大皿の中央に、ソースを受けとめる大麦のドーム
大麦粉を主にした密度の高い生地を、なめらかになるまで練って、ひとつのドームに整えます。そのまわりに、ラムとじゃがいものレンガ色のトマト煮込みと、ゆで卵。生地は切り分けるパンではなく、加熱し、叩き、形づくる料理で、ソースを運ぶためにあります。
幅広の平らな大皿の真ん中に、なめらかに丸い大麦生地のドームが座っています。裾にはレンガ色の煮込みがぐるりと回り、ラムの塊と半割りのじゃがいも、殻をむいたゆで卵がソースの中に置かれています。食べるときは、ドームから小さくちぎって、ソースと肉をすくいます。これがバジーン、大麦の生地と煮込みを合わせたリビアの料理です。
綴りは Bazin、Bazeen、Bazine などいくつもあり、アラビア語では البازين と書きます。ソースは地域によって、また家庭によって変わります。この記事は、Libyan Food ブログに載っているラムとじゃがいもの版ひとつに沿って作ります。そら豆や鶏の煮込みなど、ほかの版とは混ぜず、別のものとして扱います。
むずかしいのは生地です。粉を沸騰した湯で火にかけ、だまのない硬いひと塊になるまで叩き、ドームに整える。一番の山場は生地の練りで、ソースのほうは普通の煮込みです。以下で、作業の順番と各段階の見極め、原典が決めていない点を順に示します。
英語の資料では Bazeen、Bazin、Bazine と書かれ、アラビア語は البازين です。綴りをいくつか変えて検索すると、レシピや背景の資料が見つけやすくなります。
金曜の昼、家庭ごとの味、ラマダンの大鍋
Libyan Food の寄稿者は、バジーンを西リビアの定番の料理で、金曜の昼食に出されるものだと説明しています。Transparent Language の Arabic ブログの別の書き手は、昼食に、金曜日に、また特別な日によく食べると書いています。どちらも個人の記述であり、リビアのすべての家庭や地域に当てはまる決まりではありません。
Libyan Food の同じ投稿によると、生地に添える煮込みはいつもラムとは限りません。ラクダ、鶏、イカ、そら豆の煮込みが挙げられ、冬に干し肉の入ったスープと食べる例も紹介されています。Libya Observer は家庭ごとの違いを強調していて、肉とじゃがいもの型とそら豆の型があること、フェヌグリークやほかのスパイスの好みが家庭で分かれること、婚礼の席でラクダ肉が使われることもあることを書いています。このレシピは、ラムとじゃがいもの型に絞ります。
2025年には、AP通信がトリポリ近郊のタジュラから報じています。ラマダンのあいだ、住民が集まって大鍋でバジーンを作り、日没後の食事を待つ人々に配っていました。煮込みと、ときには簡単なトマトソースが添えられたそうです。これはある町のある年の共同の取り組みですが、ひとつの鍋を囲んでこの料理が人をつなぐ様子を伝える場面です。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 大きくて厚手の鍋(ラムの煮込み用)
- 生地を煮る、深くて丈夫な鍋
- 長くて幅の広い、持ち手の丈夫な木べら(リビアではミグラフ mughrif、mughruf とも書かれる木のへら)
- 幅広で平らな大皿
- 卵をゆでる小鍋
- 練るあいだ生地の鍋を安定させる、耐熱で滑りにくい台
- じゃがいもの火通りを確かめる竹串
原典には、こねる作業にパン生地用の機械が使えるとも書かれていますが、その方法はここでは確認していません。
選び方と代用
- 大麦粉:原材料表示が大麦主体の粉を選びます。挽き方や種類(製菓・製パン用、全粒粉など)で生地のまとまりやすさが変わります。片栗粉やオーツ麦の粉は代わりになりません。大麦だけ、小麦だけで生地を作ると別のレシピになるので、粉を替えたときは、同じ料理と呼ばずに何の粉を使ったかを書いてください。
- 粉の割合:原典の導入文には一般的な3:1の型が書かれていますが、数量表(大麦粉1 kgに小麦粉250 g)は重さで4:1です。このレシピは数量表のとおりにします。小麦粉の量を増減して、二つの中間にしないでください。
- 小麦粉:「plain」は原典の言葉です。日本では中力粉が近い代わりになります。
- ラム肉:肩ともも肉は原典の提案です。牛肉で作ると風味の違う別の版になり、牛肉は同じ料理にはなりません。
- フェヌグリークと唐辛子:原典は「fenugreek」「red chilli」とだけ書き、形状を指定していません。粒のフェヌグリーク、粉末の赤唐辛子・ターメリック・黒こしょうは、このレシピでの編集上の選択です。Libya Observer によれば、フェヌグリークは家庭によって賛否が分かれます。抜くことはできますが、香りは変わります。
