黒に近い褐色のソースが、太い小麦麺の上にのっています。脇には、きゅうりとにんじんの細切り。まだ何も混ぜられていません。食べる人が自分で箸を入れ、ソースを麺に行き渡らせ、きゅうりの歯ごたえを折り込み、足りなければソースを足します。それが炸酱面(簡体字は炸酱面、繁体字は炸醬麵、ピンインはZhàjiàngmiàn)、直訳すれば「炒めたソースの麺」です。
北京市政府は、炸酱面を北京で一般に食べられる伝統的な軽食として紹介しています。南鑼鼓巷(南锣鼓巷)の近くにある胡同の小さな食堂と、その麺の写真も添えられています。宴会料理ではなく日常の一杯で、家庭ごとに違いがあります。この記事のもとにしたThe Woks of Lifeのレシピも、北京の家庭にはそれぞれの好みがあると書いています。ソースは濃く、麺と野菜で整えて食べる。そのため、どの醤を探すか、ソースをどこまで煮詰めるか、麺にどれだけかけるかが、作るうえでの要点になります。
韓国のジャージャー麺(짜장면)は名前が似ていますが別の料理で、黒豆のペーストと大きめの野菜を使います。四川の杂酱面(zajiangmian)も響きが近いものの、ここでは別の料理として扱います。以下はすべて北京式の話です。
炸酱面の名前は「炒めたソースの麺」という意味です。ソースを麺にのせて出し、食べる人が自分で混ぜます。菜码(野菜などのトッピング)の生の歯ごたえが、濃い塩気を受け止める役目をします。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ふた付きの中華鍋、または広くて厚手のフライパン
- 鍋底をこそげるためのへら
- 麺をゆでる大きな鍋
- 豚肉の確認に使う中心温度計
- 生の豚肉用と生野菜用に分けたまな板と包丁
選び方と代用
黄豆醤と甜面酱は別のもので、この料理には両方が要ります。 黄豆醤(黄豆酱)は発酵大豆の塩辛いペースト、甜面酱は発酵小麦のペーストで甘みがあります。The Woks of Lifeは、伝統的には干黄酱(dry yellow sauce)を加えた三種の醤の組み合わせがあると説明しています。ここで使う版はそれを省いた二種です。公開されている家庭向けの一例で、北京の唯一の正統配合ではありません。
- 黄豆醤: 原材料に発酵大豆が書かれたペーストを選びます。味噌は同等品ではありません。塩気、甘み、質感が違います。どうしても見つからない場合は発酵大豆のペーストで代えられますが、違うソースになると考えてください。
- 甜面酱: 製品によって違うので、ラベルを確認します。ホイシンソースは甘みと粘度が違うため、同量での置き換えはおすすめしません。
- 老抽: 普通のしょうゆとは置き換えられません。代えると色と塩気が変わります。
- 紹興酒: 料理酒で代える場合は、塩が入っているかを確認し、味を見るときに考慮してください。
- 豚肉: 皮付きの豚バラが手に入らなければ、原典は脂のある豚肩肉を認めています。脂の出方と肉の食感は変わります。
- 青ねぎ: 日本の長ねぎは編集上の代用で、香りは変わります。
- 麺: 生でも乾麺でも、太い小麦麺を選び、袋の表示どおりにゆでます。
醤の塩気は銘柄によってかなり違います。初回に砂糖と塩を省くのはそのためで、麺と混ぜた状態で味を見てから決めてください。
うまくいかないとき
| 問題 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 香味材が焦げて、油が苦い | 油を強火にかけた | 15分間は弱火を保ち、ねぎが焦げる前に取り出す |
| ソースに豚脂の香りがない | 脂の縁に色がつく前に醤を入れた | 5〜6分は目安。縁が薄く金色になるまで待つ |
| ソースが麺に絡まず、とても塩辛い | 煮詰めすぎた | 8分から様子を見て、鍋底に油が見えてソースが絡む濃さになったらすぐ止める |
