切り分けた白切鶏に、鶏油ごはん、しょうがにんにくの熱だれ、すだちの酢たれ、澄んだスープを添えた海南島の鶏飯の一皿
🔪下準備30分
🔥調理1時間10分
🌍料理中国・海南料理

文昌鶏飯の作り方|海南島の白切鶏と鶏油ごはん

約16分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

塩をすり込む(10分)

手順1: 塩をすり込む(10分)

塩小さじ1を皮と肉の面全体にすり込み、10分置きます。塩粒がなじんで表面がしっとりしたら次へ進みます。鶏を入れる湯には塩を入れません。

STEP 22 / 6

ごく弱い沸騰で茹でる(20〜25分+余熱15分)

手順2: ごく弱い沸騰で茹でる(20〜25分+余熱15分)

沸いた湯に鶏としょうがの薄切りを入れ、火を極小に落としてふたをし、煮立たないごく弱い沸騰を保ちます。20〜25分茹でて火を止め、ふたをしたまま15分置きます。この時間は家庭向けに調整したもので、試作前の目安です。時間はあくまで目安なので、厚い部分の中心温度が75℃で1分以上あるかを温度計で確認してください(厚生労働省の目安)。足りなければ弱火で5分ずつ追加します。

STEP 33 / 6

取り出して締め、茹で汁を分ける(15分)

手順3: 取り出して締め、茹で汁を分ける(15分)

鶏を取り出したら、まず厚い部分の中心75℃・1分以上の確認を済ませます。次に氷水に15分浸けて皮を引き締め、水気を切ります。茹で汁はざるでこし、次のように分けます。

- ごはん用:400ml

- だれ用:120ml(表面の油分ごと)

- スープ用:残り

STEP 44 / 6

鶏油ごはんを炊く(炊飯器で約40分)

手順4: 鶏油ごはんを炊く(炊飯器で約40分)

鶏皮40gを鍋に入れ、弱火で5分ほどかけて脂を出します。しょうがとにんにくをさっと炒めて香らせ、米を加えて2〜3分、粒が透き通るまで炒めます。炊飯器に移し、茹で汁400mlと塩小さじ1/2を加え、目盛りよりやや少なめの水加減で炊きます。炊き上がるまで混ぜません。

STEP 55 / 6

熱だれ・すだち酢たれ・スープを作る(15分)

手順5: 熱だれ・すだち酢たれ・スープを作る(15分)

- 熱だれ:耐熱ボウルのにんにくとしょうがへ、表面の油分を含む熱々の茹で汁120mlを注ぎ、塩少々で整えます。にんにくとしょうがの香りが立ち、具がしんなりとするまで1〜2分置いてなじませます。

- すだち酢たれ:すだち大さじ2、赤唐辛子1本、しょうが10g、にんにく1片、ごま油小さじ1、塩ひとつまみを混ぜます。

- スープ:茹で汁の残りに冬瓜200gを加えて10分煮て、塩と白こしょうで整えます。冬瓜が透き通って箸で簡単に刺さる柔らかさになったら完成です。冬瓜スープは家庭向けのアレンジです。

STEP 66 / 6

切って盛り付ける(8分)

手順6: 切って盛り付ける(8分)

鶏は骨に沿って外し、皮を上にして1.5〜2cm幅に切ります。皿に鶏油ごはん、鶏、きゅうりを並べ、熱だれとすだち酢たれを小皿に添えます。スープは小碗で出します。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

骨付き鶏もも肉、ジャスミンライス、しょうが、にんにく、すだち、赤唐辛子、冬瓜を台所に並べた様子
茹でるもの、炊くもの、たれにするものに分けると、買い出しも工程も迷わない

骨付き鶏もも肉(皮付き)4本で作る、家庭向けに調整した標準レシピです。塩は茹で湯に入れず鶏にすり込むので、茹で湯は無塩のまま。茹で汁はごはん用400ml、だれ用120ml、残りをスープに分けて使い切ります。表示している栄養値は、この材料構成から計算した1人あたりの概算で、実測値ではありません。

4品目

鶏とゆで汁

材料 分量 下処理
骨付き鶏もも肉(皮付き) 4本(約1.2kg) 皮は外さず使う。余分な鶏皮40gはごはん用に取る
塩 小さじ1 鶏にすり込む
水 2L —
しょうが 10g 皮付きの薄切り。茹で湯へ入れる
6品目

