黄金色に焼けたアルゼンチンのエンパナーダが木のまな板に並んでいる
🔪下準備30分
🔥調理25分
🍽️分量4
🌍料理アルゼンチン料理
中南米・カリブレシピ

エンパナーダの作り方|アルゼンチンの黄金パイ

35分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 具を赤く炒めて冷ます
STEP 11 / 4

具を赤く炒めて冷ます

所要時間15分+冷蔵30分

火加減/温度: 中火

フライパンにオリーブオイル 大さじ2を入れて中火で温め、玉ねぎを3分炒めます。透き通って甘い香りが出たら、赤パプリカを加えて2分。牛ひき肉 300gを入れ、木べらで粗くほぐしながら、赤い部分がほぼ消えるまで4分炒めます。

パプリカパウダー、クミン、塩、黒こしょうを加え、油が赤くにじむまで2分炒めます。火を止めてからグリーンオリーブとゆで卵を混ぜ、バットに広げて冷蔵庫で30分冷やします。温かい具を包むと生地がゆるみ、底が湿りやすくなります。

手順2: 生地を冷やして伸ばす
STEP 22 / 4

生地を冷やして伸ばす

所要時間10分+冷蔵30分+12分

火加減/温度: 火は使いません

ボウルに薄力粉 300gと塩を入れ、1cm角の冷たいバター 80gを指先でつぶしながら粉に混ぜます。全体が粗いパン粉状になったら、溶き卵、冷水60ml、酢小さじ1を合わせて加え、フォークで切るように混ぜます。

まとまったら台に出し、2から3回だけ折りたたんでラップで包み、冷蔵庫で30分休ませます。打ち粉をした台で厚さ3mmに伸ばし、直径12cmの丸型を12枚抜きます。端切れは強くこねず、重ねて押しのばすと硬くなりにくいです。

手順3: 具を置いて半月形に閉じる
STEP 33 / 4

具を置いて半月形に閉じる

所要時間20分

火加減/温度: 火は使いません

丸い生地の中央より少し手前に、冷えた具を大さじ1.5、約30g置きます。縁の内側5mmに水を薄く塗り、半分に折って空気を抜きながら合わせます。縁をフォークで押さえるか、端を少しずつ折り込んでレプルゲにします。

具を入れすぎると、包んだあとに裂けやすくなります。閉じたあと、縁の厚みが8mm前後あり、指で押しても湿った具がにじまない状態なら安定します。天板に並べる前に冷蔵庫で10分休ませると、バターが締まって形が残りやすくなります。

手順4: 高温で焼き切る
STEP 44 / 4

高温で焼き切る

所要時間20から25分

火加減/温度: 200℃

オーブンを200℃に予熱します。天板にオーブンシートを敷き、エンパナーダを間隔2cmで並べます。表面に溶き卵を薄く塗り、200℃で20から25分焼きます。10分で天板の向きを180度変えると、家庭用オーブンでも焼き色がそろいます。

焼き上がりは、表面がきつね色で、縁の折り目まで乾いている状態です。牛ひき肉の具は先に火を通していますが、食中毒予防の観点では中心が71℃以上になっていると安心です。焼きたては具が熱いので、5分置いてから食卓へ出します。

時間がない日は冷凍パイシートでも作れます。半解凍で直径12cmに抜き、具を少し少なめにして包みます。層が膨らみやすいので、縁は水ではなく溶き卵を薄く塗って閉じ、焼く前に冷蔵庫で10分休ませると破れにくくなります。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
6品目

生地(ディスコ)

材料 分量 代替・備考
薄力粉 300g 中力粉150gと薄力粉150gでも可
バター(冷たいもの) 80g 1cm角に切って冷蔵庫で冷やしておく
1個 生地のまとまりと色を出す
冷水 60ml 氷水がベスト
小さじ1 有塩バターを使う場合は小さじ3/4
小さじ1 グルテンの発達を抑えてサクサクに
10品目

フィリング(レジェノ・デ・カルネ)

