トリニダードの国民食ダブルス。黄金色の揚げパンでスパイシーなひよこ豆カレーを挟んだカリブ海のストリートフード
🔪下準備60分
🔥調理30分
🍽️分量8
🌍料理トリニダード・トバゴ料理
南米レシピ

ダブルスの作り方|トリニダードの揚げカレーサンド

32分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 鍋にサラダ油大さじ2を中火で熱する
STEP 11 / 10

鍋にサラダ油大さじ2を中火で熱する

マスタードシード小さじ1/2を入れ、パチパチと弾けるまで約30秒加熱する。弾け始めたらすぐに玉ねぎのみじん切りを加え、きつね色になるまで5-6分炒める。焦がさないように注意。

手順2: にんにくのみじん切り4片分を加え、香りが立つまで1分炒める
STEP 22 / 10

にんにくのみじん切り4片分を加え、香りが立つまで1分炒める

ここにターメリック小さじ1、クミンパウダー小さじ1、コリアンダーパウダー小さじ1、カレー粉大さじ1を一度に加える。スパイスが焦げないように30秒だけ炒め合わせ、油とスパイスがなじんでペースト状になればOK。

手順3: ひよこ豆の水煮(水を切らずにそのまま)を鍋に加え、水150mlを足す
STEP 33 / 10

ひよこ豆の水煮(水を切らずにそのまま)を鍋に加え、水150mlを足す

スコッチボネットペッパー1個を丸ごと入れる(種を出すと辛さ控えめになる)。塩小さじ1を加え、全体を混ぜたら弱火にして蓋をし、20分煮込む。豆が柔らかくなり、煮汁に軽いとろみがつけばOK。

手順4: 20分後、ひよこ豆の半量をフォークの背で粗く潰す
STEP 44 / 10

20分後、ひよこ豆の半量をフォークの背で粗く潰す

全部は潰さない。粒の残った食感と潰れたペースト状の部分が混在するのがダブルスのチャナの特徴。水分が多すぎる場合は蓋を取って5分煮詰める。仕上がりは「カレーというよりペーストに近い粘度」が正解。バラに挟んだときに流れ落ちない程度の固さを目指す。

手順5: 粉類を混ぜる
STEP 55 / 10

粉類を混ぜる

大きなボウルに中力粉300g、ターメリック、クミン、砂糖、塩、ドライイーストを入れ、泡立て器で約1分混ぜる。粉全体に黄色が均一に広がり、スパイスのだまが見えなくなれば水を加える準備ができる。

手順6: 生地をこねる
STEP 66 / 10

生地をこねる

ぬるま湯200ml(38〜40度)を少しずつ加えながら木べらで混ぜ、まとまったら手で5分こねる。表面が滑らかで、手に少しべたつく柔らかさが正解。硬ければ水を大さじ1ずつ足し、ラップをかけて1時間発酵させる。

手順7: 1時間後、生地が2倍に膨らんでいることを確認する
STEP 77 / 10

1時間後、生地が2倍に膨らんでいることを確認する

手に油を塗り、生地を16等分する(ダブルス8個分×2枚)。1個あたり直径4cmほど、ゴルフボールより一回り大きいサイズに丸めて並べ、濡れ布巾をかけて10分休ませる。

手順8: 鍋にサラダ油を3cm深さまで入れ、175度に熱する
STEP 88 / 10

鍋にサラダ油を3cm深さまで入れ、175度に熱する

菜箸を入れて細かい泡がシュワシュワ出れば適温。油を塗った手で生地を直径10-12cmの円形に薄く伸ばす。麺棒は使わない。手のひらで押し広げるのがトリニダード流。目安: 約1分。

手順9: バラを揚げる
STEP 99 / 10

バラを揚げる

伸ばした生地を175度の油にそっと滑り入れる。約15秒で浮き上がってぷっくり膨らむので、裏返してさらに15秒揚げる。両面が黄金色になったら引き上げ、合計30秒を超えないようにすると硬くならない。

手順10: チャナを挟む
STEP 1010 / 10

チャナを挟む

バラを1枚手のひらに載せ、チャナを大さじ3〜4たっぷりのせる。タマリンドチャツネとコリアンダーチャツネを各小さじ1かけ、もう1枚のバラを上にかぶせる。約1分で組み、熱いうちに渡すと生地が柔らかい。

