表面に黄金色のふた生地を重ねたアップルパイを切り分け、薄い生地とりんごの層が見える
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英国のアップルパイの作り方|ブラムリーと卵入りの二段生地

約17分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 7

りんごを切って、ペーパーの上で乾かす

手順1: りんごを切って、ペーパーの上で乾かす

りんごは皮と芯を除き、約5mm厚に切ります。切ったらキッチンペーパーの上に広げて、表面の水分を吸わせます。型に持ち込む果汁を減らすほど、焼いている間に底の生地へしみ込むものも減ります。

STEP 22 / 7

生地を作る

手順2: 生地を作る

2個目の卵は卵黄と卵白に分け、卵白はつや出し用に取っておきます。

常温のバターに生地用の砂糖50gを混ぜ合わせ、全卵1個と、2個目の卵黄を加えて混ぜます。plain flour 350gを3回に分けて加え、生地がまとまったところで手を止めてください。それ以上こね続ける必要はありません。

STEP 33 / 7

冷やして、底生地を伸ばす

手順3: 冷やして、底生地を伸ばす

生地を包んで45分冷蔵します。その間にオーブンを190℃(ファンオーブンは170℃)に予熱しておきます。

生地の約2/3で、直径20〜22cm、深さ4cmのパイ型の底と側面を覆います。残りの約1/3は、直径約28cmのふたにします。生地がやわらかくなって扱いにくいときは、少し固まるまで冷蔵庫に戻します。これは45分の冷蔵とは別の休ませ方で、元のレシピに決まった時間は書かれていません。

STEP 44 / 7

型に入れる直前に、りんごへ味をつける

手順4: 型に入れる直前に、りんごへ味をつける

フィリング用の砂糖140g、シナモン小さじ1/2、plain flour大さじ3を混ぜ、乾かしたりんごに手早く絡めます。砂糖は置いておくほどりんごから水分を引き出すので、型に詰める直前に行います。フィリングは生のままです。煮たりんごや、ほかの香辛料は加えません。

STEP 55 / 7

型に詰める

手順5: 型に詰める

味をつけたりんごは、すぐに生地を敷いた型へ入れ、真ん中を高く盛ります。ボウルに果汁がたまっていても、底の生地に一度に流し込まないでください。りんごだけをすくって入れ、出た汁の大半はボウルに残しておくと、オーブンに入る前から底が汁に浸かるのを防げます。

STEP 66 / 7

ふたをして、蒸気穴を5本切る

手順6: ふたをして、蒸気穴を5本切る

底生地の縁に刷毛で水を塗ります。直径28cmのふたをりんごの上にのせ、縁を押さえて閉じます。上面に蒸気穴を5本切ります。5本はこのレシピが指定している数です。そのあと、取っておいた卵白をふたに塗ります。

元のレシピは、ふたの仕上げにキャスターシュガーを振るとしていますが、分量は示していません。この分は買い物リストの190gには入っていません。

STEP 77 / 7

黄金色に焼いて、休ませる

手順7: 黄金色に焼いて、休ませる

予熱したオーブンで、190℃(ファンオーブンは170℃)で40〜45分、表面が黄金色になるまで焼きます。取り出して5〜10分休ませ、温かいうちに、やわらかく泡立てたクリームを添えて出します。

オーブンには癖があり、この記事では機種ごとの温度調整は提案していません。40〜45分の範囲で、ふたの黄金色を目安にしてください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

りんご、小麦粉、バター、卵、砂糖、シナモンを小分けに並べた材料
砂糖と小麦粉はフィリングと生地に1回ずつ出てきます。別々に量ってください

砂糖と小麦粉は、フィリングにも生地にも使います。そのため表は用途ごとに分けてあります。分量は元のレシピのとおりで、手順の中で足し合わせることはしません。

4品目

フィリング

材料 分量 代替・備考
ブラムリー(Bramley apples) 1kg 皮と芯を除き、約5mm厚に切る。この重さが皮・芯を除く前か後かは、元のレシピに書かれていない
golden caster sugar 140g フィリング用
シナモン(粉) 小さじ1/2
plain flour(膨張剤の入っていない小麦粉) 大さじ3 フィリング用。りんごに絡める
4品目

