平日の夜、コンロにかかった鍋を思い浮かべてください。玉ねぎ、トマト、しょうが、にんにくをなめらかにしたペーストが、クミンシードの弾ける熱い油に落ちて、縁でぱちぱちと跳ねます。やがてゆっくり濃くなり、色が深まり、鍋の縁に細い油の筋が浮いてきます。そこへ角切りのじゃがいもと鮮やかなグリーンピースを入れてマサラをまとわせ、蓋をして煮ると、グレイビーが具に寄り添っていきます。脇には温かいロティ。じゃがいもは芯まで柔らかく、角は残したまま。この料理の難所はスパイスより、そこにあります。
玉ねぎとトマトのペーストは、艶が出て油が分かれるまで炒めます。そのあと、じゃがいもが芯まで柔らかく、でも形は保っている状態まで煮ます。スパイスはマサラに必要な分だけ。クミン、唐辛子、ターメリック、最後に少量のガラムマサラです。
このレシピは、Dassana Amitさんのパンジャーブ風アールー・マタルの鍋の作り方に沿っています。Dassanaさんはこのレシピを義母から伝わったものと紹介しています。編集部ではまだ試作していません。使うのは普通の厚手の鍋、さやから出したばかりのグリーンピース、くせのない植物油で、基本の配合にはヒング、クリーム、ナッツは入れません。
同じ国の料理をほかにも知りたい方は、インドの国別ページから探せます。
ヒンディー語では आलू मटर と書きます。英語表記は Aloo Matar のほか、Aloo Mutter、Aloo Mattar などがあります。Dassana Amitさんのレシピページによると、「aloo」はじゃがいも、「matar」はグリーンピースの意味で、名前は主役の2つの食材を並べたものです。
家庭の定番カレー、今回はパンジャーブ風のグレイビー
アールー・マタルは、北インドの家庭で作られるじゃがいもとグリーンピースのカレーです。 Dassana Amitさんは、玉ねぎとトマトのマサラをベースにしたパンジャーブ/北インド風のカレーとして紹介し、ロティ、パラーター、プーリー、ナン、ごはんと合わせるとしています。家庭ではグレイビー、汁気のないドライ、その中間のセミドライと、いくつもの作り方があるとも書いています。
北インドの別のレシピ、NDTV FoodのNiru Guptaさんの「aloo matar rasedaar」は、「rasedaar」を汁気のあるグレイビー風の意味で使い、日々の昼食や夕食にパンやごはんと合わせる料理としています。作り方は異なり、ゆでたじゃがいもから始めて、玉ねぎ、しょうが、にんにく、トマトのグレイビーを別に作ります。同じ名前でも食材の扱い方に幅があることがわかります。
Pfeiffer家のインド料理レシピサイトは、自分たちのじゃがいも、グリーンピース、トマトのレシピをベンガル風と呼び、トマトグレイビーのパンジャーブ版や、南インドの汁気の少ない作り方と対比しています。このレシピではじゃがいもを揚げるため、ソースの吸い方が変わるとも書かれています。これは一つのレシピサイトによる地域差の説明で、この料理の全体像を示す地図ではありません。
この記事で作るのは、Dassana Amitさんのページにあるパンジャーブ風のグレイビー版だけです。ほかのレシピにあるゆでじゃがいも、揚げじゃがいも、マスタードオイル、カレーリーフなどは、基本のレシピには混ぜていません。
作り方の違い
| 比べる点 | 資料の記述 | このレシピ |
|---|---|---|
| 料理の汁気 | グレイビー、ドライ、セミドライのどれも家庭で作られる | グレイビー:マサラと水でじゃがいもとグリーンピースを煮る |
| じゃがいもの扱い | 生の角切りをマサラで煮る、別の北インドのレシピではゆでたじゃがいも、ベンガル風のレシピでは揚げたじゃがいも | 皮をむいた生の角切りを、約1分マサラにからめてから煮る |
| グリーンピース | 生も冷凍も使われる | 基本はさやから出した生。代替として冷凍 |
| 添えるもの | ロティ、パラーター、プーリー、ナン、ごはん | 調理済みのプレーンロティを別に添える |
材料(3人分)

