ムジャッダラ。レンズ豆とライスの中東ピラフにカリカリ揚げ玉ねぎをたっぷり乗せた一皿
🔪下準備20分
🔥調理45分
🍽️分量4
🌍料理レバノン料理
中東レシピ

ムジャッダラの作り方|レンズ豆と米の中東ピラフ

25分で読めます世界ごはん編集部

中東の「貧しい人のごちそう」が世界を虜にする理由

ベイルートの下町、アシュラフィーエ地区の路地裏。夕暮れ時になると、どの家の窓からもクミンと揚げ玉ねぎの甘い香りが漂い始めます。子供たちが「今日はムジャッダラ?」と目を輝かせて駆け込む——そんな光景が、レバノンでは何世代にもわたって繰り返されています。

ムジャッダラ(مجدرة / Mujaddara) は、レンズ豆と米(またはブルグル)を炊き合わせ、カリカリに揚げた玉ねぎをたっぷり乗せた中東の家庭料理です。材料はわずか5つ。レンズ豆、米、玉ねぎ、油、スパイス。それだけなのに、食べた人を黙らせるほどの深い旨味があります。

アラビア語で「ムジャッダラ」は「あばた」を意味します。炊き上がった米の間にレンズ豆が点々と見える様子が、天然痘の跡に見えたことが名前の由来とされています。見た目の素朴さとは裏腹に、この料理は旧約聖書にまで遡る歴史を持ち、中東全域で「最も重要な家庭料理」として受け継がれてきました。

ムジャッダラとは

アラビア語で「あばた(天然痘の跡)」の意味。レンズ豆と穀物(米またはブルグル)を炊き合わせ、カラメル化した揚げ玉ねぎを乗せた中東の伝統料理。レバノン、シリア、パレスチナ、ヨルダン、イラク、エジプトなど広い地域で食べられている。完全菜食でありながら、豆と穀物の組み合わせで良質なタンパク質が摂取できる「完全食」として知られる。中東料理の全体像は中東料理入門を参照。

レンズ豆とライスのムジャッダラ。カリカリ揚げ玉ねぎがたっぷりトッピングされている
炊き立てのムジャッダラ。レンズ豆のホクホク感と揚げ玉ねぎの香ばしさが食欲をそそる

英語圏では「Mujaddara」で検索すると数千件のレシピがヒットし、欧米のフードブロガーたちがこぞって「人生を変えた一皿」と絶賛しています。ニューヨーク・タイムズのフードコラムニスト、マーク・ビットマン氏は「世界で最も過小評価されている料理」と評しました。一方、日本語で「ムジャッダラ」を検索しても、情報はほぼ皆無です。

この記事では、レバノン式のムジャッダラを日本の台所で完璧に再現する方法を、レンズ豆の選び方から揚げ玉ねぎのコツ、ヨーグルトソースの合わせ方まで余すところなく解説します。


4人分

材料(4人分)

メインの食材

材料 分量 代替・備考
茶レンズ豆(ブラウンレンティル) 200 g 緑レンズ豆でも可。赤レンズ豆は煮崩れるため不向き
バスマティライス 200 g なければ日本米でも可(水加減を調整)
玉ねぎ 大3 個(約600 g) 薄切り。うち2 個分は揚げ用、1 個分は炊き込み用
オリーブオイル 大さじ4 炊き込み用
揚げ油(植物油) 適量 玉ねぎが浸かる程度
600 ml 豆と米の炊き込み用

スパイス

材料 分量 備考
クミン(パウダー) 小さじ1.5 必須。ムジャッダラの香りの要
シナモン(パウダー) 小さじ1/2 レバノン式の特徴。温かみを加える
オールスパイス 小さじ1/4 なければ省略可
小さじ1.5 味を見ながら調整
黒こしょう 小さじ1/2
クミンの選び方

ムジャッダラの味はクミンで決まります。スーパーのスパイスコーナーで購入できるパウダーで十分ですが、ホールクミンシードを自分で乾煎りして砕くと香りが3倍になります。S&Bのクミンパウダーは全国どこでも手に入ります。GABANのホールクミンシード(100 g/300円前後)はコスパ抜群です。

付け合わせ(推奨)

