朝の屋台を思わせる光景があります。濃い色のスパイスのグレービーでひよこ豆がことこと煮えている鍋の横で、休ませておいた生地が熱い油にすべり込み、みるみる金色のドームにふくらんでいきます。これがチョーレー・バトゥーレ(छोले भटूरे)です。チョーレーはスパイスで煮たひよこ豆、バトゥーレは発酵・膨張させた生地を揚げたパン。パンをちぎって豆カレーをすくうのが食べ方で、薄切りの玉ねぎ、レモン、青唐辛子、漬物が脇に付きます。
豆カレーの記事ではありません。チョーレーだけを鍋から出せば、日本でもよく知られるチャナマサラにかなり近い料理です。この一皿が別の食事になるのは、二つを同時に仕上げて、パンが熱いうちに食卓へ出すところにあります。むずかしいのは段取りなので、この記事では順番をはっきり決めました。豆は前もって浸し、豆を煮ている間に生地を作り、生地を休ませている間にカレーを仕上げ、揚げるのは最後です。
この皿で守りたいのは三つです。指でつぶせるほど柔らかい豆、パンに絡むくらいの濃さのグレービー、食べる直前に揚げるバトゥーレ。脇の生の赤玉ねぎとレモンが、濃厚さを切ってくれます。
綴りは chole bhature、chhole bhature、chole bhatura、chana bhatura などいくつもあります。bhatura は1枚のパン、bhature はその複数形です。英語やローマ字でレシピや食材を探すときは、綴りを変えて何通りか検索すると見つかる情報が増えます。
チョーレー・バトゥーレとは? デリーで親しまれるパンジャーブ系の一皿
チョーレー・バトゥーレは、スパイスで煮たひよこ豆と揚げパンを組み合わせた北インドの料理です。家庭料理の資料では、パンジャーブ料理として紹介され、朝食やブランチとして食べられ、家庭でも屋台でも作られるとされています。デリー観光局は、デリーを代表するストリートフードのひとつとして取り上げています。紹介されているのは、チョーレーに揚げパンを合わせて出すデリーの飲食店で、近くにはチョーレー・チャーワル(ひよこ豆のご飯添え)、マタル・クルチャ、パラーターといった料理も並びます。
ですから「デリーで愛されるパンジャーブ系の一皿」という言い方は妥当です。ただし、デリーが発祥の地という意味にはなりません。この記事で使った資料からは、チョーレー・バトゥーレがいつ、どこで、誰によって最初に作られたのかは確かめられません。そのため、起源の物語も、創業の年も、元祖の店も書いていません。ここで扱うのは、いま実際に作られ、食べられている姿です。
変わるのは作り方のほうです。グレービーの濃さ、酸味と辛さ、生地を休ませる時間、どの膨張剤を使うかは、家庭によって、料理人によって違います。生地を30分〜2時間休ませるレシピもあれば、3〜4時間以上休ませるレシピもあります。重曹とベーキングパウダーを両方使うレシピもあれば、どちらか一方に頼るレシピもあります。どれかひとつが唯一の本格派というわけではありません。この記事では、4人分の家庭向けの配合をひとつ選んで通し、ほかのレシピとの違いはその都度添えます。
日本の台所で作るときに押さえたいこと
仕上がりを決めるのは二つの食感です。ひよこ豆は食べられる程度ではなく、しっかり柔らかくすること。グレービーは、パンの上を流れ落ちず、ちぎったパンにからむ濃さにすることです。どちらも急がないことが近道で、豆は指で簡単につぶれるまで煮ます。カレーは、つぶした豆がとろみになるまで煮詰めます。
酸味は、多くの場合アムチュール(乾燥マンゴーのパウダー)から来ます。まろやかで果実らしい酸味です。手に入らなければ、仕上げにレモン汁を少しずつ加えても作れますが、同じ味ではなく、もっと明るい柑橘の香りになります。
パンには、現地のレシピでは精製小麦粉のマイダと、細かいセモリナのスージーを使います。どちらもインド食材店で探せます。日本で手に入る小麦粉で代用する場合、生地の伸びや膨らみ方は本来のものと少し変わると思っておいてください。
途中で見つける、味の決め手
うまくいかないときの見直し方
困りごとは、だいたい次の表の組み合わせで説明できます。原因をひとつずつ切り分けて直してください。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 豆が硬いまま | 古い豆、浸水が短い | 塩や酸味を加える前に、水を足して煮続ける。圧力鍋の場合は、メーカーの水量と減圧の指示に従う |
