揚げたてのファラフェルがピタパンに挟まれた盛り付け
🔪下準備30分
🔥調理20分
🍽️分量4
🌍料理レバノン料理
中東レシピ

ファラフェルの作り方|外カリ中ふわの本格レシピ

19分で読めます世界ごはん編集部

路地裏から世界に広がった「緑の宝石」

中東の街角を歩いていると、揚げ油のはじける音とスパイスの香りが路地裏から漂ってきます。その正体が ファラフェル(فلافل) ――ひよこ豆やそら豆をすり潰してスパイスと混ぜ、丸めて揚げた小さなコロッケのような存在です。

レバノン、シリア、パレスチナ、エジプト、イスラエルなど中東の広い地域で国民食として愛され、英語圏では「the king of Middle Eastern street food(中東ストリートフードの王様)」と呼ばれています。ヴィーガン・ベジタリアンの食文化が広がる欧米では、肉を使わないたんぱく源としてここ数年さらに注目度が上がりました。

ファラフェルの起源 — エジプトのコプト教徒から?

ファラフェルの起源には諸説ありますが、有力な説では エジプトのアレクサンドリア で生まれたとされています。コプト正教会のキリスト教徒が長い断食(レント)の間、肉の代わりになるたんぱく質豊富な食べ物として そら豆 で作ったのが始まりだとHistory Today誌は伝えています。港町アレクサンドリアから地中海沿岸のレバント地方へ伝わる過程で、そら豆から ひよこ豆 に材料が変わり、現在のファラフェルの形になりました。「ファラフェル」の語源はアラビア語の「filfil(コショウ)」に由来するという説と、コプト語の「たくさんの豆」に由来するという説があり、食文化研究者の間でも決着がついていません。

日本のスーパーで手に入る材料だけで、外はカリカリ、中は鮮やかなグリーンでふわっと軽い本場のファラフェルを再現できます。フムスシャクシュカタブーレと一緒に食卓に並べれば、自宅が中東のメゼ(前菜)バーに早変わりです。

積み上げられた揚げたてファラフェルのクローズアップ
断面の鮮やかなグリーンがファラフェルの特徴。ハーブがたっぷり入っている証拠
4人分

材料(4人分・約20 個)

材料 分量 代替・備考
乾燥ひよこ豆 250 g 缶詰は不可(詳細は下記参照)
玉ねぎ 1/2 個
にんにく 3 片 チューブ不可。生を使う
パセリ(イタリアンパセリ推奨) 1 カップ(20 g)
パクチー(香菜) 1/2 カップ(10 g) 苦手なら全量パセリで
クミンパウダー 小さじ2
コリアンダーパウダー 小さじ1
カイエンペッパー 小さじ1/4 辛さ控えめなら省略可
小さじ1.5
黒こしょう 小さじ1/2
ベーキングパウダー 小さじ1 揚げる直前に加える
重曹 小さじ1/2(浸水用)
揚げ油 適量(鍋底から5cm以上) 植物油(キャノーラ、ひまわり等)

食材選びの詳細ガイド

乾燥ひよこ豆はファラフェルの土台です。粒が大きく均一で、割れやカビがないものを選んでください。トルコ産やインド産が主流ですが、品種による味の違いはそれほど大きくありません。購入後は密閉容器に入れて冷暗所で保存すれば1年以上もちます。

パセリとパクチーはファラフェルの中身を鮮やかなグリーンにする立役者です。どちらも新鮮なものを使い、茎ではなく葉の部分を使用します。パクチーが苦手な方は全量パセリに置き換えて構いません。ディルを少量(5 g程度)加えるのもレバノンのシェフが推奨するバリエーションです。

スパイスはクミンとコリアンダーが必須です。可能であればホールスパイスをフライパンで軽く乾煎りしてからすり鉢で挽くと、市販のパウダーとは格段に違う芳香が生まれます。時間がなければパウダーで十分です。

缶詰ひよこ豆は絶対に使わないで

ファラフェルの失敗原因のほぼ第1位が「缶詰のひよこ豆を使うこと」です。缶詰は加熱調理済みで水分を多く含んでいるため、成形しても揚げた瞬間にバラバラに崩れます。英語圏のレシピサイトやRedditの r/Cooking でも「If you use canned chickpeas, your falafel will disintegrate(缶詰を使えば崩壊する)」と繰り返し警告されています。必ず乾燥ひよこ豆を一晩浸水して使ってください。

乾燥ひよこ豆の入手先

日本のスーパーでは富澤商店のひよこ豆(400 gで300円前後)が手に入りやすいです。業務スーパーでは500 g 200円前後のトルコ産が人気。カルディにも常時在庫があります。まとめ買いなら通販が経済的で、1kgで500〜800円が相場です。

