デーツのペーストが渦巻き状に見える切り口のクレイチャを皿に盛り、紅茶のグラスを添えた様子
🔪下準備1時間15分
🔥調理40分
🌍料理イラク料理

クレイチャの作り方|イラクのイードに焼くデーツ入りクッキー

約12分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 5

生地をこねて休ませる(約40分)

手順1: 生地をこねて休ませる(約40分)

ボウルに粉、塩、ドライイースト、カルダモンを入れて混ぜ、卵、溶かしバター、サラダ油を加えます。水を少しずつ注ぎながら手で混ぜ、粉っぽさがなくなるまでこねます。表面が完全になめらかでなくてもかまいません。耳たぶくらいのやわらかさで、手にべたべたと張りつかない状態になれば十分です。ぬれ布巾かラップをかけて、約30分休ませます。

STEP 22 / 5

デーツのペーストを作る(約10分)

手順2: デーツのペーストを作る(約10分)

生地を休ませている間に、鍋にデーツ、サラダ油大さじ2、カルダモン小さじ1/2を入れ、ごく弱火にかけます。木べらで押しながら、デーツがやわらかくなるまで温めるだけにし、煮込まないことがいちばんの注意点です。やわらかくなったら火から下ろし、木べらやマッシャーで、なめらかなペーストになるまでつぶします。温かいうちに2枚のオーブンシートの間にはさみ、めん棒で3〜4mmほどの薄い板状にのばします。

STEP 33 / 5

生地をのばしてデーツをのせる(約10分)

手順3: 生地をのばしてデーツをのせる(約10分)

休ませた生地をソフトボールほどの大きさに分け、打ち粉をした台で、めん棒を使って厚さ5mmほどの細長い長方形にのばします。デーツの板を、生地の幅に合わせて帯状に整え、長方形の手前の端に沿ってのせます。

STEP 44 / 5

巻いて切り分ける(約15分)

手順4: 巻いて切り分ける(約15分)

手前から生地を持ち上げてデーツを包み込み、奥に向かってくるくると巻いて、細長い棒状にします。巻き終わりを下にして軽く押さえ、両端の生地だけの部分を落とします。包丁で幅3〜4cmずつ切り分け、切り口が横を向くように天板に並べます。表面をフォークで2〜3か所刺し、刷毛で溶き卵を塗ります。好みでニゲラシードを散らします。

STEP 55 / 5

焼いて冷ます(1回約15〜18分)

手順5: 焼いて冷ます(1回約15〜18分)

190°Cのオーブンで15〜18分、表面と底がこんがりとした黄金色になるまで焼きます。天板にのり切らない分は、2回に分けて焼いてください。焼き上がったら網にのせ、完全に冷まします。焼きたては生地がやわらかく崩れやすいので、冷めてから器に移しましょう。

クレイチャには小麦、卵、乳(バター)が含まれます。くるみやピスタチオの詰め物にする場合は、木の実のアレルギーにも注意してください。また、温めたデーツのペーストは糖分が多く、手に付くと熱さが長く残ります。のばすときはオーブンシート越しに作業し、触れて熱くない温度になってから手で扱ってください。

デーツを長く煮ると水分が飛んで硬くなり、焼いたあとに中身がぱさつきます。スミソニアンのレシピでも、デーツはやわらかくするだけで、煮ないと書かれています。指で押してつぶれるようになったら、すぐに火から下ろしましょう。

生地を巻くときにすき間ができると、焼いている間にデーツと生地がはがれます。巻きはじめの一巻きを指でしっかり押さえ、空気を抜きながら巻いていくと、切り口の渦巻きがきれいに出ます。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

小麦粉、ドライイースト、カルダモン、卵、バター、サラダ油、種を抜いたデーツを並べたクレイチャの材料

材料は、スミソニアンのフォークライフ・フェスティバルが紹介したエル・ムトワッリ家のレシピ(デーツ入り)にもとづいています。元のレシピは米国式の計量カップで書かれているので、日本で量りやすいようにmlとgに置き換えました。でき上がりの数は、切る大きさによって約30〜50個まで変わります。