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Ingredients

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材料スライド
材料

買い出しの前に

ダブルスは「バラ(揚げパン)」と「チャナ(ひよこ豆カレー)」の2つのパーツで成り立っています。どちらも単体では成立しません。バラの柔らかさとチャナのスパイシーさが合わさって初めてダブルスになります。

8品目

バラ(揚げパン)の材料

材料 分量 代替・備考
中力粉 300g 薄力粉200g+強力粉100gで代用可
ターメリック 小さじ1 色付けと風味。省略不可
クミンパウダー 小さじ1/2
砂糖 大さじ1 イースト発酵の餌
ドライイースト 小さじ1(5g) 予備発酵不要のインスタントタイプが便利
小さじ1/2
ぬるま湯 200ml 38-40度。熱すぎるとイーストが死ぬ
揚げ油 適量(鍋に3cm深さ) サラダ油またはキャノーラ油
バラの生地は「柔らかめ」が正解

トリニダードのダブルス職人に聞くと、バラの生地は「ベタつくギリギリの柔らかさ」が理想と答えます。硬い生地は揚げても膨らまず、ナンのような食感になってしまいます。手にくっつくほど柔らかい生地を、油を塗った手で扱うのがコツです。インドのサモサのパイ生地とは全く異なる柔らかさを目指してください。

12品目

チャナ(ひよこ豆カレー)の材料

材料 分量 代替・備考
ひよこ豆(水煮缶) 400g(2缶) 乾燥ひよこ豆200gを一晩水戻し+茹でてもOK
玉ねぎ 1個(みじん切り)
にんにく 4片(みじん切り)
サラダ油 大さじ2
ターメリック 小さじ1
クミンパウダー 小さじ1
コリアンダーパウダー 小さじ1
マスタードシード 小さじ1/2 なければクミンシードで代用
カレー粉 大さじ1 S&Bの赤缶カレー粉がベスト
小さじ1 味を見ながら調整
150ml
スコッチボネットペッパー 1個 ハバネロまたは鷹の爪3本で代用
アレルギー情報・辛さについて

ダブルスには小麦粉(バラ)とひよこ豆(チャナ)を使用します。本場のダブルスにはスコッチボネットペッパー(世界有数の激辛唐辛子)が入ります。日本のスーパーでは入手困難なため、ハバネロペッパー(カルディで冷凍品あり)または鷹の爪で代用してください。辛さが苦手な方は唐辛子を省いても構いません。子ども向けには唐辛子なしで作り、大人は別添えのペッパーソースで辛さを調整するのが合理的です。

ダブルスの材料が揃ったキッチンの全景。スパイス、ひよこ豆、小麦粉が並ぶ
ダブルスの全材料。黄色いターメリック、茶色のクミン、赤いスコッチボネット。カリブ海とインドのスパイスが出会う一皿
4品目

付け合わせ・トッピング

材料 分量 代替・備考
タマリンドチャツネ 大さじ4 ウスターソース大さじ2+砂糖小さじ1で代用可
コリアンダーチャツネ 大さじ4 パクチー+にんにく+レモン汁をミキサーにかける
ペッパーソース 適量 タバスコでも可
キュウリのピクルス(ハックルワ) 適量 きゅうりの薄切り+酢+砂糖+マスタードシード
タマリンドチャツネの簡単レシピ

タマリンドペースト大さじ2(カルディで購入可)を水100mlに溶かし、砂糖大さじ2、塩少々、クミンパウダー小さじ1/4を加えて弱火で5分煮詰めるだけ。甘酸っぱいソースはダブルスの味を格段に引き上げます。余ったら冷蔵で2週間保存可能。タマリンドはタイのソムタムやパッタイにも使える万能調味料です。

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📊 栄養情報(1人分)
43
kcal
1.5g
タンパク質
1.8g
脂質
5.5g
炭水化物
0.9g
食物繊維
85mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
人数に合わせて材料表を調整する
8人分

材料(8人分・ダブルス8 個)