- スパイスの量:スパイスごとに大さじ1は思い切った量ですが、原典のまま載せています。辛みや苦みを抑えるなら、原典の味に対する自分なりの調整として行ってください。
- 入れないもの:原典は任意で500 gのかぼちゃを挙げていて、著者の写真にはきのこも写っていますが、きのこは著者自身の追加だと書かれています。この版には、どちらも入れません。添え物の生唐辛子とレモンも省いています(別版の項を参照)。
この料理には小麦(plain flour)、卵、大麦が含まれます。特定の穀物に反応が出る方は、食べる前に医療の専門家に相談してください。どちらの粉も生のまま味見しないでください。
うまくいかないとき
トラブルの多くは、加熱中に粉の島を崩さないことと、熱いうちにしっかり押しつけることで防げます。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地がだまだらけになる | 加熱中に粉の島をかき混ぜた、または練った後の押しつけが足りない | 次回は45分のあいだ島に触らない。今回は、木べらで鍋の壁に生地を強く押しつけ続ける |
| 生地にひびが入る、まとまらない | 練りが足りない、または乾いている | 原典のとおり、もう一度練る。熱湯は一度に入れず、少しずつ足す |
| 木べらがたわむ、生地が動かない | 硬い生地に対して、道具や鍋が軽すぎる | 長くて幅広の、持ち手の丈夫な木べらと、大きくて丈夫な鍋を使う |
| 練っているあいだに鍋がずれる | 鍋が固定されていない | 耐熱で滑りにくい台に置く。熱い鍋に水をかけない |
| じゃがいもが崩れる | 火が強すぎる | 煮込みを弱火に保ち、竹串で確かめる。柔らかくなって形が残っているうちに止める |
| ラムがまだ硬い | 肉の大きさや鍋が原典と違う | 柔らかくなるまで煮続ける。原典の時間は目安 |
資料に見る別版
以下は、上のレシピに足すものではなく、それぞれ別の版です。
- かぼちゃ:Libyan Food のレシピは、任意で500 gのかぼちゃを挙げています。
- ほかの煮込み:同じ投稿は、そら豆、鶏、イカ、ラクダの煮込みにも触れています。イカは、このレシピの煮込み時間ではなく、別に時間を考える必要があります。
- そら豆の型:Libya Observer は、肉とじゃがいもの型と並べて、そら豆の型を紹介しています。
- 生の唐辛子とレモン:Libyan Food の投稿も Libya Observer も、生の唐辛子とレモンを添えることに触れています。好みで食卓で足してください。
- 別の生地の作り方:Libya Observer は、生地を薄い平らな形にして30〜45分火を通してからこねる方法を書き、粉は目分量としています。これは別の技法で、ここの分量とは組み合わせません。
- 婚礼のラクダ肉:Libya Observer は、一部のお祝いでラクダ肉が使われると書いています。料理の物語の一部であり、家庭で試す代用ではありません。
残りものと食品の安全
この料理について、確認できた保存期間はありません。厚生労働省の家庭向けの指針に沿って、残ったものは浅い小さな容器に分けて早く冷まし、再加熱は75℃以上を目安に中までしっかり行ってください。これは家庭の食品安全の一般的な指針で、バジーンで確かめた数値ではありません。
一枚の皿に、穀物と煮込み
バジーンの魅力は、硬くて密度のある大麦のドームと、コクのある赤いソースが一体になっているところ、そして全員が同じ大皿から食べるところにあります。西リビアの金曜の昼食でも、タジュラで分け合うラマダンの大鍋でも、料理の中心にあるのは、みんなで囲むひとつの皿です。リビアのほかの料理は、リビアのページから探せます。
よくある質問
大麦粉だけで作れますか?
このレシピは大麦粉1 kgに小麦粉250 gを合わせます。大麦粉だけの生地は、これとは別のレシピで、扱い方はここでは確認していません。粉を替えた場合は、使った粉を明記してください。
こんなに硬い生地は、どう練ればよいですか?
45分の加熱が終わるまでそのままにしておき、鍋を耐熱で滑りにくい台に安定させて、丈夫な木べらで生地を鍋の側面に強く押しつけ、塊や乾いた粉がなくなるまで練ります。硬すぎるときは熱湯を少しずつ足します。熱い生地に素手は入れないでください。
フェヌグリークは抜いてもよいですか?
Libya Observer が書くように、フェヌグリークは家庭によって賛否が分かれ、入れない家庭もあります。抜くと、煮込みの香りは変わります。
ラムの代わりに牛肉を使えますか?
使えますが、風味の違う別の版になり、同じ料理にはなりません。
何人分ですか?
原典は4〜6人分としています。生地の重さや、実際の一人分の量は測っていません。