鶏油ごはん

材料 分量 下処理
ジャスミンライス 2合(約300g) 洗って水気を切る
鶏の茹で汁 400ml こしたもの
鶏皮 40g 鶏肉から外したもの
しょうが 15g みじん切り
にんにく 1片 みじん切り
塩 小さじ1/2 茹で汁の塩気を見て調整
4品目

熱だれ(熱々の茹で汁を注ぐだれ)

材料 分量 下処理
にんにく 2片 みじん切り
しょうが 15g すりおろす
鶏の茹で汁 120ml 表面の油分をすくって使う
塩 少々 —
6品目

すだち酢たれ

材料 分量 下処理
すだち 2個(大さじ2) 絞る。なければ金柑・ゆず・ライムの果汁大さじ2
赤唐辛子 1本 みじん切り。辛さ控えめなら種を取る
しょうが 10g みじん切り
にんにく 1片 みじん切り
ごま油 小さじ1 —
塩 ひとつまみ —
補足 茹で汁は三つに分けて使い切る

茹で汁は、こしてからごはん用400ml・だれ用120ml(表面の油分ごと)・スープ用の残りに分けます。先に配分を決めておくと、各工程で迷わず進められます。

4品目

スープと添え物

材料 分量 下処理
鶏の茹で汁 残り こしたもの
冬瓜 200g 皮をむいて一口大。大根でも可
塩・白こしょう 各少々 —
きゅうり 1本 斜め薄切り。省略可
注意 食品安全と下ごしらえ

食肉は、中心部を75℃で1分間以上加熱するのが食中毒予防の目安です(厚生労働省)。生の肉の汁が、生で食べるものや調理済みの食品にかからないように分けてください。生肉を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけます。調理を途中でやめるときは冷蔵庫に入れ、再開するときは十分に加熱してください。

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栄養情報 1人分の目安
188kcal
エネルギー
10.3g
タンパク質
7.5g
脂質
20.5g
炭水化物
0.5g
食物繊維
325mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

川沿いの食堂で、一羽まるごとが湯に沈む

文昌風の食堂で鍋から茹でた丸鶏を引き上げる場面

川沿いの食堂の厨房では、薪火にかけた鍋の湯が静かに揺れています。Saveur誌が2016年に文昌を訪ねて記録した昼どきには、腔に塩としょうがをすり込んだ鶏がこの湯に沈められ、引き上げられた鶏に包丁が入って一羽まるごとが二口大に切り分けられ、しょうが・にんにく・赤唐辛子・ごま油にカラマンシー汁を合わせたたれが添えられます。大皿には切り分けた茹で鶏、鶏の脂で炊いたごはん、たれの小皿が並びます。

文昌鶏(簡体 文昌鸡/繁体 文昌雞)は、海南島・文昌生まれの鶏の品種であり、その鶏を使った料理の名でもあります。椰子の実や落花生の搾りかすを食べて育つ鶏で、肉が柔らかく、脂ののりが持ち味です。この鶏を茹で、茹で汁で炊いた米飯と合わせた皿は「鶏飯」と呼ばれ、海南では文昌鸡饭と書かれます。タイのカオマンガイも、シンガポールの海南チキンライスも、この鶏飯のふるさとから広がった姉妹皿にあたります。

日本の台所で作るには、二つ越えたい山があります。一つは鶏そのもので、文昌鶏は日本のスーパーには並びません。そこで穀物飼育の銘柄鶏で代用します(SBSのレシピも、コーンフェッド鶏への代替を挙げています)。もう一つは火加減です。茹ですぎると、脂ののった皮としっとりした肉という白切の良さが消えてしまうので、茹ですぎが最大の敵です。ごく弱い沸騰と余熱、そして中心温度の確認で防ぎます。この記事では骨付き鶏もも4本(約1.2kg)で家庭版を組み、丸鶏の作り方はFAQで補います。

皿は、鶏、鶏油ごはん、たれ二皿、澄んだスープという四つの部品でできています。タイ版は発酵大豆の一皿だれ、シンガポール版は三種だれですから、たれが二皿というのがこの皿の個性です。一羽分の茹で汁は、ごはんを炊く分、たれを作る分、スープにする分と、三回に分けて使い切ります。


