深皿に盛られているのは、トマトで赤く染まった米です。その上にあさり、えび、いか、白い貝柱がのり、粒のまわりには少しだけ汁がたまっています。アロス・ア・ラ・トゥンバーダ(arroz a la tumbada)は、Larousse Cocinaがベラクルス州ソタベント地方(Sotavento)の伝統料理として紹介している魚介ごはんです。炊き上がりはしっかり火が通っていながら、少し汁気がある状態です。
汁気を残して炊く、ベラクルスの赤いごはん
米は芯まで炊けていても、赤い煮汁が少し残っています。乾いたごはんにはしません。魚介は段階を分けて加え、香草は終盤に入れて緑を保ちます。
この記事は、Larousse Cocinaが『Los clásicos de la cocina mexicana』から掲載している、6人分のレシピ1本に沿っています。まずトマトをオリーブ油で煮て取り置き、別のオリーブ油でえびを軽く焼きます。同じ油で米を炒め、そこへトマト、魚だし、水を加えます。あさりは米の炊き上がりの中盤に、いかとcallo de hacha(タイラギ類の貝柱)と香草は終盤に加えます。掲載ページには準備10分、加熱50分とあり、米だけなら約25分が目安です。これは出典の掲載値で、この記事の台所で測った時間ではありません。
このレシピは魚だしを使いますが、魚の切り身は入れません。同じ名前の別のレシピには、魚、かに、たこ、epazote(エパソテ)を加えるものもあります。それらは別の版なので、ここでは混ぜていません。
パエリアではなく、ソタベントの汁気のある魚介ごはん
Larousseの『Diccionario enciclopédico de la Gastronomía Mexicana』は、アロス・ア・ラ・トゥンバーダを赤くて汁気のある米料理と定義しています。さまざまな魚介、トマト、オレガノ、にんにく、epazoteを使うソタベント・デ・ベラクルスの名物で、魚介のパエリアと混同しないよう、辞典ははっきり書いています。パエリアが目指すのは、乾いてばらりとした粒です。こちらは煮汁ごと食卓に運ばれる米です。
同じ辞典によると、メインの料理として、黒豆とトルティーヤやパンを添えて出すことが多いそうです。昔ながらの出し方は、炊いたカスエラ(cazuela)のまま、または深皿に盛る形です。これらは辞典に書かれた提供の習慣で、後半のレシピの材料ではありません。
この名前のレシピは幅広く、作り手によって違います。elGourmetの1本は、魚だしまたは水で米を炊き、魚、えび、あさり、かに、たこ、ラングスティーノ、魚卵、epazoteを加え、深皿でコーントスターダを添えて出します。Imagen de Veracruzが紹介する現地の家庭レシピも、魚だし、トマト、魚介、epazoteで汁気のある米を作り、魚介を段階的に加えます。同じ記事は、この料理をアルバラード(Alvarado)と、そこで行われるラス・クルーセス・デ・マヨ(Las Cruces de Mayo)の祭りに結びつけています。こうした例は料理の幅を示すものです。分量や手順はここでは使っていません。
この記事のLarousseのレシピは、ひと家庭の版です。香草は、辞典の項目にあるepazoteではなく、ユカタン・オレガノ、オレガノン、あさつき、パセリ、パクチーを使います。メキシコのほかの料理はメキシコのページへどうぞ。
途中で見つける、味の決め手
道具
- トマトを煮る小鍋
- 米、煮汁、魚介が入り、沸いても余裕のある、幅広で厚手の蓋つき鍋(出典に鍋の大きさの指定はありません)
- 焼いたえびを取り出すトングと皿
- トマトを攪拌するブレンダーと裏ごし器
- 計量カップと計量スプーン
- 魚介の中心を確かめる食品用温度計
選び方と代用
魚だし。 レシピでは、魚だしの代わりに水を使ってもよいとされています。反対に、だしが十分にあれば、水の一部または全部をだしに替えてもかまいません。どの魚を使うか、顆粒だしをどれだけ入れるかは出典に書かれていません。市販のだしを使うときは、ラベルで添加物とアレルゲンを確認してください。
callo de hacha。 メキシコではタイラギ類の貝柱を指します。Larousseの辞典はAtrina rigidaとPinna rugosaを挙げていて、食べるのは白い貝柱です。ホタテの別名ではありません。ホタテの貝柱は別の貝なので、代用として使えるだけです。200gのホタテを使った場合は、このレシピとして試していないので、違う仕上がりになると思ってください。
