やわらかい断面が見えるフィリピンのエンサイマダ。バターとチーズをのせた菓子パン
🔪下準備1時間10分
🔥調理18分
🍽️分量10
🌍料理フィリピン料理
東南アジア

エンサイマダの作り方|フィリピン菓子パン

29分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 牛乳と酵母を起こす
STEP 11 / 7

牛乳と酵母を起こす

所要時間10分

小鍋または電子レンジで牛乳190mlを35から38度Cに温めます。直火なら弱火で1分から1分30秒、電子レンジなら600Wで40秒から50秒が目安です。ボウルに牛乳、砂糖10g、インスタントドライイースト7gを入れて混ぜ、10分置きます。泡が細かく立ち、全体がなめらかにゆるく濁り、牛乳の香りに少し発酵の匂いが混ざれば進めます。45度Cを超えると酵母が弱るので、熱いと感じたら必ず冷ましてください。

手順2: 粉と卵を合わせ、バターを入れてこねる
STEP 22 / 7

粉と卵を合わせ、バターを入れてこねる

所要時間20分

大きなボウルに強力粉380g、薄力粉70g、残りの砂糖70g、塩7gを入れて混ぜます。中央をくぼませ、酵母入り牛乳、卵2個、卵黄1個を加え、カードか木べらで粉気がなくなるまで混ぜます。台に出して8分こね、生地がまとまり始めたら無塩バター90gを3回に分けて加えます。最初はべたつきますが、手のひらで押しのばして戻す動きを続けると、12分前後で表面がなめらかになります。生地温度は26から28度Cが目安です。

手順3: 一次発酵で二倍近くまで待つ
STEP 33 / 7

一次発酵で二倍近くまで待つ

所要時間60から75分

生地を丸め、薄く油を塗ったボウルに入れます。乾かないようにラップか濡れ布巾をかけ、28から30度Cの場所で60から75分発酵させます。冬の台所なら、電源を切ったオーブンに湯を入れたカップを一緒に置くと安定します。生地がふっくら膨らみ、表面がなめらかで、指に粉をつけて差した穴がゆっくり戻る程度なら成形へ進みます。穴がすぐ戻るなら15分追加、しぼんでしまうなら発酵しすぎです。

手順4: のばしてバターを塗り、渦巻きにする
STEP 44 / 7

のばしてバターを塗り、渦巻きにする

所要時間30分

台に打ち粉を薄くふり、生地を10等分します。1個は約90gです。丸めて10分休ませたら、1個ずつ18cm×9cmほどの長方形にのばします。巻き込み用バター50gを10等分し、生地1枚に5gずつ薄く塗ります。長い辺からゆるく巻き、25cmほどのロープ状にして、端を下に入れながら渦巻きにします。きつく巻くと二次発酵で中心が飛び出るので、指が少し入る余裕を残します。

手順5: 二次発酵させ、焼く直前に卵液を塗る
STEP 55 / 7

二次発酵させ、焼く直前に卵液を塗る

所要時間45から60分

オーブンシートを敷いた天板に、渦巻きの生地を並べます。セルクルやマフィン型を使う場合は内側へ薄くバターを塗ります。30度C前後で45から60分置き、生地がふっくら膨らみ、1.5倍になり、指で軽く押すと跡がゆっくり戻る状態にします。表面が乾いて割れる前に止めるのが目安です。発酵の最後20分でオーブンを180度Cに予熱します。焼く直前に、溶き卵25gと牛乳小さじ2を混ぜた卵液を薄く塗ります。

手順6: 180度Cで焼き、中心温度を見る
STEP 66 / 7

180度Cで焼き、中心温度を見る

所要時間14から18分

180度Cに予熱したオーブンの中段で14分焼きます。10分で一度天板の向きを替え、焼き色をそろえます。表面が淡い金色になり、側面に白い生地色が残りすぎず、中心温度が93度C以上なら焼き上がりです。色が薄ければ2分追加します。焼き上がったら型から外し、網に移して15分冷まします。熱いうちに仕上げバターを塗ると溶け落ちるので、手で持てる温度まで待ちます。

手順7: バター、砂糖、チーズで仕上げる
STEP 77 / 7

バター、砂糖、チーズで仕上げる

所要時間10分

仕上げ用の無塩バター70gを泡立て器で柔らかくし、粉砂糖45g、塩0.5gを混ぜます。冷めたエンサイマダ1個に約10gずつ薄く塗り、グラニュー糖2g、削ったチーズ12gをのせます。チーズは上から押しつけず、軽く散らすだけにします。すぐ食べるなら、仕上げてから10分置くとバターが表面になじみます。翌日に回す分は、バターとチーズを別にしておき、食べる直前に仕上げると香りが落ちにくいです。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
材料

