アイシュ・バラディ ― すくい、包み、食卓を埋める丸いパン
生地には全粒粉だけを使い、しっかり発酵させ、均一な丸に伸ばし、十分に熱した石で焼きます。焼き上がりは時計だけでなく、ふくらみと薄い焦げ目で見極めてください。
平たくて丸いパンを手でちぎり、ソースや豆をすくったり、食卓にあるものを包んだりして食べる。エジプトの家庭の食事について書かれた文章では、アイシュ・バラディはそのように紹介されています。朝食から夕食まで食べられ、付け合わせである以上に、食べるための道具でもあるパンです。Arab Americaの寄稿者は、農作業の合間の休憩を、パンと玉ねぎ、ルッコラ、フレッシュチーズだけで済ませる例を挙げています。
アイシュ・バラディ(عيش بلدي、eish baladi、aysh baladi とも表記)は、エジプトの日常的な丸い平焼きパンです。バラディは「地元の」「在来の」を意味する言葉として紹介されていますが、由来についてそれ以上のことは言いません。焼いている間にピタのように中が空洞にふくらむことがあるものの、ピタと単純に同じパンとは扱いません。ここで作るSaveurのレシピは全粒粉だけで作る配合で、全粒粉の風味、ふすまが付いた底面、高温での短時間焼成がこのパンの持ち味です。
Saveurは、カイロの市場にある非常に熱い窯に、家庭のオーブンとベーキングストーンで近づける方法としてこのレシピを紹介しています。この記事の分量と作り方は、そのレシピ1つに沿っています。
選び方と代用
上の分量は、元のレシピの米国式の計量です。全粒粉5 cupsは半量ずつ2回に分けて使い、作業台の打ち粉、ボウルに塗る油、任意のふすまは生地の分量とは別です。これらを粉5 cupsや油1 tbspの中から差し引かないでください。
全粒粉: 全粒粉は製品によって挽き方の粗さや吸水量が違います。まず元の分量で作り、生地の様子を見ながら、追加の粉を一度に大量に入れないようにします。精白小麦粉に替えず、100%全粒粉のまま作ります。この配合の持ち味は全粒粉の風味だからです。
コーシャーソルト: 塩は結晶の大きさやかさが違うので、同じスプーンで量った別の塩が同量になるとは限りません。重さへの換算は示しません。
ドライイースト: このレシピはactive dry yeastを使います。インスタントイーストの量は確認できていないので、示しません。
ふすま: 粗挽き小麦ふすまは原典では任意です。見つからないときは、原典が認めている全粒粉の追加で代用します。パン粉や米ぬかなど、原典にないものには替えないでください。
分量をmlに直す場合: レシピのページ自体はカップの定義を示していません。ミリリットルで考えたいときは、米国の標準カップ236.6 mlを基準にすると(編集部の選択で、原典のものではありません)、2 1/2 cupsは約591.5 mlです。これは全粒粉の半量ずつの容量にも、水にも当てはまります。1 tbspを15 mlとするのも編集上の基準です。全粒粉をグラムには換算しません。
このパンは小麦を含むため、小麦やグルテンのアレルギー、セリアック病の方には向きません。ボウルや台、焼き面の共用にも気を付けてください。生の生地は味見せず、焼き上がってから食べます。
道具
- 大きめのボウル。一次発酵用に軽く油を塗ったボウルも用意します(最初のボウルに油を塗って使い回してもかまいません)
- こねたり分けたりするための清潔な作業台
- クッキングシートを敷いた天板2枚(最後の休ませ用で、オーブンに入れる用ではありません)
- 清潔な布巾
- ベーキングストーン。ない場合は、厚手の天板を裏返して予熱する方法が考えられますが、これは家庭の台所向けの編集部の提案で、Saveurのレシピにはありません
- 生地を石に移すためのピールなど平らな道具(編集部の提案。原典は「移す」とだけ書いています)
- 網
- 耐熱のオーブンミット
- 温度計(水温の確認に便利です)
原典は石を500°F(約260°C)で予熱します。お使いのオーブンがその温度に設定できるか、石や天板を空のまま加熱してよいかを、メーカーの説明書で確認してください。石の近くに入れるものはすべて、耐熱温度を確かめます。紙も例外ではありません。このレシピのクッキングシートは生地の最後の休ませ用で、原典は生地を石に移して焼き、その紙の上では焼きません。
ふくらまない、白い、くっつくときの確認点
パンがふくらまないとき、原因はいつも同じとは限りません。次の候補を順に確かめてください。どれも確実な解決策ではありません。
| 症状 | 考えられる原因 | 確認すること |
|---|---|---|
| 酵母が泡立たない | 酵母が働いていない、または水が熱すぎた | 生地を作らず、酵母と水温(105°F、約41°C)を確かめてやり直す |
