焗豬扒飯、ひとさじで全部の層をすくう
卵炒飯、オイスターソースで下味をつけた豚肉、トマトと玉ねぎのソース、オーブンで焼き色をつけたチーズ。この4つの層をはっきり分けて重ねます。焼き上がりはチーズの色で判断し、豚肉は中心まで火が通っていることを必ず確かめてください。
オーブンから出した耐熱皿は、素手では持てないほど熱くなっています。焼き色のついたチーズにスプーンを沈めると、トマトソース、豚肉、卵をまとった炒飯が一度にすくえます。ひとさじで全部の層が口に入る。それが焗豬扒飯(ポークチョップ焼きご飯)のおいしさで、家庭のオーブンでも組み立てられる香港の一皿ごはんです。
MICHELIN Guideは、茶餐廳(チャーチャンテン)を香港の大衆的な食堂文化として紹介しています。洋風の料理を手頃な地元の食材で作り替えてきた場所で、焗豬扒飯はその中西折衷のメニューの例に挙げられています。料理名の「焗」は焼くこと、「豬扒」はポークチョップを指します。
この料理に唯一の正解はありません。ご飯を炒めるか白飯のままか、豚肉に衣をつけるかフライパンで焼くか、チーズや具に何を使うかは、店や家庭によって違います。この記事では、Lee Kum Kee Hong Kong(李錦記香港)の3人分「簡易版焗豬扒飯」を軸にし、ほかのレシピの分量は混ぜません。家庭で作りやすい一例として紹介するもので、これが唯一の本場の作り方というわけではありません。また、世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作して確かめてはいません。ほかの地域の料理は香港のレシピのページもご覧ください。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 包丁(豚肉をたたくときは刃の鈍い背を使います)
- 下味をつけるためのボウル
- フライパン
- 計量スプーン
- オーブン対応の耐熱皿
- オーブン
選び方と代用
豚肉。 厚切りのロースを選びます。骨付きでも骨なしでも作れます。日本ではとんかつ用のロース肉が現実的な選択肢です。
生粉。 コーンスターチが手に入るなら、それを使います。じゃがいもでんぷん(片栗粉)で代用することもできますが、同じ材料ではないので、下味のとろみ具合は変わるかもしれません。
トマト系調味料。 中国語名の「番茄醬」は、ケチャップともトマトペーストとも読めて、この二つは味がまるで違います。そのためこの記事では原語を残しています。買う前に、下のよくある質問も読んでください。
チーズ。 よく溶けるチーズ、たとえばピザ用のシュレッドチーズなどが使いやすいでしょう。種類によって風味、塩気、溶け方が変わるので、量は50gのままにして、変えるのは種類だけにします。
オイスターソース。 商品によって塩気や甘みは違いますが、まずは大さじ1½をそのまま使います。
うまくいかないときの直し方
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 炒飯がべたつく | ご飯の水分が多かった | 水分少なめのご飯を使い、フライパンでよくほぐす。冷やしたご飯を使う場合は、安全に冷却・保存したものにする |
| 豚肉が硬い | 厚みにむらがある、またはフライパンで焼きすぎた | 厚みがそろうようにたたき、フライパンでは約9割で止める。「9割」は見た目の目安で、温度ではなく、これだけで豚肉が安全に食べられる状態とは言えない |
| 豚肉の中心が生 | 厚い部分がある、またはオーブンの熱にむらがある | 中心まで火が通るまで焼き続ける |
| ソースの味が濃い、または甘い | トマト系調味料の種類 | 大さじ3のままにして、ケチャップや砂糖は足さない。次回はどの調味料を使うか見直す |
| チーズがなかなか焼き色づかない | オーブンや皿の違い | 色を見続ける。決まった追加時間はないので、こまめに確認する |
| ソースが縁まで届く | 皿が小さい、または盛りすぎ | 余裕のある皿を使うか、ソースを縁から離しておく |
ご飯と残り物の安全な扱い