ダブルスは「バラ(揚げパン)」と「チャナ(ひよこ豆カレー)」の2つのパーツで成り立っています。どちらも単体では成立しません。バラの柔らかさとチャナのスパイシーさが合わさって初めてダブルスになります。

バラ(揚げパン)の材料

材料 分量 代替・備考
中力粉 300 g 薄力粉200 g+強力粉100 gで代用可
ターメリック 小さじ1 色付けと風味。省略不可
クミンパウダー 小さじ1/2
砂糖 大さじ1 イースト発酵の餌
ドライイースト 小さじ1(5 g) 予備発酵不要のインスタントタイプが便利
小さじ1/2
ぬるま湯 200 ml 38-40度。熱すぎるとイーストが死ぬ
揚げ油 適量(鍋に3cm深さ) サラダ油またはキャノーラ油
バラの生地は「柔らかめ」が正解

トリニダードのダブルス職人に聞くと、バラの生地は「ベタつくギリギリの柔らかさ」が理想と答えます。硬い生地は揚げても膨らまず、ナンのような食感になってしまいます。手にくっつくほど柔らかい生地を、油を塗った手で扱うのがコツです。インドのサモサのパイ生地とは全く異なる柔らかさを目指してください。

チャナ(ひよこ豆カレー)の材料

材料 分量 代替・備考
ひよこ豆(水煮缶) 400 g(2缶) 乾燥ひよこ豆200 gを一晩水戻し+茹でてもOK
玉ねぎ 1 個(みじん切り)
にんにく 4 片(みじん切り)
サラダ油 大さじ2
ターメリック 小さじ1
クミンパウダー 小さじ1
コリアンダーパウダー 小さじ1
マスタードシード 小さじ1/2 なければクミンシードで代用
カレー粉 大さじ1 S&Bの赤缶カレー粉がベスト
小さじ1 味を見ながら調整
150 ml
スコッチボネットペッパー 1 個 ハバネロまたは鷹の爪3 本で代用
アレルギー情報・辛さについて

ダブルスには小麦粉(バラ)とひよこ豆(チャナ)を使用します。本場のダブルスにはスコッチボネットペッパー(世界有数の激辛唐辛子)が入ります。日本のスーパーでは入手困難なため、ハバネロペッパー(カルディで冷凍品あり)または鷹の爪で代用してください。辛さが苦手な方は唐辛子を省いても構いません。子ども向けには唐辛子なしで作り、大人は別添えのペッパーソースで辛さを調整するのが合理的です。

ダブルスの材料が揃ったキッチンの全景。スパイス、ひよこ豆、小麦粉が並ぶ
ダブルスの全材料。黄色いターメリック、茶色のクミン、赤いスコッチボネット。カリブ海とインドのスパイスが出会う一皿

付け合わせ・トッピング

材料 分量 代替・備考
タマリンドチャツネ 大さじ4 ウスターソース大さじ2+砂糖小さじ1で代用可
コリアンダーチャツネ 大さじ4 パクチー+にんにく+レモン汁をミキサーにかける
ペッパーソース 適量 タバスコでも可
キュウリのピクルス(ハックルワ) 適量 きゅうりの薄切り+酢+砂糖+マスタードシード
タマリンドチャツネの簡単レシピ

タマリンドペースト大さじ2(カルディで購入可)を水100 mlに溶かし、砂糖大さじ2、塩少々、クミンパウダー小さじ1/4を加えて弱火で5分煮詰めるだけ。甘酸っぱいソースはダブルスの味を格段に引き上げます。余ったら冷蔵で2週間保存可能。タマリンドはタイのソムタムやパッタイにも使える万能調味料です。

カリブ海の朝を目覚めさせる「2枚の揚げパン」

カリブ海に浮かぶ小さな島国、トリニダード・トバゴ。人口150万人のこの国には、朝が来るたびに路上に長い行列ができます。人々が並ぶ先にあるのは、大きな鉄鍋と山積みの黄色い生地。売り子が手慣れた動きで生地を油に落とし、膨らんだ揚げパンを2枚重ね、その間にスパイスの効いたひよこ豆カレーをたっぷり挟む。包み紙に載せて手渡す。これがダブルス(Doubles)。トリニダード・トバゴの国民的ストリートフードです。

