焼いたなすとトマト、卵を炒め合わせたミルザ・ガセミを器に盛り、平たいパンとハーブを添えた食卓
🔪下準備40分
🔥調理35分
🌍料理イラン(ギーラーン)料理

ミルザ・ガセミの作り方|イラン北部ギーラーンの焼きなすと卵の炒め煮

約11分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

なすとトマトを丸ごと焼く(15〜20分)

手順1: なすとトマトを丸ごと焼く(15〜20分)

なすは竹串で数か所穴をあけ、トマトと一緒に焼き網にのせて、強めの中火の直火で焼きます。ときどき転がしながら、なすの皮が全体に真っ黒に焦げ、押すと中までくったりと柔らかくなるまで焼きます。日本の中長なすで15〜20分ほどが目安です。トマトはなすより早く皮がはじけて柔らかくなるので、先に取り出します。

STEP 22 / 6

にんにくを皮付きで焼く(約3分)

手順2: にんにくを皮付きで焼く(約3分)

にんにくは両端を2〜3mmずつ切り落とし、皮付きのまま焼き網の端にのせて、中火の直火で2〜3分焼きます。皮に焼き色がつき、中が少し柔らかくなれば十分です。小さいのですぐに焦げてしまうので、目を離さず転がしてください。

STEP 33 / 6

皮をむいて細かく刻む(約10分)

手順3: 皮をむいて細かく刻む(約10分)

焼いた野菜は火から下ろし、手で触れるくらいまで冷まします。なすは焦げた皮をむき、へたを落として、包丁で5mm以下に細かく刻みます。刻んだなすには塩をひとつまみふっておきます。トマトも皮をむいて同じくらいの細かさに刻み、にんにくは皮をむいて包丁の腹でつぶします。なすは粗めのペースト状になるまで刻むと、炒めたときに卵となじみます。

STEP 44 / 6

にんにくとなすを炒める(約12分)

手順4: にんにくとなすを炒める(約12分)

フライパンにサラダ油大さじ3を入れて中火で熱し、つぶしたにんにくを入れて2分ほど炒めます。香りが立ったら、刻んだなすとターメリックを加え、ときどき混ぜながら約10分炒めます。なすの水分が飛んで、ところどころに薄く焼き色がつけば次に進みます。

STEP 55 / 6

トマトを加えて蒸し煮にする(約20分)

手順5: トマトを加えて蒸し煮にする(約20分)

5mm角ほどに刻んだトマトを加えて3〜4分炒め合わせ、塩で味を調えます。全体がなじんだらふたをして弱火に落とし、15〜20分蒸し煮にします。トマトの形がほぼ崩れ、なすと一体になって、とろりとまとまった状態になれば十分です。途中で焦げつきそうなら、水を大さじ1ほど足してください。

STEP 66 / 6

卵を割り入れて強火で仕上げる(約3分)

手順6: 卵を割り入れて強火で仕上げる(約3分)

ふたを取り、卵をフライパンに直接割り入れます。すぐに火を強火に上げ、へらで全体を大きく混ぜながら、卵が固まるまで炒めます。卵の黄色と白がなすの中に細かく散り、生の卵液が見えなくなって、全体がふんわりとまとまれば完成です。好みで黒こしょうをふります。

直火で野菜を焼くときは、焼き網のまわりに燃えやすいものを置かないでください。焦げたなすの皮が網から落ちることがあるので、コンロの受け皿をこまめに確認しましょう。焼き上がった野菜は中が非常に熱いので、十分に冷ましてから皮をむきます。

焼いたなすの皮は、ボウルに入れてラップをかけ、5分ほど蒸らすとつるりとむけます。焦げた皮の小さなかけらが少し残っても、香ばしさの一部になるので気にしすぎなくてかまいません。

卵を加えたら、火を強めて手早く混ぜるのがポイントです。弱火のままだと卵が水分を含んでべちゃっとし、なすとトマトの香ばしさがぼやけてしまいます。

0 / 0
Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

なす、トマト、にんにく、卵、ターメリック、油を並べたミルザ・ガセミの材料

3品目

焼く野菜

材料 分量 代替・備考
なす 小4〜5本 中長なすがちょうどよい
トマト 大4個 よく熟したもの
にんにく 5片 好みで増減。皮付きのまま焼く
5品目

炒めて仕上げる

材料 分量 代替・備考
卵 4個
サラダ油 大さじ3
ターメリック ひとつまみ 任意。入れると色と香りに深みが出る
塩 適量
黒こしょう 適量 仕上げに好みで
1品目

添えるもの

材料 分量 代替・備考
温かいごはん 4人分 イランでは「カテ」と呼ばれる炊き方のごはんと合わせる

材料はすべて日本のスーパーで手に入ります。なすは皮にはりとつやがあり、へたのとげが鋭いものが新鮮です。トマトは酸味より甘みの強い、よく熟したものを選ぶと、焼いたときに甘い香りが立ちます。

コツ

なすは焼く前に、竹串やフォークで皮に数か所穴をあけておきます。中の水分が膨らんで皮が破裂するのを防げます。


0 / 0
Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

炭火の上で、なすの皮がぱちぱちと音を立てて黒く縮んでいきます。隣ではトマトの皮がはじけ、皮付きのにんにくがこんがりと色づく。焼けた野菜の煙たい香りが台所に満ちたら、皮をむいて刻み、鍋で炒め合わせて、最後に卵を割り入れる。ミルザ・ガセミ(میرزا قاسمی / mirza ghasemi)は、イラン北部、カスピ海に面したギーラーン州の郷土料理です。日本の焼きなすを知っている人なら、その香りの正体にすぐ気づくはずです。

