メティ・カクラ ― 割れるまで焼き上げる薄い円
1枚ずつ生地をごく薄くのばし、全体が完全にパリッとするまで鉄板の上で押して回し続けます。目指すのは柔らかいパンではなく、乾いて割れる薄焼きクラッカーです。
緑のフェヌグリークの葉が点々と入った全粒小麦粉の生地を、熱した鉄のフライパンにのせます。見た目は薄いチャパティのようですが、ふくらんで柔らかくなったところで取り出すことはしません。油を塗り、木のプレスか折りたたんだ綿の布で押さえて回し、もう一度返し、さらに押し続けます。円全体が乾いて、中までパリッとなるまで焼く。これがカクラ(グジャラート語:ખાખરા)です。インド西部のグジャラート州の軽食です。
なぜ、パンのような生地を乾くまで焼くのでしょうか。答えは食感にあります。Gujarat Tourism(グジャラート州観光局)はカクラを、薄くてパパドのような軽食と説明しています。押しながら焼くことで、パンのようにふくらまず平らなまま、均一に乾いていきます。
カクラにはさまざまな味があります。この記事で扱うのはそのうちの一つ、全粒小麦粉と赤唐辛子粉、アサフェティダ、ターメリックで作るメティ(フェヌグリークの葉)入りのカクラです。Archana's Kitchen の Archana Doshi によるMethi Khakhraのレシピに沿っています。そのレシピは、細かく刻んだメティの葉を使うと書いていますが、生か乾燥かは示していません。この記事では生の葉を使うことにしました。これは編集上の選択でレシピの指定ではなく、乾燥した葉の分量も検討していません。
世界ごはん紀行では、このレシピを試作していません。分量と手順は上記のレシピに沿っており、レシピにない温度、厚み、焼き時間は加えていません。
カクラとは ― 乾くまで焼くグジャラートの軽食
カクラはグジャラート州の薄くてパリッとした軽食で、メティはよくある味の一つです。 Gujarat Tourism は、よくある味としてメティ、ジーラ(クミン)、プディナ(ミント)、アジョワンを挙げ、ムングディを甘いバリエーションとして紹介しています。Khadi and Village Industries Commission(KVIC)は、カクラをグジャラート料理とラージャスターン料理に見られる薄いクラッカーと説明しています。
Sahapedia のアーメダバードの文化遺産の記録は、カクラをグジャラートのファルサン(塩味の軽食)の代表的な例として紹介しています。そこには、前日のチャパティを平らな鍋でカリッと焼き直す昔の習慣、1950年代から広がったファルサンの商業的な市場、そして1960年代初めに少量の販売から始めて、のちに味の種類を増やした Induben Jhaveri のカクラの商いが書かれています。ただし、これは一つの都市の記録と一つの店の話です。どの家庭のカクラも残りもののチャパティから始まったことを示すものではなく、この軽食全体の唯一の起源でもありません。
カクラは持ち歩く食べ物でもあります。Kachchh(カッチ)県行政は、カッチの食べ物の説明の中で、乾いたロティ、テープラ、カクラ、セーヴを、旅に持っていくために作って保存する食べ物として挙げています。これはカッチに限った例で、グジャラートのすべての家庭の話ではありません。Archana's Kitchen も、カクラを朝食、お茶の時間、旅のお供に食べるものとして紹介しています。
工場で作るカクラは別の工程です。KVICの事業計画書では、薄いシートを熱板で焼き、さらにローストして水分を減らすとされています。家庭の作り方との共通点は、薄い生地から水分を飛ばすという点だけです。機械の工程は、この家庭向けレシピには含まれません。
カクラとテープラ
グジャラートの別の平焼きパン、テープラにも、生地にメティを入れるものがあります。違いは仕上がりです。テープラは柔らかくしなやかなまま、カクラは鉄板で押しながら乾いてもろくなるまで焼きます。焼き上がった円が曲がるようなら、それは柔らかい平焼きパンに近い状態で、押し焼きの時間がもっと必要です。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 包丁とまな板
- ボウルと、ボウルにかぶせるもの
- めん棒とのし台
- 鉄のフライパンまたはタワ
- 木製のカクラ用プレス、または清潔で厚手の綿の布を折りたたんだもの
- 平皿
- 清潔な密閉容器
鉄のフライパンも油も、焼いている間ずっと熱くなっています。素手で円を押さえてはいけません。木のプレスか厚手に折りたたんだ布を使い、指を金属に近づけないでください。この生地には小麦が含まれます。アサフェティダや唐辛子粉は調合された製品であることが多いので、ラベルでアレルゲンを確認してください。