| グレービーが水っぽい | 水が多い、煮詰めが足りない | 豆の一部をグレービーにつぶし込み、蓋をせずに煮詰める。煮詰まるまで塩の追加は控える |
| バトゥーレが膨らまない | 生地が硬い、休ませが短い、厚さにむらがある、油が冷たい | 原因を一つずつ確かめる。次の分は生地をやわらかくする、長めに休ませる、均一に伸ばす、小さな生地片で油の温度を試す。変えた点を記録して次回に生かす |
| バトゥーレがプリのように硬い | 伸ばしすぎて薄い | 少し厚めに、均一に伸ばす |
| 膨らむ前に茶色くなる | 油が熱すぎる | 火を少し弱め、生地の切れ端でもう一度試す |
| 辛すぎる、酸っぱすぎる | 唐辛子、アムチュール、スパイスミックス | 調整は最後に。食卓にレモンと青唐辛子を余分に出して、各自で味を整えてもらう |
材料や好みに合わせたアレンジ
缶詰のひよこ豆で作る。 水気を切って約3カップを用意し、そのままペーストの工程へ進みます。ずっと早く作れますが、乾燥豆を煮汁ごと煮た場合に比べて、豆の中心の柔らかさがやや劣り、グレービーとのまとまりも弱くなります。
アムチュールか、レモンか。 アムチュールは丸みのある乾燥果実の酸味で、煮込みの終盤に入れます。レモンは明るい柑橘の香りで、火を止める直前に少しずつ加えるのが向いています。
辛さを控えめに。 青唐辛子を抜き、赤唐辛子パウダーを減らして、青唐辛子は食卓に出します。クミンとコリアンダーが、香りはしっかり保ってくれます。
セモリナなしで。 細かいスージーが手に入らなければ、省いても作れます。パンの表面の質感や歯ごたえが変わるので、同じ仕上がりにはなりません。
ギーか油か。 ギーは乳の香りとコクを加え、普通の油は軽く仕上がります。生地にヨーグルトが入っているので、油にしただけでは乳製品なしにはなりません。
食べ方と残ったときのこと
バトゥーレは油から上げたてを食べるのがいちばんです。冷めるにつれて食感が落ちるので、揚げるのは最後にします。最初の1枚を油に入れる前に、チョーレーを熱くしておき、付け合わせも切り終えておいてください。
このレシピには、チョーレーの保存日数や再加熱の方法は載せていません。残った場合は、手早く冷まして、調理済みの料理の保存と再加熱について信頼できる食品安全の情報に従ってください。
よくある質問
チョーレー・バトゥーレとチャナマサラは何が違うのですか?
チョーレーはスパイス煮のひよこ豆のカレーで、バトゥーレは揚げパンです。チョーレー・バトゥーレは、その二つを合わせてひと皿にした料理です。チャナマサラのように豆カレーだけで食べる場合は、この組み合わせではなく単品のカレーになります。
缶詰のひよこ豆でも作れますか?
作れます。水気を切った豆約3カップを使い、浸水と圧力鍋での加熱は省いて、7の工程で加えます。缶詰の豆は塩気がついていることが多いので、塩を調整する前に味を見てください。グレービーの濃さは水で調整します。
バトゥーレの生地は何時間休ませますか?
このレシピでは、覆いをして暖かい場所で30分〜2時間です。ほかの料理人は3〜4時間以上休ませることもあります。室温や膨張剤でも変わるので、時間だけに頼らず、生地がゆるんで伸ばしやすくなったかを見てください。
バトゥーレとプリは何が違いますか?
このレシピの範囲で気をつけたい違いは厚さです。バトゥーレの生地を薄く伸ばしすぎると、プリのように硬く揚がります。適度な厚さに均一に伸ばせば、ふんわりやわらかく膨らむパンになります。
アムチュールの代わりに何を使えますか?
レモン汁を、仕上げに少しずつ加えます。カレーに酸味は出ますが、アムチュールよりも明るく柑橘らしい味になります。
生地に重曹とベーキングパウダーの両方を入れるのはなぜですか?
重曹小さじ1/4とベーキングパウダー小さじ1/2は別々の材料です。それぞれ量を計って入れてください。両者は置き換えがききません。ほかのレシピでは別の膨張剤の使い方をしており、それもバトゥーレのレシピが多様な理由のひとつです。
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