休ませた生地を棒状にのばして小さく切り、一つずつ手のひらで押しつぶして丸く伸ばす。真ん中に豚肉と白菜の餡をひとさじのせ、縁をつまんで閉じる。大鍋のぐらぐら沸いた湯に何回かに分けて入れると、白くやわらかくふくらんだ餃子が湯気の中から上がってきます。饺子(jiǎozi)は祝いの食卓のために包まれる一方、ふだんの食事用に大量に作って手元に置いておく料理でもあります。包む手間をみんなで分け合うところから、もう料理の時間が始まっています。
皮から作る北方風の水餃子
やわらかく弾力のある小麦粉の皮、白菜のやさしい甘みを含んだ豚肉のジューシーな餡、しょうがとねぎの香り。餡の中心まで火を通してから、黒酢としょうゆを軽くつけて食べます。
このレシピは、北方風の茹でた餃子、水餃(水饺、shuǐjiǎo)を豚肉と白菜で作ります。中国全土に共通する唯一の配合ではなく、家庭で作りやすくまとめた一つの形です。具も皮も包み方も加熱法も、地域や家庭によって変わります。分量は約36個で、目安は4人分。皮は麺棒で伸ばして作っても、市販の皮を使ってもかまいません。饺子は蒸す(蒸饺、zhēngjiǎo)ことも、焼く(煎饺 jiānjiǎo/锅贴 guōtiē)こともできますが、ここで紹介するのは茹でる方法です。
饺子とはどんな料理か
饺子は、小麦粉の生地で具を包んだ点心の一つです。北方風の水餃は、粉と水だけの簡単な生地から皮を伸ばし、たっぷりの湯で茹でます。北方風と上海風では皮も包み方も違い、たとえば上海風はもっと薄い皮にひだを寄せて包みます。
饺子と紛らわしい料理もいくつかあります。小籠包(小笼包)は蒸した点心で、上海の南翔小籠包は薄い皮で豚肉と豚皮の煮こごりを包むため、饺子とは別の料理です。包子(包子)は具入りのまんじゅうで、ワンタン(馄饨、húntun)や湯円(汤圆)も別の食べ物です。スープ入りの蒸し点心と比べたい方は小籠包を、ほかのアジアの餃子と見比べたい方はネパールのモモの包み方や加熱法もご覧ください。
| 種類 | 加熱法 | 食感 |
|---|---|---|
| 水餃(水饺) | たっぷりの湯で茹でる | 皮全体がやわらかくつるりとしている。このレシピ |
| 蒸餃(蒸饺) | 蒸す | 水ではなく蒸気で皮に火が通る |
| 煎餃(煎饺)/鍋貼(锅贴) | 焼く | 片面に焼き色とカリッとした食感がつく |
日本でおなじみの焼き餃子とも別物です。同じ包みを焼くこともできますが、茹でた饺子の皮は焼き色のない白い皮のままです。
日本での材料選びと代用
粉。 基本は中力粉です。強力粉と薄力粉を同量ずつ混ぜて使うこともできますが、生地の弾力が強くなりやすいです。粉の銘柄や湿度で吸う水の量が変わるので、決まった量を一気に入れず、生地の手ざわりで判断してください。
白菜。 白菜は中国では大白菜(napa cabbage)と呼ばれます。日本のスーパーで売っている普通の白菜で作れます。塩をふって絞っておくと、餡が水っぽくなりません。
しょうゆ。 中国の生抽(shēngchōu)は、日本の濃口しょうゆとは違います。日本の薄口しょうゆとも同じではありません。日本の濃口しょうゆを使うと色も塩味も強く出やすいので、10mlから始めてください。味の確認は、餡のごく小さな一かけを中心までしっかり加熱してから行います。生のまま味見してはいけません。
紹興酒。 なくても作れます。Visit Beijingのレシピではドライシェリーが代わりに挙がっていますが、香りは変わります。
ごま油。 焙煎ごま油ならどれでもかまいません。香りが強いので、書いた分量を超えないようにします。
ねぎ。 中国のねぎと日本の長ねぎでは太さが違います。味を見て量を加減してください。
豚肉。 赤身だけのひき肉だと、餡がぱさつきやすくなります。
黒酢。 アジア食材店で探す価値があるのは中国黒酢です。たれには米酢でも代用できますが、香りも色も違ってきます。
使う道具
- 麺棒:皮を均一に伸ばす
- 直径約8cmの丸い抜き型(任意):皮の大きさをきれいにそろえたいとき
- 湿らせた布またはラップ:生地と皮が乾かないよう覆う
- 打ち粉をしたバット:包んだ餃子を並べる
- 大きな鍋
- 穴あきお玉:餃子を崩さずに引き上げる
- 餡の中心を測る調理用温度計
失敗しやすい点と直し方
