紅海のほとりで生まれた「赤い煮込み」
アスマラの裏通りに漂う、鼻腔を刺すスパイスの香り。扉を開けると、煤けた壁の小さな食堂で、女性が大鍋をゆっくりとかき混ぜています。鍋の中は深い赤褐色。トマトとベルベレスパイスが溶け合い、牛肉の塊がとろりと崩れかけている。これがズィグニ(ዝግኒ / Zigni)——エリトリア人が世界のどこにいても恋しくなる、故郷の味です。
ズィグニは、牛肉をベルベレスパイスとトマトで長時間煮込んだエリトリアの国民的シチューです。隣国エチオピアのドロワットと比較されることがありますが、ドロワットが鶏肉ベースであるのに対し、ズィグニは牛肉が主役。また、エリトリアのベルベレはエチオピアのものよりフェヌグリークとクミンの比率が高く、より深い香ばしさを持つとされています。
エリトリアは1993年にエチオピアから独立した東アフリカの小国で、紅海に面した戦略的要衝です。イタリア植民地時代(1890〜1941年)の影響で、パスタやカプチーノがエリトリア料理に自然に溶け込んでいるのも特徴的です。しかし食の根幹にあるのは、あくまでズィグニとインジェラ。結婚式、葬儀、祝日、普段の夕食——あらゆる場面にズィグニがあります。
ティグリニャ語で「シチュー」を意味する「ツェブヒ(ጸብሒ)」の一種で、特に牛肉を使ったものを指す。トマト、ベルベレスパイス、ニテルキベ(スパイスバター)で長時間煮込むのが特徴。エリトリアでは「ズィグニ・ブルース(ዝግኒ ብሩስ)」と呼ばれる辛さ控えめバージョンもある。インジェラと共に食べるのが正式な作法。

材料(4人分)
メインの材料
| 材料 | 分量 | 代替・備考 |
|---|---|---|
| 牛肉(すね肉またはカレー用角切り) | 600 g | すね肉推奨。コラーゲンが豊富で煮込むほど柔らかくなる |
| 玉ねぎ | 大3 個(みじん切り) | 油なしで炒めるのがエリトリア流(後述) |
| トマトペースト | 大さじ4 | カゴメトマトペーストが手軽 |
| 完熟トマト | 2 個(ざく切り) | ホールトマト缶200 gで代用可 |
| にんにく | 6 片(すりおろし) | — |
| 生姜 | 親指大1 かけ(すりおろし) | — |
| 水 | 300 ml | 牛骨スープがあればなお良い |
| 塩 | 小さじ1.5 | 味を見て調整 |
ベルベレスパイス(自家製ブレンド)
| スパイス | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| パプリカパウダー | 大さじ2 | 色の主役。辛くないタイプ |
| カイエンペッパー | 小さじ2 | 辛さの調整はここで |
| コリアンダーパウダー | 小さじ1.5 | — |
| クミンパウダー | 小さじ1 | エリトリア式はクミン多め |
| フェヌグリークパウダー | 小さじ1/2 | 入れすぎ注意。苦味が出る |
| カルダモンパウダー | 小さじ1/4 | ホールを潰しても可 |
| 黒こしょう | 小さじ1/2 | — |
| オールスパイス | 小さじ1/4 | — |
| クローブパウダー | ほんの少々 | 入れすぎると薬臭くなる |
| シナモンパウダー | 小さじ1/4 | — |
ニテルキベ(スパイスバター)
| 材料 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| 無塩バター | 80 g | 澄ましバターにする(後述) |
| ターメリック | 小さじ1/4 | — |
| カルダモンホール | 2粒 | つぶして入れる |
| クミンシード | 小さじ1/4 | — |
自家製が面倒なら、業務スーパーやカルディでは取り扱いがないため、Amazon「ベルベレ」で検索してください。エチオピア食材専門のオンラインショップ(メスケルジャパン等)でも購入できます。市販ベルベレを使う場合は大さじ2〜3が目安です。ただし自家製のほうがフェヌグリーク量を調整でき、エリトリア独自の風味に近づけます。