材料 分量 代替・備考
牛ひき肉 300g 合い挽きでも可。本場は牛100%
玉ねぎ 1個(約200g) みじん切り
赤パプリカ 1/2個 みじん切り。なければ省略可
グリーンオリーブ(種抜き) 8個 4等分に切る。酸味と塩気の芯になる
ゆで卵 2個 粗みじん切り
パプリカパウダー 大さじ1 甘口。スモークタイプなら半量だけ置き換える
クミンパウダー 小さじ1 カレー粉では香りが別物になる
小さじ1 オリーブの塩気が強い場合は小さじ3/4
黒こしょう 小さじ1/4 挽きたてだと肉の香りが締まる
オリーブオイル 大さじ2 炒め用
1品目

仕上げ

材料 分量 代替・備考
卵(溶き卵) 1個 表面のツヤ出し用(エッグウォッシュ)
メモ

栄養情報(4人分のうち1人あたり・約3個)

カロリー480kcalのうち、タンパク質22gは牛ひき肉とゆで卵に由来します。脂質26gはバターを使う生地と肉の脂肪によるもの。炭水化物40gは薄力粉の生地が中心です。グリーンオリーブは少量でも塩気と酸味が強いので、入れすぎる前に味を見て調整します。

グリーンオリーブの入手先

日本のスーパーの缶詰・瓶詰めコーナーに種抜きグリーンオリーブが並んでいます。カルディ、成城石井、ジュピターなどの輸入食材店ではスペイン産マンサニージャ種も見つかります。赤ピーマン詰めのスタッフドオリーブを使うと、画像のように断面に赤い色が少し出ます。

アレルギー物質について

この料理には小麦、乳、卵が含まれます。乳アレルギーがある場合は、バターをラードまたはショートニングに置き換える方法があります。アルゼンチンでは牛脂やラードを使う地方もあるため、バターだけが正解ではありません。

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

Shopping

この料理の買い出し

買い出しガイド

買い出し導線|香りと生地の道具だけ足す

牛ひき肉、玉ねぎ、卵、薄力粉、バターは近所のスーパーで十分です。通販で見る価値があるのは、香りの骨格になるクミンとパプリカ、そして生地を3mmにそろえる麺棒です。オリーブはスーパーや輸入食材店で買えるため、商品カードではなく本文の買い出し説明に留めます。

クミンは少量でも肉の重さを切って、アルゼンチンの牛肉料理らしい乾いた香りを出します。カレー粉に置き換えると日本のカレーパン寄りになるので、まずは単体のクミンを使う方が味の方向がぶれません。

パプリカパウダーは辛さではなく、肉の具に赤い色と甘い香りを足す材料です。スモークタイプを全量にすると香りが強く出すぎるため、初回は甘口を基本にし、燻香を入れたいときだけ半量を置き換えます。

生地を円形に薄く伸ばす料理を続けるなら、麺棒は一本あると作業が安定します。エンパナーダのほか、クニッシュプラチンタにも使えるため、粉ものをよく作る家庭では出番が多い道具です。

掲載商品は、価格・在庫・レビュー傾向・入手しやすさを確認して選定しています。
GABAN クミンパウダー 65g
GABAN クミンパウダー 65g
リサーチ日時:2026-06-18
GABAN パプリカパウダー 80g
GABAN パプリカパウダー 80g
リサーチ日時:2026-06-18
貝印 めん棒(木製)30cm
貝印 めん棒(木製)30cm
リサーチ日時:2026-06-18
📊 栄養情報(1人分)
120
kcal
5.5g
タンパク質
6.5g
脂質
10.0g
炭水化物
0.5g
食物繊維
170mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

台所で半月形に閉じるアルゼンチンの味

玉ねぎを炒めた甘い匂いに、クミンとパプリカの赤い香りが重なる。そこへ牛ひき肉を入れると、台所が一気に南米の軽食屋のような空気になります。アルゼンチンのエンパナーダ(empanada)は、半月形の生地で具を包んで焼く、手で持って食べる小さな肉パイです。

スペイン語の「empanar」は、食材をパンや生地で包む感覚を持つ言葉です。イベリア半島からラテンアメリカへ渡った包み焼きは、アルゼンチンで牛肉、玉ねぎ、ゆで卵、オリーブ、クミンの香りをまとい、州ごとに別の顔を持つ料理になりました。

このページでは、牛ひき肉、グリーンオリーブ、ゆで卵を入れる焼きエンパナーダを、日本の家庭用オーブンで作りやすい形にしています。アルゼンチンでは生地の縁飾り「repulgue(レプルゲ)」で中身を見分ける店もありますが、最初はフォークで押さえても十分です。冷めた具を包み、200℃で一気に焼く。この2点を守るだけで、底が湿りにくく、持ったときに崩れない仕上がりになります。