生地

材料 分量 代替・備考
バター 225g 常温にもどす
golden caster sugar 50g 生地用
卵 2個 1個は全卵、もう1個は卵黄を生地に使う。残った卵白はつや出し用に取っておく
plain flour(膨張剤の入っていない小麦粉) 350g 3回に分けて加える
2品目

仕上げと盛り付け

材料 分量 代替・備考
取っておいた卵白 2個目の卵の分 ふたに塗る
やわらかく泡立てたクリーム 適量 元のレシピに分量の指定はない

道具: 直径20〜22cm、深さ4cmの丸いパイ型、めん棒、キッチンペーパー、刷毛。

時間: 元のレシピが示す総時間は2時間30分です。生地を冷やす45分と、オーブンでの40〜45分が含まれています。

準備

りんごの選び方

このレシピは、英国の調理用りんごであるブラムリーを前提に作られています。BBCのレシピはブラムリーを酸味が強く、加熱するとやわらかくなると説明しています。ブラムリーを使ったパイフィリングの英国の申請仕様書では、酸味の理由として、リンゴ酸が比較的多く糖が少ない点が挙げられています。見つかるならブラムリーを使ってください。以降の分量や手順はすべてブラムリーが前提です。

ブラムリーが見つからない場合は、国産りんごの紅玉を候補にできます。弘前市りんご公園の案内では、紅玉は甘みと酸味のバランスがよく、香りがあり、加熱しても形が崩れにくいので、アップルパイに向くとされています。ただし、ここで紅玉を挙げるのは品種の特性をもとにした編集部の提案で、同じ結果になる代用品と確かめたわけではありません。果汁の多さ、甘さ、焼き上がりの食感は原型と違うかもしれず、紅玉用に砂糖や水分を調整した分量も検討していません。分量はレシピどおりにしてください。

メモ

買い物リスト

  • りんご: ブラムリー1kg。探すときは「Bramley cooking apples」で検索します。店や季節によって手に入るかどうかは変わります。
  • golden caster sugar: 合計190g(フィリング140g、生地50g)。
  • plain flour: 生地用350gと、フィリング用に大さじ3。
  • バター: 225g。
  • 卵: 2個。
  • シナモン(粉): 小さじ1/2。
  • ホイップ用のクリーム: 添える分。
  • パイ型: 直径20〜22cm、深さ約4cmの深い丸型。深さがあるので、りんごを高く盛ってもふたを閉じられます。
砂糖と小麦粉の呼び名について

「golden caster sugar」と「plain flour」は、元のレシピが使っている名前です。日本で売られている特定の砂糖や小麦粉と同じものかどうかは、この記事では確認していません。国内の商品に置き換える場合は、種類を自分で確かめてください。同じ仕上がりになるとは限りません。

注意

このレシピには小麦、卵、乳製品(バターとクリーム)が入っています。これらの代替品はこのレシピでは試していないため、置き換えると仕上がりや味が変わることがあります。


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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

オーブンから出したばかりのパイは、ふたが黄金色に焼け、縁では果汁がまだ小さく泡立っています。ここでナイフを入れたくなりますが、このパイは台の上で5〜10分休ませてから切るものです。熱い中身が落ち着くと、最初の一切れがりんごの層を保ったまま取り分けられます。それを温かいまま、やわらかく泡立てたクリームを添えて食卓に出します。

英国のアップルパイは、一つの形にも一つの起源にも決まらない

このパイが守るもの

焼いてやわらかくなる酸味のあるりんご、上下を包む卵入りの短い(さくっとほどける)生地、蒸気穴を開けたふた。りんごの水分を取り、生地は冷たく保ち、焼き上がったら少し休ませてから切ります。

この記事のパイは、現代の英国の家庭向けレシピを一つ選んで、そのとおりに作るものです。BBC Good Foodに載っているAngela Nilsenの「Homemade apple pie」(Good Food magazine、2004年10月号)で、酸味の強いブラムリー(Bramley)という調理用りんごを卵入りのショートクラスト生地で包み、8人分に焼き上げます。英国のアップルパイの一例であって、国として決まった標準があるわけではありません。ほかの英国のレシピは、また違う作り方をします。