名前の由来は単純。パンを「2枚(ダブル)」使うから「ダブルス」。南米・中米のストリートフードは多種多様ですが、インドの影響をここまで色濃く受けた屋台料理はダブルスだけです。1枚だと「シングルス」もありますが、注文する人はほぼいません。2枚のふわふわの揚げパン「バラ(bara)」でスパイシーなひよこ豆カレー「チャナ(channa)」を挟む。それだけ。しかしこの「それだけ」の料理が、トリニダード人の魂に深く根ざしています。

ダブルスとは

トリニダード・トバゴ発祥のストリートフード。2枚の揚げパン「バラ(bara)」でスパイシーなひよこ豆カレー「チャナ(channa)」を挟んだもの。1930年代にインド系トリニダード人のEmamool Deen & Dodsによって考案された。価格はTT$5-10(約100-200円)と安く、朝食として路上で売られる。トリニダード・トバゴ国内だけでなく、ニューヨーク、トロント、ロンドンのカリブ系コミュニティでも親しまれている。

英語圏では"Trinidad Doubles recipe"で検索すると、トリニダード出身のシェフやカリブ系フードブロガーによる本格レシピが大量に見つかります。Serious EatsBBC Good Food、カナダのFood Networkでも特集されています。しかし日本語で「ダブルス トリニダード」と検索してもレシピはほぼ皆無です。この記事では英語圏の情報をもとに、日本のスーパーの食材でダブルスを完全再現する方法を解説します。同じくストリートフードとして愛されるジャマイカのジャークチキンコロンビアのバンデハ・パイサと並ぶ、カリブ海の食文化の真髄です。


調理のコツ

油の温度管理が全てを決める

バラの仕上がりは油の温度で劇的に変わります。175度が黄金温度。170度以下だと油を吸ってベタつき、180度以上だと外側が先に焼けて中が膨らみません。温度計がない場合は、小さな生地片を油に落として3秒以内に浮き上がれば適温です。レバノンのファラフェルと同様、揚げ物は温度管理が命です。

チャナは前日に作っておくとおいしい

チャナカレーは時間が経つほどスパイスがなじみ、味が深まります。前日の夜に作り、冷蔵庫で一晩寝かせたものを温め直すと、トリニダードのダブルス屋台の味に近づきます。冷蔵で3日、冷凍で1か月保存可能。

バラは揚げたてを食べる

バラは時間が経つと水分を吸って柔らかくなりすぎます。揚げてから5分以内に食べるのが鉄則。トリニダードの屋台では注文を受けてから揚げ始めます。家庭で作る場合も、チャナを先に完成させておき、食べる直前にバラを揚げてください。

出来上がったダブルスをかぶりついている様子
ダブルスは手で持ってかぶりつくのが正しい食べ方。チャナがはみ出すのもご愛敬。トリニダードの朝の風景

アレンジ・バリエーション

バラにひよこ豆粉を加えるバージョン -- 中力粉の1/4をひよこ豆粉(ベサン粉)に置き換えると、より香ばしく豆の風味が強いバラになる。インド料理店の近くの食材店やカルディでベサン粉は入手可能。これがオリジナルに近い製法だという説もある。

チャナの代わりにアルー(じゃがいも) -- ひよこ豆の代わりにじゃがいもをスパイスで炒めた「アルーダブルス」もトリニダードの定番。じゃがいも300gを1cm角に切り、同じスパイスで炒め煮にする。ネパールのダルバートのアルーサブジに近い発想。

ヴィーガン対応 -- ダブルスはもともと完全ヴィーガン。バラの生地にも卵や乳製品は入らず、チャナも植物性のみ。ヴィーガンのストリートフードとして世界的に注目されている。

辛さマシマシ「ペッパーダブルス」 -- トリニダードの屋台で「plenty pepper(ペッパーたくさん)」と注文すると、スコッチボネットの刻みが追加される。自宅で再現するならハバネロソースを増量。辛さに強い方は刻んだ生ハバネロをチャナに混ぜ込んで。