材料 分量 備考
プレーンヨーグルト 200 g レバノンでは「ラバン」と呼ぶ。濃厚な水切りヨーグルト推奨
トマト・きゅうりのサラダ 適量 「ファトゥーシュ」風に。レモン汁+オリーブオイル+ミント
レモン 1 個(くし切り) 食べる直前に搾ると爽やかに
ムジャッダラの材料。レンズ豆、バスマティライス、玉ねぎ、スパイス
ムジャッダラの材料はシンプル。レンズ豆・米・玉ねぎ・クミン・シナモンが基本の5要素

この料理に使う食材・道具

レンズ豆(茶)1kg
レンズ豆(茶)1kg
¥698(税込・変動あり)
GABAN クミンパウダー 65 g
GABAN クミンパウダー 65 g
¥498(税込・変動あり)

📊 栄養情報(1人分)
105
kcal
4.0g
タンパク質
3.0g
脂質
15.5g
炭水化物
2.8g
食物繊維
145mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

作り方(調理時間:約65分)

STEP 1:レンズ豆の下茹で(15分)

  1. 茶レンズ豆200gをザルに入れ、流水で2〜3回すすいで汚れや小石を取り除く
  2. 鍋に豆と水600mlを入れ、中火にかける
  3. 沸騰したらアクを取り、弱火に落として15分間茹でる
  4. 豆がやや硬めに火が通った状態(指で押すと潰れる程度)で火を止める
  5. 茹で汁は捨てない——このまま米を加えて炊くため、鍋ごと置いておく
ムジャッダラ|レンズ豆と米の中東ピラフの調理工程。1. 茶レンズ豆200gをザルに入れ、流水で2〜3回すすいで汚れや小石を取り除く 2. 鍋に豆と水600mlを入れ、中火
ムジャッダラ|レンズ豆と米の中東ピラフの調理工程。1. 茶レンズ豆200gをザルに入れ、流水で2〜3回すすいで汚れや小石を取り除く 2. 鍋に豆と水600mlを入れ、中火
茹ですぎに注意

レンズ豆は米と一緒にさらに炊くため、この段階では7〜8割の火の通りでOKです。完全にやわらかくなるまで茹でると、最終的にドロドロの粥状になってしまいます。指で押して軽く潰れるが、中心にわずかに芯が残る程度が目安です。

STEP 2:揚げ玉ねぎを作る(20分)

ムジャッダラの主役は、実はレンズ豆でも米でもなく揚げ玉ねぎです。このパーツの出来が料理全体を左右します。

  1. 玉ねぎ2個分を3mm厚の薄切りにする(繊維に沿って切る)
  2. フライパンに揚げ油を2cm深さまで注ぎ、**中火(170〜180度)**に熱する
  3. 玉ねぎを入れ、最初の10分は触らない。混ぜすぎると色ムラの原因に
  4. 端が茶色くなり始めたら時々かき混ぜ、均一な濃い茶色になるまで揚げる
  5. 完全に焦げ茶色になる一歩手前で引き上げる。余熱で色が進むため
  6. キッチンペーパーに広げ、軽く塩をふる
カリカリに揚がった玉ねぎ。濃い茶色でキャラメル化している
揚げ玉ねぎのカリカリ食感と甘い香ばしさがムジャッダラの真骨頂。焦がしすぎないギリギリで引き上げるのがコツ
揚げ玉ねぎの失敗パターン

高温で一気に揚げない。強火で揚げると外は焦げて中は生のまま、苦い玉ねぎになります。中火でじっくり20分かけて揚げることで、糖分がカラメル化して飴色の甘さが生まれます。急ぐと台無しになるパーツです。

STEP 3:炊き込みの準備と炊飯(25分)

  1. バスマティライス200gを水で2〜3回研ぎ、10分間水に浸ける(日本米の場合は30分)
  2. レンズ豆の鍋から豆を一旦取り出し、茹で汁を計量する。400mlになるよう水を足す
  3. 別の厚手鍋にオリーブオイル大さじ4を中火で熱し、薄切り玉ねぎ1個分を入れる
  4. 玉ねぎが透明からやや飴色になるまで8分ほど炒める
  5. クミン小さじ1.5、シナモン小さじ1/2、オールスパイス小さじ1/4を加え、30秒炒めて香りを出す
  6. 水を切ったバスマティライスを加え、油と馴染むよう1〜2分炒める
  7. レンズ豆と茹で汁400mlを加え、塩小さじ1.5、黒こしょう小さじ1/2を入れる
  8. 強火で一度沸騰させ、蓋をして弱火に落とし、18分間炊く
  9. 火を止め、蓋を開けずに10分間蒸らす
鍋の中でレンズ豆と米が一緒に炊き上がっている様子。クミンの香りが立ち上る
炊き上がりの瞬間。ふたを開けると、クミンとシナモンの甘い香りが一気に広がる
バスマティライスが手に入らない場合