カスピ海のほとり、ギーラーンの焼きなす

カスピ海沿岸の家庭の台所で、炭火の上でなすとトマトを丸ごと焼く

ギーラーン州は、乾いた高原の国というイランのイメージとはずいぶん違う土地です。カスピ海と山脈に挟まれた、緑の多い地域です。ギーラーンの人々の料理は「ギーラキ料理」と呼ばれ、ミルザ・ガセミはその代表的な一皿です。

材料は驚くほど少なく、なす、トマト、卵、にんにくの4つが基本です。そこに油と塩、こしょうが加わるだけ。それでいて味が単調にならないのは、野菜を皮ごと焼いて煙の香りを移すからです。ミルザ・ガセミの味は、この焼き香で決まるといってもいいほどです。

My Caldronの作り手も書いているように、いまではギーラーン州だけでなく、イラン全土やその外でも親しまれています。肉を使わない料理なので、ベジタリアンの一皿としても喜ばれます。

ラシュトの知事が考えた、と伝わる一皿

ミルザ・ガセミを平たいパンやハーブとともに並べたイランの食卓

ミルザ・ガセミという名前は、人の名前に由来するといわれています。19世紀のガージャール朝の時代、ギーラーン州の州都ラシュトの知事だった人物がこの料理を考案した、という話です。

オーストラリアのSBS Foodの記事は、ラシュトの知事モハンマド・ガセム・ハーンが考えたと紹介しています。英語版Wikipediaも同じ人物の名前を挙げていますが、こちらは出典の確認が求められている記述です。知事にちなむ名前という話は広く語られているものの、確かな記録で裏付けられた由来というより、言い伝えとして受け止めておくのがよさそうです。

SBS Foodの取材に応じたブリスベンのイラン料理店のシェフ、アリ・モハンマディは、ミルザ・ガセミを「変えようのない料理」と表現しています。材料が少ないぶん、焼き方と炒め方の丁寧さがそのまま味に出る料理です。モハンマディによると、なすは中くらいの大きさのものを薪の炭火で焼き、全面に火が当たるよう転がしながら焼くのが理想だそうです。

豆知識

モハンマディは、ミルザ・ガセミは毎日食べる料理ではなく、パーティーや結婚式のために作る料理だと話しています。家族の集まりや祝いの席で、前菜として出されることが多いそうです。素朴な材料の料理が、ハレの日のごちそうとして扱われているのは意外なところです。

日本のなすは、ミルザ・ガセミ向き

日本の中長なすを焼く前に竹串で皮に穴をあける

日本でよく見かける中長なすは、ちょうどこの料理に使いやすい大きさです。小ぶりのなすを4〜5本使えば、4人分になります。

焼き方は、日本の焼きなすとほとんど同じです。ガスコンロに焼き網をのせて直火で焼くと、もっともミルザ・ガセミらしい煙の香りが出ます。直火が使えなければ、魚焼きグリルでも焼けます。オーブンやトースターでも火は通りますが、皮が焦げる香りは弱くなります。

トマトはなすと一緒に丸ごと焼くと、生のトマトを使うより甘みと香ばしさが加わります。にんにくを皮付きのまま軽く焼くのは、料理ブログMy Caldronの作り手が友人から教わったという工夫で、刺激がやわらぎ、焼いた香りがなじみます。ターメリックを少し加える作り方もあり、色と香りに深みが出ます。


ごはんと、平たいパンと

焼きなすと卵のミルザ・ガセミを白いごはんと平たいパンと一緒に盛った完成の一皿
白いごはんや平たいパンと一緒に盛り付けた完成品

イランでは、ミルザ・ガセミは「カテ」と呼ばれるシンプルな炊き方のごはんと一緒に食べるのが昔ながらの組み合わせです。日本で作るなら、普段の白いごはんで十分です。ごはんにのせて食べると、焼きなすの香ばしさとトマトの甘みが米にしみ込みます。

平たいパンですくって食べてもおいしく、生のハーブやピクルスを添えると、イランの家庭の食卓らしくなります。前菜として小皿に盛り、ほかの料理と一緒に並べるのもおすすめです。

同じイランのなす料理なら、なすとホエーを合わせたキャシュク・バーデムジャーンと食べ比べると、焼きなすの使い方の違いがわかります。ハーブたっぷりの卵料理ククサブズィや、底をパリパリに焼いたタフディーグと組み合わせれば、ペルシャの食卓が一度に楽しめます。

よくある質問

保存容器に入れて冷蔵したミルザ・ガセミ

直火がない場合はどうしますか?

魚焼きグリルで焼くのがいちばん手軽です。ときどき向きを変えながら、なすの皮が全体に焦げて柔らかくなるまで焼いてください。オーブンでも焼けますが、皮の焦げた香りは弱くなります。

卵を入れないで作れますか?

作れます。卵を入れずに、焼きなすとトマト、にんにくだけで仕上げると、ペーストのような前菜になります。ただし、卵が入ることでまろやかさとこくが出るので、基本の形は卵入りです。

辛くしたいときはどうしますか?

基本のミルザ・ガセミは辛い料理ではありません。辛みがほしい場合は、食べるときに一味唐辛子や青唐辛子のピクルスを添えると、元の味を崩さずに楽しめます。

作り置きはできますか?

粗熱が取れたら保存容器に入れて冷蔵し、早めに食べきってください。温め直すときはフライパンで中まで温めます。卵が入っているので、常温で長く置かないようにしましょう。

なすの皮が焦げすぎて苦くなりませんか?

焦げるのは皮だけで、むいてしまえば中の果肉は苦くなりません。皮をむくときに黒いかけらが多く残りすぎると苦みが出るので、大きなかけらだけは取り除いてください。

主な参考リンク

レシピ一覧に戻る