日本風アレンジ:味噌チャナ -- カレー粉の半量を白味噌に置き換えると、コクのある和風チャナになる。揚げパンは「揚げ焼き」にしてカロリーを抑えても。エジプトのコシャリのように、豆料理を日本の味覚に寄せるアレンジも面白い。

3種類のダブルスが並んでいる様子。トッピング違いのバリエーション
ダブルスのバリエーション。左からスタンダード、ペッパーマシマシ、タマリンドチャツネたっぷり。同じバラとチャナでもソースで味が変わる

この料理の背景

インド系移民がカリブ海に運んだ味

ダブルスのルーツを理解するには、トリニダード・トバゴの歴史を知る必要があります。1845年、イギリス植民地だったトリニダードに、インドからの契約労働者(indentured labourers)が到着し始めました。奴隷制度廃止後の砂糖プランテーションの労働力として、インドの主にウッタル・プラデーシュ州とビハール州から多くの人々が海を渡ったのです。

彼らは故郷の食文化を持ち込みました。チャナ・プーリー(ひよこ豆カレーと揚げパン)はインド北部の朝食の定番。これがトリニダードの気候、食材、そして他の文化との接触の中で変容し、「ダブルス」として生まれ変わりました。インドのプーリーよりも薄く柔らかく、チャナのスパイスにはカリブ海特有のスコッチボネットが加わった。

「Doubles」を生んだ一軒の屋台

ダブルスの発祥には確かな記録があります。1930年代後半、トリニダード南部のプリンセスタウンでEmamool Deen(エマムール・ディーン)という人物が、自転車にトレイを積んで売り始めたのが最初です。当初は「バラとチャナ」を別々に売っていましたが、ある日客が「2枚のバラでチャナを挟んでくれ」と頼んだ。それが「ダブルス」の誕生です。

息子のAshford Deen(アシュフォード・ディーン)がビジネスを引き継ぎ、1940年代にはポートオブスペイン(首都)にまで販路を広げました。現在もDeen家はトリニダードでダブルス屋台を営んでおり、「元祖ダブルス」として知られています。

トリニダードの「ダブルス経済学」

ダブルスはTT$5-10(約100-200円)で売られるストリートフード。しかしこの低価格の裏に驚くべきビジネスモデルがあります。トリニダードの人気ダブルス売りは朝5時から昼12時の7時間で500-1000個を売ります。原価率は約20%。ダブルス屋台は低投資・高回転率のビジネスとしてトリニダード経済に組み込まれており、「ダブルスで財を成した」と言われる売り手も少なくありません。

カリブ海の「朝食儀式」

トリニダード人にとって、朝のダブルスは単なる食事ではありません。それは儀式です。毎朝同じ屋台に通い、同じ売り手から買う。注文の仕方にも作法があります。

「Slight」は「チャナ控えめ」。「With everything」は「全部のせ」。「Plenty pepper」は「辛くして」。「Double up」は「2個ちょうだい」。常連は売り手と目が合うだけで注文が通る。この朝の習慣が、トリニダード人のアイデンティティの一部を形成しています。

海外に移住したトリニダード人(ディアスポラ)にとって、ダブルスは故郷の味そのもの。ニューヨークのブルックリン、トロントのスカーバロー、ロンドンのブリクストン。カリブ系コミュニティがある街には必ずダブルス屋台があります。2015年にはCNNの「世界のストリートフード・ベスト50」にも選出されました。

カリブ海の屋台でダブルスが売られている様子
トリニダードのダブルス屋台。大きな鉄鍋で次々とバラを揚げ、手慣れた動きでチャナを挟んで客に手渡す。朝の行列はトリニダードの日常風景

あわせて作りたい料理

ダブルスでチャナとスコッチボネットの香りをつかんだら、同じトリニダードの家庭料理としてペラウの焦がし鶏ご飯へ進むと、カリブ海の豆、米、辛味の使い方が立体的に見えてきます。

よくある質問

ダブルスと付け合わせのチャツネやペッパーソースが並んでいる様子
ダブルスに欠かせないトッピング。タマリンドチャツネ、コリアンダーチャツネ、ペッパーソースが並ぶ

Q: ひよこ豆の水煮缶で本当においしく作れますか?

