焼き色のついた丸いパンの表面に、うっすらとひびが入っています。オーブンから出したばかりのそれを、黄金色のギーの器にそっと沈める。ダルの鉢の横で割ると、ギーの香りが一口ごとに立ちのぼる。ラージャスターン州の観光局(Rajasthan Tourism)は、ダル・バーティ・チュルマをラージャスターンの食事一式として紹介し、バーティを「ギーに浸して熱いうちに出す小麦のパン玉」と説明しています。そこにダル、赤唐辛子とにんにくのチャツネが添えられることもあるそうです。インド政府観光省のIncredible Indiaも、ダル・バーティ・チュルマを象徴的なラージャスターン料理と呼び、バーティを丸い小麦粉のパンと説明しています。
ギーを吸わせて食べるラージャスターンのパン、バーティ
生地は固め、成形は粗めに、そして熱いうちにギーへ浸す。 この3つは、きれいな丸い形よりも大切です。
この記事で作るのは、詰め物のないプレーンなバーティを家庭用オーブンで焼くレシピです。ダルとチュルマはおなじみの付け合わせですが、別の料理なのでこのレシピには含めません。
バーティでないものも知っておくと迷いません。バフラ(Bafla/Baafla)や、大学のホスピタリティ課程の教材にあるサーディー・バーティ(Saadi Baati)のように、生地をいったん茹でてから焼いたりグリルしたりする作り方もありますが、このレシピは茹でません。リッティ(Litti)は別の料理の系統で、サットゥ(sattu)の詰め物が入ります。バーティは詰め物のない小麦の生地です。
インドの他の料理はインド料理の記事一覧もご覧ください。
Whisk AffairのNeha Mathurさんが公開しているオーブン版の作り方に従っています。世界ごはん紀行編集部で試作したものではありません。分量・時間・オーブンの温度は、その資料のとおりに書いています。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 大きめのボウル
- 生地にかける清潔な布
- 天板
- オーブンシート
- 家庭用オーブン
- バーティを浸せる深さのギー用の器
- オーブン用温度計(オーブンが本当に200°Cまで上がっているかの確認に便利)
選び方と代用
全粒小麦粉: インド食材店や通販で、チャパティ用のアタを探してください。ふつうのスーパーの全粒粉は、挽き方や細かさが違うことがあり、同じ食感にならない可能性があります。
アジワイン: 独特の香りがあり、クミンとは別物です。見つからなければ省けますが、パンの風味は変わります。
ギー: 澄ましバターで代用できますが、香りは変わります。
油: 原典は種類を指定していないので、クセのない植物油がいちばん無難です。
うまくいかないときは
| 状態 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 生地がやわらかくベタつく | 水が多い | 次回は水を足す前に、生地のまとまり具合を確かめます。必要な分だけ加えます |
| ひびが少なく、つるりと丸いバーティになる | 油脂が少ない、または成形が滑らかすぎる | 原典の筆者は、つるりと丸い形は目指すカリッとした食感ではないと述べ、生地の油脂の量で食感が変わると説明しています。油をしっかりすり込み、成形は粗めにします |
| 外側は濃い色なのに、中が生 | 大きさがばらばら、またはオーブンが高温 | 大きさをそろえます。表面の色に加えて中心でも判断し、オーブン用温度計で実際の温度を確認します |
焼きたてを食べる。残りについて
このレシピは、ギーに浸した直後の熱いうちに食べる前提です。参照した資料に保存や温め直しの案内がないため、この記事では保存期間や温め直しの方法はお伝えしません。
茹でるバーティ、バフラ、リッティとの違い
バーティの焼き方はひとつではありません。原典の筆者は家族が牛糞の燃料やコンロの上のタンドールで調理していた記憶を語り、Incredible Indiaは薪窯で焼くとバーティにスモーキーな風味がつくと述べています。家庭の電気オーブンでは、その煙の香りは再現できません。
| 名前 | 違い | このレシピとの関係 |
|---|---|---|
| サーディー・バーティ(Saadi Baati) | 大学のホスピタリティ課程の教材にある作り方。成形した生地を茹でてからグリルし、黄金色になったら熱いギーに浸す | 工程も生地も別。このオーブンレシピには混ぜません |
| バフラ(Bafla/Baafla) | 焼く前に茹でる工程を含む、近い系統 | 焼くだけのバーティとは別の料理 |
| リッティ(Litti) | サットゥの詰め物が入った、小麦生地の焼き物 | 形と焼くところが似ているだけ。バーティは詰め物なし |
ラージャスターンの食卓のバーティ

Rajasthan TourismもIncredible Indiaも、バーティはダル・バーティ・チュルマというラージャスターンの食事の一部として登場します。ギーに浸したパンをダルとチュルマと一緒に食べる組み合わせです。Rajasthan Tourismは、赤唐辛子とにんにくのチャツネが添えられることにも触れています。熱いバーティを割り、ダルと合わせてギーとなじませるのは食べ方の一例で、州のどこでも同じとは限りません。この記事はパンだけを扱います。写真のダルとチュルマは添え物で、このレシピには含まれません。
バーティの起源にまつわる話はいくつもあります。2015年のThe Indian Expressの食の特集は、兵士が砂の中に生地を埋めた話や、太陽で焼いたパンの話を紹介していますが、あくまで言い伝えとして扱い、起源についての文献は乏しいと書いています。起源の年代も考案者も確認できていないので、この記事では書きません。
よくある質問
バーティとバフラ・バーティの違いは何ですか?
バフラには、焼く前に生地を茹でる工程があります。このレシピのプレーンなバーティは、成形したらそのままオーブンに入れて焼き、ギーに浸します。
アジワインが見つからないときは?
省いても作れますが、パンの香りは変わります。クミンは別の香りです。
ギー2 cupsを使い切るのですか?
使い切りません。レシピカードの2 cupsは、浸すために器に用意する量です。1個ずつ1分浸して引き上げ、余分は器に落とします。器のギーをパンがすべて吸うわけではありません。
ふつうの家庭用オーブンで作れますか?
作れます。原典の方法は、200°Cに予熱した家庭用オーブンの中段で25〜30分です。オーブンによって差があるので、表面が軽く色づき、中心まで焼けているかを確かめてください。
ダルやチュルマなしでも食べられますか?
バーティ自体がひとつのパンで、このレシピはそれだけで作ります。ダル・バーティ・チュルマはよく知られた組み合わせですが、家で何と合わせるかは自由です。