8品目

生地

材料 分量 代替・備考
中力粉または薄力粉 約360g 米国のall-purpose flour 3カップ相当。中力粉が近い
塩 小さじ1/2
ドライイースト 小さじ1
カルダモン(パウダー) 小さじ1
卵 1個
溶かしバター 120ml 無塩バターを溶かして量る
サラダ油 120ml 香りの穏やかな油
水 180ml 生地のかたさを見て加減する
3品目

デーツのペースト

材料 分量 代替・備考
デーツ(種抜き) 1kg やわらかいタイプがペーストにしやすい
サラダ油 大さじ2
カルダモン(パウダー) 小さじ1/2
2品目

仕上げ

材料 分量 代替・備考
溶き卵 卵2個分 表面に塗る
ニゲラシード 少々 任意。焼く前に表面に散らす

カルダモンは、生地とデーツの両方に入るクレイチャの香りの柱です。ホールしかなければ、さやから黒い種を取り出して乳鉢ですり、粉にして使ってください。デーツは、乾いて硬いものより、指で押すとへこむくらいのやわらかいものを選ぶと、ペーストにする手間がぐっと減ります。ニゲラシードは、スミソニアンの記事やMiddle East Eyeの代用スパイスの組み合わせに名前が挙がる香りで、黒い粒が表面にあると見た目も引き締まります。

コツ

デーツは種類によって甘さも水分もかなり違います。ペーストが硬すぎて広がらないときは、油を小さじ1ずつ足し、手でのばせるやわらかさに整えてください。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

ラマダンも終わりに近づいた夜、台所のテーブルいっぱいに天板が並びます。母親が生地をのばし、娘たちがデーツのペーストを細長く整えて、くるくると巻いては切っていく。オーブンからカルダモンとバターの甘い香りが流れ出すころ、家じゅうがイードを迎える空気に包まれます。クレイチャ(kleicha)は、イラクの家庭が祝いの日に焼く、デーツ入りのクッキーです。

イードの前夜、家族で焼くクッキー

ラマダン明けのイードを前に、家族がテーブルでクレイチャの生地を巻いて切る台所

ロンドンでイラク菓子の店を営むアル・カッサーブ姉妹は、中東のニュースサイトMiddle East Eyeに寄せたレシピで、クレイチャをイラクの国民的なクッキーと呼んでいます。宗教行事でもそうでなくても、イラクの人が特別な日を祝うときに、クレイチャを欠かすことはない、と姉妹は書いています。彼女たちの家では、ラマダンの終わりが近づくとイードに備えてクレイチャを焼き、来客が何人になろうと、毎年同じだけの量を作っていたそうです。

米国スミソニアン協会のフォークライフ・フェスティバルも、クレイチャを古いイラクの食の伝統に連なる、デーツのクッキーとして紹介しています。記事は、その歴史が古代バビロニアにまでさかのぼると伝え、ラマダン明けの祭りイード・アル=フィトルに作られる菓子だと説明しています。ただし、古代の菓子と今のクレイチャがどうつながるのかを、具体的な記録でたどれるわけではありません。由来は、イラクの人々が語り継いできた物語として受け止めておきましょう。

豆知識

スミソニアンの記事に登場するバグダッド出身のエル・ムトワッリ家は、1970年代からアブダビでクレイチャを焼き続け、ラマダンとイードの贈り物にしてきました。贈る量は年々増え、多い年には500キロにもなったといいます。亡くなった家族を偲ぶ日にも、この菓子を焼いて配ってきたそうです。