炊いたご飯や残り物は、小分けにするか浅い容器に移して速やかに冷まし、2時間以内に冷蔵庫へ入れてください。冷蔵した残り物は十分に再加熱し、再加熱は一度だけにします。冷蔵庫に3日を超えて入っていたものは捨ててください。
この料理に冷やしたご飯を使うなら、こうして冷却・冷蔵したご飯だけにします。台所に長く置いたご飯は使わないでください。
家庭で変えてよいところ
この料理の範囲に収まる調整は、次のとおりです。
- ご飯: 粒をよくほぐして、土台の層を軽く仕上げます。
- 豚肉: 厚みがそろうようにたたくと、オーブンで火が通りやすくなります。
- ソース: トマトと玉ねぎを粗めに切れば食感の残るソースに、細かく切ればなめらかなソースになります。
- チーズ: 量は50gのままにして、種類を替えて風味を比べます。
ほかのレシピはさらに大きく違うので、別のバージョンとして扱い、材料をこのレシピに混ぜないほうがよいでしょう。
| バージョン | 違い |
|---|---|
| 香港の放送局TVB | 炒飯の上に揚げた豚肉をのせ、にんじん、パイナップル、鶏のだしを使うソースに、別のトマト調味料を合わせる。卵も多い |
| The Woks of Life | 五香粉、紹興酒、オイスターソースなどを使う別の下味で、ご飯に入れる卵も多い |
焗豬扒飯と茶餐廳
MICHELIN Guideの茶餐廳の解説は、この料理が食べられている場所を教えてくれます。洋風の料理を手頃な地元の食材で作り替える、日常使いの食堂です。焗豬扒飯は、その中西折衷を示す料理の一つとして挙げられています。この記事の根拠になった資料には、考案者、最初の店、誕生した年を示すものはないので、ここでは何も断定しません。
The Woks of Lifeも、この料理を卵炒飯、豚肉、トマトソース、チーズを重ねた茶餐廳の食事として紹介しています。一方、TVBのレシピは、同じ名前でもソースがこれだけ違いうることを示しています。この記事が軸にしたLee Kum Kee Hong Kongのレシピは簡易版で、パイナップルもにんじんもだしも使わず、味はオイスターソース、トマト、チーズが支えます。
よくある質問
焗豬扒飯とはどんな料理ですか?
香港式の一皿ごはんです。この記事で軸にしたレシピでは、卵炒飯の上に、オイスターソースで下味をつけた豚肉、トマトと玉ねぎのソース、チーズをのせて焼きます。
ご飯400gは炊いたご飯ですか、生米ですか?
炊いたご飯です。Lee Kum Kee Hong Kongは「白飯 400g」に「乾身」と添えていて、この記事では水分が少なめでほぐれやすい炊いたご飯と読んでいます。生米400gではありません。
冷やご飯を使ってもよいですか?
使えます。Lee Kum Kee Hong Kongのレシピは、冷やしたご飯を使うことを勧めています。香港の食物安全センター(Centre for Food Safety)は、残り物を2時間以内に冷蔵し、小分けや浅い容器で速やかに冷ますよう案内しているので、そのように扱ったご飯だけを使ってください。
番茄醬はケチャップですか、トマトペーストですか?
この記事では決めていません。レシピの材料欄は「番茄醬」としか書かれておらず、この言葉だけでは具体的な製品の種類を特定できないため、中国語名を残し、「トマト系調味料」という中立的な言い方にしています。まず表記の大さじ3から始めて、ケチャップや砂糖は足さないでください。
チーズは何を使えばよいですか?
レシピには「芝士 50g」とあるだけで、種類は書かれていません。よく溶けるチーズを選ぶのはこの記事の買い物の提案で、レシピの指定ではありません。選ぶチーズによって風味、塩気、溶け方は変わります。
全部でどれくらい時間がかかりますか?
合計時間は書いていません。レシピ自身の数字が合わないためです。Lee Kum Kee Hong Kongのページは準備10分、調理20分と表示していますが、手順には炒める作業とは別に、220°Cで15〜20分の焼成が含まれています。15〜20分は焼成だけの目安として使い、チーズの焼き色と豚肉の火の通りを確認してください。
油はどれくらい使えばよいですか?
レシピに油の分量は書かれていないので、豚肉、ソース、炒飯を炒めるのに必要な分だけを使ってください。












