オーブンの扉を開けると、ふつふつと泡立つ白いソースの間から、こんがり焼けた肉団子が顔をのぞかせます。ごまの香ばしい香りと、ヨーグルトとレモンのさわやかな酸味。オーブン皿ごと食卓の真ん中に置いて、平たいパンをちぎり、ソースごと肉団子をすくって食べます。コフタ・ビ・タヒニ(kofta bil tahini)は、ヨルダンの家庭で作られる、肉団子をタヒニのソースで焼くオーブン料理です。
「コフタ」は、玉ねぎとスパイスのひき肉だね

米国の料理メディアMilk Streetのチームは、ヨルダンを訪れたとき、コフタ(ケフタ)が玉ねぎとスパイスで味をつけたひき肉だねそのものを指す言葉だと知ったと書いています。同じひき肉だねを、串に巻いて炭火で焼くこともあれば、団子にしてオーブンで焼くこともある。料理の名前というより、肉の仕込み方の名前なのです。
Milk Streetがこの料理を教わったのは、首都アンマンの家庭料理人タグリード・ムフタセブでした。彼女のコフタ・ビ・タヒニは、細長く整えた肉団子を、じゃがいも、玉ねぎ、そしてレモンをきかせたタヒニとヨーグルトのソースと一緒に焼くものだったそうです。ヨルダンの新聞Jordan Newsも、コフタは大人にも子どもにも人気のある料理だと紹介しています。家族の食卓に、オーブン皿ごとどんと出せる一品です。
同じひき肉だねを使った料理は、中東の国々に広くあります。トルコの「キョフテ」も、名前の響きが似ている親戚のような料理です。国や家庭によって、ハーブの種類やスパイスの配合、焼き方が少しずつ違います。
タヒニとヨーグルトの白いソース

この料理の主役は、肉団子を包む白いソースです。タヒニ(白ごまのペースト)にヨーグルトとレモン汁、水を合わせ、炒めた玉ねぎを加えます。タヒニのこくにヨーグルトの酸味が加わることで、焼いても重くなりすぎず、肉のうまみを引き立てる軽やかなソースになります。
タヒニは、水分を加えると一度固くなり、混ぜ続けるとなめらかになる不思議な性質があります。Milk Streetは、タヒニの銘柄によっては液体と合わせると分離することがあるので、ソースを作るときは室温の水ではなく、沸騰した湯を使うと、なめらかに仕上がると書いています。
途中で見つける、味の決め手
アンマンの家庭では、じゃがいもと一緒に

アンマンのタグリード・ムフタセブの作り方は、細長い肉団子を、じゃがいもと玉ねぎと一緒に焼くものでした。Milk Streetは、じゃがいもと玉ねぎを先に加熱しておくことで、オーブンの中で均一にやわらかく仕上がるようにしています。じゃがいもがソースを吸って、肉団子に負けないおいしさになります。
家庭で作るなら、皮をむいて1cm厚の輪切りにしたじゃがいもを、竹串が通るくらいまで下ゆでしてから、肉団子と一緒にオーブン皿に並べてください。ソースを全体にかけて、同じように焼けば、じゃがいも入りのコフタ・ビ・タヒニになります。
平たいパンと一緒に

焼きたてのコフタ・ビ・タヒニは、オーブン皿ごと食卓の真ん中に置き、取り分けて食べます。平たいパンをちぎってソースをすくうと、ごまとヨーグルトのソースがパンにしみこんで、最後の一滴までおいしく食べられます。ご飯を添えても合います。刻んだきゅうりとトマトのサラダを一緒に出すと、口の中がさっぱりします。
ヨルダンの料理をもう一品作るなら、羊肉を発酵乳のソースで煮る国民食マンサフや、トマトを炒めて作る手軽な一皿ガライエット・バンドーラもおすすめです。同じひき肉だねの料理を食べ比べるなら、トルコのキョフテもあわせてどうぞ。
よくある質問

ソースが分離してしまいました。
タヒニの銘柄によっては、液体と合わせると分離することがあります。Milk Streetは、室温の水ではなく沸騰した湯を使うとなめらかに仕上がると書いています。分離しかけたら、熱湯を少しずつ加えながら、泡立て器でよく混ぜてください。
フードプロセッサーがなくても作れますか?
作れます。玉ねぎ、にんにく、パセリ、パクチーをできるだけ細かいみじん切りにして、ひき肉と一緒にボウルに入れ、粘りが出るまで手でよく練ってください。
肉団子を焼かずに作る方法はありますか?
Jordan Newsは、もう一つの作り方として、肉だねを棒状か団子にして油を塗ったオーブン皿に並べ、ざくろモラセスをかけてから、タヒニとレモン汁、水、少しの油を混ぜたソースをかけて、200°Cで約20分焼く方法も紹介しています。フライパンで焼き色をつける手間が省けます。
残ったらどうすればいいですか?
粗熱をとってから保存容器に入れて冷蔵し、早めに食べきってください。温め直すときは、オーブンや電子レンジで中まで熱くします。ソースが固くなっていたら、少量の湯を足してのばしてください。