エンパナーダの日

アルゼンチン北西部のトゥクマン州ファマイリャは、エンパナーダの祭りで知られる町です。全国で同じ味が一つだけあるというより、地方ごとの具、焼き方、縁の閉じ方を食べ比べる料理と考えると現地感がつかみやすくなります。

酸味のあるセビーチェを前菜にし、豆と肉のフェイジョアーダへつなぐと、南米の食卓が作りやすくなります。半月形の包み料理に興味があれば、ゆでて焼くピエロギや、肉汁を閉じ込めるヒンカリとも読み比べてください。

黄金色に焼けたエンパナーダが木のまな板に並んでいる
アルゼンチンのエンパナーダ。半月形の黄金パイを手でつまむ軽食に

調理のコツ

バターは必ず冷たいまま使う

エンパナーダの生地がサクサクに仕上がるかどうかは、バターの温度にかかっています。バターが溶けてしまうとグルテンと一体化し、サクサクではなくもっちりした食感になります。バターは使う直前まで冷蔵庫に入れ、1cm角に切ったら手早く粉に擦り込んでください。夏場は粉ごと冷蔵庫で冷やしておくと失敗しにくくなります。

揚げる方法もある

オーブン焼きが主流のブエノスアイレスに対し、アルゼンチン北部(サルタ、トゥクマン)では揚げエンパナーダもよく知られています。170℃の油で片面2から3分ずつ、きつね色になるまで揚げます。揚げると生地はより軽く割れ、具の香りも強く出ます。ただし吸油するため、食べ応えは焼き版より重くなります。

大量に作って冷凍する

エンパナーダは包んだ状態で冷凍できます。バットに並べて凍らせ、固まったら保存袋に移して2ヶ月を目安に使い切ります。焼くときは凍ったまま200℃のオーブンで28から30分。解凍せずに焼けるので、週末に多めに包んでおくと平日の食事に回しやすくなります。

さまざまなフィリングのエンパナーダ
牛肉、鶏肉、ハムとチーズ、ほうれん草など、具を替えたエンパナーダ

生地が軽く焼ける理由

エンパナーダの生地は、パイ生地ほど何度も折り込まなくても、冷たい脂を粉の中に残すことで軽く焼けます。

冷たいバターの塊が粉の中に点在した状態で生地を成形すると、オーブンの高温(200℃)でバターが溶けて蒸気を発生させ、その蒸気が生地を押し上げて薄い層を形成します。これが「サクサク」の正体です。バターが溶けた状態で粉と混ざってしまうと、この層構造ができず、硬くてもっちりした生地になります。

酢(小さじ1)は、生地を締めすぎないための補助です。グルテンが強く出ると弾力が増えて「パン」に近づいてしまうため、ここではこねる回数を少なくし、酸味が分からない程度の酢を入れて生地を扱いやすくします。

「ラード」を使う伝統版

アルゼンチンのレシピでは、バターの代わりにラード(豚の脂)や牛脂(grasa de vaca)を使う地域があります。特にサルタ州やトゥクマン州の揚げエンパナーダは、脂の香りが生地の印象を大きく変えます。日本のスーパーでもラードはチューブや箱で買えることがあるので、初回はバターの半量だけ置き換えると違いを比べやすいです。


アレンジと地域差

チキン(ポジョ)エンパナーダ

鶏むね肉 300gを茹でてほぐし、クリームチーズ 50gとみじん切りの青ねぎを混ぜたフィリング。牛肉版より軽く、冷めても食べやすい味になります。アルゼンチンの家庭料理では、牛肉版と鶏肉版を並べて好みで選べるようにする作り方もあります。

ハム&チーズ(ハモン・イ・ケソ)

薄切りハム 6枚とモッツァレラチーズ 150gを生地に包むだけ。フィリングの調理が不要な最も簡単なバリエーションです。子供のおやつやお弁当に重宝します。チーズが溶け出さないよう、縁をきっちり閉じてください。

ほうれん草&チーズ(ベルドゥーラ)

ほうれん草 200gを茹でて水気を絞り、みじん切りにしてリコッタチーズ 100g、卵 1個、ナツメグ少々と混ぜたフィリング。肉を使わない具にしたいときの選択肢で、乳製品のコクがあるので淡泊になりにくいです。