材料を並べた俯瞰写真。乾燥ひよこ豆・パセリ・パクチー・スパイス
材料はシンプル。乾燥ひよこ豆とフレッシュハーブがカギ

栄養情報と健康面のメリット

ファラフェルはヴィーガン食でありながら、たんぱく質と食物繊維が豊富な栄養バランスの良い食べ物です。ひよこ豆100 gあたりにはたんぱく質約19 g、食物繊維約17 g、鉄分約6.2mg、葉酸約557μgが含まれています。

揚げ物ではありますが、ひよこ豆に含まれる食物繊維とたんぱく質が満腹感を持続させるため、少量で満足しやすいのが特徴です。タヒニソースを合わせるとカルシウムとマグネシウムも補えます。

ファラフェル4 個(ピタサンド1人分相当)のカロリーは約480kcalで、ハンバーガー1 個とほぼ同程度ですが、植物性たんぱく質・食物繊維・ミネラルの含有量では圧倒的にファラフェルが優れています。

調理手順

1

ひよこ豆を一晩浸水する(12〜24時間)

乾燥ひよこ豆 250gをボウルに入れ、豆の3倍量(約750ml)の水と重曹 小さじ1/2を加える。12〜24時間、常温で浸水させる。豆が2倍以上に膨らみ、指で簡単に割れる状態が目安。この段階では絶対に茹でないこと。重曹を加えるのは、アルカリ性の水がひよこ豆の皮のペクチンを分解し、浸水時間を短縮するためです。夏場は冷蔵庫内で浸水すると発酵を防げます。

手順1: ひよこ豆を一晩浸水する(12〜24時間)
2

材料をフードプロセッサーに入れる(準備2〜3分)

浸水した豆をザルにあけ、水をしっかり切る。キッチンペーパーで表面の水気を拭き取り、フードプロセッサーに豆・玉ねぎ 1/2個(粗みじん切り)・にんにく 3片・パセリ 20g・パクチー 10g・クミンパウダー 小さじ2・コリアンダーパウダー 小さじ1・カイエンペッパー 小さじ1/4・塩 小さじ1.5・黒こしょう 小さじ1/2を入れる(ベーキングパウダーはまだ入れない)。

手順2: 材料をフードプロセッサーに入れる(準備2〜3分)
3

粗めのペースト状にする(パルス20〜30回、約1分)

パルス(短時間のオン/オフ)を20〜30回、合計約1分繰り返し、粗めのテクスチャーに仕上げる。完全なペーストにせず、ひよこ豆の粒が少し残る「クスクスくらいの粒度」を目指す。指でつまんで握ったとき崩れず固まりになればOK。滑らかにしすぎると揚げたときに崩壊する原因になる。フードプロセッサーの容量が小さい場合は2回に分けて処理すると均一な仕上がりになります。

手順3: 粗めのペースト状にする(パルス20〜30回、約1分)
4

冷蔵庫で30分〜2時間寝かせる

生地をボウルに移し、ラップをかけて冷蔵庫で最低30分休ませる。時間があれば1〜2時間がベスト。冷やすことで生地が締まり、成形しやすくなる。生地を触ったとき、ベタつかず手に付かない状態が理想。英語圏のプロシェフは「chilling is non-negotiable(冷やすのは譲れない工程)」と口を揃える。この間にひよこ豆のでんぷん質が安定し、揚げたときに崩れにくくなる科学的な理由もあります。

手順4: 冷蔵庫で30分〜2時間寝かせる
5

成形する(約5分・20個分)

冷蔵庫から出した生地にベーキングパウダー 小さじ1を加えてよく混ぜる。大さじ2(約30g)の生地を手のひらで軽く握り、直径4cm・厚さ2cmの円盤型(パテ型)に成形する。1バッチで約20個できる。ボール型よりパテ型のほうが火の通りが均一になり、外カリ中ふわに仕上がる。生地が手にくっつく場合は、手を軽く水で湿らせると成形しやすくなります。ファラフェル専用の成形スプーン(ファラフェルスクープ)がAmazonで1,000円前後で購入可能で、均一なサイズに成形できます。

手順5: 成形する(約5分・20個分)
6

190℃の油で片面2〜3分+裏面2分、計4〜5分揚げる

鍋に油を5cm以上の深さまで入れ、190℃(375°F)に熱する。温度計がない場合は、生地のかけらを落として3秒で浮いてくれば適温。一度に4〜5個ずつ投入し、片面2〜3分、菜箸でそっとひっくり返してさらに2分、全体が深い黄金色(こげ茶になる手前)になるまで揚げる。投入直後は触らない――最初の2分で表面にクラストが形成される。

手順6: 190℃の油で片面2〜3分+裏面2分、計4〜5分揚げる
7

油を切って盛り付ける(1〜2分)

