シドヴドゥ ― 柔らかく煮たかぼちゃを、メイズミールでまとめる
この鍋で押さえたいのは、かぼちゃを柔らかく煮てなめらかにつぶすことと、メイズミールを少しずつ混ぜ込んで好みの濃さに近づけることです。砂糖とミルクは食卓で添えるもので、鍋に必ず入れるものではありません。
水で柔らかく煮たかぼちゃを鍋の中でなめらかにつぶし、とうもろこしの粉(メイズミール)を少しずつ混ぜてとろみをつける。それがシドヴドゥ(sidvudvu)です。エスワティニ農業省が公開しているレシピ集には「Sidvudvu (Pumpkin porridge)」として載っていて、かぼちゃを柔らかくなるまで煮て、なめらかにし、mealie meal(メイズミール)を少しずつ加え、粉に火が通るまで煮る、という流れが書かれています。食べるときは砂糖とミルクを添えます。
「かぼちゃのおかゆ」という訳は便利ですが、それだけでは全体像をつかみきれません。同じ政府の食品成分表では、この料理を「かぼちゃを煮てメイズミールと混ぜたもの」とだけ説明しています。また、地元の料理人の話を記録した資料には、ミルクのほかにビーフシチューと一緒に食べるという記述もあります。甘い朝ごはんなのか、塩気のある主食なのかを先に決めてしまわず、まず主役の二つの材料を見て、何を添えるかはその次に考えるのがよさそうです。
この記事の分量と手順は、公開されているエスワティニのレシピに基づいたもので、この記事のために試作したものではありません。加熱時間・火加減・火の通りの見分け方は、実用上の提案であり、原資料の指示ではありません。
シドヴドゥとは ― かぼちゃとメイズミールがひとつ鍋に
資料によって綴りが揺れています。政府のレシピ集は Sidvudvu、政府の食品成分表は Sidvudvu selitsanga(かぼちゃを煮てメイズミールと混ぜたものと説明)。地元の料理人の説明をもとにした伝統料理の記録では Sidudu selitsanga と綴られています。綴りが違う理由はこれらの資料では説明されておらず、この記事でも決着をつけようとはしません。
食品成分表には、別の項目として Ludvwidvwi もあります。かぼちゃを煮てメイズミールと混ぜ、ミルクと食べる料理と説明されていて、独立した項目として載っているため、ここではシドヴドゥの別名としては扱いません。
料理の骨組みは単純です。かぼちゃを水で柔らかくし、なめらかにし、メイズミールで厚みのあるスプーンですくえる状態に整える。このあと出てくる分量もトラブル対処も、結局はこの二つの動きに行き着きます。
道具
- 大きくて厚手の鍋
- 包丁とまな板
- かぼちゃを鍋の中でなめらかにするための泡立て器またはマッシャー
- メイズミールを混ぜ込むための丈夫な木べら
- かぼちゃが柔らかくなったかを確かめるフォーク
選び方と代用
かぼちゃ。 出典には「pumpkin」とだけあり、品種の指定はありません。ふつうにスーパーで手に入るかぼちゃが現実的な選択ですが、エスワティニで使われているかぼちゃと同じ仕上がりになるとは限りません。かぼちゃは水分の量が品種によって違い、それによってメイズミールを吸う量も変わるからです。粉を一度に入れず、少しずつ入れて濃さで判断するのはそのためです。
メイズミール。 mealie meal はとうもろこしを挽いた粉です。出典は挽き方の細かさを指定していません。ほかの国でコーンミール、コーンフラワー、ポレンタ、グリッツなどの名で売られているものは、粒の細かさも火が通るまでの時間も違うことがあり、メイズミールとまったく同じとは考えないでください。代わりに使うなら、その袋に書かれた調理方法に従い、食感は少し違うものと思っておきましょう。買うときは、原材料表示と挽き方の説明を見てください。
砂糖。 140 gという量は出典の数字で、出典自身が任意の材料としています。多いと感じる場合の調整は、後ろの「アレンジ」の節で、レシピ本来の形とは分けて紹介します。
だまになった、固すぎる、焦げた ― 鍋の中での直し方
以下は実用上の調理の提案で、公開されているレシピの指示ではありません。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 粉のだまができた | 粉を入れるのが速すぎた | 鍋を火から外して強く混ぜ、だまを鍋の側面に押しつけてほぐす。次回は粉をもっとゆっくり振り入れる |
| 粉を全部入れる前に固くなった | かぼちゃの水分が少なかった | 全量を使い切らなくてよい。好みの濃さになったところで入れるのをやめる |
