金色の細い麺に、ところどころ濃い茶色に炒った麺が混じっています。そこに砂糖、粉末カルダモン、サフランを溶かしたローズウォーターを合わせ、蓋をして最後の水分を吸わせる。別のフライパンでは、塩とこしょう、少しのカルダモンとサフランを加えた卵2個が、バターで両面焼かれています。卵を麺の上に載せ、甘い麺と塩気のある卵を同じひと口で食べるのがバラリート(بلاليط)です。
春雨といえば塩味のスープか、甘いミルクのデザートを思い浮かべる人には、意外な組み合わせかもしれません。バラリートはその中間にあります。麺が砂糖と花のような温かい香りを受け持ち、卵が塩とこしょうで全体を引き締める。Platinum Heritageのエミラティ料理のレシピ集も、この料理を甘さと塩気の組み合わせとして説明しています。
この記事が追うのは、カスル・アル・ホスン(Qasr Al Hosn)のハウス・オブ・アルティザンズ(House of Artisans)が公開しているバラリートのレシピ1本だけです。分量はカップ、小さじ、大さじで書かれているので、原典のまま換算せずに載せます。原典には何人分という記載がないため、人数も書きません。春雨の500gは袋の規格であって、できあがりの量ではありません。
麺はサフラン、カルダモン、ローズウォーターで甘く香らせ、卵は塩と黒こしょうで塩味に。二つは別々に作り、皿の上で初めて出会います。
湾岸の各地で食べられている料理
バラリートは、特定の一国だけの料理ではありません。カタールの公式観光サイトVisit Qatarは、カタールの伝統料理の一つとしてこの料理を挙げ、ローズウォーター、カルダモン、サフラン、ターメリックで風味づけした炒め春雨に卵を載せたものと説明しています。今回の記事のレシピはアラブ首長国連邦の文化施設のものですが、同じ料理のレシピはほかのエミラティの情報源でも公開されています。湾岸地域に広く見られ、資料ごとにレシピが違う料理と受け止めるのがよさそうです。
Platinum Heritageのレシピ集には、イード(祝祭)の食卓で黒目豆やひよこ豆と一緒にバラリートを出す習わしも記されています。ただし、同書のレシピは香辛料も油の量も違うため、ここでは背景の紹介にとどめ、下の作り方には混ぜていません。
このレシピの地元の食卓をもう少したどりたい方は、アラブ首長国連邦のほかの料理もご覧ください。
途中で見つける、味の決め手
道具
- サフランをローズウォーターに浸す小さなボウル
- 春雨を炒り、ゆで、蒸らすための蓋つきの鍋
- 湯を切るざる
- 卵を溶くボウルと泡立て器またはフォーク
- 卵焼き用の別のフライパン
- 計量カップと計量スプーン
選び方と代用
原典の分量は、カップ、小さじ、大さじです。目分量で換算せず、計量カップと計量スプーンで量ってください。原典にはグラム換算がなく、記憶にある別のカップ規格を当てはめるのも避けましょう。
春雨。 原典の表記は「vermicelli」だけです。この名前で売られている細い乾麺を探してください。原料は原典に書かれていないので、気になる方はパッケージの表示を確認しましょう。同じ名前でも原料や食感は商品によって違うことがあります。原典は特定の原料も、置き換えられる麺も示していないため、別の商品でも同じ仕上がりになるとは限りません。
ローズウォーター。 食品・料理用と表示されたものを選びます。化粧用として売られているものもあるので、買う前にラベルを確認してください。
サフランとカルダモン。 ローズウォーターと並んで、この料理の香りの中心です。原典の指定は、砕いたサフラン糸と粉末カルダモン。春雨用(サフラン1/2 tsp、カルダモン1 1/2 tsp)と卵焼き用(それぞれ1/4 tsp)は、別々の小皿に分けておきます。
加えないもの。 Visit Qatarの説明にはターメリックが出てきますし、ほかのレシピにはナッツやバラの花びらで仕上げるものもあります。カスル・アル・ホスンのレシピにはどれも入っていないので、ここでも使いません。
