鮮やかな赤いソースで煮込んだ豚バラ肉のヴィンダルーと、ゴアの丸いパン
🔪下準備20分
🔥調理2時間10分
🌍料理インド・ゴア料理

ヴィンダルーの作り方|ゴアの豚肉を酢とにんにくで煮込む本来の味

約12分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

玉ねぎ、にんにく、しょうがをペーストにする

手順1: 玉ねぎ、にんにく、しょうがをペーストにする

玉ねぎ、にんにく、しょうがを2〜3cmに切り、ミキサーかフードプロセッサーに入れて1〜2分回し、なめらかなペースト状にします。回りにくければ、漬け込み用のココナッツビネガーを大さじ1ほど先に加えてください。

STEP 22 / 6

スパイスと酢を混ぜ、豚肉を漬け込む

手順2: スパイスと酢を混ぜ、豚肉を漬け込む

ボウルにペーストを移し、塩、砂糖、クミンパウダー、ターメリック、カシミールチリパウダー、ココナッツビネガー大さじ4を加えて、ムラのない鮮やかな赤いペーストになるまで混ぜます。5cm角に切った豚バラ肉を加え、手でもみ込んで全体に絡めます。ラップをして冷蔵庫で2時間以上、できればひと晩漬け込みます。

STEP 33 / 6

ホールスパイスと酢を加えて火にかける

手順3: ホールスパイスと酢を加えて火にかける

厚手の鍋に、漬け込んだ豚肉をペーストごと入れます。油はひきません。ココナッツビネガー大さじ1、クローブ、黒こしょうの粒、カシア、ウォッカを加えて全体を混ぜ、中火にかけます。5分ほどで縁がふつふつと煮立ち、豚肉の表面の色が変わり始めたら、次の工程に進みます。

STEP 44 / 6

ふたをして弱火で1時間煮る

手順4: ふたをして弱火で1時間煮る

ふたをして弱火に落とし、1時間煮ます。15〜20分おきにふたを開け、鍋底から大きく混ぜてください。豚肉から脂と水分が出て、ペーストがゆるいソースのように変わっていきます。1時間たって、豚肉の表面が赤く染まって少し縮み、ソースがさらりとなめらかにのびる状態になっていれば順調です。鍋底が焦げつきそうなときは、水を50mlずつ足します。

STEP 55 / 6

ふたを少しずらし、さらに1時間煮詰める

手順5: ふたを少しずらし、さらに1時間煮詰める

ふたを少しずらしてのせ、弱火のままさらに1時間煮ます。豚肉が竹串がすっと通るほどやわらかくなり、ソースがとろりと濃くなって、表面に赤い脂が浮けば煮上がりです。ソースが多すぎるときは、ふたを外して5〜10分、混ぜながら煮詰めます。

STEP 66 / 6

酢と塩で味を調える

手順6: 酢と塩で味を調える

味を見て、赤ワインビネガーを大さじ1ずつ加えて混ぜ、酸味がぴりっと立つところで止めます。塩が足りなければ足します。酢を加えたら1〜2分だけ煮て、器に盛ります。浮いた脂が多いと感じたら、スプーンで少し取り除いてください。

ヴィンダルーは、作った翌日のほうが味がなじんでおいしくなる料理です。冷蔵庫で冷やすと表面に脂が白く固まるので、その脂を取り除いてから温め直すと、すっきりした味になります。

豚肉は中心までしっかり火を通してください。厚生労働省は、肉の中心部を75℃で1分間以上加熱するよう呼びかけています。2時間煮込めば通常は十分ですが、大きな切り身は一つ割って、中まで火が通っているか確かめてください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

ヴィンダルーの材料の豚バラ肉、玉ねぎ、にんにく、しょうが、カシミールチリパウダー、クミン、ターメリック、クローブ、黒こしょう、カシア、ココナッツビネガー

10品目

漬け込みペースト

材料 分量 代替・備考
豚バラ肉(かたまり) 800g 5cm角。豚肩ロースでも可
玉ねぎ 大1個 粗く切る
にんにく 6片 —
しょうが 5cm —
塩 小さじ1 —
砂糖 小さじ1/2 —
クミンパウダー 小さじ1 ひきたてがよい
ターメリック 小さじ1/2 —
カシミールチリパウダー 小さじ4 —
ココナッツビネガー 大さじ4 白ワインビネガーでも可
5品目