買い出しの前に

強力粉、薄力粉、酵母、卵、牛乳、砂糖、バター、削ったチーズ、めん棒、温度計、焼き型を並べたエンサイマダの材料
エンサイマダは、粉よりも牛乳の温度、バターの柔らかさ、チーズの削り方で食感が変わります
10品目

生地

材料 分量 役割
強力粉 380g 生地の骨格。国産強力粉なら牛乳を10ml控える
薄力粉 70g やわらかさを出す。全量強力粉でも作れる
インスタントドライイースト 7g 砂糖の多い生地なので新しいものを使う
牛乳 190ml 35から38度Cに温める
砂糖 80g 生地に70g、酵母を起こす時に10g使う
2個、正味100g 室温に戻す
卵黄 1個分、18g 生地のしっとり感を足す
7g 甘さとチーズの塩気を支える
無塩バター 90g 1cm角に切り、指で押せる柔らかさにする
打ち粉用強力粉 15g 成形時だけ使う。足しすぎない
8品目

巻き込みと仕上げ

材料 分量 使い方
無塩バター 50g 成形時に生地へ薄く塗る
溶き卵 25g 牛乳小さじ2と混ぜ、焼く直前に塗る
牛乳 小さじ2 卵液を薄める
無塩バター 70g 仕上げ用。常温で柔らかくする
粉砂糖 45g バターに混ぜて軽いクリームにする
グラニュー糖 20g 仕上げに薄くふる
エダム、熟成ゴーダ、またはチェダー 120g 細く削る。1個あたり12gが目安
ひとつまみ、0.5g 仕上げバターに混ぜる

このレシピは小麦、卵、乳を使います。バターをマーガリンに置き換えると軽くなりますが、香りはかなり変わります。チーズはプロセスチーズの角切りより、細く削れる硬めのチーズが向きます。ケソデボラを手に入れられるなら理想ですが、初回はエダムか熟成ゴーダで十分です。

5品目

代替してよいもの、代えない方がよいもの

材料 代替候補 変わること
強力粉と薄力粉 準強力粉450g まとまりやすいが、少し歯切れが出る
牛乳 成分無調整豆乳190ml 乳の香りは弱くなる。焼き色も薄い
無塩バター 有塩バター 生地の塩を5gに減らす
ケソデボラ エダム、熟成ゴーダ、チェダー 現地の香りは弱まるが、甘じょっぱさは残る
セルクル マフィン型、アルミカップ、型なし 型なしは横に広がるが、家庭版としては問題ない

薄力粉を増やしすぎると、ふんわりではなく口どけの早い菓子パンになります。逆に全量強力粉にすると、形は安定しますが翌日やや固くなります。初回はこの配合で生地の柔らかさを覚え、その後に粉を調整すると失敗しにくいです。

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材料表の分量10人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

📊 栄養情報(1人分)
35
kcal
0.8g
タンパク質
1.6g
脂質
4.3g
炭水化物
0.2g
食物繊維
31mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

バターとチーズで、午後の台所が甘くなる

フィリピンのパン屋を思い浮かべると、湯気の立つ米料理とは別の、甘い小麦の匂いが出てきます。紙箱の中で少しつぶれた丸いパン、表面に白い砂糖、ふわっと削られたチーズ、指につくバター。エンサイマダ(ensaymada)は、きれいなケーキというより、午後の merienda に手でちぎって食べる菓子パンです。

バタークリーム、砂糖、削ったチーズをのせたエンサイマダを皿に盛り、濃いホットチョコレートを添えた食卓
フィリピンのエンサイマダは、やわらかい発酵生地にバター、砂糖、チーズを重ねる甘じょっぱい菓子パンです

名前の出発点はスペインのマヨルカ島の ensaimada ですが、フィリピンで食べられる ensaymada はかなり姿を変えています。ラードで香りを作るマヨルカ式に対して、フィリピン式はバター、砂糖、チーズが前に出ます。店によってはバタークリーム、塩卵、ケソデボラ(queso de bola、エダム系の丸いチーズ)をのせるものもあり、パンパンガやブラカンの濃厚なエンサイマダはお土産としても語られます。

日本で作るときの難所は、珍しい材料探しではありません。生地がやわらかく、砂糖とバターが多いので、焦って粉を足すと固いパンになります。逆に発酵を待ちすぎると、焼いた時に横へ広がり、ふわふわではなく空洞の多いパンになります。この記事では、家庭のオーブンで作りやすい10個分にして、ぬるい牛乳の温度、こね終わり、一次発酵、成形、焼き上がりの中心温度まで手元で確認できる形に落とします。