日本米で代用可能ですが、水加減を調整してください。バスマティライスは水分吸収が多いため茹で汁400mlですが、日本米の場合は350mlに減らします。また、浸水時間を30分に延ばすと、ふっくら炊き上がります。タイ米(ジャスミンライス)も代用できますが、バスマティに比べて粘りが出やすいので水を気持ち減らしましょう。

STEP 4:盛り付けと仕上げ

  1. 蒸らし終えたら蓋を開け、フォークで全体をふんわりほぐす
  2. 大皿または個別の器に盛り付ける
  3. 揚げ玉ねぎをこんもりと山盛りに乗せる——ケチらないのがレバノン流
  4. オリーブオイルを軽く回しかけ、好みでパセリを散らす
  5. ヨーグルト、レモンくし切り、トマトきゅうりサラダを添える
完成したムジャッダラ。揚げ玉ねぎがたっぷり、ヨーグルトと新鮮サラダが添えられている
盛り付けの完成形。揚げ玉ねぎは「多すぎるくらい」が正解。ヨーグルトのさっぱり感がレンズ豆の旨味を引き立てる

文化と歴史 — 旧約聖書から現代の食卓まで

聖書に記された「レンズ豆の食事」

ムジャッダラの起源は、記録に残る限り世界最古の料理のひとつです。旧約聖書の創世記25章に有名なエピソードがあります。エサウが「赤いレンズ豆の煮物」のために長子の権利をヤコブに売った話です。この煮物がムジャッダラの原型と考えられています。

文献で初めて登場するのは13世紀です。アラビア語料理書『Kitab al-Tabikh(料理の書)』に記録が残ります。バグダッドの宮廷料理人が書いたこの本には、レンズ豆と米の炊き合わせが「ムジャッダラ」として記載されています。

「貧しい人の食べ物」から「世界のスーパーフード」へ

中東では長い間、ムジャッダラは**「貧しい人の食べ物(food of the poor)」**と呼ばれてきました。肉を買えない家庭が、安価なレンズ豆と米でタンパク質を摂取するための知恵の料理だったのです。

しかし現代の栄養学がムジャッダラの価値を再発見しました。レンズ豆にはメチオニンが不足しています。一方、米にはリジンが不足します。両者を組み合わせると互いの弱点を補い合うのです。**豆と穀物を組み合わせることで、肉に匹敵する「完全タンパク質」**になるのです。

ムジャッダラの皿。クッベ・ハムスタスープとピクルス、タヒーニが添えられた中東の食卓
中東では、ムジャッダラはスープやピクルスと一緒にワンプレートで出されることが多い。質素だが栄養バランスは完璧

2019年、FAO(国連食糧農業機関)は豆類を食料安全保障の柱と位置づけました。レンズ豆は栄養価の高い食材の代表として推奨されています。かつて「貧乏人の食事」と軽んじられたムジャッダラ。今や世界のヴィーガン・ベジタリアンが愛する中東料理の代表格です。


地域ごとのバリエーション

ムジャッダラは中東の広い地域で食べられています。ケバブマンサフのような肉料理と並ぶ、中東を代表する一品です。国や家庭によって作り方が異なります。

レバノン式(この記事のレシピ)

レバノンのムジャッダラはバスマティライスを使い、粒が立ったピラフ状に仕上げます。揚げ玉ねぎはカリカリで、全体にクミンの香りが効いています。ヨーグルトとファトゥーシュ(揚げパン入りサラダ)を添えるのが定番です。

シリア式

シリアでは米の代わりに**ブルグル(挽き割り小麦)**を使うことが多く、より素朴な食感になります。ブルグルはレンズ豆と一緒に煮込む時間が短くて済むため、手軽に作れる日常食として普及しています。

パレスチナ式

パレスチナのムジャッダラは、レンズ豆を完全に煮崩してドロリとしたポタージュ状に仕上げる「ムジャッダラ・ハムラ(赤いムジャッダラ)」が有名です。赤レンズ豆を使い、トマトペーストを加えることもあります。ピタパンで掬って食べます。

エジプト式(コシャリとの関係)

エジプトでは「ムジャッダラ」という名前を使いません。しかしレンズ豆と米に揚げ玉ねぎを乗せるという構造は国民食コシャリにそのまま受け継がれています。コシャリはさらにマカロニとトマトソースが加わった進化形です。