煮込み用

材料 分量 代替・備考
ココナッツビネガー 大さじ1 —
クローブ 8個 —
黒こしょう(粒) 10粒 —
カシア 5cm シナモンスティックでも可
ウォッカ 大さじ2 なくても可
2品目

仕上げ

材料 分量 代替・備考
赤ワインビネガー 大さじ2〜4 味を見て加える。ココナッツビネガーでも可
塩 適量 味を見て調える
注意

酢を使うので、アルミの鍋で長時間煮込むと鍋が傷み、金属の味が移ることがあります。ステンレスやほうろう、厚手の鋳物の鍋を使ってください。ウォッカを加えると煮込み中にアルコールの蒸気が出るので、加えるときは火を弱めてください。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

クリーム色の教会の壁と、赤い瓦屋根の家並み。インド西海岸のゴアには、ほかのインドの町とはどこか違う空気が流れています。昼どきの家の台所では、厚手の鍋の中で豚肉が、鮮やかな赤いペーストに包まれてゆっくり煮えています。ふたを開けると立ちのぼるのは、つんとした酢と、にんにくと、クローブの甘い香り。イギリスのカレー店では「いちばん辛いカレー」の代名詞になったこの料理も、故郷のゴアでは辛さよりも香りと酸味の料理です。ポルトガルの船が運んできた肉の漬け込みが、インドのスパイスと出会って生まれたヴィンダルー(Vindaloo)です。

ポルトガルの「ワインとにんにくの肉」が、ゴアの酢とスパイスに

ゴアの古い家の台所で、厚手の鍋で煮込んだ赤いヴィンダルーと、丸いパンを並べた食卓

ゴアは、1961年までおよそ450年にわたってポルトガルに治められた土地です。ポルトガルの人びとは、カトリックとともに豚肉を食べる習慣をこの地に持ち込みました。ヴィンダルーという名前は、ポルトガル語の「カルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョス」がなまったものと考えられています。「ワインとにんにくの肉」という意味で、ポルトガル領マデイラ島で作られていた、肉をワインとにんにくに漬けて保存する料理が原型とされます。

ゴアの料理人たちは、手に入りにくいワインの代わりにヤシの樹液から作る酢を使い、しょうがとにんにく、クローブやこしょう、シナモンの仲間のカシアといった土地のスパイスを加えました。赤い色を出すのは唐辛子です。ゴアの古い家のレシピでは、ヤシの樹液を発酵させたトディの酢と、ココナッツの蒸留酒フェニを少し加えるといいます。

豆知識

ゴアのポルトガル時代の名残は、ヴィンダルーだけではありません。豚の内臓をスパイスと酢で煮込むソルポテル、魚のスープのカルディーニョ、ココナッツミルクと卵で何層にも焼くお菓子ベビンカも、ゴアのポルトガル系の家庭に伝わる料理です。

アメリカの料理番組「アメリカズ・テスト・キッチン」のアンドレア・ギアリーは、イギリスやアメリカのインド料理店で出てくる激辛のヴィンダルーは、ゴアの料理から枝分かれしたものだと書いています。本来のヴィンダルーは「スパイスはよく効いているが、辛くはない」料理で、水分をほとんど加えない、とろりとした鮮やかな赤いソースが特徴です。色づけに使われてきたのは、色が濃く辛さの穏やかなバダギ(ビャドギ)唐辛子で、今ではカシミール唐辛子で代用するのが一般的です。


日本の台所で作るときに知っておきたいこと

日本で手に入るココナッツビネガー、カシミールチリパウダー、クローブ、黒こしょう、カシア、豚バラ肉のかたまり

この記事の作り方は、ゴアに伝わるメネゼス家のレシピを紹介した、ライターのプリヤ・デシンカルのレシピを基にしています。豚バラ肉を油を使わずに自分の脂で煮込むのが特徴で、インドの食物史家K・T・アチャヤも、伝統的なヴィンダルーは豚の脂を使っていたと記しています。豚肩ロースで作ると、あっさりした仕上がりになります。

