日が沈み、街のあちこちから祈りの呼びかけが聞こえてくると、食卓に湯気の立つ器が並びはじめます。トマトで赤く染まったスープに、小さな米粒のようなパスタと、ほろりとやわらかい肉。最後にふりかけたミントの香りが、湯気と一緒にふわりと立ちのぼります。レモンをひと搾りして、まずはひと口。シャルバ・リビーヤ(sharba libiya)は、「リビアのスープ」という名前そのままに、リビアの人々に愛されてきた一杯です。
ラマダンの夜、毎晩食卓に上るスープ

北アフリカの料理書『The North African Cookbook』を著した料理研究家ジェフ・ケーラーは、このスープをリビアの国民食のような存在と紹介しています。単にシャルバ(スープ)と呼ばれることもあれば、「リビアのスープ」という意味のシャルバ・リビーヤと呼ばれることもあります。そしてラマダンの間は、ほとんど毎晩のように食卓に上るといいます。
一日の断食を終えた体に、温かいスープはやさしくしみわたります。肉、トマト、豆、パスタがひとつの鍋に入ったシャルバは、スープでありながら、それだけで食事の一皿にもなります。イスラム情報サイトIslamwebのレシピも、このスープはさまざまな場面で出されるけれど、いちばんよく食べられるのはラマダンの月だと書いています。同じサイトは、リビアだけでなく、チュニジア、アルジェリア、モロッコといった北アフリカの国々でもよく知られたスープだと紹介しています。
シャルバ(sharba)は、北アフリカから中東にかけて広く使われる「スープ」を意味する言葉で、地域によってショルバ、チョルバとも書かれます。アルジェリアにも、焙煎した若い小麦フリーケを使うショルバ・フリクがあり、国ごとに具や香りが違います。
決め手は、最後に入れるたっぷりのミント

シャルバの作り方は家庭によってさまざまですが、ケーラーは、どの家でも変わらない約束ごとのひとつとして、最後にたっぷりの乾燥ミントを加えることを挙げています。トマトとスパイスの温かい香りに、ミントのすっとした清涼感が重なることで、重たくなりがちな肉のスープが、最後まで軽やかに飲めるのです。
もうひとつの特徴が、オルゾ(米粒の形をした小さなパスタ)です。Islamwebのレシピでは、オルゾのかわりに挽き割り小麦のブルグルを使う作り方も紹介されています。スパイスは、ケーラーのレシピではシナモン、ジンジャー、ターメリック、カイエンペッパー。Islamwebのものでは、チリパウダーやパプリカ、ミックススパイス、ターメリックが使われていて、家庭ごとの配合の幅がうかがえます。
途中で見つける、味の決め手
レモンを搾って、熱いうちに

できあがったシャルバは、温めた器にたっぷりと盛り、くし形に切ったレモンを添えて出します。ケーラーのレシピもIslamwebのレシピも、レモンを添えて食卓に出すのは同じです。食べる直前にレモンを搾ると、トマトの甘みとミントの香りに酸味が加わり、味がぐっと引き締まります。レモンの量は自分の好みで、何度か搾り足しながら食べるのもよいでしょう。
北アフリカのスープを飲み比べるなら、アルジェリアの焙煎小麦のスープショルバ・フリクや、モロッコでラマダンの夜に欠かせないハリラもおすすめです。リビアの家庭料理をもう一品作るなら、肉詰めじゃがいものトマト煮マフルムもあわせてどうぞ。
よくある質問

ラム肉が手に入らない場合はどうしますか?
ケーラーのレシピでは、ラム肉のかわりに牛肉を使うこともできるとされています。牛肉の場合も、煮込み用の部位を約1cm角に切って同じように作ってください。肉がやわらかくなるまでの時間は部位によって変わるので、手順4でスプーンで押して確かめます。
オルゾのかわりにブルグルを使えますか?
使えます。Islamwebのレシピでは、オルゾのかわりにブルグルを使う作り方が紹介されています。ブルグルはオルゾとは煮え方が違うので、袋の表示を参考に、やわらかくなるまで煮てください。
残ったスープはどうすればいいですか?
粗熱をとってから保存容器に入れて冷蔵し、早めに食べきってください。時間がたつとオルゾがスープを吸ってふくらみ、とろみが強くなります。温め直すときは、鍋に湯を少し足してのばし、中までしっかり熱くします。
辛いスープですか?
辛さはカイエンペッパーの量で決まります。入れなければ、シナモンとジンジャーの温かい香りが中心の、辛くないスープになります。辛いのが好きなら、カイエンペッパーを多めにしてください。