レバノン式 vs シリア式

最大の違いは穀物。レバノンは、シリアはブルグル。日本では米の方が入手しやすいので、この記事ではレバノン式を紹介しています。ブルグルを使いたい場合は、米と同量のブルグル(粗挽き#3番)に替え、炊き時間を15分に短縮してください。


栄養価とヘルシーポイント

ムジャッダラは「貧しい人の食事」と呼ばれながら、実は栄養学的に極めて優秀な料理です。

1食分(約350g)の栄養成分

栄養素 1日推奨量に対する割合
エネルギー 420kcal 約20%
タンパク質 16g 約25%(植物性のみで)
食物繊維 11g 約55%(1食でほぼ半日分)
鉄分 5.2mg 約70%(女性の1日所要量)
葉酸 230μg 約96%(妊娠初期の推奨量に迫る)
カリウム 620mg 約25%

なぜ「完全食」と呼ばれるのか

豆と穀物の補完効果(タンパク質のアミノ酸スコア):

  • レンズ豆はリジンが豊富だがメチオニンが不足
  • 米はメチオニンが豊富だがリジンが不足
  • 両方を組み合わせるとアミノ酸スコアが100に近づく(肉に匹敵)

これは「タンパク質の相互補完」と呼ばれます。世界中の伝統食に見られるパターンです。日本の「米+味噌汁」。メキシコの「トルティーヤ+フリホーレス」。インドの「チャパティ+ダル」。先人たちは栄養学を知らずとも、経験的にこの組み合わせにたどり着いていました。

ムジャッダラのランチプレート。グリルチキン、サラダが添えられた豪華版
ベジタリアンとしてそのまま食べても、グリルチキンやサラダを添えてメインディッシュにしても万能

揚げ玉ねぎの科学 — なぜ20分かける価値があるのか

ムジャッダラにおいて揚げ玉ねぎは単なるトッピングではありません。料理のアイデンティティそのものです。レバノン人に「ムジャッダラで一番大切なものは?」と聞けば、10人中10人が「揚げ玉ねぎ」と答えるでしょう。

メイラード反応とカラメル化のダブル効果

玉ねぎを低温でじっくり揚げると、2つの化学反応が同時に起こります。

  1. メイラード反応(150〜180度):アミノ酸と糖が反応し、深い旨味と香ばしい香りの数百種類の化合物が生まれる
  2. カラメル化(160度以上):玉ねぎに含まれるフルクトースやスクロースが加熱分解され、飴のような甘さとビターな複雑さが生まれる

この2つが組み合わさることで、生の玉ねぎの辛味が甘く・香ばしく・ほろ苦い三重の味覚に変化します。

揚げ玉ねぎの保存方法

一度にたくさん作って保存しておくと、普段の料理にも使えます。

  • 常温:密閉容器で2〜3日。カリカリ食感を保てる
  • 冷凍:ジッパー袋で1ヶ月。使う前にオーブントースターで2分温めるとカリカリが復活
  • 用途:サラダのトッピング、カレーの付け合わせ、スープの浮き実、パスタに振りかけても美味しい
レンズ豆の種類。茶・緑・赤のレンズ豆がセラミックの器に盛られ、クミンシードやシナモンスティックが添えられている
ムジャッダラに使うスパイスと豆。左から茶レンズ豆、緑レンズ豆、クミンシード。中央のシナモンスティックがレバノン式の特徴

日本のスーパーで材料を揃えるガイド

レンズ豆の入手先

日本ではレンズ豆はまだマイナーですが、以下の場所で確実に入手できます。

入手先 商品例 価格帯 備考
業務スーパー 「レンズ豆」400g 150〜200円 最安。茶レンズ豆が安定供給
カルディ 各社輸入レンズ豆 300〜500円 緑・茶・赤の3種類が揃う
成城石井 Verival等のオーガニック 500〜800円 品質重視
Amazon Alishan茶レンズ豆 500g 600円前後 まとめ買い向き
富澤商店 茶レンズ豆 500g 400円前後 店舗・オンライン両方
茶レンズ豆がベスト

ムジャッダラには**茶レンズ豆(ブラウンレンティル)**が最適です。煮崩れしにくく、ホクホクした食感が残ります。赤レンズ豆は皮が剥かれているため5分で溶けてドロドロになります。緑レンズ豆は硬すぎて炊き込みに時間がかかります。業務スーパーの茶レンズ豆がコスパ最強です。

