濃い茶色のとろりとしたソースで煮込んだ牛肉と玉ねぎのハシェーを、マッシュポテトと赤キャベツと盛り合わせた皿
🔪下準備15分
🔥調理3時間
🌍料理オランダ料理

ハシェーの作り方|オランダの牛肉と玉ねぎの酢入り煮込み

約12分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 5

牛肉に小麦粉をまぶす(約5分)

手順1: 牛肉に小麦粉をまぶす(約5分)

牛肉を3〜4cm角にそろえ、こしょう少々と小麦粉大さじ1をまぶします。表面全体に薄く粉がつき、白い粉の塊が残っていない状態にします。玉ねぎは繊維に沿って薄切りにしておきます。

STEP 22 / 5

玉ねぎを茶色く炒める(約12分)

手順2: 玉ねぎを茶色く炒める(約12分)

厚手の鍋にバター大さじ1を中火で溶かし、玉ねぎを炒めます。はじめの5分はしんなりするまで、そのあとは火をやや弱めて、ときどき混ぜながら7分ほど。全体が薄い茶色に色づき、甘い香りが立ったら、いったん取り出します。焦げた部分ができると苦みが出るので、鍋底が茶色くなってきたら火を弱めてください。

STEP 33 / 5

牛肉を強火で焼く(約5分)

手順3: 牛肉を強火で焼く(約5分)

同じ鍋に残りのバター大さじ1を加えて強火にし、牛肉を重ならないように並べます。1分ほど動かさずに焼き、面ごとに返して、全体にこんがりと焼き色をつけます。鍋が小さければ2回に分けてください。肉を詰め込むと温度が下がり、焼けずに水分が出てしまいます。中まで火を通す必要はありません。

STEP 44 / 5

酢とスパイスを加えて煮込む(2時間半〜3時間)

手順4: 酢とスパイスを加えて煮込む(2時間半〜3時間)

玉ねぎを鍋に戻し、つぶした黒こしょう、クローブ、カルダモン、ローリエ、崩したスパイスケーキ、ブイヨン400ml、赤ワインビネガー大さじ3を加えます。鍋底の焼き色をへらでこそげながら混ぜ、スパイスケーキが溶けてソースが少しとろりとしてきたら、沸いたところでふたをして、ごく弱火にします。表面がときどきぽこっと泡立つくらいの火加減で、2時間半から3時間煮ます。30分おきに鍋底から混ぜ、水分が減りすぎたら湯を少し足してください。

STEP 55 / 5

とろみを見て仕上げる(約10分)

手順5: とろみを見て仕上げる(約10分)

肉にフォークを刺してほろりとほぐれれば、煮込みは終わりです。ソースがさらさらしているときは、ふたを外して10分ほど煮詰めます。へらで鍋底をなぞったとき、跡がゆっくり戻るくらいのとろみが目安です。塩で味を整え、クローブ、カルダモンのさや、ローリエを取り出します。

牛肉を焼くときと、酢を入れたあとの最初の加熱では、油や湯気がはねます。酢の湯気は目にしみやすいので、顔を鍋に近づけすぎないでください。また、スパイスケーキやパンを使うため、小麦のアレルギーがある方は注意してください。

酢を入れた直後は酸っぱさが強く感じますが、煮込むうちに角が取れていきます。味見は1時間以上煮てからにして、それでも酸っぱければ黒砂糖を小さじ1ずつ足してください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

ハシェーに使う牛肉、玉ねぎ、ワインビネガー、クローブ、カルダモン、ローリエ、スパイスケーキ

Coquinariaのレシピをもとに、日本で買いやすい材料に置き換えた家庭向けの配合です。

12品目

煮込み

材料 分量 代替・備考
牛肉(煮込み用) 500g 肩ロース、すね、バラなど。3〜4cm角
小麦粉 大さじ1 肉にまぶす
玉ねぎ 2個 薄切り
バター 大さじ2 玉ねぎ用と肉用に分ける
スパイスケーキ(ontbijtkoek) 60g(2〜3切れ) 手に入らなければパンデピス。ライ麦パン60gに黒砂糖小さじ2を足す方法は家庭向けの代用
粒黒こしょう 小さじ1/2 粗くつぶす
クローブ 3個 ホールのまま
カルダモン 2粒 さやに切れ目を入れる。パウダーなら少々
ローリエ 1枚
ビーフブイヨン 400ml 固形ブイヨンを湯で溶いたものでよい
赤ワインビネガー 大さじ3 白ワインビネガーでもよい
塩 小さじ1/2〜 ブイヨンの塩気を見て加減
5品目

