ブナ・キチュリ ― 水の前に、油と出会う米と豆
米とローストした豆を、ひと粒ずつ艶が出て香りが立つまで油で炒めます。そのあとは、熱湯と閉じた蓋に任せます。目指すのは粥のような柔らかさではなく、粒が離れた香りのよい仕上がりです。
薄切りの玉ねぎが油の中で濃い茶色に変わります。にんにく、しょうが、クミン、ローリエ、シナモン、カルダモン、青唐辛子、にんじん、グリーンピースを加えると、鍋はホールスパイスの香りでいっぱいになります。そこへ米とローストした豆が入り、数分のあいだ、一粒ずつが油で光るまで混ぜ続けます。熱湯を注ぐのは、そのあとです。湯気がぶわりと立ちのぼり、すぐに蓋をします。
この順番こそが、ブナ・キチュリ(ভুনা খিচুড়ি)の核心です。国際稲研究所(IRRI)の広報誌 Rice Today は、この料理をバングラデシュとインドの一部で食べられている料理として紹介しています。使うのは香りのある細長い米と、数種類をまぜたローストした豆です。バングラデシュ観光局も、ダッカの食べ物の一つとして Bhuna Khichuri を載せ、米とレンズ豆を合わせた料理と説明しています。
キチュリ(khichdi)を、米とムング豆をやわらかく煮て、最後にスパイスを熱した油(タルカ)をかけるスプーンですくう鍋、と思い浮かべる人も多いでしょう。ブナ・キチュリは、目指す仕上がりが別物です。米と豆を先に炒めてから炊くので、形を保った粒が、スパイスと油の香りをまとっているのが理想です。
この記事は、IRRI の Rice Today に掲載された肉なしのブナ・キチュリのレシピに沿い、掲載どおりの分量と時間を使っています。ただし、この記事のために台所で試作したものではありません。掲載レシピには、何人分か、火加減、そしてカップの容量の定義が書かれていないため、以下でもそれらは補っていません。
途中で見つける、味の決め手
米・豆・スパイスの選び方
米。 掲載レシピは、香りのある細長い米を使うとしています。バングラデシュの品種として、カリジラ(kalizira)、チニグラ(chinigura)、バドシャ・ボグ(badsha bhog)、カタリ・ボグ(katari bhog)を挙げ、バスマティやジャスミンも並べています。南アジア以外の地域では、このうちバスマティがもっとも探しやすく、レシピの候補にも入っています。ふつうの長粒米では、同じ香りになるとは限りません。
豆。 レシピに書かれているのは、レンズ豆、ブラックグラム、ムング豆を混ぜたローストした豆です。それぞれの量や、ブラックグラムが丸ごとか半割りか皮なしかは書かれていないので、この3種の範囲で手に入るものを選んでください。豆を変えたいときも、レンズ豆、ブラックグラム、ムング豆の中にとどめます。ひよこ豆など、レシピにない豆は、この料理の別バージョンに出てくるものです。また、レシピは最初からローストされた豆を指定していて、ローストの方法は書かれていません。そのため、この記事でも煎る工程は足していません。
スパイスと香味野菜。 カルダモン、シナモン、クローブ、ローリエ、クミンパウダーが香りを作り、その下を玉ねぎ、にんにく、しょうが、青唐辛子が支えます。カルダモンの種類や、シナモンスティックの大きさはレシピに指定がありません。
短粒米について。 日本のお米のような短粒米を使うと、食感が変わります。台所の事情による妥協としては成り立ちますが、掲載された料理と同じものとは言えません。
食材の注意。 主なレシピには肉・魚・卵は入っていませんが、バターオイルまたはギーを使うため、記載どおりではヴィーガン向けにはなりません。アレルギーが気になる場合は、豆、スパイス、ギーなど、実際に買う商品の表示を確認してください。
道具
- 米、豆、水8カップが入る大きさの、蓋がぴったり閉まる厚手の鍋
- 玉ねぎをごく薄く切るための、よく切れる包丁とまな板
- 米・豆・油・水のすべてに使う、1個の計量カップ
- 水を沸かすためのやかん、またはもう一つの鍋
- 炒めるときと、炊き上がりを返すときに使う木べらまたはへら
うまくいかないときは
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 香りが弱い、粒の輪郭がぼやける | 水を入れる前の、米と豆の炒めが足りなかった | 炒め時間の6〜8分を目安に、艶と香ばしい香りを見て、コンロの火力に合わせて調整する |