和風アレンジ

フィリングにカレー粉大さじ1を加えると「カレーパン風エンパナーダ」に。日本のカレーパンとアルゼンチンのエンパナーダは構造的にそっくりで、包んで加熱する発想は世界共通です。じゃがいもを加えてコロッケ風にするアレンジも面白いです。

味噌大さじ1と豚ひき肉で作ると、日本の惣菜パンに近い甘じょっぱさになります。ツナ缶とマヨネーズを使う場合は水分が出やすいので、パン粉 小さじ2を混ぜてから包むと底が湿りにくくなります。冷めても食べやすいサイズなので、翌日の昼食に回すなら味を少し濃いめにしておくとぼやけません。

デザート版(エンパナーダ・デ・ドゥルセ)

アルゼンチンではデザートとしてのエンパナーダも広く親しまれています。代表格は「エンパナーダ・デ・ドゥルセ・デ・メンブリージョ(マルメロジャムのエンパナーダ)」で、砂糖をまぶした生地にジャムを詰めて揚げたものです。日本では、りんごジャムやカスタードクリームを詰めて焼くアレンジが手軽に楽しめます。生地に砂糖大さじ2を追加し、シナモンをひとふりすれば、おやつにぴったりの甘いエンパナーダの完成です。


保存方法と日持ち

状態 保存方法 日持ち ポイント
焼く前(生) 冷蔵 当日中 生地が乾燥しないようラップで覆う
焼く前(生) 冷凍 2ヶ月 バットに並べて凍らせてからジップロックへ。焼くときは凍ったまま200℃で28〜30分
焼いた後 冷蔵 3日 密閉容器に入れる。再加熱はトースターで5〜8分(レンジ不可)
焼いた後 冷凍 1ヶ月 凍ったまま180℃のオーブンで10〜12分

多めに包んで冷凍する考え方は、日本で餃子を作り置きする感覚に近いです。冷凍した生のエンパナーダは解凍なしでそのままオーブンに入れられるため、忙しい平日の夕食やお弁当のおかずに回しやすくなります。


世界の包む料理と比べる

エンパナーダと構造的に似た「生地で具材を包んで加熱する料理」は世界中に存在します。

料理名 国・地域 共通点 違い
餃子 中国・日本 小麦粉の生地で肉を包む 蒸す・焼く・茹でる。サイズが小さい
カレーパン 日本 パン生地で肉を包んで揚げる イースト発酵生地。カレー風味
サモサ インド 三角形のパイに肉やじゃがいも スパイスが効いている。揚げが主流
パスティ イギリス 半月形のミートパイ 牛肉・じゃがいも・ルタバガが定番
ヒンカリ ジョージア 肉入り小籠包風 スープが中に閉じ込められている
ピエロギ ポーランド 半月形の詰め物料理 茹でてからバターで焼く
ブリック チュニジア 薄い生地で卵と肉を包む 春巻きの皮に近いブリック生地

こうして比べると、エンパナーダは「肉を詰めた半月形のパイ」というだけでなく、持ち運びやすく、冷めても食べられ、家族や店ごとの味を出しやすい料理だと分かります。日本で作るなら、餃子のように家族で包み、焼き上がったものから食卓へ出すと雰囲気が近づきます。


食材の入手ガイド

スパイス

スパイス 入手先 価格目安 備考
パプリカパウダー(甘口) スーパーのスパイスコーナー 15g 200〜300円 GABAN、S&Bが定番。スペイン産ピメントン・デ・ラ・ベラ(smoked paprika)があれば燻香が加わる
クミンパウダー スーパーのスパイスコーナー 15g 200〜300円 エンパナーダの風味の骨格。カレー粉で代用も可能だが、味の方向性が変わる
オレガノ(乾燥) スーパーのハーブコーナー 5g 150〜250円 フィリングの仕上げに少量入れると香りが乾いた印象になる

生地の材料

エンパナーダの生地に使う材料は全て日本のスーパーで揃います。薄力粉は日清「フラワー」や日本製粉「ハート」など標準的なもので十分です。バターは有塩・無塩どちらでも構いませんが、フィリングに塩味があるため無塩バターの方が調整しやすくなります。