キッチンペーパーを敷いたバットに取り出し、1〜2分油を切る。断面を割ると鮮やかなグリーンが見えれば成功。ピタパンに野菜・[フムス](/recipes/middle-east/lebanon/hummus)・タヒニソースと一緒に挟めば本場のファラフェルサンドの完成。

手順7: 油を切って盛り付ける(1〜2分)
📊 栄養情報(1人分)
120
kcal
4.5g
タンパク質
5.5g
脂質
13.0g
炭水化物
3.0g
食物繊維
170mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

調理のコツ

崩れないファラフェルの5つの秘訣

1. 乾燥ひよこ豆を茹でない: 浸水だけ。茹でると水分過多で崩壊します。2. フードプロセッサーで回しすぎない: ペースト状ではなく粗めのテクスチャー。3. ベーキングパウダーは直前に: 揚げる直前に混ぜることでCO₂の発泡が最大化され、中がふわっと仕上がります。4. 油温は190℃を死守: 温度が低いと油を吸ってベチャベチャに。高すぎると外だけ焦げて中は生。5. 投入直後は触らない: 最初の2分で表面にクラストが形成されます。それまで触ると崩れます。

タヒニソースの作り方(5分)

タヒニ(または白練りごま)大さじ4、レモン汁 大さじ2、にんにくすりおろし 1/2片分、水 大さじ3〜4、塩 小さじ1/2をよく混ぜるだけ。水の量で好みの濃度に調整してください。ファラフェルの味を2段階引き上げる魔法のソースです。タヒニに水を加えると一度固くなりますが、混ぜ続けると再び滑らかになります。この現象はタヒニの油脂と水が乳化する過程で起きるもので、根気よく混ぜ続ければ必ずなめらかになります。

オーブンで焼く場合(ヘルシー版)

天板にオーブンシートを敷き、成形したファラフェルを並べて表面にオリーブオイルをスプレー。200℃に予熱したオーブンで15分焼き、ひっくり返してさらに10分。油で揚げるほどのカリカリ感は出ませんが、十分おいしく仕上がります。カロリーは揚げ版の約60%に抑えられます。

揚げ油の選び方と処理

ファラフェルにはクセの少ない植物油が適しています。キャノーラ油、ひまわり油、こめ油がおすすめ。ごま油やオリーブオイルは煙点が低く、風味がファラフェル自体の味を邪魔するため不向きです。使い終わった油は冷めてからこし器で漉し、密閉容器で冷暗所に保存すれば2〜3回は再利用できます。

アレンジ・バリエーション

辛さ控えめ版: カイエンペッパーを省略するだけで、お子さんでも食べやすいマイルドな味わいに。パクチーもパセリに置き換えれば万人向けになります。

エジプト風(ターメイヤ): ひよこ豆の代わりにそら豆(乾燥)を使う伝統的なバリエーション。ひよこ豆版よりしっとりした食感で、エジプトでは「ターメイヤ(طعمية)」と呼ばれ朝食の定番です。そら豆を使うとより深い緑色に仕上がり、風味もやや甘く繊細になります。カイロの屋台では朝の6時から熱々のターメイヤをピタパンに挟んで売っています。

和風アレンジ: 生地に青じそ(大葉)を刻んで混ぜ、柚子胡椒を添えると和のテイストに。枝豆を少量加えると彩りも良くなります。日本のビールのおつまみとして優秀です。

エアフライヤー版: 180℃で12分、途中でひっくり返して均一にカリッと仕上げます。油の使用量を大幅に減らせる現代的な調理法です。表面にオリーブオイルをスプレーしてから焼くと、よりカリッと仕上がります。

ハーブたっぷり版: パセリとパクチーの量をそれぞれ2倍(パセリ40g、パクチー20g)にすると、断面がより鮮やかなグリーンになり、ハーブの風味が際立ちます。レバノンの屋台ではこのハーブ多めのバージョンが好まれています。

チーズ入り版: 成形時に中心にフェタチーズの小さなかけらを入れて包み込みます。揚げるとチーズがとろりと溶けて、一口かじったときのサプライズ感が楽しめます。パレスチナ料理の「ファラフェル・マフシ」からヒントを得たアレンジです。

アレンジ例: サラダボウルの上にファラフェルをのせた盛り付け
サンドだけでなくサラダボウルのトッピングとしても人気

この料理の背景 — 中東を巡る「食の領土争い」

中東の市場で売られるファラフェルの屋台
中東の街角では至る所でファラフェルの屋台を見かける

ファラフェルは料理であると同時に、中東の複雑な政治・文化のシンボルでもあります。イスラエル、パレスチナ、レバノン、エジプトがそれぞれ「ファラフェルはうちの国の料理だ」と主張し、食の帰属を巡る論争が続いています。