付け合わせ

材料 分量 代替・備考
じゃがいも 1kg 粉質のもの(男爵など)がつぶしやすい
バター 大さじ1
牛乳 200ml前後 ゆで汁で代えてもよい
ナツメグ 少々
赤キャベツの甘酢煮 適量(4人分で400g前後) 瓶詰めの赤キャベツ(ロートコール)が手軽

いちばん手に入りにくいのは、オランダのスパイスケーキです。ライ麦粉とはちみつ、シナモンやクローブなどのスパイスで焼いた、どっしりとしたケーキで、オランダでは朝食にバターを塗って食べます。日本では輸入食材店でフランスのパンデピスが見つかることがあり、これがいちばん近い代わりになります。ない場合はライ麦パンと黒砂糖で、とろみとほのかな甘みだけでも補うと、ソースの印象がずいぶん近づきます。クローブ、カルダモン、ローリエはスーパーのスパイス売り場や通販でそろいます。

コツ

クローブはごく少量でも香りが強いスパイスです。3個を超えて入れると、ソースが薬っぽくなります。ホールのまま入れて、食べる前に取り出せるようにしておくと、香りの加減がしやすく、口に当たることもありません。


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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

玉ねぎがバターの中でゆっくり色づき、牛肉が焼ける音がして、そこへワインビネガーを注いだ瞬間、つんとした酸っぱい湯気が台所に立ちのぼります。ふたをして弱火にかけ、2時間、3時間。酸っぱさの角は消え、玉ねぎは溶けてソースの一部になり、クローブとローリエの香りをまとった濃い茶色の煮込みが残ります。オランダの冬の食卓に並ぶハシェー(hachee)です。

材料は牛肉と玉ねぎ、それに酢とスパイス。どこの家にもある材料ばかりですが、酢で煮て肉をやわらかくするという古い知恵が、この料理の味を決めています。添えるのはマッシュポテトと赤キャベツ。オランダの人にとっては、寒い日の夕食を思い浮かべる組み合わせのひとつです。

刻んだ肉の煮込みから、冬の定番へ

冬のオランダの家庭の台所で、鋳物の鍋に入ったハシェーを煮込む様子

ハシェーという名前は、フランス語の動詞hacher(刻む、細かくする)の過去分詞hachéeから来ています。もともとは調理した肉を刻み直して煮込んだ料理で、鍋で煮た肉の残りを、手元にある野菜と一緒にもう一度煮ることから始まったと考えられています。かたくなった肉をやわらかくするためにワインや酢を加えた、という説明もあります。中世の宴の料理として「ハシェー」の名が出てくることはあるものの、当時の作り方は記録に残っていないことが多いようです。

レシピとしてたどれる古い例のひとつが、19世紀半ばのオランダで出版された家政書『ベチェ、倹約の台所女中(Betje, de goedkoope keukenmeid)』です。オランダの食文化史を扱うサイトCoquinariaを運営するクリスティアネ・ムーサースによると、1850年の初版、1851年ごろの第2版に載るハシェーは、冷めた調理済みの牛肉を角切りにして、玉ねぎ、黒砂糖、こしょう、粉のクローブ、塩、じゃがいもでんぷん、そして酢か赤ワインと一緒に約3時間煮るものでした。残り物の肉を使う倹約料理だったことが、レシピからもよく分かります。

豆知識

いまのオランダでは、朝食に食べるライ麦のスパイスケーキ(ontbijtkoek、peperkoek)を崩してハシェーのソースに入れる作り方がよく知られています。ケーキがソースに溶けてとろみをつけ、ほのかな甘みとスパイスの香りを足してくれます。リンゴのシロップ(appelstroop)を加える作り方もあります。