| 固くて混ぜにくい | 粉が多すぎる、または煮詰まった | 熱湯を少しずつ足して混ぜる。足す水の量は出典に記載なし |
| 鍋底にくっつく・焦げる | 火が強い、混ぜる回数が少ない | 火を弱め、返すたびに鍋底をさらう。焦げた部分をこそげて全体に混ぜ込まない |
| 粉に火が通りきっていない | 加熱が足りない | 煮ながら返し続けて火を通す。味見だけで判断せず、製品の調理表示に従う |
| かぼちゃがなめらかにつぶれない | かぼちゃの柔らかさが足りない | 粉を入れる前にもう少し煮る。粉を入れてからでは、つぶすのがずっと難しくなる |
保存
公開されているレシピに保存や温め直しの案内がないため、この記事では保存の日数は案内しません。
アレンジ ― レシピ本来の形とは分けて
- 砂糖なしで。 出典では砂糖は任意です。まず何も加えずに食べて、手元のかぼちゃがどのくらい甘いか確かめてみてください。
- 砂糖を控えめに、味を見ながら。 140 gをそのまま使う代わりに、少量だけ出して、足したい人が自分で加えます。これは調整であり、出典のレシピそのままではありません。
- ミルクは食卓で。 ミルクは水差しに入れて出し、各自が好きなだけ加えます。出典の出し方と同じです。
- シチューと一緒に。 地元の料理人の記録には、シドヴドゥをビーフシチューと食べるという記述があります。シチューは別の料理なので、ここではレシピに含めません。
- 別のとうもろこし粉で。 メイズミールが見つからない場合は、別のとうもろこし粉を使い、加熱時間はその袋の表示に従います。同じ料理というより、食感が少し違うものになると考えてください。
エスワティニの食卓で
政府のレシピ集では、シドヴドゥは砂糖とミルクを添えて出されます。それはひとつのはっきりした姿ですが、資料にある姿はそれだけではありません。
地元の料理人 Duduzile Masuku さんの説明をもとにした伝統料理の記録では、Sidudu selitsanga は、かぼちゃを煮てつぶし、メイズミールと砂糖を加えて煮たもので、ビーフシチューかミルクと一緒に食べるとされています。一人の料理人の説明であって、国全体の決まりではありませんが、同じ鍋でも、隣に何を置くかで塩気のある方にも甘い方にも傾くことがわかります。
個人運営のレシピサイト International Cuisine も、シドヴドゥと呼ぶかぼちゃ入りのとうもろこしのおかゆを、シチューやソースと食べるものとして紹介しています。ただしそのサイトのレシピは手順も分量も政府のレシピと違うため、ここでは食べ方のもうひとつの例として触れるだけで、上の作り方の根拠には使っていません。
この料理の歴史や、特定の行事との結びつきは、これらの資料からは確かめられないので、この記事では取り上げません。
よくある質問
Sidvudvu と Sidudu は別の料理ですか?
資料によって綴りが違います。政府のレシピ集では Sidvudvu、政府の食品成分表では Sidvudvu selitsanga、地元の料理人の記録では Sidudu selitsanga です。どれもかぼちゃをメイズミールと合わせた料理として書かれています。綴りの違いの由来は説明されていません。ミルクと食べると書かれた Ludvwidvwi は、食品成分表では別の項目です。
砂糖は必ず入れますか?
いいえ。公開されているレシピは、砂糖140 gを任意の材料とし、おかゆに添えて出すとしています。
ミルクは鍋に混ぜますか?
出典は砂糖とミルクを添えて出すとしていますが、ミルクの量も鍋に加える手順も示していません。この記事では、食べる人がそれぞれ加えられるよう、ミルクを別に出すことをすすめています。
どのくらい煮ればよいですか?
公開されているレシピに時間や温度の記載はありません。かぼちゃが柔らかくなるまで煮て、メイズミールを入れたあとは粉に火が通るまで煮てください。時計ではなく、鍋の様子で判断します。
どんなかぼちゃを使えばよいですか?
出典は「pumpkin」とだけ書いています。ふつうにスーパーで売っているかぼちゃが現実的ですが、エスワティニのかぼちゃより水分が多いことも少ないこともあります。メイズミールは少しずつ加え、ちょうどよい濃さになったらやめてください。
コーンミールやポレンタをメイズミールの代わりに使えますか?
ほかのとうもろこしの挽き粉も使えますが、同じ仕上がりになるとは限りません。粒の細かさや火の通る時間が違うことがあるので、袋の表示に従い、食感は少し違うものになると考えてください。