歴史的な事実としては、エジプトのそら豆版が最も古い起源を持つとする説が有力です。レバント地方(現在のレバノン・シリア・パレスチナ)に伝播する過程で材料がひよこ豆に変わり、さらにイスラエル建国(1948年)後にユダヤ系移民がこの料理を取り入れたことで、イスラエル料理としても広まりました。

英語圏の食文化研究者チャールズ・ペリーは、最古の文献的証拠がエジプトにあることを指摘しつつも、「ファラフェルはひとつの国のものではなく、地中海東部の共有遺産だ」と述べています。

世界に広がるファラフェル文化

2000年代以降、ファラフェルはニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリンなど世界の主要都市でストリートフードの定番になりました。特にベルリンでは中東系移民が経営するファラフェルスタンドが街中に点在し、ドネルケバブと並ぶ屋台食の代名詞です。

日本でも東京の中目黒、渋谷、新大久保などに中東料理の専門店が増えており、ファラフェルを看板メニューにする店が年々増加しています。コンビニのデリカフェスメニューに登場するなど、認知度は着実に上がっています。

中東料理のまとめ記事でも触れていますが、中東料理は国境を越えた文化的つながりの中で育まれてきた食の宝庫です。ファラフェルはその最も身近な入口といえるでしょう。

よくある質問

保存のコツ

揚げたファラフェルは冷蔵で3日、冷凍で1か月保存可能。温め直しはトースターかオーブンで180℃・5分が最もカリカリ感を復活させます。電子レンジだと表面がしなしなになるので避けましょう。

Q. ファラフェルの生地は冷凍保存できますか? 成形した状態でバットに並べ、凍ったらフリーザーバッグに移せば1か月保存可能です。揚げるときは解凍せず凍ったまま油に投入してください。揚げ時間を1〜2分追加するだけです。

Q. フードプロセッサーがない場合はどうすればいいですか? ブレンダー(ミキサー)でも代用可能ですが、少量ずつ処理する必要があります。生地が滑らかになりすぎるとバラけやすいため、短いパルスで粗めを維持するよう気をつけてください。すり鉢やマッシャーでも作れますが、かなりの体力が必要です。

Q. 小麦粉を入れなくて大丈夫ですか? 本場のファラフェルには小麦粉を入れません。乾燥ひよこ豆の天然のでんぷん質がつなぎの役割を果たします。小麦粉を足すと密度が上がりすぎて「揚げ団子」のような食感になり、中のふわっとした軽さが失われます。

Q. アレルギーが心配な方へ ファラフェルはグルテンフリー(小麦不使用)のレシピですが、市販のピタパンには小麦が含まれます。レタスラップやグルテンフリーの薄焼きパンで代用できます。ゴマ(タヒニ)アレルギーの場合はタヒニソースの代わりにヨーグルトソースがおすすめです。

Q. ファラフェルが油の中でバラバラに崩れてしまいます。原因は? 最も多い原因は缶詰のひよこ豆を使っていること、または生地の水分が多すぎることです。乾燥ひよこ豆を使い、浸水後はしっかり水切りし、冷蔵庫で最低30分休ませてから揚げてください。それでも崩れる場合は、生地にお好み焼き粉を大さじ1加えると安定します(本場のレシピからは外れますが実用的です)。

Q. ファラフェルに合う付け合わせは何ですか? 定番はタヒニソース、フムスタブーレ、ピクルス(特にターニップのピクルス)、トマトときゅうりのサラダです。ピタパンに全部挟んでサンドイッチにするのが最もポピュラーな食べ方ですが、サラダボウルのトッピングや、ごはんのおかずとしても十分成立します。中東式のグリルプレートとしてケバブと一緒に出すのも定番で、ラム肉や鶏肉のグリルとファラフェルを盛り合わせたミックスプレートはレストランでも人気のスタイルです。

Q. 一度にたくさん作って冷凍するコツは? 生地を成形した状態でバットにクッキングシートを敷いて並べ、急速冷凍してからフリーザーバッグにまとめるのが最も場所を取らない方法です。揚げた後の冷凍も可能ですが、再加熱時のカリカリ感は生地冷凍からの揚げたてに劣ります。休日にまとめて成形しておき、平日に必要な分だけ揚げるのが効率的です。

Q. ファラフェルは何カロリーですか? ファラフェル1個(約30g)のカロリーは約60kcalです。ピタサンド1人分(ファラフェル4〜5個+野菜+タヒニソース)で約480〜550kcalになります。オーブン焼きにすると1個あたり約35kcalまで下がります。

参考文献

  • ファラフェル
  • 中東料理
  • ひよこ豆
  • レバノン料理
  • ストリートフード
  • ヴィーガン
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