきます。牛ひき肉だけにすると香りが強くなるため、牛150g、豚150gの合いびきが扱いやすいです。完全に肉なしにする場合は、しいたけ120gを粗みじんにして中火で3分炒め、水分を飛ばしてから入れます。
キムチを入れない白いマンドゥにできますか
できます。キムチ160gを抜き、白菜200gを粗みじんにして塩小さじ1/2をもみ、10分置いて絞ります。しょうゆを小さじ2追加し、黒こしょうを小さじ1/2に増やします。キムチの酸味がなくなるので、酢じょうゆは酢を少し強めにすると味が締まります。
蒸す、焼く、スープのどれが本場に近いですか
どれも韓国で見られる食べ方です。蒸したものは皮と具の香りが分かりやすく、焼いたものは香ばしさが出ます。スープに入れるマンドゥグクは、温かい食事として食べやすい形です。初回は蒸して火通りと水分を確認し、残りを焼くと失敗原因が見つけやすいです。
冷凍する時は生のままですか、加熱してからですか
生のまま冷凍する方が次回使いやすいです。包んだ直後にトレイで凍らせ、固まってから袋へ移します。加熱済みを冷凍すると皮が割れやすく、温め直しで水っぽくなります。弁当用に少量だけ保存したい場合は、焼いてから冷蔵し、翌日までに食べ切ります。
子ども向けに辛くなくできますか
できます。キムチを水で軽く洗い、しっかり絞ってから使います。ただし洗いすぎると旨みも落ちるので、浅漬けキムチを使うより、洗った熟成キムチにしょうゆ小さじ1を足す方がまとまりやすいです。酢じょうゆのコチュカルは省き、青ねぎと白ごまだけにします。
参考にした海外一次情報
マンドゥの位置づけと表記は Wikipedia の Mandu 記事で確認しました。具材の組み合わせ、豆腐とキムチの水切り、春雨の扱いは Maangchi、Korean Bapsang、My Korean Kitchen の韓国料理レシピを照合しました。ひき肉の火通りは、日本の家庭で使いやすい基準として厚生労働省の加熱目安も参照しています。












