冰糖燕窝:乾燥燕窩がほどけて、やさしい甘いスープになる
乾燥燕窩は水でゆっくり戻し、二重鍋でやさしく火を通し、氷砂糖は最後に加えます。甘みは燕窩を引き立てるためのもので、覆い隠してはいけません。
小さく乾いた淡い色の食用燕窩を、室温の水を張った器に入れます。時間がたつと、燕窩は水を含んで柔らかくなり、細い繊維状に広がっていきます。すすいだあとは、蓋つきの小さな器に移して大きな鍋の湯の中に置き、熱をゆっくり穏やかに伝えます。氷砂糖を入れるのは最後です。これが中国料理の甘い燕の巣スープ、冰糖燕窝(氷砂糖入りの燕の巣)です。
ここで作るのは、供給元であるXIN Bird's Nestが公開している「Bird's Nest with Rock Sugar」です。2〜3人分で燕窩3片、水、そして氷砂糖を好みの量。別の供給元Zhen Bird's Nestは、二重鍋で仕上げた燕窩を「柔らかく半透明」と説明しています。澄んだ甘い液体に細い繊維が漂う、そんな一杯を目指します。ほかの具は入りません。
「燕の巣」という名前は誤解されやすい料理名です。ここでいう燕の巣は、ふつうの鳥の巣のことではありません。揚げたタロイモや麺を巣の形に整え、海鮮を盛る料理でもありません。アナツバメの巣を加工した食材、食用燕窩のことです。この記事で扱うのは、乾燥燕窩から作る甘いスープだけです。鶏肉、海鮮、朝鮮人参などを加える料理は別の料理なので、ここには混ぜません。
ここで使う中国語名は「冰糖燕窝」で、「氷砂糖入りの燕の巣」という意味です。冰糖は氷砂糖、燕窝は食用燕窩を指します。英語では bird's nest soup や bird's nest with rock sugar と呼ばれるのが一般的です。
燕窩は種類や加工の違いがあるため、浸水と加熱の時間は資料によって大きく変わります。この記事が手本にしたXIN Bird's Nestでは、屋燕(house nest)は浸水30分・隔水加熱30分、洞燕(cave nest)は浸水60分・隔水加熱60〜90分です。香港の食物安全センター(Centre for Food Safety)は、乾燥燕窩をよく洗い、数時間浸し、水を1〜2回替えて捨てるよう案内しています。Zhen Bird's Nestは自社の燕窩について浸水3〜4時間、二重鍋での加熱20〜25分を勧めており、HKHCLのレシピには、洞燕は屋燕よりずっと長い時間がかかるという記述があります。これらの数字は平均していません。まずは、お手元の商品の表示や、信頼できる販売元の具体的な説明に従ってください。
高級食材をめぐる歴史:東南アジアの産地と中国の市場をつないで
食用燕窩は、長く取引され、食べられてきた高級食材です。香港中文大学の人類学の博士課程研究者Yu Xinは、World Gastronomy Instituteに掲載されたエッセイで、燕窩が東南アジアの採集・生産地と中国の市場をどうつないできたかを論じています。このエッセイは、ひとつに固定された土地のレシピを示すのではなく、移民や交易のネットワーク、食べ物が時代とともに変わっていく様子を見ています。この料理の起源がいつなのかは、エッセイでは確定されていませんし、この記事でも断定しません。
長く高価な食材であったため、燕窩には日常のデザートを超えた社会的な意味がありました。とはいえ、ここで紹介するのは、乾燥燕窩を自宅で調理する一つの方法にすぎません。燕窩が病気を治す、美容や妊娠によいといった話は伝統的な信念として語られることがありますが、医学的な事実としては扱いません。この記事では栄養の数値や健康への効果も示しません。中国のほかの料理は中国の料理一覧からどうぞ。
この料理の面白さは、作り方にあります。乾いて繊維質の食材が水でほぐれ、穏やかな間接加熱で柔らかくなり、燕窩そのものの邪魔をしない程度の氷砂糖で仕上げます。特別な食材で、しかも商品ごとに扱いが違うため、選び方と取扱説明を確かめることが、ふつうのレシピ以上に大切です。
このレシピ全体は、世界ごはん紀行の台所ではまだ試作していません。
燕窩と氷砂糖の選び方
燕窩。 食品として明記された乾燥燕窩を、信頼できる販売元から買います。ラベルや販売元の情報で、次の点を確認してください。
- 燕窩の種類(たとえば屋燕、洞燕)
- すでにどの程度掃除されているか
- 浸水と加熱についての具体的な指示
- 加工品の場合は添加物の有無
野生で採った燕窩や、出どころのわからない燕窩は避けてください。商品によって形も加工も指示も違うので、パッケージに方法が書かれていれば、それに従います。
