食卓の真ん中に、湯気の立つタジン鍋がひとつ。蓋を持ち上げると、赤いトマトソースの中に小さな肉団子がぎっしりと並び、そのすき間で卵の白身がふるふると固まりかけています。取り皿は使いません。みんなでパンをちぎり、鍋のふちから肉団子とソースをすくって口へ運びます。ケフタ・ムカウラ(kefta mkaouara)は、モロッコの家庭で親しまれている、肉団子のトマトソース煮込みです。
クミンが香る小さな肉団子

ケフタ(kefta)は、牛や羊のひき肉に香草とスパイスを混ぜて味をつけた、モロッコの肉だね。それを小さく丸めてトマトソースで煮込めば、このタジンになります。2008年から2016年まで About.com でモロッコ料理の解説を担当し、現在はレシピサイト Taste of Maroc を主宰するクリスティン・ベンラフキー(Christine Benlafquih)は、ケフタ・ムカウラをシャクシュカのようなトマトソースで肉団子を煮込む人気料理と紹介しています。
この料理の肉団子は、ほとんどいつも小さく丸めるのが決まりのようなもの。ベンラフキーによれば、ビー玉ほどの大きさにすることもあるそうで、彼女自身はさくらんぼくらいの大きさに丸めています。小さければ火がすぐに通り、ソースの味もよくしみる。ひとつずつパンでつまみやすいのも、小さく丸める理由のひとつでしょう。
肉は牛ひき肉か羊ひき肉、またはその合いびきが一般的です。ひき肉に混ぜるのは、すりおろした玉ねぎ、パセリとコリアンダーの葉、パプリカ、クミン、塩、黒こしょう。好みでターメリックやシナモンを少し加えます。トマトソースにもパプリカとクミンを使うので、肉団子とソースが同じ香りでつながるのがこの料理らしいところです。
卵を落とすのは定番ですが、必須ではありません。ベンラフキーは、卵を落とす人が多い一方で、卵なしで仕上げても、グリーンオリーブや唐辛子を加えてもよいと書いています。オリーブを入れる場合は塩気が加わるので、ソースの塩を控えめにします。
食べるときは、タジン鍋をそのまま食卓の中央に置きます。ベンラフキーは、鍋を囲んでみんなで同じ鍋から食べ、パンで肉団子とソースをすくうのがモロッコの習わしだと書いています。食後には、ミントティーを合わせるのもよいそうです。
途中で見つける、味の決め手
よくある質問

タジン鍋がなくても作れますか?
作れます。ベンラフキーも、伝統的には土鍋や陶器のタジン鍋を使うものの、深めのフライパンでも同じように作れると書いています。蓋のあるものを使ってください。
鶏ひき肉でも作れますか?
作れます。ベンラフキーは、牛や羊が一般的だとしたうえで、鶏ひき肉や七面鳥のひき肉を使ってもよいと書いています。鶏ひき肉は中心まで火が通ったことを必ず確かめてください。
ソースを多めにしたいときは?
トマトソースの材料をすべて1.5倍にします。ソースが増えるぶん、煮詰める時間も長めに見てください。
作り置きはできますか?
肉団子とソースは、卵を落とす前の状態で粗熱をとり、冷蔵して早めに食べきってください。温め直すときは鍋に移し、ふつふつと煮立つまで温めてから、肉団子の中まで熱くなっていることを確かめます。卵は温め直したあとに落とすと、仕上がりがきれいです。