歴史をたどると、話はもう少し長く、入り組んでいます。リチャード2世の宮廷の料理長たちと結びつけられる、約1390年成立の料理書『The Forme of Cury』には「Tartys in Applis」というレシピがあります。りんご、香辛料、いちじく、レーズン、洋梨を使い、サフランで色をつけて焼く果物入りのタルトです。時代も作り方も違う別の料理で、このあとの現代のパイと同じレシピではありません。これをもって最初のアップルパイがどこで作られたかが分かるわけでもありません。

食文化史の側からは、大西洋の両側のアップルパイに連続性があるという見方も示されています。アメリカの食文化を短くまとめた歴史の記述では、典型的なアメリカのアップルパイは15世紀の英国の型とつながっていると説明されています。16世紀末の英国のレシピはすでに現代の型にかなり近く、皮、甘味料、香辛料、果物は時代や地域によって変わってきたとも述べています。同じ系譜を共有している以上、英国だけ、アメリカだけの料理と決めてしまうことはできません。ここからは、現代の英国のレシピ一つを、そのまま丁寧にたどります。


コツとトラブル対策:水分と生地の温度を見る

気をつけたいのは、生地にどれだけ果汁が届くかと、扱っている間の生地の温度の二つです。

困りごと 考えられる理由 対処
底の生地がべちゃっとする りんごが濡れていた、またはたまった汁を底生地に流し入れた りんごをペーパーでよく乾かし(手順1)、砂糖を絡めるのは直前にし(手順4)、ボウルに残った汁は入れない(手順5)。熱いフィリングや、あらかじめ煮たフィリングを生地にのせない。このレシピにはそうした工程がない
生地がやわらかすぎて伸ばせない、持ち上げられない 生地の温度が上がっている 冷蔵庫に戻して少し固まるまで待ち、続ける。この追加の休ませ時間に、元のレシピは決まった時間を示していない
40分たってもふたが黄金色にならない オーブンによって差がある レシピの40〜45分の範囲で焼き続け、色で判断する。オーブン別の補正は示さない
切ると形が崩れ、汁が流れ出る 切るのが早すぎた 5〜10分の休ませ時間を取ってから切る
思ったより甘い、または果肉がしっかりしている 別のりんごを使った 甘さと食感はりんごの種類で変わる。砂糖の量はブラムリー向けで、ほかのりんごに合わせた調整はしていない
コツ

焼き時間と温度は元のレシピの値ですが、焼き上がりの合図は、オーブンの中でのふたの黄金色と、休ませたあとに落ち着いた果汁です。時計だけに頼らず、この二つを見てください。


アレンジ:りんごと添え物を選ぶ

温かいアップルパイ一切れに泡立てたクリームを添える
休ませたパイを温かいまま、やわらかく泡立てたクリームとともに

以下の選択肢は、基本の生地と手順は変えません。Bake Offの例は別のレシピで、比較のために挙げています。

  • ブラムリーの代わりに紅玉。 弘前市は紅玉を、甘みと酸味のバランスがよく、加熱後も形が崩れにくいと説明しています。ブラムリーが手に入らないときの候補にはなりますが、焼き上がりが同じになる保証はありません。
  • 固いりんごを一部混ぜる。 BBCのレシピは、ブラムリーに固めの生食用りんごを混ぜると、フィリングに果肉感が残ると述べています。弘前市が甘くてしゃきっとした歯ざわりと紹介するふじも、その候補です。甘みが強く、しっかりした食感になると考えてください。混ぜる割合や砂糖を減らす量は検討していないため、ここでは示しません。
  • あかね。 青森りんご対策協議会は、あかねを紅玉より早く収穫できる品種とし、紅玉が手に入らないときの菓子作りの代用として紹介しています。出回る時期は地域や季節で変わるので、買うときに品種表示を確かめてください。
  • 添えるもの。 基本のレシピは、やわらかく泡立てたクリームを添えます。BBCのページには、カスタードやアイスクリームも添え物として挙げられています。
  • 別の英国式。 The Great British Bake Offには、ブラムリーとブラエバーンを合わせ、スペルト小麦の生地を使い、上面を格子に仕上げて、カスタードかアイスクリームを添える別のアップルパイが載っています。英国のアップルパイの幅の広さを示す例で、別のレシピです。その材料も分量も、上のレシピには含まれていません。