ユカタン・オレガノとオレガノン。 この2つは別々の材料です。スーパーで売っている普通の乾燥オレガノは、ユカタン・オレガノと同じではありません。オレガノンの代わりにどの植物を使うかは、ここでは扱いません。2つのうち1つしか手に入らない場合は、自分なりのアレンジとなり、レシピどおりとは言えなくなります。風味も変わります。
パセリ。 この版では、普通のパセリのみじん切り大さじ2を使います。レシピのもう一つの選択肢は、パセリ・ランチェロの葉4枚を丸ごと使い、食べる前に取り除く方法です。どちらか一方にして、両方は使いません。
あさりとほかの魚介。 出典はあさりの種類を指定していません。冷凍の魚介の加熱時間も書かれていないので、ここでも示しません。
この料理には、えび、いか、二枚貝(あさりと貝柱)、そして魚だしの魚が入ります。野菜だしで作った版とは別物として扱ってください。
鍋の様子がおかしいとき
| 見た目 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 米が乾いてパエリアのようになった | 仕上がりは少し汁気が残る状態が目安 | 炊き上がりの最終盤は、粒のまわりの煮汁を見ながら進める。出典に足し湯の分量がないため、決まった量は示さない |
| 香草がくすんで黒っぽい | 早く入れていないか | レシピのとおり終盤に加える |
| えびは火が通って見えるが自信がない | 最初の焼き付けだけでは火は通りきらない | 鍋に戻したか確かめ、中心を75°Cで1分以上にする |
| あさりが開いた | 殻が開いただけでは安全の証拠にならない | 温度計で加熱を確かめ、「加熱用」表示や地域の指示があれば従う |
| 塩味が決まらない | えびの塩に分量の記載がない | レシピが塩加減を整えるとしている終盤に味を見て調える |
| ユカタン・オレガノもオレガノンもない | 別々の香草である | 風味が変わることを前提に、自分なりのアレンジとして楽しむ |
レシピ内の変えどころ
レシピには、タバスコ産のアチオテ・ペースト(pasta de achiote tabasqueño)小さじ1/4を、色づけのために加える方法が、筆者の家族の工夫として書かれています。この料理に共通する決まった材料ではなく、この版では使っていません。使う場合は、4 cupsの水とは別に、水大さじ2で溶きます。米と香味野菜を炒めたあとに軽く炒め、取り置いたトマトを加えてください。
- パセリ・ランチェロ。 刻みパセリの代わりに葉を4枚丸ごと使い、食べる前に取り除きます。
- 水だけで炊く。 レシピが認めているとおり、魚だしを水に替えます。海の風味は控えめになります。
- もっと簡単な版。 Larousseのページには、えびと魚だけのより簡単な版があると書かれていますが、詳細はありません。魚、かに、たこ、epazoteを使う他の資料のレシピは別のレシピで、このレシピとは混ぜません。
残ったとき
米と魚介を室温に長く置かないでください。
残りは浅い容器に小分けしてすばやく冷ましてから冷蔵します。再加熱は、一般的な目安として75°C以上にします。この料理の安全な保存期間は確認できていないため、日数は示しません。
よくある質問
魚介のパエリアとはどう違いますか?
Larousseの辞典が、はっきり区別しています。アロス・ア・ラ・トゥンバーダはトマトで赤く、少し汁気がある料理です。深皿に煮汁ごと盛るか、炊いた鍋のまま出します。
魚だしの代わりに水を使えますか?
使えます。レシピは魚だしの代わりに水を使うことを認めています。反対に、だしが十分にあれば、水の一部または全部をだしにしてもかまいません。
callo de hachaの代わりにホタテを使えますか?
代用としてだけ使えます。callo de hachaはタイラギ類の貝柱で、ホタテとは別の貝です。同じ重さのホタテを使う方法は、このレシピとして試していません。
epazoteは入れないのですか?
辞典の項目にはepazoteが挙がっていて、ほかのレシピにも使われます。このLarousseの家庭レシピは、代わりにユカタン・オレガノ、オレガノン、あさつき、パセリ、パクチーを使います。epazoteを加えるとレシピが変わります。
アチオテは必ず使いますか?
いいえ。出典は筆者の家族による色づけの任意の追加としていて、この版では使っていません。
魚介に火が通ったかどうか、どう確かめますか?
米の炊き時間では判断しません。えび、いか、貝柱の中心が75°Cで1分以上になっているかを確かめてください。あさりは、殻が開いただけでは安全の証拠にしないでください。