フィリピンの甘い軽食として続けて作るなら、蒸し米菓子のプト、黒糖もちのクチンタ、層にするもち菓子のサピン・サピンも近い入口です。エンサイマダは米菓子ではなくパンですが、甘さと塩気を一緒に食べる感覚は同じ食卓につながります。

現地での位置づけと日本で守る点

フィリピンのパン屋のトレーに、チーズをのせたエンサイマダが並ぶ様子
エンサイマダはフィリピンのパン屋や家庭の午後の軽食として、コーヒーや濃いチョコレートと一緒に食べられます

エンサイマダを「甘いチーズパン」とだけ見ると、普通の菓子パンで終わります。守りたいのは、やわらかい生地、うすい渦巻き、表面のバター、砂糖、細かいチーズの順番です。チーズを生地に練り込むより、最後に削ってのせる方がフィリピン式の見た目に近づきます。

見る点 現地の方向 日本の台所での落としどころ
生地 しっとりしたリッチな発酵生地 強力粉中心にして、こねすぎより温度管理を優先する
油脂 バター、ショートニング、店によって配合差がある 家庭では無塩バター中心。軽さを出したい時だけ一部をショートニングにする
チーズ ケソデボラ、チェダー系、店ごとの粉チーズ エダム、熟成ゴーダ、細く削ったチェダーで代替する
食べる場面 merienda、朝食、手土産、クリスマス時期 午後のコーヒー、ホットチョコレート、軽い朝食に寄せる
地域差 ブラカン、パンパンガ、マニラ圏で濃厚さやトッピングが変わる 初回はバター、砂糖、チーズの基本型にする
呼び方

英語やタガログ語圏では ensaymada と書くことが多く、スペインのマヨルカ式は ensaimada または ensaïmada と表記されます。この記事ではフィリピン式の菓子パンとして「エンサイマダ」と表記します。

塩卵をのせる版もありますが、最初の一回は入れません。塩卵を用意すると、読者の買い出しが急に重くなります。代わりに、仕上げのチーズを少し塩気のあるものにして、甘さと塩気の輪郭を作ります。

買い出し導線|チーズより道具をそろえる

めん棒、デジタル温度計、丸いセルクル、天板、オーブンシート、削ったチーズを並べたエンサイマダの道具
エンサイマダの買い出しで見る価値があるのは、温度、厚み、横広がりを安定させる道具です

粉、牛乳、卵、バター、チーズは近所のスーパーでそろいます。通販で見る価値があるのは、現地っぽい珍材料より、発酵と成形を安定させる道具です。甘い発酵生地は温度の影響を受けやすく、巻き込みの厚みが不ぞろいだと、焼いた時に片側だけふくらみます。

牛乳を35から38度Cにする時、焼き上がりの中心を93度C以上で見る時、細い温度計があると初回の不安がかなり減ります。肉料理にも使えるので、エンサイマダ専用の買い物にはなりません。

掲載商品は、複数の販売先を定期的に確認し、価格・内容量・レビュー傾向・購入しやすさを比較したうえで選定しています。

生地を薄くのばす工程は短いですが、ここで厚みが乱れると、渦の間にバターが偏ります。30cm前後のめん棒があると、10個分を同じ幅にしやすくなります。エンパナーダや東欧の粉ものにも回せます。

セルクルは必須ではありません。ただ、初回は横広がりを防げると、発酵の見極めに集中できます。型なしで焼く場合は、天板の上で10cm以上間隔を空けてください。

失敗原因|固い、横に広がる、香りが重い

発酵しすぎて平たいエンサイマダ、乾いて割れたエンサイマダ、うまく焼けたエンサイマダを並べた比較
エンサイマダの失敗は、粉の足しすぎ、発酵しすぎ、焼きすぎが見た目と食感に出ます

生地が固い

こね始めにべたつくからといって粉を足しすぎています。打ち粉は全体で15g以内にし、手につく分はカードで集めて戻します。焼き上がりが固い時は、次回は牛乳を10ml増やし、焼き時間を2分短くします。翌日だけ固い場合は、保存中の乾燥が原因です。

横に広がって高さが出ない

二次発酵が長すぎるか、成形で巻きがゆるすぎます。生地が1.5倍になり、押した跡がゆっくり戻るところで焼きます。セルクルやマフィン型を使うと、初回は横広がりを防ぎやすいです。型なしの場合は、ロープを巻く時に中心を少し高く置き、端を下へしっかり入れます。