ベルベレスパイスの作り方
ズィグニの味はベルベレで決まります。エリトリアの家庭では、母から娘へ配合比が口伝えで受け継がれ、各家庭に「うちのベルベレ」があります。ここでは英語圏のエリトリア系コミュニティで最もよく共有されている基本配合を紹介します。
手順
- 乾煎り: フライパンを弱火にかけ、コリアンダーシード、クミンシード、フェヌグリークシード、カルダモンホール、クローブホールを2〜3分乾煎りする。香りが立ち、わずかに色が変わったら火から下ろす。
- 冷ます: そのまま5分冷ます。熱いまま挽くと香りが飛ぶ。
- 粉砕: ミルサーまたはすり鉢で細かく粉砕する。100均のすり鉢で十分。
- ブレンド: 粉砕したスパイスに、パプリカパウダー、カイエンペッパー、黒こしょう、シナモン、オールスパイスを加えてよく混ぜる。
見た目はほぼ同じですが、配合が異なります。エリトリア式はフェヌグリークとクミンの比率が高く、バジルやルー(ヘンルーダ)を加える家庭もあります。エチオピア式はコロロリマ(Ethiopian cardamom)やアジョワンシードを使う傾向があります。日本で再現する場合、コリアンダーとクミンを気持ち多めにするとエリトリア寄りの仕上がりになります。

ニテルキベ(スパイスバター)の作り方
ニテルキベは、エリトリア・エチオピア料理に欠かせないスパイス入り澄ましバターです。インドのギーに似ていますが、ハーブとスパイスを一緒に溶かし込む点が異なります。ズィグニだけでなく、ほぼ全てのエリトリア料理に使われます。
手順
- 溶かす: 小鍋に無塩バター80gを入れ、極弱火で溶かす。沸騰させない。
- スパイス投入: 泡が立ち始めたら、つぶしたカルダモン、クミンシード、ターメリックを加える。
- 澄ます: 弱火のまま15〜20分。乳固形分が底に沈み、上澄みが黄金色になったら完成。
- 濾す: 茶こしやキッチンペーパーで濾し、瓶に入れる。冷蔵で1ヶ月保存可能。
市販のギーにターメリック・カルダモン・クミンを加えて5分加熱する方法でも、十分に近い風味が得られます。

この料理に使う食材・道具


調理手順(ズィグニ本体)
1. 玉ねぎを油なしで炒める(20分)
ここがズィグニ最大の特徴であり、タジンやヨーロッパのシチューとは根本的に異なる調理法です。
やヨーロッパのシチューとは根本 ズィグニ|エリトリアのスパイシー牛肉シチューの調理工程。ここがズィグニ最大の特徴であり、タジンやヨーロッパのシチューとは根本](/images/sekai-gohan/africa/eritrea/zigni/step-01.webp)
大きめの厚手鍋に、油もバターも引かず、みじん切りの玉ねぎ3個をそのまま投入します。 中火にかけ、焦げ付かないようにひたすら混ぜ続けます。5分ほどで水分が出始め、10分で飴色に近づき、15〜20分で濃い茶色のペースト状になります。途中で焦げそうなら大さじ1の水を加えてください。
なぜ油なしなのか。英語圏のエリトリア料理研究者によれば、この「ドライソテー」が玉ねぎの糖分を最大限にカラメル化し、シチューに独特の甘みとコクを与えるとされています。ギーを最初から入れると、玉ねぎが「揚がる」状態になり、カラメル化が中途半端になるのです。
2. トマトペーストを加える(10分)
飴色玉ねぎにトマトペースト大さじ4を加え、中火で炒め合わせます。トマトペーストの酸味が飛ぶまで7〜10分、絶えず混ぜ続けます。底が焦げ付きやすいので注意。色がレンガ色から濃い赤褐色に変わったらOKです。

3. ベルベレとニテルキベを加える
火を少し弱め、自家製ベルベレスパイスを投入。1分ほど炒めてスパイスの香りを立たせます。続いてニテルキベ(またはギー大さじ2)を加え、全体をよく混ぜます。