A: 十分においしく作れます。乾燥ひよこ豆を一晩水戻しして茹でるとより豆の食感がしっかりしますが、水煮缶でも本場に近い味が出ます。水煮缶を使う場合は缶汁もそのまま鍋に入れてください。缶汁にはひよこ豆のでんぷんが溶け出しており、チャナにとろみをつける役割を果たします。

Q: バラが膨らみません。原因は?

A: 3つの原因が考えられます。(1) イーストの発酵不足:生地を1時間以上温かい場所で発酵させること。冬場はオーブンの発酵機能(35度)を使うと確実。(2) 油の温度が低い:175度未満だと膨らまない。(3) 生地が硬すぎる:ぬるま湯を大さじ1ずつ追加して柔らかくする。

Q: スコッチボネットペッパーはどこで買えますか?

A: 日本のスーパーではほぼ入手できません。代替として(1) カルディの冷凍ハバネロ、(2) Amazon等でスコッチボネットのホットソース(Grace社製が本場で人気)、(3) 鷹の爪3-4本。スコッチボネット特有のフルーティーな辛さを再現するなら、鷹の爪にマンゴーチャツネ小さじ1を加えると雰囲気が出ます。

Q: ダブルスは朝食だけの料理ですか?

A: トリニダードでは主に朝食ですが、ランチやおやつとして一日中食べる人もいます。パーティーのフィンガーフードとしても人気。日本で作るならブランチや休日のランチがおすすめ。バラは冷凍保存できるので(焼く前の生地を個別ラップ+ジップロック)、食べたいときに解凍して揚げるのも便利です。

Q: ダブルスとインドのチョーレーバトゥーレーの違いは?

A: 見た目は似ていますが異なる料理です。インドのバトゥーレーは発酵なし(またはベーキングパウダー)で、大きく厚い。ダブルスのバラはイースト発酵させ、薄く小さい。チャナのスパイス使いも異なり、ダブルスにはカリブ海のスコッチボネットとマスタードシードが入ります。インドのキチュリパキスタンのニハリと比べると、カリブ海独自のスパイス文化の影響が分かります。


栄養情報(1個あたりの目安)

ヘルシーなストリートフード

ダブルスは揚げ物ですが、ひよこ豆の植物性タンパク質と食物繊維が豊富で、動物性食品を一切使わない完全ヴィーガン食品。1個あたり約340kcalと、ハンバーガー(約500kcal)やホットドッグ(約400kcal)と比べても低カロリー。ひよこ豆に含まれる水溶性食物繊維は腸内環境の改善と血糖値の急上昇抑制に寄与します。

項目 1個あたり
カロリー 340kcal
タンパク質 12g
脂質 14g
炭水化物 44g
食物繊維 7g
塩分 1.7g

参考文献

  • Ramin Ganeshram, Sweet Hands: Island Cooking from Trinidad & Tobago, Hippocrene Books, 2010. トリニダード系アメリカ人の料理研究家によるトリニダード料理の決定版。ダブルスの歴史とレシピを詳述。
  • "The Ultimate Guide to Trinidad Doubles", Serious Eats, 2023. https://www.seriouseats.com/trinidad-doubles-recipe アメリカの大手食メディアによるダブルスの本格レシピ。バラの発酵とチャナのスパイス使いを科学的に解説。
  • "The History of Doubles: Trinidad's Favourite Street Food", Caribbean Beat Magazine, 2022. https://www.caribbeanbeat.com/history-of-doubles カリブ海の文化誌によるダブルスの歴史特集。Deen家への取材を含む。
  • "Doubles", BBC Good Food, 2024. https://www.bbcgoodfood.com/recipes/trinidad-doubles 英国BBCのレシピサイトによる家庭向けダブルスレシピ。代替食材の提案が充実。
  • Krystal Jagoo, "The Cultural Significance of Doubles in Trinidad and Tobago", Gastro Obscura (Atlas Obscura), 2021. https://www.atlasobscura.com/foods/doubles-trinidad ダブルスの文化的意義とインド系移民の歴史を紐解く記事。

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行ダブルスの作り方|トリニダードの揚げカレーサンド
URL
https://sekaigohan.com/recipes/south-america/trinidad/doubles
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年4月7日
主な参考リンク
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