酢は、ゴアの味に近づけるならココナッツビネガーを使ってください。アメリカズ・テスト・キッチンによれば、ココナッツの樹液から作る酢で、酸味は強いものの甘い香りがあり、ココナッツの味はしません。フィリピン食材店や通販で手に入ります。なければ白ワインビネガーで作れます。

コツ

カシミールチリパウダーは、小さじ4とたっぷり使います。インドの唐辛子粉の中では辛さがかなり穏やかで、色づけが主な役割です。一味唐辛子やカイエンペッパーで同じ量を入れると激辛になるので、代用するならパプリカパウダー小さじ3と一味唐辛子小さじ1/2を合わせてください。

原書のレシピでは、煮込みにウォッカを少し加えます。ゴアの古い家で使われてきたココナッツの蒸留酒フェニの代わりです。入れなくても作れますが、入れると香りに奥行きが出ます。煮込むあいだにアルコールはほぼ飛びますが、子どもと食べるときは省いてください。


ご飯か、ゴアのパンと一緒に

ヴィンダルーを白いご飯と、ゴアの丸いパンと一緒に盛り付けた一皿
白いご飯か、やわらかいパンでソースまで

ヴィンダルーは、白いご飯やナン、そしてゴアの「パオ」と呼ばれるやわらかい丸いパンと一緒に食べます。パオはポルトガルのパンに由来するほんのり甘いパンで、ソースをぬぐって食べるのにぴったりです。日本なら、やわらかいロールパンで代わりになります。

酸味と香りが主役の料理なので、口の中をさっぱりさせる付け合わせがよく合います。ヨーグルトに野菜を混ぜたライタを添えれば、豚の脂のこくがやわらぎます。ポルトガルの肉料理をたどるなら、豚肉とあさりを合わせたポルトガル南部のカルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナと食べ比べるのもおもしろいはずです。

豆知識

ポルトガルが来る前のゴアでは、身分の高いヒンドゥー教徒の多くが豚肉を口にしなかったといわれます。ヴィンダルーがキリスト教徒の家庭の料理として根づいた背景には、ポルトガルの支配の下で食習慣が変えられていった歴史もあります。

アレンジの楽しみ方

鶏もも肉で作ったヴィンダルーと、じゃがいもを一緒に煮込んだ一皿

ゴアの外では、豚肉の代わりに鶏肉や羊肉、牛肉でヴィンダルーを作ることもあります。鶏もも肉で作るなら、5cm角に切って同じペーストで漬け込み、サラダ油大さじ1をひいて煮込み時間を40分ほどに縮めます。皮つきのまま使うと、豚バラ肉で作ったときのようなこくが出ます。

イギリスのカレー店では、じゃがいもを加えたヴィンダルーを見かけることがあります。ゴアの本来の作り方ではありませんが、ソースを吸ったじゃがいもはおいしいものです。入れるなら、一口大に切ったじゃがいもを手順5の初めに加えて、豚肉と一緒に1時間煮込んでください。

よくある質問

ヴィンダルーを保存容器に移し、冷蔵して表面に固まった脂を取り除く様子

本当に辛くないのですか?

カシミールチリパウダーは辛さが穏やかな唐辛子粉なので、小さじ4でも、ぴりっとする程度の辛さです。辛いのが好きなら、乾燥赤唐辛子を2〜3本、手順3で一緒に加えて煮込んでください。

酢の匂いが強すぎませんか?

煮込むうちに酢のとがった匂いは飛び、まろやかな酸味が残ります。仕上げの赤ワインビネガーは少しずつ加え、好みの酸味のところで止めてください。

作り置きはできますか?

粗熱が取れたら保存容器に入れて冷蔵し、3日以内に食べきってください。酢で煮込んだ料理なので比較的日持ちしますが、温め直すときは中まで熱くなるまで加熱します。小分けにして冷凍すれば、1か月ほどを目安に保存できます。

漬け込み時間を短くしてもいいですか?

最低2時間は漬けてください。アメリカズ・テスト・キッチンの検証では、長く漬け込むと肉がぱさつく場合があったそうです。ひと晩漬けるなら、豚バラ肉のように脂の多い部位を選ぶと、ぱさつきにくくなります。

主な参考リンク

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