選び方と代用
粉。 全粒小麦粉を使います。インド食材店では「アタ」という名前で売られています。安易に白い小麦粉に替えないでください。全粒小麦粉の香ばしさも、この軽食の味の一部です。
メティ。 インド食材店や輸入食材店で、「メティ」または「フェヌグリークの葉」という名前の生の葉を探します。乾燥したフェヌグリークの葉(カスリメティ)は別の形のもので、同じ大さじ2で置き換えることはしません。
唐辛子粉。 目安はインドの赤唐辛子粉です。別の唐辛子粉を使うと、辛さも風味も変わります。
アサフェティダ。 生地には小さじ1/4のアサフェティダ(ヒング)を使います。
油。 普段使いの調理油で作れます。生地に入れる大さじ2と、焼くときに各円に塗る小さじ1は、分けて計ってください。
パリッと割れないときの対処
| 問題 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地が硬すぎる、またはまとまらない | 水を入れる速さが急すぎた、または足りない | 水を少しずつ加え、そのつどこねて、硬めでもまとまる状態にする |
| 部分的に柔らかいまま焼き上がる | 厚くのばした、または早く取り出した | 1玉ずつごく薄くのばし、全体がパリッとするまで押して回し続ける |
| 黒い点や焦げが出る | 火が強すぎる | 火を弱め、押して回し続けて、焦がさず乾かす |
| 気泡がどんどん出てくる | 押さえ方が足りない | 円を回しながら、木のプレスか折りたたんだ布で気泡を押しつぶす。熱い鉄板の上を素手で押さえない |
| 保存したらパリッと感がなくなった | 温かいうちに入れた | 皿の上で完全に冷ましてから密閉容器に入れる |
メティ以外のバリエーション
ほかのよくあるカクラの味には、ジーラ(クミン)、プディナ(ミント)、アジョワンがあり、ムングディは甘いバリエーションです。この記事では、それらの分量は示しません。それぞれに別のレシピが必要で、このメティの生地に当てずっぽうで加えると、別の軽食になってしまいます。
生の葉ではなく乾燥したフェヌグリークを使うカクラもありますが、粉、油、焼くときの分量もそれぞれ違います。それらの分量は、上の分量と入れ替えられません。
カクラの食べ方
メティ・カクラはそのまま食べます。朝食に、お茶と一緒に、旅に持っていくお供に。トッピングやディップは必要ありません。グジャラートの料理をもう少し作るなら、テープラは生地にメティを入れる点が共通ですが、柔らかいままです。ドークラは作り方がまったく違う、別のグジャラートの軽食です。ライタは別の料理で、カクラの決まった相手ではありません。好みで添えるくらいがよいでしょう。
よくある質問
カクラとテープラはどう違いますか?
どちらもグジャラートの料理で、生地にメティを入れることもあります。テープラは柔らかい平焼きパンです。カクラはごく薄くのばし、最初に返したあとと二度目に返したあとの両方で鉄板の上で押し、完全にパリッと乾くまで焼きます。
生のメティの代わりに乾燥メティ(カスリメティ)を使えますか?
Archana's Kitchen のレシピは、刻んだメティの葉としているだけで、生か乾燥かは書いていません。この記事では生の葉を選びました。乾燥した葉の分量を決める根拠がないので、生の葉の代わりに乾燥した葉を大さじ2入れることはおすすめしません。生のメティが手に入らない場合は、乾燥した葉用に書かれたカクラのレシピを探してください。
何枚できますか?
作り方では、生地を20等分します。Archana's Kitchen のレシピカードには別に「10〜15人分」とあります。人数と生地の個数は単位が違い、レシピは両者の関係を説明していないので、一方をもう一方に換算することはしません。
カクラはどのくらいもちますか?
Archana's Kitchen は保存期間にふれていますが、試験された賞味期間ではないので、この記事では載せていません。言えるのは、焼いた円を平皿に重ね、完全に冷ましてから、清潔な密閉容器に入れる、ということです。
カクラが黒っぽくなるのはなぜですか?
おそらく火が強すぎます。この方法で中強火にするのは、小さな気泡が少し出るまでだけで、そのあと押して回すときは中火に落とします。火を弱め、押して回し続けて、色づけるのではなく乾かしてください。
温度や厚さはどのくらいを目安にすればよいですか?
レシピには鉄板の温度も、生地の厚さも、1枚あたりの焼き時間も書かれていないので、この記事でも加えていません。手順の目安を使ってください。ごく薄くのばした円、最初に返す前に出る小さな気泡、そして円全体がパリッとするまで押すことです。
