今のハシェーは、残り物ではなく生の煮込み用の牛肉から作るのが一般的です。オランダ在住外国人向けの情報サイトは、ハシェーを「肉や魚、鶏と野菜を、酢、クローブ、ローリエで濃いグレイビーに煮込んだもの」と紹介しています。基本の形は変わらず、牛肉と玉ねぎを酢とスパイスで長く煮ること。酸味、甘み、スパイスの3つがそろってはじめてハシェーらしくなるので、どれかひとつを省かないのが日本で作るときのコツです。ムーサースはこの味わいを、酢とスパイスケーキのせいで「ほとんど中世の料理のような」風味と表現しています。


マッシュポテトと赤キャベツを添えて

じゃがいもをつぶしてバターと牛乳でなめらかにするマッシュポテト

ハシェーの付け合わせには、マッシュポテトと赤キャベツがよく合います。じゃがいも1kgの皮をむいて同じ大きさにそろえ、塩を入れた水からゆでます。15〜20分でフォークがすっと通るようになったら湯を捨て、ゆで汁を少し取っておきます。熱いうちにつぶし、バター大さじ1と、温めた牛乳かゆで汁を少しずつ加えて、なめらかになるまで混ぜます。こしょうとナツメグで香りをつければでき上がりです。マッシュポテトは冷めるとかたくなるので、ハシェーが煮上がる時間に合わせてつぶすのがコツです。

赤キャベツは、オランダでもりんごと一緒に甘酸っぱく煮込むのが定番です。日本では瓶詰めの赤キャベツの酢漬け(ドイツのロートコール)が輸入食材店で手に入り、温めるだけで添えられます。ハシェーの濃い茶色のソースとマッシュポテトの白、赤キャベツの紫が並ぶと、皿の上で色の対比が生まれ、オランダの冬の食卓らしい一皿になります。

豆知識

Coquinariaでは、赤キャベツ、ハシェー、マッシュポテトの順に耐熱皿へ重ね、パン粉とバターをのせて180℃のオーブンで30分以上焼く、オーブン料理としての食べ方も紹介されています。煮込みが残った日に試すと、別の料理として楽しめます。

皿の上で混ぜながら食べる

ハシェーとマッシュポテト、赤キャベツを一皿に盛り合わせたオランダの家庭の食卓
マッシュポテトのくぼみにハシェーのソースを流し、赤キャベツを添える

皿にマッシュポテトを盛って、スプーンの背で真ん中にくぼみを作り、そこにハシェーをソースごとたっぷりのせます。横には赤キャベツ。食べるときは、ソースとポテトをフォークで少しずつ混ぜながら口に運びます。酢とスパイスのきいた濃いソースが、ポテトに吸われてちょうどよい塩梅になります。

オランダの冬の家庭料理には、マッシュポテトに野菜を混ぜ込むスタンポット(stamppot)もあり、ハシェーと並んで寒い季節の定番です。牛肉を玉ねぎと一緒にビールで煮るベルギーのカルボナードと比べると、同じ低地地方の煮込みでも、ビールの甘苦さと酢の酸っぱさという違いがはっきり分かります。

よくある質問

温め直したハシェーを鍋から器に取り分ける様子

スパイスケーキがなくても作れますか?

作れます。スパイスケーキはとろみと甘み、スパイスの香りを足す役目なので、なくてもハシェーにはなります。ソースがさらさらなら、最後に煮詰める時間を長めにとってください。ライ麦パンと黒砂糖、またはパンデピスで代用すると、本来の味に近づきます。

酢は穀物酢でもいいですか?

使えますが、ワインビネガーより酸味がとがりやすく、香りも和風に寄ります。穀物酢を使う場合は大さじ2に減らし、煮込んだあとに味を見て足してください。

肉がなかなかやわらかくなりません。

部位によっては3時間以上かかることがあります。ふたをして、ごく弱火のまま煮続けてください。火を強めると肉がかたく締まり、ソースも焦げつきやすくなります。

圧力鍋で作れますか?

作れますが、玉ねぎと肉を炒めたあと、加圧時間は鍋の説明書に従ってください。圧力鍋では水分が減らないので、ブイヨンを300mlに減らし、加圧後にふたを開けて煮詰めてとろみをつけます。

作り置きはできますか?

煮込み料理なので、温め直しに向いています。冷ましてから冷蔵庫に入れ、温め直すときは鍋底から混ぜて全体をしっかり加熱してください。この記事では、保存日数の目安は根拠を確認できていないため案内しません。

主な参考リンク

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