バスマティライスの入手先

バスマティライスは日本でも徐々に普及しています。

入手先 価格帯 備考
業務スーパー 500円/1kg インド産。品質は十分
カルディ 600〜800円/1kg パキスタン産が多い
Amazon 700〜1,200円/1kg インド産Daawat等
ハラルフードショップ 500〜700円/1kg 新大久保、池袋、神戸等に多数

バスマティライスが手に入らない場合は、日本米で代用可能です。ただし水加減を350mlに減らし、浸水時間を30分に延ばしてください。


ムジャッダラに合わせたい副菜と献立

定番の組み合わせ

副菜 説明 内部リンク
ヨーグルト(ラバン) 水切りヨーグルトが最適。レモン汁と塩を少々混ぜる
ファトゥーシュ 揚げピタパン入りのレバノン式サラダ。ザクロ酢ドレッシング
フムス ひよこ豆のペースト。パンに塗ってムジャッダラと交互に食べる レシピあり
タブーレ パセリたっぷりのブルグルサラダ。さっぱり感が合う レシピあり
ファラフェル ひよこ豆のコロッケ。ムジャッダラと合わせてベジタリアンの献立に レシピあり

ムジャッダラの献立例

平日の夕食(ベジタリアン):

  • ムジャッダラ + ヨーグルトソース + トマトときゅうりのサラダ + レモン

週末のブランチ(中東プレート):

おもてなし(フルコース):

来客時は4品で中東のフルコースが完成します。

コース メニュー
前菜 フムス + ファラフェル + バヴァガヌーシュ
主菜 ムジャッダラ + シャワルマ(鶏肉のスパイスグリル)
副菜 タブーレ + ピクルス
デザート バクラヴァ + ミントティー
ムジャッダラとサラダ、ビーツサラダが添えられたランチプレート
中東料理はプレート盛りが映える。ムジャッダラを中心に、彩り豊かな副菜を添えてメゼ(前菜盛り合わせ)スタイルに

アレンジレシピ3選

中東では「ムジャッダラは翌日がもっと旨い」と言われています。余ったムジャッダラを使った3つのアレンジをご紹介します。

1. ムジャッダラ・サラダ(冷製)

炊き上がったムジャッダラを常温に冷まし、レモン汁大さじ2、オリーブオイル大さじ2を回しかけます。みじん切りパセリ、ダイスカットのトマト・きゅうりを混ぜるだけ。夏場の常備菜として冷蔵庫で3日保存できます。お弁当のおかずにも最適です。タブーレと一緒に盛り付ければ、見た目も華やかな中東サラダプレートの完成です。

2. ムジャッダラ・ラップ

ムジャッダラを**ラヴァシュ(薄焼きパン)**やトルティーヤに包みます。ヨーグルトソースとピクルスを挟んでラップサンドにすれば、忙しい日のランチに5分で完成します。シャワルマ風に薄切り肉を足せば、ボリューム満点のメインに。

3. ムジャッダラ・グラタン風

耐熱皿にムジャッダラを敷きます。上にヨーグルト200gと卵1個を混ぜたソースをかけ、チーズを散らします。200度のオーブンで15分焼いてください。表面がグツグツになったら完成。寒い季節にぴったりの温かいアレンジです。

アレンジの黄金ルール

ムジャッダラはそのままでも十分美味しいですが、アレンジ時に忘れてはいけないのが揚げ玉ねぎです。どのアレンジでも、仕上げにカリカリ揚げ玉ねぎを乗せることで「ムジャッダラらしさ」が保たれます。冷製サラダでもラップでも、揚げ玉ねぎは欠かせません。


保存方法と温め直し

ムジャッダラは作り置きに最適です。正しく保存すれば平日のランチに困りません。

保存の基本

ムジャッダラ本体と揚げ玉ねぎは必ず別容器で保存してください。一緒に入れると揚げ玉ねぎが蒸気でしんなりし、カリカリ食感が失われます。

冷蔵保存

  • 密閉容器に入れ、冷蔵庫で4〜5日保存可能
  • 揚げ玉ねぎは別容器で保存すると、カリカリ食感が長持ちする
  • 温め直しは電子レンジ600Wで2分。水を大さじ1振りかけてからチンすると、パサつきを防げる