| 米がべたつく、水っぽい | 米の種類、鍋の口径、火加減が関係する | 水の比率を勝手に計算し直さず、まず使った米と鍋の大きさを見直す。8カップは掲載された割合の一部 |
| 8〜10分たっても米や豆の芯が硬い | 掲載の時間は保証ではなく、鍋と火力で変わる | 蓋をしたまま、時間ではなく状態を見てもう一度確かめる |
| 玉ねぎが苦い、黒くなった | 手順2で茶色を通り越した | 深い黄金色でやわらかい状態を目指す。焦げた玉ねぎの苦みは料理全体に回る |
| ターメリックが抜けているのでは? | 掲載の手順には出てくるが、材料表にはない | このレシピは材料表に従い、ターメリックは入れていない |
食べ方と、広がる食卓

Rice Today は、ブナ・キチュリを雨の日や特別な機会に作る料理として紹介し、揚げたイリッシュ(ヒルサ)、牛肉、鶏肉、卵、野菜を添える例を挙げています。バングラデシュ観光局は、サラダ、玉ねぎ、レモンを一緒に出す例を挙げています。どれもキチュリに添えるもので、鍋に混ぜ込む材料ではありません。このレシピは肉なしのままで、添え物はすべて別の皿に置きます。
観光局は、鶏肉、牛肉、羊肉を使う型があることにも触れています。ベンガル語の報道サイトに載ったレシピを見ると、その違いの大きさがわかります。ある羊肉の版は、ポラオ用の米に、ローストしたムング豆、ひよこ豆、マスール豆(赤レンズ豆)を使います。ある牛肉の版は、肉を別に煮てから、炊く前に炒めた米と豆に合わせます。これらは割合の異なる別のレシピで、上のレシピに足すものではありません。ただ、水を入れる前に米と豆を炒めるという、この料理を特徴づける工程は共通しています。
同じ国の料理をもっと知りたい方は、バングラデシュのページもご覧ください。
試してみたい変化
- 野菜を別添えに。 Rice Today は添え物に野菜を挙げています。別に盛れば、キチュリの粒立ちが保てます。
- 揚げたイリッシュを添えて。 Rice Today は、揚げたヒルサを添え物の例に挙げています。魚はこのレシピの外で、別の料理として作ります。
- 肉入りにする。 鶏肉、牛肉、羊肉の版はありますが、材料も手順も異なる独立したレシピです。この鍋に肉を足すのではなく、別の料理と考えてください。
- 米の選び方。 バスマティは掲載レシピが挙げる米の一つで、南アジア以外ではもっとも探しやすい米です。
- スパイスの量。 ホールスパイスは掲載の分量のままにします。増減は試していないため、このレシピには含めません。
保存について
このレシピの出典には、ブナ・キチュリの保存や温め直しについての記載がありません。そのため、この記事でも保存の日数や方法は案内しません。
よくある質問
普通のキチュリ(khichdi)とどう違うのですか?
キチュリは、米とムング豆をスプーンですくえるほどやわらかく煮て、最後にスパイスを熱した油を加える形がよく見られます。ブナ・キチュリは、米と豆を先に香味野菜とホールスパイスと一緒に油で炒めてから、熱湯を加えて蓋をして炊きます。目指すのは、粒が離れた、炒めた香ばしさとスパイスの香りのある仕上がりです。
ブナ・キチュリは肉料理ですか?
肉入りもあります。バングラデシュ観光局は鶏肉、牛肉、羊肉の版に触れていて、肉入りのレシピも別に公開されています。この記事のレシピは Rice Today 掲載の肉なし版で、肉・魚・卵は添え物としてだけ挙げられています。
日本のお米などの短粒米でも作れますか?
掲載のレシピは、香りのある細長い米を使います。短粒米では食感が変わるため、妥協としては使えても、同じ料理とは言えません。レシピの候補にも入っているバスマティが、手に入りやすい近い選択肢です。
何人分ですか?
掲載のレシピには書かれておらず、この記事でも人数は示していません。分量は、レシピ自身のカップ表記のままです。
クローブが手順に出てこないのはなぜですか?
掲載のレシピは材料にクローブ3個を挙げていますが、どの手順にも出てきません。この記事も、入れる時点を作らず、材料表に残しています。