4. にんにく・生姜を加える
すりおろしたにんにくと生姜を加え、1分炒めます。焦がすと苦味が出るので手早く。

5. トマトと水を加える
ざく切りのトマト(またはホールトマト缶)と水300mlを加え、一度沸騰させます。

6. 牛肉を投入して煮込む(60〜90分)
3cm角に切った牛肉を鍋に入れ、全体を混ぜます。蓋をして弱火で60〜90分煮込みます。
- すね肉: 90分(コラーゲンが溶けてとろとろになる)
- カレー用角切り(肩ロース等): 60分
- 圧力鍋使用: 加圧20分+自然放置 水分が減りすぎたら50mlずつ足してください。最終的にソースの濃度は「木べらで鍋底を引いたとき、3秒で跡が消える」程度が理想です。

7. 味を調える
塩を加えて味を調えます。エリトリアではかなり強めに塩味をつけるのが一般的です。インジェラの酸味と合わせるため、単体で食べるときよりやや塩辛いくらいが正解です。仕上げにニテルキベを大さじ1回しかけると、香りが一段上がります。

盛り付けと食べ方
伝統的な食べ方
エリトリアの食事は**コミュナル(共食)**が基本です。大きな丸い皿(メソブ)にインジェラを広げ、その上にズィグニと付け合わせのシチュー(シロ、アリチャ、ハムリ等)を盛り付けます。
食べ方は手で。インジェラの端をちぎり、ズィグニを包むように摘まんで口に運びます。右手のみを使うのが作法で、ゆでたまごを半分に切ってトッピングするのが祝い事の定番スタイルです。
日本の食卓に合わせるなら
インジェラが手に入らない場合の代替:
- ナン: もちもちした食感がインジェラに最も近い
- 全粒粉のチャパティ: 酸味はないが相性良好
- ごはん: エリトリアのディアスポラでも白飯と合わせる人は多い。ナシゴレンのようにご飯と炒めてアレンジすることも
- クレープ: そば粉のガレットで包むとインジェラの酸味に近づく

アレンジバリエーション
ズィグニ・ドルホ(鶏肉バージョン)
牛肉の代わりに骨付き鶏もも肉を使います。ドロワットに似た仕上がりになりますが、ベルベレの配合が異なるため別の味わいです。煮込み前に鶏肉にレモン汁をまぶして30分置くのがエリトリア流。煮込み時間は40〜50分に短縮されます。ゆでたまごを丸ごと加えるのが定番で、特に祝日や結婚式のメニューとして登場します。
ズィグニ・ブルース(辛さ控えめ)
カイエンペッパーを省き、パプリカパウダーを大さじ3に増やします。子供や辛いものが苦手な人向けのバージョンで、エリトリアの家庭でも普通に作られます。トマトの甘みが前面に出て、違った美味しさがあります。
シロ・ズィグニ風(ひよこ豆粉バージョン)
肉の代わりにひよこ豆粉(ベサン粉)を使うベジタリアンバージョン。ベサン粉100gを水で溶き、ベルベレ入りのトマトソースに加えて煮込みます。エリトリアの断食期間(ツォム)に食べられる精進料理で、肉なしでも驚くほど満足感があります。
パスタ・ズィグニ
イタリア植民地時代の遺産。スパゲッティをアルデンテに茹で、ズィグニをソースとしてかけます。アスマラの食堂では「スパゲッティ・ズィグニ」が定番メニュー。太めのパスタ(リングイネやフェットチーネ)が合います。ペンネで和えるのも人気です。
カレールーで時短ズィグニ
ベルベレの代わりに、市販のカレールー1かけ(辛口)+パプリカ大さじ1+クミン小さじ1を使う超時短バージョン。本場の味とは異なりますが、ズィグニのエッセンスは伝わります。玉ねぎの油なしドライソテーだけは省略しないでください。