鶏飯のふるさと、椰子を啄む鶏と南洋へ渡った食卓

文昌の食堂風の食卓に並ぶ、切り分けた茹で鶏と鶏油ごはん
切り分けた茹で鶏を大きい皿にのせ、たれの小皿を横に並べるのが鶏飯の食卓の形

海南島は中国最南端の島で、文昌はその北東にあたる町です。米国の料理誌Saveurが文昌の農場で確かめた飼育の記録によると、文昌鶏は放し飼いで、椰子の実を啄む鶏です。椰子の実のほか、米、落花生の搾りかす(ピーナッツケーキ)、山芋も食べて育ちます。SBSの紹介では、飼料にとうもろこしとさつまいももあがっています。成鶏は約1.4kg(約3ポンド)で、アメリカのブロイラー(4ポンド超)より小ぶりです。Saveurの食べた記述では、皮は黄色みを帯びて脂ののりがよく、プルッとした食感があるそうです。

文昌鶏は、SBSのレシピ紹介文で海南の四大名菜(four famous delicacies)の一つとされています。伝統的な調理法は白切と呼ばれるゆで仕立てで、ほぼ沸騰の湯に浸けて柔らかさを保ち、しょうが・にんにく・塩のたれで食べます。

とはいえ、茹でが好まれる一方で、白切だけが正解ではないのも土地の面白さです。Saveurの取材記録には、茹でた鶏を落花生油とダークソイで炒める揚げ版や、塩の山に埋めて焼く塩焗鶏も現地にあると記されています。同誌は2016年に文昌を訪ね、1927年から続くと語る鶏飯の食堂の店主、Sung Shen Mei氏の話を伝えています。現地の皿には、鶏の血の固まりや砂肝が並ぶこともあるそうですが、家庭版では省いてかまいません。

19世紀から20世紀にかけて、海南からは多くの人が南洋(シンガポール、マレーシアなど)へ渡り、飲食や宿泊の仕事に就く人が多くいました。SaveurやSBS FoodのDuncan Luの記事によれば、文昌鶏飯は島を出てから海南鶏飯として各地で発展しています。鶏飯は島を出て咲いたのです。シンガポールでは海南チキンライスとして国民食に育ち、タイではカオマンガイの名で定着しました。SBS FoodのDuncan Luの記事は、ベトナム南部にもコームガー・ハイナムの系統があると伝えています。茹で鶏のスープを麺でいただくフォーガーも、鶏のゆで汁を大切にするベトナムの鶏料理です。

豆知識 白切と鶏飯の名前

白切は「白いまま切る」の意で、色をつけずに茹でて切る調理法の呼び名です。文昌鶏飯は中国語で文昌鸡饭と書き、海南鶏飯(海南雞飯/海南鸡饭)は島を出てからの呼び名です。タイのカオマンガイは「鶏脂ごはん」の意で、鶏飯の文化は各地の言葉で名前を変えながら広まっています。

豆知識 カラマンシーという柑橘

カラマンシーは、ライムと金柑の中間のような香りの小さな柑橘です。Saveurによると、文昌の食堂では酢の代わりにたれへ絞ります。SBSのレシピはカラマンシーの代わりに金柑を挙げ、カラマンシーと唐辛子を塩で2週間漬けた保存だれも紹介しています。日本ではすだち、金柑、ゆず、ライムで代用できます。酸味の尖りが違うので、まず少なめから足してください。


失敗したときの直し方

切り分けた茹で鶏の断面
皮がつやを帯び、断面の肉汁が透明なら白切の完成状態

白切の失敗は、鶏・米・だれの三つに分けて直せます。失敗の多くは火加減と水分に集まっていて、直す場所は鍋の火加減、茹で汁の量、だれの油分の三箇所にほぼ絞られます。

鶏が硬い、皮が破れる

原因は煮立てです。強火でぐらぐら沸かすと、肉が縮み、皮も破れます。湯を落としてごく弱い沸騰に戻し、煮立てず余熱で置く時間を確保してください。中心温度を確かめ、足りなければ弱火で5分ずつ足します。

米がべたつく

原因は、茹で汁の量と米の水切りの不足です。炊き上がったらすぐ釜底からほぐし、次回は茹で汁を大さじ1減らします。日本米で作ると粘りやすいので、水分を減らし、炒めてから炊く工程は省かないでください。

だれが水っぽい

原因は、油分を含まない茹で汁を使ったことです。茹で汁の表面から油ごとすくい直すと戻ります。脂が足りなければ鶏脂小さじ1を足します。塩は注いだ後に味見して足してください。先に足すと、油が少ないときに塩辛くなります。