冷凍保存

  • 1食分ずつラップで包み、ジッパー袋に入れて冷凍庫で1ヶ月
  • 揚げ玉ねぎは冷凍不向き(しんなりする)。食べる直前に新しく揚げるか、トースターで温める
  • 解凍は冷蔵庫で一晩。急ぐ場合は電子レンジの解凍モード
作り置きに最適

ムジャッダラは作り置き料理の優等生です。冷蔵で5日持ち、味が馴染んで翌日の方が美味しいと言う人もいます。日曜日にまとめて作っておけば、平日3〜4日のランチに困りません。ベジタリアンの方は特に、週末の作り置きレパートリーに加えてみてください。


よくある質問

ムジャッダラについて多く寄せられる質問をまとめました。中東料理が初めての方は、キョフテフムスの記事も参考にしてみてください。

Q1. レンズ豆は水に浸ける必要がありますか?

浸水は不要です。 茶レンズ豆はひよこ豆や大豆と違い、皮が薄いため浸水しなくても15分程度で火が通ります。むしろ浸水すると水分を吸いすぎて煮崩れの原因になるので、そのまま茹でてください。

Q2. 米を入れずにレンズ豆だけで作れますか?

作れます。 レンズ豆の量を400gに増やし、水加減を500mlにして炊けば、米なしの「レンズ豆ムジャッダラ」になります。糖質制限中の方にはこちらがおすすめです。ブルグル(挽き割り小麦)で作ると、さらに食物繊維が増えます。

Q3. 辛いのが苦手でも食べられますか?

ムジャッダラは一切辛くありません。 使うスパイスはクミンとシナモンという「温かみのある」香りのスパイスだけで、唐辛子系は入りません。子供からお年寄りまで、辛いものが苦手な方でも安心して食べられます。中東料理=辛い、というイメージは誤解です。同じく辛くない中東料理にシャクシュカがあります。

Q4. ヴィーガン対応ですか?

完全にヴィーガン対応です。 基本レシピにはバター・肉・卵・乳製品は一切使いません。付け合わせのヨーグルトを豆乳ヨーグルトに替えれば、献立全体がヴィーガンになります。

Q5. 翌日のムジャッダラが乾燥してパサパサです。どうすれば?

水大さじ2〜3を振りかけてから温め直してください。 レンズ豆と米は冷蔵庫で水分を失いやすいですが、少量の水を加えてレンジで温めると、ふっくら感が戻ります。フライパンでオリーブオイル少々と一緒に炒め直すのも良い方法です。


まとめ — 5つの材料で世界一贅沢な節約ごはん

ムジャッダラは、レンズ豆・米・玉ねぎ・クミン・オリーブオイルという5つの材料から生まれる中東の知恵の結晶です。材料費は4人分で300〜400円。1人あたり100円以下で、タンパク質・食物繊維・鉄分たっぷりの完全食が作れます。

数千年の歴史を持ちながら、日本ではほとんど知られていないこの料理。一度作れば、その圧倒的なコスパと味わいの深さに驚くはずです。揚げ玉ねぎの甘い香ばしさ、クミンの温かい香り、レンズ豆のホクホク感——シンプルなのに、何度でも食べたくなる。それがムジャッダラの魔力です。

まずは材料を揃えて、この週末に挑戦してみてください。中東の家庭の食卓に、あなたも仲間入りできます。

中東料理をもっと知りたい方へ

ムジャッダラが気に入ったら、レバノンの他の名物料理もぜひ試してみてください。フムスは前菜の定番、ファラフェルはストリートフードの王様、タブーレは爽やかなサラダです。中東料理入門では、地域全体の食文化を俯瞰できます。


参考文献

書籍

  • Roden, Claudia. The New Book of Middle Eastern Food. Knopf, 2000. — 中東料理研究の決定版。ムジャッダラの各国バリエーションを網羅
  • Ottolenghi, Yotam & Tamimi, Sami. Jerusalem: A Cookbook. Ten Speed Press, 2012. — Publisher's page
  • Helou, Anissa. Feast: Food of the Islamic World. Ecco, 2018. — Author's site
  • Basan, Ghillie. The Middle Eastern Kitchen. Hippocrene Books, 2006.

オンラインソース

  • FAO. "Pulses: Nutritious Seeds for a Sustainable Future." 2019. — FAO Pulses Portal
  • Bittman, Mark. "Mujaddara (Lentils and Rice with Caramelized Onions)." The New York Times, 2014. — NYT Cooking
  • Harvard T.H. Chan School of Public Health. "Lentils." The Nutrition Source. — Harvard HSPH
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