メバクベカ:煮汁のなかで仕上がるパスタ
乾燥パスタは、ほかの具材と同じ鍋のトマトと肉の煮汁にそのまま入れます。肉とパスタの火の通りは、時計ではなく実際に確かめて判断してください。
バターで玉ねぎがやわらかくなり、小さく切った肉に焼き色がつき、そこへ水と角切りのトマトが加わって沸き立ちます。乾燥パスタは別の鍋でゆでてソースをかけるのではなく、赤い煮汁にひよこ豆と一緒に直接入れて、弱火でやわらかくなるまで煮ます。メバクベカ(مبكبكة)は、トマトと肉の煮汁でパスタを煮るリビアの料理です。麺入りのスープでも、ソースをかけたパスタでもありません。
ここで紹介するのは、リビアのメディア Alwasat が載せている一つの版です。肉500g、リング形または貝殻形のパスタ500g、トマト、トマトペースト、玉ねぎ、バター、水、ひよこ豆の缶詰1缶を使います。世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。 掲載されている版には、人数、肉の種類、カップの大きさ、缶詰の大きさ、調理時間の記載がないため、ここでも数字を補っていません。それぞれの扱い方は「肉・水・時間の見極め」の節に書きました。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 底の広い厚手の鍋
- 鍋底まで届く木べらまたはへら
- 包丁とまな板
- ひよこ豆の水気を切るざる
- 熱湯を用意するやかんまたは小鍋
- 盛りつけ用の深皿
肉・水・時間の見極め
鍋の中では、いくつかの点で自分の目で判断する必要があります。
- 肉: 小さな角切りにします。この料理は羊肉の煮汁で説明されているため、羊肉は無理のない選択ですが、これは編集部の提案です。牛肉でも作れます。肉の種類によって、味も火の通る時間も変わります。
- 肉の加熱時間: 肉は炒めたあと、そのまま水とトマトの中に入り、続いてパスタを加えます。肉だけを煮る時間は設けません。そのため工程3で肉の状態を確かめます。肉にもっと時間が必要なら、パスタを入れる前に、やわらかくなるまで煮てください。
- 水: 5カップです。鍋の水分が足りなくなったら熱湯を少しずつ足しますが、量は決めていません。
選び方と代用
パスタ: リング形または貝殻形を使います。見つからないときは、近い小さなショートパスタが編集部の提案する代用です。形によって水分の吸い方や煮える速さが違うので、袋の表示時間よりも、鍋の中のパスタの食感を目安にしてください。
ひよこ豆: 普通の缶詰を1缶、水気を切って使います。
ミックススパイス: 市販の配合品を選び、原材料を確かめてください。唐辛子、ハリッサ、にんにくはこのレシピには入りません。
そろえておきたいもの: 小さなショートパスタとトマトペーストが、探しておきたい主な材料です。鍋底へのこびりつきや長めの煮込みには、厚手の鍋が役に立ちます。
パスタには小麦(グルテン)が、バターには乳製品が含まれます。ミックススパイスや缶詰の表示も確認してください。バターなしの版は試していないため、省いたり別のものに替えたりしたとき料理がどう変わるかは分かりません。
鍋の中のトラブル対処
次の対処法は、こうした料理に一般的に使える調理上の目安で、このレシピそのものでは確かめていません。
| 困りごと | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| パスタが鍋底にくっつく | 混ぜ方が足りない、または水分が少ない | 火を弱め、鍋底からこまめに混ぜる。乾いて見えたら熱湯を少し足す |
| パスタがやわらかくなる前に煮汁がなくなる | 使っている鍋やパスタの形で、必要な水分が多い | 熱湯を少しずつ足しながら、食べられるやわらかさになるまで煮る |
| パスタは煮えたのに肉がまだ固い | 肉がパスタより長い時間を必要としている | 熱湯を少し足して弱火で静かに煮続け、鍋底から混ぜる。パスタはやわらかめになるのを受け入れる。次回は、パスタを入れる前に肉をもっと長く煮る |
| 汁気が多すぎる | パスタが吸った水分が少ない | 弱火で混ぜながら煮続け、食感を見ながら進める |