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 皮の縁が乾いて割れる | 生地を覆わずに置いた | 少しずつ伸ばし、残りは濡れ布巾かラップの下に置く |
| 閉じ目が開く | 縁に粉・餡・水分がついた、餡が多すぎる、空気が残った | 縁をきれいにして、餡を減らし、空気を押し出してしっかりつまむ |
| 餡が水っぽい | 白菜の絞りが足りない、包んだものを置きすぎた | 塩をした白菜をよく絞る。包んだ餃子を室温に長く置かず、すぐ茹でるか小分けにして冷凍する |
| 鍋の中で皮が破れる | 鍋に詰め込みすぎた、鍋底にくっついた | 少量ずつ茹で、入れた直後に一度そっと混ぜる |
| 塩辛い | しょうゆが濃かった | 次回は日本の濃口しょうゆを10mlから始め、味の確認は十分に加熱した小片でだけ行う |
保存と再加熱
加熱した餃子は、浅い容器に広げて手早く冷まし、冷蔵または冷凍します。温め直すときは、餡の中心が75℃で1分以上になるまで加熱してください。
包んだあとの生の餃子は、すぐ茹でるか、小分けにして冷凍するのがおすすめです。このレシピでは、冷蔵・冷凍した餃子の保存期間は示しません。ご自身の判断で、お住まいの地域の食品衛生の案内に従ってください。
地域と家庭で変わる餃子
豚肉と白菜は、数ある組み合わせの一つにすぎません。饺子の具には、豚肉、鶏肉、牛肉、魚、野菜などがあります。豚肉を食べない地域では牛肉や羊肉も使われます。どれか一つが本場の正解というわけではなく、具が変われば餡の水分も味つけも変わります。
- 白菜の代わりにニラ。 ニラは香りが強く、水分量も違うので、香味野菜と絞り方を考え直します。
- 豚肉の代わりに牛肉か羊肉。 塩を増やすのではなく、香味野菜で味のバランスをとります。
- 卵と野菜の肉なし餡。 野菜の餡も饺子の幅の一部です。このレシピには配合がないので、自分で割合を組み立ててください。
- 市販の皮。 手早く作れる方法です。餡を少なめにして、閉じることを優先します。
- 焼き餃子(煎饺・锅贴)。 同じ包みの一部を取り分けて、底に焼き色をつけることもできます。油と水を使う別の方法なので、ここでは詳しく扱いません。
春節の饺子、ふだんの饺子
饺子は、祝いの食卓と日々の台所の両方に結びついた料理です。春節(旧正月)のお祝い料理であり、家庭でまとめて作って後の食事のために取っておく料理でもあります。
山西省の晋城市人民政府のサイトに載っている春節習俗の記事には、次のような習わしが紹介されています。
- 時期。 大晦日に家族で饺子を包み、子時(夜中の0時前後)に食べる。
- 名前。 饺子を「交子(jiāozǐ)」と結びつけ、その時刻の年の変わり目を表す「更岁交子」という言い方にふれている。
- 形。 元宝(昔の金銀塊)の形に似せた饺子は、縁起のよい印と読まれる。
- 地域の習慣。 土地ごとの食べ方にもふれている。
同じ記事は由来に関する話をいくつも並べて紹介しています。ですから、これらは新年に結びついた習俗や説明として読むのがよく、料理の歴史として確かめられたものではありません。中国のすべての家庭が同じように守っている習慣でもありません。
よくある質問
市販の餃子の皮でも作れますか?
作れます。手間は減りますが、厚さも大きさも手作りの皮とは違います。作り方6の分量よりも餡を減らし、しっかり閉じることを優先してください。
焼いてもいいですか?
同じ包みを煎饺や锅贴として、焼き色をつけて食べることもできます。このレシピは茹でる水餃を中心に組んでいるので、焼き方は別の方法として詳しくは扱いません。
白菜以外の具には何が使えますか?
ニラ、セロリ、魚、牛肉、羊肉、野菜などが使われます。具によって水分も味つけも変わるので、餡の味と水分をその具に合わせて調整し直してください。
饺子は春節にしか食べませんか?
そんなことはありません。祝いの料理であると同時に、まとめて作り置きもされる日常の食べ物です。
小籠包とは何が違いますか?
上海の小籠包は、薄い皮で豚肉と豚皮の煮こごりを包み、蒸した点心です。このレシピのような饺子は、小麦粉の生地で包んで湯で茹でる料理なので、別の料理です。
浮いてくるまで待つだけではいけませんか?
浮くことや皮が透けることは、加熱が進んでいる目印にすぎません。生の豚肉に火が通ったとは言えません。餡の中心が75℃で1分以上になっているか確かめてください。