文化・歴史
エリトリアの食卓と社会
エリトリアの食事は、単なる栄養摂取ではなく共同体の結束を確認する行為です。家族や友人が一つのメソブ(編み籠のテーブル)を囲み、一枚のインジェラから同時に食べる。この「グルシャ」と呼ばれる共食の作法は、信頼と親愛の表現とされています。
ズィグニは日常の食事であると同時に、**ティムケット(洗礼祭)、メスケル(十字架祭)、独立記念日(5月24日)**など、あらゆる祝祭の中心に置かれます。特に結婚式では、花嫁の母がズィグニを振る舞うことが慣習とされ、その味が嫁入りの力量を測る基準になるとも言われます。同じアフリカでもボボティ(南アフリカ)やチェブジェン(セネガル)など、国ごとに「母の味」として伝承される料理があるのは興味深い共通点です。
イタリア植民地時代の影響
1890年から1941年までのイタリア植民地時代は、エリトリア料理に大きな影響を残しました。アスマラのカフェではマキアートが供され、パスタは日常食に溶け込んでいます。しかしズィグニはイタリアの影響を受ける以前から存在した料理であり、エリトリアのアイデンティティの核として独立運動の象徴にもなりました。
30年に及ぶ独立戦争(1961〜1991年)の間、前線の兵士たちはわずかなベルベレと乾燥肉でズィグニを作り、故郷を思い出したと伝えられています。1993年の独立後、ズィグニはエリトリア国民のアイデンティティを象徴する料理として、ディアスポラ(海外移住者コミュニティ)でも広く作り続けられています。

保存方法と作り置き
ズィグニは作り翌日のほうが美味しいシチューです。スパイスが馴染み、牛肉にソースが染み込んで味が深くなります。
| 保存方法 | 期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 冷蔵保存 | 4〜5日 | 密閉容器で保存。温め直しは鍋で弱火 |
| 冷凍保存 | 約1ヶ月 | 食べきりサイズにジップロックで小分け冷凍。解凍は冷蔵庫で一晩 |
| 作り置きアレンジ | — | パスタソース、オムレツの具、カレーの隠し味に転用可能 |
温め直すとき、水分が飛んで濃くなりすぎていたら少量の水を足してください。ニテルキベをひとかけ加えて温めると、作りたてのような香りが復活します。

失敗しやすいポイントと対策
初めてズィグニを作る方が陥りやすい失敗を優先順位で解説します。特に「玉ねぎの油なしドライソテー」は最も差がつくポイントです。
玉ねぎを焦がす
油なしドライソテーは焦げ付きとの戦いです。テフロン加工の鍋を使うか、焦げそうなタイミングで大さじ1の水を加えてください。飴色になるまでの20分間、鍋から離れないのが鉄則です。
ベルベレの辛さが足りない/辛すぎる
カイエンペッパーの量で辛さが劇的に変わります。最初は控えめ(小さじ1)で作り、煮込みの最後に味見して追加するのが安全。一度入れた辛さは取り除けません。辛くしすぎた場合は、ヨーグルトを添えて食べるか、トマトペーストと水を追加して薄めてください。
牛肉が硬い
煮込み時間不足か、肉の部位が原因です。すね肉を使い、最低60分は煮込んでください。 圧力鍋を使えば加圧20分で驚くほど柔らかくなります。それでも硬い場合は、肉を小さく切って追加で30分煮込むと改善します。
ソースが水っぽい
蓋を外して中火で5〜10分煮詰めてください。トマトペーストの量が少ないと水っぽくなりがちです。「木べらで鍋底を引いたとき、3秒で跡が消える」濃度を目指してください。
エリトリア料理をもっと知る
ズィグニを作ったら、ぜひエリトリア・エチオピア料理の世界をさらに広げてみてください。
- インジェラ — テフ粉で作る酸味のあるクレープ状の主食。ズィグニの最良の相棒
- ドロワット — エチオピアの鶏肉シチュー。ベルベレ使いの違いを比較すると面白い
- エチオピア料理入門 — 東アフリカの食文化を体系的に学ぶならこちら