マアムールとは、生地が違う

小麦粉のイースト生地で作るクレイチャと、セモリナ粉の生地で作るマアムールを並べた皿

デーツを詰めた中東の焼き菓子といえば、レバノンやシリアのマアムールを思い浮かべる人も多いでしょう。アル・カッサーブ姉妹によると、二つのいちばんの違いは生地にあります。クレイチャの生地にはセモリナ粉を使わないのです。小麦粉にイーストを加えた生地は、焼くとふんわり軽く、デーツのねっとりした甘さをやさしく包みます。

形にも家庭ごとの流儀があります。伝統を大切にする人は、彫刻をほどこした木型に生地を押し込んで模様をつけます。一方で、生地をのばしてデーツを巻き、切り分ける方法も広く受け入れられていると、姉妹は書いています。切り口にデーツの渦巻きが見えるこの形は、木型がない日本の台所でもすぐに作れます。中身もデーツだけではありません。くるみと砂糖とカルダモン、ココナッツと砂糖、ピスタチオとローズウォーターなど、いくつもの詰め物があり、同じ家でも種類を焼き分けるのが普通です。


くるみやピスタチオで焼き分ける

デーツの渦巻き形、ピスタチオを包んだ丸い形、くるみを包んだ半月形のクレイチャを並べた皿

エル・ムトワッリ家のレシピには、デーツのほかに、ナッツの詰め物も載っています。くるみやピスタチオを細かくくだき、砂糖とローズウォーターで味をつけたものです。ピスタチオは小さく丸めた生地で包んで丸い形に、くるみは生地で包んで半月形にし、縁をフォークや指で押さえて閉じます。形で中身がわかるようにしておくのが、焼き分けるときの楽しい工夫です。

同じレシピには、チーズとごまを使った甘くないクレイチャも紹介されています。生地にモッツァレラとチェダーを混ぜ込み、型で抜いてごまをふり、190°Cで12〜15分焼くものです。お茶の時間に甘いものと甘くないものを並べると、つい手がのびてしまいます。

紅茶やアラビアコーヒーと一緒に

細いグラスに入れた紅茶と、クレイチャを盛った皿を並べた午後のテーブル
冷ましたクレイチャを、熱い紅茶やアラビアコーヒーと一緒に

クレイチャは、熱い紅茶やアラビアコーヒーと一緒に出すのが昔ながらの食べ方だと、アル・カッサーブ姉妹は書いています。カルダモンの香りが、紅茶にもコーヒーにもよく合います。イードの訪問客をもてなすときも、普段のお茶の時間にも、大皿に山盛りにして出せば、イラクの家庭の居間のような雰囲気になります。

同じく生地でデーツを包むレバノンのマアムールと焼き比べると、セモリナ粉のほろほろした生地と、イースト生地のふんわりした食感の違いがよくわかります。イラクの食卓をもっと知りたいなら、チグリス川の魚を開いて焼くマスグーフや、モスルの平たいクッバ・モスルもあわせて読んでみてください。

よくある質問

ふたつきの缶に並べて保存しているクレイチャ

どのくらい日持ちしますか?

Middle East Eyeのレシピでは、密閉容器に入れておけば約1週間もつとされています。湿気の多い時期や暖かい部屋では、早めに食べきるようにしてください。

冷凍できますか?

スミソニアンのレシピでは、クレイチャは冷凍に向き、オーブンやオーブントースターで温め直せるとされています。Middle East Eyeのレシピも、焼いたクレイチャを冷凍し、室温で解凍する方法を紹介しています。

デーツペーストの市販品を使ってもいいですか?

使えます。Middle East Eyeのレシピは、市販のデーツペーストにカルダモンを混ぜて使う方法を基本にしています。手間をかけずに作りたいときは、デーツペーストにカルダモン小さじ1/2を混ぜてから、細長い棒状にまとめて生地で巻いてください。

木型がなくても作れますか?

作れます。この記事で紹介した、デーツを巻いて切り分ける方法なら木型はいりません。木型を使う場合は、デーツを包んだ生地の玉を型に押し込み、軽くたたいて取り出します。

主な参考リンク

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