中心だけ重い

焼き不足か、一次発酵が足りません。表面の色だけで止めず、中心93度C以上を確認します。オーブンの癖で上だけ色づく場合は、170度Cで18分にして、最後2分だけ180度Cへ上げると中心まで火が入りやすいです。

チーズの香りが強すぎる

ケソデボラや熟成チーズをたくさん使うと、塩気と香りが前に出ます。最初は1個12gまでにし、半量をチェダー、半量をエダムにすると穏やかです。粉チーズだけで仕上げると、香りが乾いた方向に寄るので、細く削れるチーズを混ぜてください。

食べ方|meriendaのパンとして組む

エンサイマダ、濃いホットチョコレート、塩卵を置いたフィリピンの午後の軽食卓
エンサイマダは午後の軽食として、濃いホットチョコレートやコーヒーと合わせやすいパンです

エンサイマダは、食後のデザートというより午後の軽食に向きます。甘さ、バター、チーズがあるので、一人1個で十分満足感があります。飲み物は、無糖のコーヒー、濃いホットチョコレート、紅茶が合います。フィリピンのクリスマス時期には tablea のチョコレートと合わせる話もよく見られますが、日本なら甘さ控えめのココアでも雰囲気は出ます。

合わせ方 食卓の方向 量の目安
コーヒー バターとチーズをすっきり流す エンサイマダ1個に対して無糖1杯
ホットチョコレート 甘い午後の軽食に寄せる 砂糖を控えめにしたものを小さめ1杯
塩卵 甘じょっぱさを強める 1個に薄切り1枚だけ
プト、クチンタ フィリピン菓子を並べる 各1切れずつ。全部を多くしない
アロスカルド 朝食寄りにする 粥を小椀にし、エンサイマダを半分にする

料理としての流れを作るなら、朝はしょうが粥のアロスカルドを少量、昼は麺のパンシット・カントン、午後にエンサイマダという並べ方が自然です。肉料理の後に出す場合は、レチョンカレカレの直後だと重いので、酸味のある果物や無糖の飲み物を置いてください。

保存と温め直し

エンサイマダを紙で包み保存容器に入れ、バターとチーズを別容器に分けている様子
エンサイマダは仕上げ前のパンと、バター、チーズを分けると翌日も香りが戻しやすいです

仕上げ前のパンは、完全に冷ましてから1個ずつ紙で包み、保存容器に入れます。常温は当日中、冷蔵は2日、冷凍は2週間を目安にします。仕上げバターとチーズをのせた後は冷蔵で翌日までです。チーズをのせたまま冷凍すると、解凍時に水分が出て表面がぼやけます。

温め直しは、仕上げ前ならトースターが向きます。アルミホイルをかぶせ、160度C相当で4から5分温め、最後にホイルを外して1分だけ表面を戻します。電子レンジなら600Wで15秒から20秒です。長くかけるとバターが抜けたような食感になるので、中心まで熱々にしない方が食べやすいです。

仕上げ済みを温め直す場合は、電子レンジ600Wで10秒だけにします。チーズとバターが少し柔らかくなれば十分です。温めすぎるとクリームが流れ、パンの底が油っぽくなります。

よくある質問

一次発酵を冷蔵庫で一晩にできますか?

できます。酵母を5gに減らし、こね上げた生地をすぐ冷蔵庫へ入れます。8から12時間置き、翌日30分室温に戻してから分割します。冷蔵発酵は香りが落ち着きますが、過発酵になると酸味が出るので、翌朝までに使い切る前提にしてください。

ケソデボラがありません。

エダム、熟成ゴーダ、チェダーで代替できます。日本で手に入りやすいプロセスチーズでも作れますが、細く削りにくく、表面で重くなりがちです。スライサーや細かいおろし器で薄く削れるチーズを選ぶと、少量でも見た目と塩気が出ます。

ショートニングを使わないと軽くなりませんか?

バターだけでも作れます。市販店のような軽さに寄せるなら、生地用バター90gのうち30gをショートニングに替える方法があります。ただし、家庭で最初に作るならバターだけの方が香りが分かりやすく、材料も残りにくいです。

型なしで焼けますか?

焼けます。天板に並べる時、10cm以上間隔を空け、二次発酵を1.5倍で止めます。型なしは横に広がりますが、渦の端を下に入れ、成形後すぐにオーブンシートへ移せば、家庭の菓子パンとして十分まとまります。

甘すぎる時はどこを減らしますか?

生地の砂糖は酵母の動きと焼き色にも関わるので、まず仕上げの粉砂糖を45gから30gへ減らします。次にグラニュー糖20gを省きます。チーズを減らすと甘さだけが残るので、甘さを控える時ほどチーズは少量残した方が食べやすいです。

主な参考リンク

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