煲仔飯 — ふた付きの鍋、パチパチという音、底のおこげ
浸し湯と炊飯用の水は分けておきます。油も、入れるタイミングごとに分けます。2本のソーセージは加熱が終わるまで丸ごとのままにして、おこげを作る2巡のあいだ、ふたは閉じたままにします。
香港政府観光局は、テンプル・ストリートを夜遅くまで食事が楽しめる場所として紹介し、ジュージューと音を立てる煲仔飯(土鍋ご飯)をこの通りで味わうべき地元の料理に挙げています。煲仔飯はテンプル・ストリートを代表する名物だと述べ、通りにある店のひとつ Hing Kee では、炭火のコンロで炊く60種類以上の煲仔飯を出していると伝えています。観光局はこの炭火に、燻したような香りがあるとしています。
この記事でたどるのは、家庭の台所で作る一つのバージョンです。Made With Lau の Daddy Lau による「Clay Pot Rice」で、長粒米の上に鶏肉、中国ソーセージ、乾燥しいたけをのせます。このページは料理を煲仔飯(bo zai fan とも表記)と呼び、広東料理だと説明し、鍋底にできる焦げたご飯を 飯焦(faan6 ziu1)と紹介しています。煲仔飯の作り方のひとつであって、香港の唯一の標準というわけではありません。また、炭火では炊きません。
このレシピのページは、キッコーマンが一部協賛していると明記しています。ページに載っているのは、4人分、準備20分、調理35分、合計55分です。これはそのページの掲載値です。ページには、鶏肉用の大さじ1の油の種類(くせのない油は編集部の選択です)も料理酒の種類も書かれていません。鶏肉のマリネ時間、ソーセージの浸水時間、米を浸す水の量、鶏肉の切り身やエシャロットの重量の記載もなく、ここでも補っていません。このレシピは編集部で試作しておらず、上の時間も今回の記事のために測ったものではありません。コンロや土鍋によって結果は変わることがあります。
煲仔飯と香港の食卓
煲仔飯は、炊くのも食べるのも同じ鍋です。まずご飯を炊き、途中で具をのせます。そのあと鍋底の熱でおこげができます。観光局のテンプル・ストリートの紹介は、その一面をよく伝えています。夜遅くまで食べる人でにぎわう通りで、1軒の店が炭火のコンロで何十種類ものバリエーションを出しているのです。ただしこれは飲食店の一例です。どの店も、どの家庭も炭火を使うという意味ではありません。
出版されているレシピを見ても、土鍋ご飯が作り手によって大きく変わることが分かります。Tony Tan の料理書からの抜粋を Broadsheet が再掲した版では、骨なしの鶏もも肉をマリネし、塩漬けの魚を使い、具を先に炒めて取り出してから米を入れます。Broadsheet は、香港各地にバリエーションがあるとも書いています。The Woks of Life の家庭のレシピでは、米を鍋の中で1時間浸し、その浸し水のまま炊きます。具は塩漬けの豚バラ肉と甘い中国ソーセージで、ソースも別のものです。これらは分量も順序も異なる、それぞれ独立したレシピです。同じ料理でも版がいくつもあることを示す例として挙げただけで、手順や材料は下のレシピに取り入れていません。
ここで紹介する版は、そのどちらとも違う道をたどります。米は沸騰した湯に浸し、その浸し湯は捨てます。鶏肉は、マリネしたあと生のまま米にのせます。ソーセージは、鍋を火からおろすまで丸ごとのままです。煲仔飯がいつ、どこで始まったのか、家庭でどれくらい広く作られているのか、このレシピが香港の台所でどれくらい典型的なのかは、使った資料からは分かりません。そのため、この記事ではそれらには触れません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ふた付きの土鍋
- ざる
- 米、ソーセージ、しいたけをそれぞれ浸すための耐熱ボウル
- 鶏肉のマリネ、しいたけのマリネ、卓上ソース用の小さなボウルを数個
- まな板と包丁。青ねぎ用には、生の鶏肉に使っていないまな板と包丁(または鶏肉のあとによく洗ったもの)を別に用意する
- キッチンペーパー
- 熱い土鍋をつかんで傾けられる、丈夫な乾いたタオル、オーブンミット、鍋つかみ