この料理の背景:ブラムリーと英国の調理用りんご

このレシピの中心にあるりんごには、パイの歴史とは別に記録された来歴があります。ブロッグデール(Brogdale)の国立果樹コレクション(National Fruit Collection)によると、ブラムリーズ・シードリング(Bramley's Seedling)は、1809〜1813年ごろにノッティンガムシャーのサウスウェルで、Mary Ann Brailsfordによって育てられました。1865年に商業的に売り出され、英国で広く栽培される調理用りんごになっています。

ノッティンガムシャーの歴史環境記録(Nottinghamshire Historic Environment Record)に載る地域史が、その続きを伝えています。果実はMary Annが植えた木からとれたもので、のちに苗木商のHenry Merryweatherが増やし、当時その土地の持ち主だったブラムリー氏にちなんで名づけました。1876年には王立園芸協会に出品されています。これはりんごの一品種の歴史で、アップルパイの起源ではありません。

英国では、食用のりんごと調理用のりんごを区別する市場が長く続いてきたと、調査・文化プロジェクトのApples and Peopleは説明しています。ブラムリーが調理用として評価されるのは、加熱しても風味と食感が保たれるためです。「Traditional Bramley Apple Pie Filling」の英国の申請仕様書は、加熱後の酸味の理由を、リンゴ酸の多さと糖の少なさに求めています。この仕様書が描くフィリングは、ブラムリーの果肉、砂糖、水が中心で、ピューレ、コーンフラワー、レモン汁は任意とされています。ただしこれは製品規格の申請書類であって、現在の法的な保護を示すものではなく、家庭で焼くパイに義務づけられたレシピでもありません。


よくある質問

ブラムリーが見つからないときは?

ここで候補に挙げているのは紅玉です。弘前市が、甘みと酸味のバランスがよく、加熱しても形が崩れにくいと説明していることが根拠です。同じ品種ではないので、果汁の多さ、甘さ、食感は変わるかもしれません。レシピの分量は紅玉向けには調整していません。

底の生地をべちゃっとさせないためには?

りんごをキッチンペーパーで乾かし、味つけは型に詰める直前にして、たまった汁はボウルに残してください。熱いフィリングやあらかじめ煮たフィリングを生地にのせてもいけません。このレシピは最初から最後まで生のりんごを使うので、足すべき加熱の工程はありません。

小麦、卵、乳製品を使わずに作れますか?

このレシピには三つともすべて入っています。代替品はこのレシピでは試していないため、置き換えても同じように焼き上がるとは言えません。

型の大きさは?

直径20〜22cm、深さ4cmの丸いパイ型です。ふたは約28cmに伸ばし、高く盛ったりんごを覆います。

「Tartys in Applis」は元祖のアップルパイですか?

いいえ。『The Forme of Cury』に記録された中世の果物入りタルトで、りんご、香辛料、いちじく、レーズン、洋梨を使い、サフランで色をつけます。時代も作り方も違う別の料理です。現代の英国のアップルパイとは同じではなく、アップルパイがどこで始まったかを証明するものでもありません。

残ったパイはどう扱えばいいですか?

元のレシピには保存期間が書かれていないため、ここでも日数は約束しません。調理済みの残り物について、厚生労働省と農林水産省が示している家庭向けの一般的な指針を挙げておきます。

  • 室温に長く置かない。
  • 清潔な器具で扱う。
  • 早く冷ます。浅い容器に小分けするとよい。
  • 密閉容器かラップで包み、早めに冷蔵して、早めに食べる。
  • 時間がたちすぎたら捨てる。
  • 温め直すときは十分に加熱する。厚生労働省は、一般的な目安として75℃以上を挙げている。

この指針は調理済み食品全般に向けたもので、アップルパイに限った話ではありません。再加熱の時間も示されていません。

同じ国のほかの料理はイギリスの料理で紹介しています。

主な参考リンク

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