よくある質問
ズィグニを実際に作った方やエリトリア料理に興味を持った方から寄せられる質問をまとめました。
Q1. ズィグニとドロワットの違いは何ですか?
ドロワットは鶏肉がメインでゆでたまごが入るエチオピアの代表的シチュー、ズィグニは牛肉がメインのエリトリアのシチューです。使うベルベレスパイスの配合も微妙に異なり、エリトリア式はフェヌグリークとクミンが多め、エチオピア式はコロロリマ(エチオピアンカルダモン)やアジョワンシードを含む傾向があります。ただし家庭ごとに差が大きく、両者の境界は曖昧です。
Q2. ベルベレスパイスは市販品でも大丈夫ですか?
はい、市販のベルベレで十分美味しく作れます。ただしメーカーによって辛さが大きく異なるため、最初は少なめに入れて味を見ながら調整してください。Amazonで「ベルベレ」「berbere」で検索すると、エチオピア食材店のものが見つかります。
Q3. インジェラがなくても美味しく食べられますか?
もちろんです。ナン、チャパティ、白飯、パスタなど、炭水化物なら何でも合います。エリトリアのディアスポラコミュニティでは、白飯やスパゲッティと合わせて食べる人も多くいます。パンに付けて食べるのもお勧めです。
Q4. フェヌグリークは省略できますか?
省略は可能ですが、ズィグニらしい複雑な風味が大きく減ります。フェヌグリークはカレーパウダーにも含まれているため、代替としてカレーパウダー小さじ1/2を加える方法もあります。メープルシロップ小さじ1/4でフェヌグリーク的な甘苦い香りを擬似的に補う裏技もあります。
Q5. 子供でも食べられますか?
ベルベレの辛さを調整すれば問題ありません。カイエンペッパーを完全に省き、パプリカパウダーだけにした「ズィグニ・ブルース(辛さ控えめ版)」なら、小学生以上なら楽しめます。トマトベースなので、子供受けするハヤシライス風の味わいになります。
Q6. 圧力鍋で時短できますか?
はい。玉ねぎのドライソテーとスパイスの炒め工程は通常通り行い、肉と水を加えた後に加圧20分+自然放置すれば、合計調理時間を約1時間に短縮できます。仕上がりの味はほぼ変わりません。
栄養情報(4人分のうち1人あたり)
| 栄養素 | 含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 485 kcal |
| たんぱく質 | 38g |
| 脂質 | 22g |
| 炭水化物 | 32g |
| 食物繊維 | 6g |
| 食塩相当量 | 2.1g |
ベルベレスパイスに含まれるカプサイシン(唐辛子由来)には代謝促進効果が、ターメリックのクルクミンには抗炎症作用があるとされています。牛すね肉は高タンパク・低脂質で、コラーゲンが豊富です。ただし塩分はやや高めなので、高血圧の方は塩を減らしてください。
まとめ
ズィグニは、ベルベレスパイスの重層的な香りと、玉ねぎの油なしドライソテーが生み出す深いコク、そしてトマトと牛肉の旨味が三位一体となった、エリトリアの魂とも言える料理です。
日本のスーパーで手に入る材料だけで作れますが、ベルベレの自家製ブレンドだけは惜しまないでください。乾煎りしたスパイスを自分で挽く、その一手間が「カレーとも何とも違う、名前を知らなかった美味しさ」への扉を開きます。
一度作れば冷蔵で5日間持ち、翌日のほうが美味い。パスタにかけても白飯にかけても成立する。これほど懐の深い煮込み料理は、なかなかありません。
エリトリア料理に興味が湧いたら、同じ東アフリカの食文化としてウガリ(タンザニアの主食)やジョロフライス(西アフリカの炊き込みご飯)もぜひ試してみてください。アフリカ大陸の食の多様さに驚くはずです。
参考文献
レシピ・調理技法
- "Zigni (Eritrean Spicy Beef Stew)" — Immaculate Bites. https://www.africanbites.com/zigni-eritrean-spicy-beef-stew/ — エリトリア系アメリカ人フードブロガーによるズィグニの家庭レシピ。油なしドライソテーの調理技法について参照
- "Berbere Spice Mix" — Serious Eats. https://www.seriouseats.com/berbere-spice-mix-recipe — ベルベレスパイスの配合と乾煎り手順の詳細な解説を参照
- "Niter Kibbeh (Ethiopian Spiced Butter)" — Food52. https://food52.com/recipes/niter-kibbeh — ニテルキベの製法と保存方法を参照
文化・歴史
- "Eritrean Cuisine: A Complete Guide" — TasteAtlas. https://www.tasteatlas.com/eritrea — エリトリア料理全般の概要と代表的な料理の分類を参照
- Mesfin, Daniel J. Exotic Ethiopian Cooking. Ethiopian Cookbook Enterprises, 2006. — エチオピア・エリトリア料理の標準的英語参考書。ニテルキベとベルベレの製法を参照