甘さ。 砂糖3/4 cupは原典の分量です。減らす場合は、このレシピからの変更になります。
うまくいかないとき
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 苦い、焦げた味がする | 炒った半量が濃く色づきすぎた | 炒めている間は絶えずかき混ぜ、金色になったところでやめる。黒くなったら、その半量はやり直したほうがよい |
| 麺がべたついて柔らかすぎる | 蒸らす前のゆで時間が長かった | ゆでるのは約3分まで。蓋をしている間にさらに柔らかくなる |
| 鍋に水分が残っている | 蒸らしがまだ終わっていない | 蓋をしたまま弱火で続け、もう一度確かめる。アラビア語の手順は15分、または水分がなくなるまで |
| 麺が鍋底にくっつく | 蒸らし中の火が強い | 弱火を保ち、蒸らしの途中で蓋を開けて確かめる |
| 麺が塩辛い、こしょうが強い | 卵用の調味料を麺に入れてしまった | 卵用の調味料は専用の小皿に分け、卵にだけ加える |
| 想像と食感がかなり違う | 違う種類の麺を使った | 「vermicelli」として売られている麺は商品によって性質が違う可能性がある。原典は原料を示していないので、同じ仕上がりになると思い込まない |
| 味の量がおかしい気がする | カップや匙を換算したり目分量にした | 計量カップと計量スプーンで、書かれている分量どおりに量る |
ほかの公開レシピとの違い
公開されているバラリートのレシピは資料ごとに違います。ここまでの分量とほかの配合は、混ぜないでください。
- ターメリック。 Visit Qatarの説明では、ローズウォーター、カルダモン、サフランと並んでターメリックが挙げられています。カスル・アル・ホスンのレシピでは使いません。
- 分量の違い。 Barilla UAEは、4人分で春雨200g、卵4個の配合を公開しています。こちらもサフランとローズウォーターで風味をつけ、麺を炒めて水で火を通し、卵を別に焼くという大きな流れは同じですが、分量は独自のものです。
- 香辛料と油脂の違い。 Platinum Heritageのエミラティ料理レシピ集に載っているレシピは、香辛料と油の量が違います。
- 飾り。 ピスタチオなどのナッツやバラの花びらで仕上げるレシピもあります。それぞれのレシピのもので、このレシピにはありません。
- 祝祭での出し方。 Platinum Heritageには、イードに黒目豆やひよこ豆と一緒にバラリートを出すという記録があります。
よくある質問
何人分ですか?
原典には書かれていません。春雨は500g袋、卵は2個を使いますが、人数の記載はないため、この記事でも人数を決めていません。
なぜ春雨の半量だけを炒るのですか?
原典のレシピがそう書かれているからです。半量は金色になるまで炒り、残りは炒らずに熱湯と一緒に加えます。炒めた分だけ、麺の一部に色と香ばしさがつきます。
溶かしバターはいつ入れますか?
原典の英語の手順は、材料に溶かしバターを挙げていますが、入れる時点は書いていません。アラビア語の手順では、湯を切った春雨に砂糖、カルダモン、サフラン入りローズウォーターと一緒に加えます。この記事はそれに従っています。
蒸らしは何分ですか?
英語の手順に時間はありません。アラビア語の手順は15分、または水分がなくなるまでです。時計より鍋の様子を見て、くっついていないかを確かめてください。
麺と卵に同じスパイスの組み合わせを使ってもよいですか?
いいえ。麺には砂糖とローズウォーターとともにカルダモン1 1/2 tspとサフラン1/2 tsp、卵にはカルダモン、サフラン、塩、黒こしょうを各1/4 tspです。二つを分けておくことで、甘さと塩気の対比が生まれます。
ターメリックやナッツ、バラの花びらを加えてもよいですか?
このレシピでは使いません。ターメリックはVisit Qatarの説明に、ナッツや花びらはほかのレシピに出てきますが、カスル・アル・ホスンのレシピには入っていません。