氷砂糖。 氷砂糖はゆっくり溶ける結晶状の砂糖です。最後に加えるので、味を見ながら調整できます。決まった分量はありません。好みの甘さにしてください。
加えないもの。 西洋人参(花旗参)、なつめ、鶏肉、牛乳、海鮮は別のバージョンの材料です。このレシピには入れません。
道具
- 蓋つきの小さな耐熱の器(中国の炖盅、または蓋つきの小さな耐熱容器)
- 小さな器を周囲に余裕をもって入れられる大きめの鍋
- 蒸し台(小さな器が外鍋の底に直接つかないように)
- 浸水用の小さな器
- 目の細かいざる
- 清潔なピンセット
- スプーン
やわらかさを確かめて、甘さを整える
仕上がりの燕窩は柔らかく、繊維がこわばらずにほぐれています。Zhen Bird's Nestは、二重鍋で仕上げた燕窩を「柔らかく半透明」と説明していて参考になりますが、燕窩は種類や加工によって違うので、繊維の透明さは見た目の目安にすぎず、安全の判定にはなりません。
自分で調整できる味は、氷砂糖だけです。最後に加えて10分火を通すので、味を見ながら少しずつ足せば、甘くなりすぎません。甘みを控えめにすると、燕窩の繊細な食感が一杯の中心に残ります。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 燕窩がまだ硬い | 燕窩の種類や商品によって、もっと時間が必要 | 商品の指示を確認する。一般に洞燕は屋燕より長くかかる |
| 繊維に小さな羽毛が残っている | 浸水後に取りきれていない | 加熱前、すすぐときにピンセットで取る |
| 小さな器があふれた | 入れすぎ | 次回は器の上に余裕を残す |
| 外鍋の水がほとんどなくなった | 強い火で長く加熱した | 加熱中に水位を確かめ、必要に応じて外鍋に水を足す。空焚きは厳禁 |
| 甘すぎる | 氷砂糖を一度に入れすぎた | 次回は少しずつ加え、溶けてから味を見る |
| 甘さが足りない | 砂糖が溶けきっていない、または量が少ない | 少し足して、溶けるまで二重鍋で加熱を続ける |
食の安全:購入、洗浄、浸水について
香港の食物安全センターは、信頼できる販売元から燕窩を買い、煮込む前に乾燥燕窩をよく洗って浸し、浸水水を1〜2回替えて捨てるよう案内しています。数時間かけてよく洗って浸すと、燕窩に含まれることのある水溶性の亜硝酸塩を、一般にかなりの量減らせると説明しています。ただし、亜硝酸塩が完全に除かれることや、リスクがすべてなくなることを保証するものではなく、同センターは、自然に生じる亜硝酸塩については国際的に合意された基準値や規制値がないとも述べています。また、同センターは幼児、特に乳児に燕窩を勧めていません。
このレシピの材料は燕窩と砂糖だけです。加工品を使う場合は、ラベルで添加物を確認してください。アレルギーのある方は、お使いの燕窩製品の表示を確認してください。この記事は、すべての人に適していることを保証するものではありません。
よくある質問
浸水水を調理に使えますか?
使いません。香港の食物安全センターは、浸水水を1〜2回替えて捨てるよう案内しています。燕窩は新しい水で煮てください。
どのくらい浸せばよいですか?
商品と燕窩の種類によります。XIN Bird's Nestは屋燕30分、洞燕60分、香港の食物安全センターは水を1〜2回替えながら数時間、Zhen Bird's Nestは自社の燕窩について3〜4時間としています。まずは商品の表示や、信頼できる販売元の具体的な指示に従ってください。
氷砂糖はどれくらい入れますか?
手本にしたレシピは氷砂糖を「好みの量」としているだけなので、この記事でもグラム数は決めていません。少し加えて最後の10分で溶かし、味を見て調整してください。
屋燕と洞燕で違いはありますか?
調理時間が違います。XIN Bird's Nestのレシピの中でも、洞燕は屋燕より浸水と加熱が長く、HKHCLのページにも洞燕のほうがずっと長い時間がかかる旨の記述があります。お使いの商品の表示を確認し、その指示に従ってください。
巣の形に揚げた器に盛る料理のことですか?
違います。それは揚げたタロイモや麺を巣の形にした海鮮料理です。このレシピは本物の食用燕窩を使う甘いスープです。
燕窩に健康や美容の効果はありますか?
この記事では、そうした効果は主張せず、栄養の数値も示しません。ここで使った資料は、薬効や美容効果を裏付けるものではありません。
作り置きや保存はできますか?
ここで参考にしたレシピは温かい状態で出すもので、保存についての案内はないため、この記事では保存の目安を示しません。
子どもでも食べられますか?
香港の食物安全センターは、幼児、特に乳児に燕窩を勧めていません。