市販の冷凍パイシートを使う場合は、ニップンの「パイシート」(2枚入り約350円)が扱いやすいです。1枚から直径12cmの丸型を4枚抜けるため、2枚で8個分。残りは自家製生地で補うのが経済的です。

グリーンオリーブの選び方と種抜きのコツ

グリーンオリーブはエンパナーダの味を決定する重要な食材です。日本のスーパーでは、瓶詰めの種抜きグリーンオリーブを缶詰・瓶詰め売り場で探すと見つかりやすいです。輸入食材店(カルディ、成城石井、ジュピター)ではスペイン産マンサニージャ種の大粒オリーブが手に入り、肉厚で風味が濃いのが特徴です。

「ブラックオリーブではダメか」とよく聞かれますが、ブラックオリーブはグリーンオリーブと風味が全く異なります。グリーンオリーブの爽やかな酸味と苦味がフィリングのアクセントになるため、ここだけは代替不可です。


栄養の見方

エンパナーダは「パイ生地と肉」の料理なので、軽いサラダや酸味のある副菜を横に置くと食べ疲れしにくくなります。手作りなら、肉の脂、バター量、塩気を調整できるのが利点です。

栄養素 4人分のうち1人あたり(約3個) 働き
タンパク質 約22g 牛ひき肉とゆで卵のダブルタンパク源
脂質 約26g バターの飽和脂肪酸とオリーブのオレイン酸。ラードに置き換えると飽和脂肪酸が増える
炭水化物 約40g 薄力粉の生地由来。全粒粉を1/3混ぜると食物繊維が増える
ビタミンE 少量 グリーンオリーブ由来。量は使うオリーブの種類で変わる
鉄分 含有 牛ひき肉由来。献立では豆や葉物野菜も合わせたい
ビタミンB群 含有 牛肉とゆで卵からB12、B6を摂取できる
カロリーを抑えるコツ

揚げずにオーブンで焼くと、油を吸わせずに仕上げられます。赤身率の高い牛ひき肉を使い、バターを60gに減らすと、全体の脂質は下げやすくなります。全粒粉を薄力粉の1/3量だけ混ぜると香ばしさが出ますが、入れすぎると割れやすくなるので初回は少量で試してください。


文化と歴史|州ごとに違うエンパナーダ

14の州、14の味

アルゼンチンのエンパナーダは、州ごとに具、脂、閉じ方、加熱方法が変わります。日本の餃子が家庭や地域で少しずつ違うように、エンパナーダも「どれが本物か」ではなく、「どの土地の作り方に寄せるか」で考えると分かりやすい料理です。

地域 具と焼き方の傾向 日本で再現するときの見どころ
サルタ州 じゃがいも、唐辛子、青ねぎを入れ、揚げる型がよく知られる 具を細かくして辛味を少し足すと雰囲気が出る
トゥクマン州 肉を細かく切り、クミンやパプリカを効かせる ひき肉ではなく牛切り落としを粗く刻んでもよい
メンドーサ州 牛肉、オリーブ、甘口パプリカの組み合わせが作りやすい このページのレシピに近い。オリーブの酸味が要になる
コルドバ州 甘じょっぱい方向に寄る型もある 生地に砂糖を小さじ1だけ入れると食べやすい

エンパナーダとアルゼンチンの国民性

サッカー観戦、家族の集まり、持ち寄りの軽食でエンパナーダが出てくる場面を想像すると、この料理の立ち位置がつかみやすくなります。ナイフとフォークを並べる料理ではなく、手で持ち、何個か食べ比べながら会話が進む料理です。日曜日にまとめて包む家庭の感覚は、日本の餃子作りにも近いものがあります。

ブエノスアイレスでは、エンパナーダ専門店やパン屋、食堂で焼きたてを買える場面があります。昼食に2から3個を選んで飲み物を合わせる食べ方は、きちんとした食事と軽食の間にある、日常の速いごはんです。

レコンキスタからパンパスへ

エンパナーダの歴史をさらに遡ると、8世紀のイベリア半島に辿り着きます。ムーア人(北アフリカから侵入したイスラム系民族)がスペインに持ち込んだ「サンブーサク(sambusak)」と呼ばれるミートパイが、キリスト教勢力による「レコンキスタ(国土回復運動)」を通じてスペイン全土に広まりました。