分量は元のレシピカードの1倍(3人分)です。玉ねぎ、トマト、じゃがいもは、グラムの数字で量ってください。「中」の個数では野菜の大きさがばらつきすぎて、目安になりません。しょうがとにんにくは、刻んだものをそれぞれ小さじ1ずつ使います。元のレシピには長さや片数での表記もありますが、どちらか一方だけを使い、両方は重ねません。
カップの量の ml 表記は、この サイトの計量基準(1カップ=240ml、大さじ1=15ml、小さじ1=5ml)に合わせたものです。元のレシピはカップの大きさを指定していません。グリーンピースは容量で量るため、グラム数は示していません。
| --- | --- | --- | | じゃがいも(アールー) | 250 g | 皮をむいて角切り。カレーの主役 | | グリーンピース(マタル)、さやから出した生 | 1カップ(容量で240 ml) | 甘みと彩り。冷凍でも代用できます(後述) | | 玉ねぎ | 80 g | ペーストにする。マサラの甘みとボリューム | | トマト | 150 g | ペーストにする。熟して赤く、甘みのあるものを選びます | | しょうが(刻む) | 小さじ1 | ペーストにする。香りの土台 | | にんにく(刻む) | 小さじ1 | ペーストにする。香りの土台 | | くせのない植物油 | 大さじ2 | クミンを弾けさせ、ペーストを炒める | | クミンシード(ジーラ) | 小さじ1/2 | 油で弾けさせて香りを出す | | 赤唐辛子粉 | 小さじ1/2 | 辛みと色 | | ターメリックパウダー | 小さじ1/4 | 色と土のような香り | | 煮るための水 | 1.5カップ(360 ml) | 塩と一緒に加え、じゃがいもとグリーンピースを煮る | | 塩 | 適量 | 元のレシピに分量はありません。少しずつ加えて味を見ます | | ガラムマサラ | 小さじ1/2 | 仕上げに加える | | コリアンダーの葉(パクチー)、刻む | 大さじ2 | 仕上げの生の香り | | 濃度を調整するための追加の水 | 適量 | 360 ml とは別にしておき、グレイビーが濃くなりすぎたときだけ少しずつ足す | | 野菜を洗うための水 | 適量 | 野菜の水洗い用。ペーストには加えません | | 調理済みのプレーンロティ | 適量(別に添える) | 添え物。ロティの作り方はここでは扱いません |
道具
- ふた付きの厚手の鍋
- ペースト用のミキサーまたはグラインダーの容器
- 木べら
- 包丁とまな板
- じゃがいもの火の通りを確かめる竹串またはフォーク
選び方と代用
じゃがいも: 元のレシピによると、でんぷん質の多いじゃがいもは早く柔らかくなり、グレイビーにもとろみがつきます。角を残したいときは、万能タイプのじゃがいもが無難です。これは編集部の提案で、元のレシピが指定しているわけではありません。
グリーンピース: 基本のレシピはさやから出した生のグリーンピースです。元のレシピは冷凍も使えるとしており、とても柔らかい豆は、最初ではなく煮込みの途中で入れてもよいと書いています。冷凍のまま入れる場合の追加の加熱時間は示されていないので、柔らかさで判断してください。
トマト: 熟して赤く、甘みのあるトマトを使うと、マサラの酸味が出にくくなります。あとから酸味を調整する方法は、「鍋のトラブルと戻し方」で触れます。
スパイス: クミンシード、ターメリック、赤唐辛子粉、ガラムマサラという一般的な名前で探します。仕上げの基準は生のコリアンダーの葉で、乾燥した葉は香りの強さが違います。
油: 元のレシピはギーも選択肢に挙げています。ギーは風味が変わり、乳製品でもあるので、ここでの基本のレシピには含めていません。
ロティは小麦から作られるので、小麦やグルテンを避ける方は省くか、別の添え物にしてください。ガラムマサラや唐辛子粉の混合品など、スパイス製品の原材料表示も確認してください。変化案としてヒング(アサフェティダ)を加える場合は、その表示も確認してください。小麦を含む混合品があるためです。
作り方
無加水のペーストから、芯まで柔らかいじゃがいもまでの流れです。
元のレシピが20〜30分と示しているのは、煮込みの段階だけの目安で、全体の時間ではありません。実際にかかる時間や必要な水の量は、鍋、火力、じゃがいもで変わります。各段階は見た目で終わりを判断してください。マサラから油が分かれてくること、じゃがいもに竹串がすっと通ることが目印です。
野菜は必要に応じて水で洗います。じゃがいもは皮をむいて角切りにし、グリーンピースはさやから出します。玉ねぎ、トマト、しょうが、にんにくをミキサーかグラインダーの容器に入れ、水を加えずになめらかなペーストにします。