- 混ぜたり、米をならしたりするスプーン
選び方と代用
- 米: 長粒米を使います。タイ香り米が推奨されています。以下の分量と時間は長粒米を前提にしているので、ほかの種類には替えないでください。
- コーンスターチ: 鶏肉のマリネにもしいたけのマリネにも入ります。別のでんぷんに黙って替えて、同じ仕上がりになると考えないでください。
- 料理酒: 鶏肉のマリネには料理酒小さじ1を使います。
- 鶏肉に加える油: くせのない油大さじ1とごま油大さじ1を使います。
- 中国ソーセージ、乾燥しいたけ、オイスターソース、たまりしょうゆ: 記載のとおりに使います。代用品はここでは提案していません。
うまくいかないとき — 作り方の中の確認点
このバージョンでうまくいかなくなる原因の多くは、本来分けておくものを混ぜてしまうことにあります。鍋を火にかける前と加熱中に、次の点を確認してください。
| 確認する点 | この作り方では | このバージョンで大切な理由 |
|---|---|---|
| 鍋に入っている水はどれか | 浸し湯は捨て、新しい沸騰水11オンスを量って入れる | 浸し湯ではなく、新しい水を前提に組み立てられている |
| 鶏肉に油を入れた時点 | 米が炊き始まってから。最初のコーティングには入れない | 最初のコーティングは油なしが前提 |
| どの油か | 米に小さじ1、鶏肉にくせのない油大さじ1とごま油大さじ1、ふたの縁に大さじ2 | 油ごとに分量とタイミングが決まっている |
| ソーセージ | 丸ごと米にのせ、加熱後に初めて切る | 加熱中はずっと丸ごとのまま |
| 弱火でまだ音がしない | 5〜10分。パチパチと音がし始めるまで | 音が、おこげの工程へ進む合図 |
| おこげの工程のふた | 2巡の傾けも、ふたの縁の油も、ふたは閉じたまま | おこげを作る工程はすべてふたをして行う |
| ソースを入れた量 | 数回かけ回す程度。残りは別添え | 全量を鍋に入れるものではない |
出会うかもしれない、ほかのバージョン
ほかの煲仔飯のレシピを見ると、塩漬けの魚、塩漬けの豚バラ肉、鶏のだし、先に炒めた具、浸し水のまま炊く米などが出てきます。上で触れた Tony Tan と The Woks of Life のレシピは、その2つの例です。これらは、それぞれの分量と順序で組み立てられた別のレシピです。試してみたいときは、その一部をこのレシピに混ぜるのではなく、そのレシピを最初から最後まで通して作ってください。
よくある質問
なぜ浸し湯を捨てるのですか?
このレシピがそう書いているからです。米は沸騰した湯に10分浸し、その湯は捨て、新しい沸騰水11オンスを量って鍋に入れます。ほかのレシピには浸し水のまま米を炊くものもありますが、このレシピは違います。
最初から油もたれに全部入れてもいいですか?
このバージョンではしません。鶏肉には、まず油の入っていないたれを絡めます。くせのない油とごま油は、米を炊き始めてから入れます。米用の油とふたの縁の油は、それぞれ別です。
ソーセージは加熱前に切る必要がありますか?
いいえ。2本とも丸ごとのまま、米の両側に1本ずつのせます。加熱後に切って、上に戻します。
なぜ鶏もも肉を洗うのですか?
このレシピの作者が、骨ごと切ったあとに骨片がないか確かめるために行っている方法です。ここでは骨片を探すための作者のやり方として紹介しているだけで、衛生のための工程ではありません。骨片がすべて取り除けるという保証もありません。
卓上ソースは鍋にどれくらい入れますか?
数回かけ回す程度を鍋に入れ、残りは別に出す、とレシピは書いています。鍋に入れる正確な量も、1人あたりの量も示されていません。
時間は自分のコンロと鍋でも通用しますか?
違いが出ることがあります。20分・35分・55分という時間と、各工程の時間は、元のページの掲載値です。編集部では試作していません。土鍋や熱源によってご飯の炊け方は変わるので、レシピが示す目印を見てください。鍋が沸騰しそうになること、米がさらに水を吸うこと、パチパチという音がすることです。