| 生地が硬すぎる、またはべたつく | 全粒粉は製品によって吸水量が違う | 粉を一度に大量に足さず、生地の様子を見る。打ち粉は軽く使う |
| パンがふくらまない | 生地が厚い、または不均一/成形後の休ませ不足/石の予熱不足/移すときにしぼんだ | 均一な5インチ(約13 cm)の円に伸ばし、休ませる時間を守り、石を30分予熱し、生地をそっと移す |
| 生地が紙にくっつく | 紙に振るふすまや粉が少ない | 生地を置く前に、紙にふすま(または全粒粉)を薄く均一に振る |
| 白っぽく焦げ目が付かない | 石やオーブンの温度が足りない | オーブンが設定温度に達しているか、石が十分に予熱されているかを確かめる |
変えられること、変えないほうがよいこと
- 全粒粉のままにする。 原典の生地は全粒粉だけです。精白小麦粉に替えると、この配合から離れます。
- 元の分量を守る。 粉の吸水が違っても、粉を大きく足さず、生地の様子を見て判断します。
- オーブンの上限が250°Cの場合。 オーブンにない温度には設定しません。最高温度で石を十分に予熱するのは、試していない編集上の調整です。6〜8分が当てはまるとは限らず、原典と同じ結果になる保証もありません。
- ベーキングストーンがない場合。 厚手の天板を裏返して予熱するのは家庭の台所向けの編集部の提案で、Saveurのレシピにはありません。
- ふすまの有無。 紙に振る粗挽き小麦ふすまは任意で、扱いやすくなり、底面に粒感が付きます。原典では全粒粉を追加しても同じ役目を果たします。
- フライパンで焼く版。 Cookpad Egyptでは、エジプトの家庭の料理人が、全粒粉と精白小麦粉を混ぜ、甘みを加えた酵母生地をフライパンで焼く別のバラディパンを紹介しています。独自の作り方を持つ別のレシピで、このレシピの代わりになる工程ではありません。Saveurの配合に混ぜないでください。
エジプトの食卓で、パンは暮らしの中心にある

エジプトのアラビア語では、パンをアイシュと呼びます。Arab Americaの寄稿者ヌーラ・アンワルは、この言葉を「生命」と結び付け、パンを朝食から夕食まで続く一日のリズムの一部として紹介しています。玉ねぎ、ルッコラ、フレッシュチーズと食べる農作業の休憩の例は、パンがほかに多くを必要としないことをよく伝えています。これは寄稿者による文化の紹介であって、言葉の歴史の証明とは受け取りません。このパンが古代から同じ作り方で続いているとも言いません。
Saveurのレシピを手直しして紹介しているKaren's Kitchen Storiesは、温かいうちに食べること、ソースをすくうこと、食卓にあるほかのものを包むことを挙げています。エジプトの食事なら、フール・メダメスのような豆料理のそばに置いたり、コシャリ、ターメイヤ、ハワウシと並べたりするでしょう。どれもそれぞれが独立した料理です。この国の料理をもっと知りたい方は、エジプトのページもご覧ください。
5分の休ませを終えたら、表面と全粒粉の香りがいちばん新鮮なうちに召し上がってください。
残ったときの扱い
このレシピの参考にした資料には、保存や温め直しについての案内がありません。そのため、保存日数、冷凍期間、再加熱の温度はここでは示しません。
よくある質問
アイシュ・バラディはピタと同じですか?
見た目が似ていて、アイシュ・バラディもピタのような空洞ができることがありますが、同じパンとは扱いません。Saveurの版は、全粒粉、紙に振ったふすま、高温での焼成が特徴です。
粗挽き小麦ふすまは必要ですか?
必須ではありません。原典でも任意です。なければ、紙に全粒粉を追加で振ってください。
全粒粉100%の生地でもふくらみますか?
Saveurの生地は全粒粉だけです。しっかり発酵させること、高温で十分に予熱した石、薄くむらのない丸が、よくふくらむための主な手がかりです。それでも台所によって結果は変わります。また、世界ごはん紀行ではこのレシピを台所で試作していません。
フライパンでも作れますか?
Cookpad Egyptには、バラディパンをフライパンで焼くエジプトの家庭のレシピがありますが、精白小麦粉と砂糖を使う別の生地です。別のレシピであり、このレシピの代わりの作り方ではありません。
インスタントイーストは使えますか?
インスタントイーストの量は確認できていないので、このレシピでは原典が指定するドライイースト(active dry yeast)のままにしています。
紙に載せたまま焼けますか?
原典は、クッキングシートを敷いた天板を最後の休ませに使い、そのあと生地を石に移します。500°F(約260°C)でその紙の上で焼くことはしないので、おすすめしません。