すだちが手に入らない、柑橘が苦い

カラマンシー果汁、金柑(SBSのレシピが挙げる代替)、ゆず、ライムで代用できます。苦味は種と皮に多いので、搾る前に種を外し、すだちは房ごと絞らないようにします。酸味が強すぎる日は、大さじ1から足して味を見てください。


残りは分けて保存し、翌日までおいしく

鶏、鶏油ごはん、たれ、スープを分けた保存容器
鶏・米・たれ・スープを分けると、翌日の食卓が一気に楽になる

鶏、米、たれ二種、スープは、一つの容器にまとめず分けて早く冷やすのが基本です。粗熱が取れたら浅い容器に小分けして、早く冷やします(厚生労働省)。英国FSAは、調理後1〜2時間以内に冷蔵庫へ入れるよう勧めています。冷蔵庫は0〜5℃が目安で、残り物は48時間(2日)以内に食べ切るか冷凍します(FSA)。まな板と包丁は熱湯で仕上げます(厚生労働省)。

温め直すときは、中心まで75℃以上に加熱します(厚生労働省)。鶏は茹で汁大さじ2をかけてふんわり温め直し、米は霧吹き程度の水分で温めます。たれは清潔なスプーンで取り分け、早めに使い切ってください。茹で汁が余ったら冷凍して、炒め物の出汁に使えます(SBS FoodのDuncan Luのレシピの応用)。冷やしたまま薄切りにして、たれときゅうりでサラダ風に食べる方法もあります。こちらは加熱し直す日とは分けてください。

翌日は揚げ版で

翌日は揚げ版で。文昌では、茹でた鶏を落花生油とダークソイで炒める揚げ版があります(Saveurの取材記録)。家庭では、残りの鶏を一口大に切り、落花生油(またはサラダ油)大さじ2を熱して、皮の面から2〜3分焼き、ダークソイ大さじ1を回し入れて絡めます。分量は家庭向けの目安です。皮の縁がパリッとして、ソイの甘じょっぱさが香ったら完成です。

三兄弟との食べ比べ

鶏飯の姉妹皿は、たれの数で食べ分けると違いがよく分かります。添えは、きゅうりと澄んだスープで十分です。濃い炒め物を足すより、酸味のある小皿のほうが鶏飯によく合います。

食べたい方向 合う記事 たれの性格
三種のだれを一口ごとに変える 海南チキンライス チリ・生姜・ダークソイを別々に添える
発酵大豆の濃いたれで淡い鶏を起こす カオマンガイ タオチオ・しょうが・酢の力強さ
茹で汁を麺でいただく フォーガー 鶏の香りを汁に回す

よくある質問

すだち酢たれを茹で鶏にかける
たれは鶏に先、米に後。一口ごとに味が変わる

Q1. 丸鶏で作れますか?

作れます。SBSの原配合は、1.7kg前後の丸鶏2羽を45分茹でます。日本の家庭なら、約1.3kgの丸鶏で35〜40分と余熱15分が目安です。腔に塩としょうがをすり込みます(文昌の食堂のやり方。Saveurの記録)。中心75℃の確認は、骨の付け根など厚い部分で行います。温度計があると安心です。

Q2. 文昌鶏は手に入りますか?

日本のスーパーに文昌鶏は並びません。穀物飼育(コーンフェッド)の鶏が代用として近いとされています(SBSのレシピの注記)。穀物飼育の鶏が代用になり、選ぶときは皮付きで脂ののりのある骨付き肉を。皮の脂としっとりした肉が、白切の要です。銘柄鶏が選べる日は、茹で時間を短めにして状態を見ながら足すほうが失敗しにくくなります。

Q3. 茹で汁は全部使うのですか?

こした茹で汁を、ごはん用400ml、たれ用120ml、残りをスープ用に分けて使います。たれ用は表面の油分ごとすくい、スープ用は澄んだ中央部を使います。余った茹で汁は冷凍保存して、炒め物の出汁に使えます(SBS FoodのDuncan Luのレシピの応用)。

Q4. カオマンガイと何が違いますか?

たれの数が違いの核心です。文昌鶏飯は熱だれと、柑橘を酢の代わりにした二皿。カオマンガイはタオチオ(発酵大豆)の一皿だれです。米は、文昌鶏飯が鶏脂・しょうが・にんにく・塩だけで炊くのに対し、カオマンガイも鶏油米ですが香り付けの配合が違います。氷水は、海南では省く流儀もあります。詳しい食べ比べはカオマンガイの記事でどうぞ。

主な参考リンク

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