13世紀のスペインの料理書にはすでに「エンパナーダ」の記載があり、パン生地で肉や魚を包んで焼く料理として定着していたことがわかります。16世紀のスペイン植民地化とともに南米に持ち込まれたエンパナーダは、現地の食材(じゃがいも、トウモロコシ、トウガラシ)と融合し、各地域で独自の進化を遂げました。

アルゼンチンだけでなく、チリ、コロンビア、ベネズエラ、エクアドルにもそれぞれのエンパナーダがあります。チリでは大きめに作り、玉ねぎの甘みを活かした「ピノ」と呼ばれる具を包む型が知られます。コロンビアやベネズエラでは、トウモロコシ粉を使う揚げタイプが広く食べられ、小麦粉で焼くアルゼンチン版とは食感がかなり変わります。同じ名前でも、生地の粉、油、具の切り方まで違うので、食べ比べると南米の広さが見えてきます。

エンパナーダの「閉じ方」で出身地がわかる

アルゼンチン人の間では「エンパナーダのレプルゲ(縁飾り)を見れば出身地がわかる」と言われています。ブエノスアイレスは「13折り」、サルタは「三つ編み型」、トゥクマンは「8折り」が伝統的です。フィリングの種類(牛肉、鶏肉、チーズ)ごとに異なるレプルゲを使い分ける習慣もあり、大皿に並んだエンパナーダの中身を手に取る前に判別できるようにしています。これはヒンカリのヒダの数で蒸し上がりを判断するジョージアの習慣と通じるものがあります。

アルゼンチンの屋台でエンパナーダを販売する風景
ブエノスアイレスのエンパナーダ屋台。ガラスケースの中に並ぶ黄金色のパイは食欲をそそる

よくある質問

南米料理をもっと楽しみたい方へ

エンパナーダを主役にする日は、酸味のあるセビーチェを前菜に置くと、肉とバターの重さが切れます。翌日に豆と肉のフェイジョアーダへつなげば、南米料理の流れを作れます。包む料理として比べるなら、東欧のハチャプリヒンカリピエロギも近い読み物になります。

Q1. 生地がサクサクになりません。原因は?

最も多い原因は、バターが溶けてしまったことです。バターは必ず冷たいまま使い、生地をこね過ぎないでください。酢を小さじ1加えるとグルテンの発達が抑えられ、サクサク感が増します。もう一つの原因は焼き温度の低さ。200℃でしっかり焼くことで、バターが蒸発してサクサクの層を作ります。

Q2. フィリングの水分が多くて包みにくいです。

玉ねぎから出る水分が原因です。炒めた後にバットに移して冷ます際、ペーパータオルを敷くと余分な水分を吸ってくれます。また、冷蔵庫で30分冷やすとフィリングが引き締まり、包みやすくなります。パン粉を大さじ1混ぜて水分を吸わせるのも有効な方法です。

Q3. 子供向けのフィリングは?

ハムとチーズは、調味料をほとんど使わずに作れるため、スパイスが苦手な子どもにも出しやすい具です。コーンの缶詰を混ぜた「チョクロ(コーンとチーズ)」は甘みが出ます。肉だねを別方向に広げるなら、キョフテのような香りの強いひき肉だねを少量だけ包むと、同じ半月形でも印象が変わります。

Q4. 焼いたエンパナーダの保存方法は?

冷蔵で3日、冷凍で1ヶ月保存可能です。再加熱はトースターまたは180℃のオーブンで5〜8分が最適です。電子レンジだと生地がしんなりしてしまいます。冷凍した場合は解凍せず、凍ったまま180℃で10〜12分焼いてください。


食卓へ出すときの組み立て

エンパナーダは、焼き上がった天板ごと食卓に出して、熱が落ち着いたものから手で取る料理です。主菜にする日は、酸味のあるサラダ、レモンを搾ったセビーチェ、豆の煮込みを横に置くと、肉と生地だけで重くなりません。

週末に包んで冷凍しておけば、平日は凍ったままオーブンへ入れられます。餃子をストックする感覚に近いので、牛肉版を基本に、鶏肉、ハムとチーズ、ほうれん草とチーズを少しずつ混ぜると飽きません。南米料理まとめで各国の料理を見ながら、次はトウモロコシ粉のエンパナーダや、ボリビアのサルテーニャへ進むと違いが分かりやすくなります。


主な参考リンク

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