ふっくらと炊き上げた白いご飯の横に、赤茶色の煮込みがたっぷり。とろりとした煮汁の中には、やわらかく煮えた羊肉と、黄色い小さな豆。その上に、カリッと揚げたじゃがいもが山のようにのっています。スプーンを入れると、ドライライムの甘酸っぱく、少しほろ苦い香りがふわりと立ちのぼる。ホレシュ・ゲイメ(khoresh gheymeh)は、イランの家庭で長く愛されてきた、肉と豆の煮込みです。
ムハッラム月に配られる一皿

ホレシュ(khoresh)は、ペルシア語で煮込み料理のこと。ご飯にかけて食べるイランの煮込みは数えきれないほどありますが、ゲイメはそのなかでも特に身近なひとつです。イラン料理のブロガー、アズィーター・メヘラーン(Azita Mehran)は、自身のブログ Turmeric & Saffron で、ゲイメを大好きなホレシュの5本の指に入る料理と書き、これを作ると、国を離れて何年たっても家にいるような気持ちになると語っています。
イランの旅行会社 Visit Our Iran のブログによると、ゲイメは宗教行事とも深く結びついています。イマーム・フサインを悼むイスラム暦のムハッラム月には、街角に屋台が出て、甘い飲み物や紅茶、料理が無料でふるまわれます。こうして食べ物を分かち合う習わしをナズリ(nazri)といい、その料理の代表として挙げられているのが、羊肉とスプリットピーの煮込みにご飯を添えたゲイメです。
ゲイメの味の決め手は、ドライライム。ライムを丸ごと乾燥させたもので、ペルシア語ではリムー・アマーニー(limoo amani)とも呼ばれます。煮込むうちに中から酸味と独特のほろ苦さが溶け出し、トマトの甘みと羊肉の脂をきりっと引き締めます。
メヘラーンは、ゲイメを大きな器に盛り、揚げたじゃがいもをのせて、バスマティライス、きゅうり入りのヨーグルト(マースト・オ・ヒヤール)、トマトときゅうりのサラダ(サラデ・シーラーズィー)、漬物(トルシー)と一緒に食卓に出すと書いています。
途中で見つける、味の決め手
バスマティライスにかけて

ゲイメは、白いバスマティライスと一緒に食べます。ご飯を皿に広げ、煮込みをかけて、揚げたじゃがいもを崩しながら食べるのがおいしい。羊肉のうまみを吸った豆の甘み、ドライライムの酸味、じゃがいもの塩気とカリッとした食感が、ひと口ごとに混ざり合います。ヨーグルトやサラダを添えると、さっぱりとした口直しになります。
イランの煮込みをもっと知りたいなら、香草をたっぷり炒めて煮込む緑のゴルメサブジや、ざくろとくるみの甘酸っぱいフェセンジャンも作ってみてください。ご飯の底をカリッと焼くタフディーグを添えれば、イランの家庭の食卓がそろいます。
よくある質問

牛肉でも作れますか?
作れます。Turmeric & Saffron のレシピも、羊肉か牛肉のどちらかを使うとしています。牛肉の場合も、やわらかくなるまで煮込む時間の目安は同じです。
スプリットピーが煮崩れてしまいます。
豆の煮え方は豆によって違います。煮崩れが心配なら、豆を別の鍋で形が残る程度に下ゆでしておき、煮込みの最後の30〜40分に加えてください。
ドライライムは食べられますか?
ドライライムは煮汁に酸味と香りを移すためのものです。煮込んだあとは食べずに取り除いてもかまいません。
残ったらどうすればいいですか?
煮込みは粗熱をとってから冷蔵し、早めに食べきってください。温め直すときは鍋で煮立つまでしっかり温めます。揚げたじゃがいもは煮込みと別に保存し、食べるときにのせると食感が残ります。