| 味がぼんやりしている | 味つけが足りない | 塩、こしょう、ミックススパイスを少しずつ足し、そのつど味を見る |
掲載レシピの違い
見つけた版は、分量だけでなく作り方も違います。どれか一つを唯一の正しい形とも、リビアの家庭すべてを代表するものとも考えないでください。
| 版 | 使うものと手順 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| Alwasat「リビアの台所の『メバクベカ』」 | バター、角切り肉、トマト、トマトペースト、ひよこ豆、ミックススパイス | このページのレシピ |
| Omar's Cooking | 肉に焼き色をつけ、トマトペースト、トマトジュース、熱湯を加えて肉を煮てから、同じ鍋に熱湯を足しながらパスタを煮て混ぜる。肉500gに対しパスタは400gから1kg | 作り方とくっつき防止の比較用。分量は使わない |
| Alwasat(Mohamed and Najat Al-Mughrabi の『水と塩』より) | 骨つきの羊肉、ひよこ豆、グリーンピース、フェヌグリーク、ディルを使う大きめの量。煮込んだあとにパスタを加え、必要に応じて水を足す | 別の版の例として紹介。作り方にトマトが出てくるが材料表にはないため、これでは作らない |
このページのレシピをもとに試したい場合の、まだ試していないアイデアです。
- 牛肉の鍋と羊肉の鍋を作り、それぞれの肉にかかる時間を記録して比べる。
- パスタの形を変えて、形ごとに必要な熱湯の量を比べる。
- 水気を切ったひよこ豆の重さを量り、好みの量を書き留めておく。
リビアの食卓のなかのメバクベカ
米国議会図書館(Library of Congress)のリビアに関する国別研究は、makaruna mbakbaka を、トマトと羊肉の煮汁で煮るスパイス入りのパスタと説明しています。参照した資料のなかでは、この料理の輪郭がいちばんはっきり示されています。同じ研究には、トリポリタニアではイタリア式のパスタが一般的だという記述もあります。背景として参考になりますが、この料理がイタリア由来であることを示すものではなく、そう断定もしません。
名前には、mbakbaka や mebakbaka など、ほかのラテン文字表記もあります。この記事ではアラビア語の مبكبكة と並べて、メバクベカ(Mebakbeka)と書いています。参照した資料からは、名前の語源も、料理が最初に現れた時期も確かめられなかったので、どちらもあえて未確認のままにしています。
リビアの料理はこの一鍋にとどまりません。詰め物料理のマフルームや、スープのシャルバ・リビーヤもあります。ほかの料理はリビアのページで探せます。
よくある質問
パスタは別にゆでますか?
いいえ。Alwasat のレシピでは、乾燥パスタとひよこ豆を煮汁と同じ鍋に入れて、そこで煮ます。
羊肉でなければいけませんか?
Alwasat のレシピは肉の種類を指定していません。米国の国別研究は羊肉の煮汁と説明しているので羊肉は自然な選択ですが、これは編集部の提案です。ほかの肉を使うときは、決まった時間に頼らず、やわらかさを確かめてください。
水5カップで足りますか?
確かなことは言えません。レシピは5カップとしていますが、カップの大きさも追加の水も書いていません。鍋やパスタによって必要な水分は変わりますし、このレシピは台所で試作していません。鍋の様子を見て、必要なら熱湯を少しずつ足してください。
辛い料理ですか?
Alwasat のレシピに唐辛子やハリッサはなく、塩、こしょう、ミックススパイスだけです。この版の特徴として辛さを挙げることはしません。ただ、選ぶミックススパイスによって仕上がりが変わる可能性はあります。
何分かかりますか? 何人分ですか?
レシピには総調理時間も人数も書かれておらず、こちらでも測っていないため、数字はお出ししません。
残りはどう保存しますか?
参照した資料に保存や再加熱の案内はないため、ここでは保存期間も温度も示しません。お住まいの地域の食品安全の指針に従ってください。
料理の由来や、名前の意味は?
参照した資料では、名前の由来も料理の時代も確認できませんでした。推測で書くより、この問いは未確認のまま残しておきます。