| ソースが鍋底に焦げつく | 煮詰める間に混ぜなかった | 中強火で、鍋底をこそげながら混ぜ続ける |
| 器全体が塩辛い | 醤の塩分は銘柄で違う。ソースが多すぎる | 初めは塩を入れず、ソースは少しずつ足し、麺と混ぜてから調整する |
| 麺がソースに埋もれる | ソースを一度に全部混ぜた | 麺をソース全量に入れない。ソースは8人分、麺は4人分 |
余ったソースの保存
ソースは8人分、麺は4人分なので、余りが出ます。The Woks of Lifeの筆者は、表面に油の層が残り、いつも清潔なスプーンを使えば、冷蔵で約10日もつと書いています。これは条件つきの著者の覚え書きで、すべての家庭での保存期間を保証するものではありません。
より安全に扱うために、厚生労働省の家庭での食中毒予防の案内に沿って、次のようにしてください。
- 加熱したソースを長く室温に置かない。浅く小分けにして早く冷まし、清潔な密閉容器に入れて冷蔵する。
- すぐに食べないぶんは、小分けにして冷凍する。
- そのつど清潔なスプーンを使う。
- 再加熱するときは、全体が十分に熱くなるまで、75°C(167°F)以上を目安にする。
アレンジ
以下は本編のレシピとは別のものです。材料を本編に混ぜないでください。
- 北京観光網の北京家庭版: 黄酱を水で溶き、京葱と豚ひき肉を使い、きゅうり、もやし、にんにく、酢を添えます。分量と作り方は本編と違います。
- 青ねぎの代わりに長ねぎ: 編集上の置き換えで、香りは変わります。
- 豚バラの代わりに脂のある豚肩肉: 原典が認めていますが、出る脂と肉の食感は変わります。
- 辛みを足す: ソースに混ぜて煮込まず、食卓でラー油を添えます。
韓国のジャージャー麺はこの料理のアレンジではなく、別の料理です。
北京の日常の麺と、家ごとの違い
北京市政府は、炸酱面を市内で一般に食べられる伝統的な軽食として紹介し、南鑼鼓巷近くの胡同の食堂を写真で見せています。北京市の公式観光サイトに載る家庭向けのレシピは、黄酱、豚ひき肉、京葱でソースを作り、きゅうりともやしを添えます。
この記事のレシピは、また違う角度のものです。北米の台所向けに書かれた更新版の家庭レシピで、豚バラの塊、二種の醤、香味油を使います。筆者は、北京の家庭ごとに好みが異なること、伝統的な組み合わせには干黄酱が入ることを書いており、この版はそれを省いています。炒めた醤のソース、小麦の麺、生のトッピングという共通の形と、各家庭が選ぶ余地の広さが、これらの資料を並べると見えてきます。ひとつの固定された配合というより、そんな料理です。
中国のほかの料理は、中国の一覧からどうぞ。
よくある質問
韓国のジャージャー麺と同じですか?
違います。韓国のジャージャー麺は黒豆のペーストと大きめの野菜を使います。北京の炸酱面は発酵大豆と発酵小麦の醤を使い、生の千切り野菜をのせます。
味噌で黄豆醤の代わりになりますか?
風味も塩気も同じではありません。まず黄豆醤と甜面酱を探してください。代えるなら、違う味のソースになると受け止めてください。
ソースは4人分の麺に全部かけますか?
かけません。原典ではソースが8人分、麺と野菜が4人分です。ソースは少しずつ足し、残りは取っておきます。
豚肉に安全に火が通ったかどうやって分かりますか?
約1分炒めて表面が白くなるのは、途中の段階にすぎません。煮込みと煮詰めのあと、豚肉の中心が75°C(167°F)で1分以上になっているか確認してください。生の豚肉に使ったまな板、包丁、箸は、生のトッピングや仕上がった器に触れさせないでください。
砂糖と塩は必要ですか?
原典では任意で、この記事では省いています。醤の塩気は銘柄で違うので、まず麺と混ぜたソースの味を見て、必要なら足してください。