2. クミンを弾けさせ、ペーストを加える
厚手の鍋に油大さじ2を入れ、弱火から中弱火で熱してクミンシードを加えます。クミンが色づいて焦げる前にぱちぱちと弾けたら、ペーストを加えます。最初は跳ねます。

3. 艶が出て油が分かれるまで炒める
火は弱火から中弱火のままにします。ペーストが跳ねている間は鍋に半分ほど蓋をし、跳ねが落ち着いたら蓋を外して混ぜます。ペーストが濃くなり、艶が出て、鍋の縁から油が分かれてくるまで、混ぜながら炒め続けます。艶が出るのを見る前に、火を強めないでください。

4. 赤唐辛子粉とターメリックを混ぜる
赤唐辛子粉とターメリックを加え、炒めたマサラに混ぜ込みます。粉のスパイスが焦げないよう、火は穏やかなままにします。

5. じゃがいもとグリーンピースをマサラにからめる
角切りのじゃがいもとグリーンピースを加え、全体がマサラで覆われるまで約1分混ぜます。

6. 水と塩を加え、蓋をして煮る
水1.5カップ(360 ml)を注ぎ、塩を加えて蓋をします。弱火から中火で煮ます。元のレシピはこの段階の目安を20〜30分としていますが、鍋や火力で変わります。じゃがいもが崩れないよう、ときどきそっと混ぜるだけにします。じゃがいもの角切りの中心に竹串がすっと入り、グリーンピースが好みの柔らかさになり、グレイビーにとろみがついたら煮上がりです。じゃがいもが柔らかくなる前に濃くなりすぎたら、追加の水を少しずつ足します。

7. ガラムマサラとコリアンダーで仕上げる
ガラムマサラと刻んだコリアンダーの葉を混ぜます。味を見て、足りなければ塩を少しずつ足します。温かいうちに、ロティを添えて出します。

ペーストを炒めるときは、火を強めずに艶と油の分かれを待つのがいちばんの近道です。跳ねる間は半分蓋をし、落ち着いたら蓋を外して混ぜます。
煮ている間は鍋をあまりかき回さず、竹串で中心を確かめるのが確実です。じゃがいもの種類で火の通りは変わるので、時間より串の感触を信じてください。
鍋のトラブルと戻し方
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| マサラが焦げる、焦げ臭い | ペーストが煮詰まる前に火が強すぎた | 弱火から中弱火に保ち、跳ねている間は半分蓋をして混ぜます。艶が出て油が分かれるまで火を強めません |
| じゃがいもが崩れる | でんぷん質の多いじゃがいも、または煮立ってから強く混ぜた | 少し大きめに切り、そっと混ぜます。でんぷん質の多いものは早く柔らかくなってとろみも出るので、早めに様子を見ます |
| グレイビーが水っぽい | 鍋や火力に対して水が多い | 蓋を外して数分煮詰めるか、煮えたじゃがいもを少しつぶしてグレイビーに混ぜます |
| グレイビーが濃すぎる | じゃがいもが柔らかくなる前に水分が減った | 追加の水を少しずつ足します |
| 酸味が強い | トマトが十分に熟していなかった | 元のレシピは砂糖またはクリームを少し加えて直す方法を挙げていますが、分量は示していません。ごく少量ずつ足し、次回はより熟したトマトを選びます |
| じゃがいもがまだ硬い | 鍋、火力、じゃがいもの種類による | 蓋をしたまま煮続け、竹串でもう一度確かめます。グレイビーが濃くなりすぎるようなら水を少し足します |
変化案
基本のレシピとは分けて、変えたいときの選択肢です。
- もっと辛く: 元のレシピは、ペーストに青唐辛子を加える方法を挙げています。
- もっとコクを: 元のレシピは、少量のカシューナッツのパウダーやマライ(クリーム)を挙げています。ナッツや乳製品が入るため、アレルギーのある方には必ず伝えてください。クリームは必須ではなく、元のレシピも、クリームなしでも楽しめる料理だと書いています。ここでの基本のレシピでは使いません。
- ヒング(アサフェティダ): 元のレシピは、赤唐辛子粉とターメリックと一緒に、大きめのひとつまみを加える任意の材料としています。グルテンを避ける方は、小麦が入っていないか表示を確認してください。
- 冷凍グリーンピース: 元のレシピで使えるとされています。とても柔らかい冷凍豆は、煮込みの後半に加えてもかまいません。
- ほかの野菜: 元のレシピは、カリフラワーやにんじんを挙げています。ただし、これはシンプルなアールー・マタルとは別の、野菜の入った料理になります。
元のレシピには圧力鍋とInstant Potの作り方もあります。水の量や時間は別の調理法なので、ここでの鍋のレシピには混ぜていません。
食べ方:ロティを添えて

Dassana Amitさんは、ロティ、パラーター、プーリー、ナン、ごはんを添え物として挙げ、もう一つの北インドのレシピもパンやごはんと合わせています。この記事では、調理済みのプレーンロティを別に添えます。ロティをちぎって、じゃがいも、グリーンピース、グレイビーを一緒にすくって食べてください。
この料理の保存期間は、ここでは確かめられていません。日本の厚生労働省の家庭向けの一般的な食中毒予防の案内として、残りは浅く小さな容器に分けて早く冷まし、すぐに冷蔵し、温め直すときは75°C以上を目安にしっかり加熱するとされています。これは一般的な注意で、このレシピの保存試験ではありません。
よくある質問
冷凍のグリーンピースでも作れますか?
作れます。元のレシピは冷凍のグリーンピースを認めています。とても柔らかい豆は、煮崩れないよう煮込みの後半に加えてください。冷凍のまま入れる場合の追加時間は示されていないので、柔らかさで判断してください。
クリームは必要ですか?
必要ありません。元のレシピはクリームなしでも楽しめる料理だとしており、ここでの基本のレシピにもクリームは入りません。マライ、クリーム、カシューナッツのパウダーは、変化案で触れた任意のコクの足し方です。
グレイビーを濃くするには?
蓋を外して数分煮詰めるか、煮えたじゃがいもを少しつぶしてグレイビーに混ぜます。
どれくらい煮ますか?
元のレシピは煮込みの段階の目安を20〜30分としています。鍋、火力、じゃがいもで変わるので、じゃがいもの中心に竹串がすっと入り、グレイビーにとろみがついたところで止めてください。
なぜペーストに水を加えないのですか?
元のレシピは、玉ねぎ、トマト、しょうが、にんにくを水を加えずにペーストにします。野菜を洗うための水は別のもので、ペーストには入れません。
何を添えますか?
元のレシピは、ロティ、パラーター、プーリー、ナン、ごはんを挙げています。この記事では、調理済みのプレーンロティを合わせます。





