揚げたての豆腐が湯気の立つ小鉢に入り、まわりに熱いだしつゆが注がれると、淡い黄金色の衣の端からつゆを吸いはじめます。さっきまでさくっとしていた表面は、つゆに触れたところからやわらぎ、中の豆腐はやわらかいまま。その上に大根おろし、少量のおろししょうが、小口切りの小ねぎがのります。薄い揚げ衣、温かいだしつゆ、さわやかな薬味が出会う瞬間が、揚げ出し豆腐のいちばんの魅力です。
外側は片栗粉の薄くて軽い衣、中はやわらかい豆腐、そこに熱くて澄んだだしつゆと生の薬味。この形を保つには、豆腐は食べる直前に揚げ、つゆは熱いうちに注ぎます。
このレシピは、味の素パークの2人分のレシピを分量そのままに使っています。木綿豆腐1丁(300g)を6切れに切り、水・しょうゆ・みりん・顆粒だしで簡単なつゆを作り、定番の薬味を3種類添えます。1人3切れの計算です。日本のほかの料理は、日本の料理からもご覧いただけます。
日本語では「揚げ出し豆腐」「揚げだし豆腐」「揚出し豆腐」などと書き、「あげだしどうふ」と読みます。英語では「agedashi tofu」と表記されることが多い料理です。
揚げ出し豆腐とは — 厚揚げ・油揚げとのちがい
揚げ出し豆腐は、豆腐に片栗粉などの薄い衣をつけて揚げ、温かいだしベースのつゆで食べる料理です。 この衣とつゆが、日本のほかの豆腐の揚げ物との大きなちがいです。厚揚げは衣をつけずに豆腐を揚げたもの、油揚げは別の揚げ豆腐の食品で、どちらも揚げ出し豆腐とは別物です。豆腐と熱い油から始まる点は同じでも、料理としては区別されます。
衣は片栗粉が一般的ですが、小麦粉をまぶす作り方もあります。家庭や店によって、豆腐の種類、衣の厚さ、つゆの濃さ、のせる薬味はさまざまです。いまは家庭の副菜としても、お酒に合う一品としても食べられています。
豆腐の食文化と、名前についてわかっていないこと
日本豆腐協会の概説によると、豆腐は仏教寺院に結びつく精進料理で、古くから大切な植物性の食材でした。ただしこれは豆腐そのものの背景です。今回参照した資料では、揚げ出し豆腐が寺院の料理から生まれたとまでは確認できていません。
「揚げ出し」という言葉の由来、料理が生まれた土地や店、いまの形になった時期は、いずれもはっきりしていません。「揚げ」は揚げる調理を指すと説明されるのが一般的ですが、名前の「出し」が何を意味するかは定まっていません。英語の解説記事には、1782年刊の『豆腐百珍』に揚げ豆腐の記録があるという紹介があります。ただ、その記載を、片栗粉の衣とだしつゆというこの料理の証拠とみなすことはできません。確かに言えるのは、いまどう作り、どう食べられているかという点です。
選び方と代用
木綿豆腐は、形が崩れにくいので今回のレシピで選んでいます。 絹ごし豆腐も揚げ出し豆腐によく使われ、中がなめらかに仕上がります。ただしやわらかくて崩れやすいので、単純な置き換えではなく、後述のアレンジとして扱います。
片栗粉とコーンスターチは別のものです。 「片栗粉」または「じゃがいもでん粉」と書かれた袋を選んでください。小麦粉の衣も知られた別の作り方ですが、衣の色と食感が変わるので、こちらもアレンジとします。
大根おろし50gは、おろしたあとの重さです。 おろす前の大根50gではありません。このレシピでは水気を絞りません。
顆粒だしは製品を指定しています。 ほんだしの原材料には乳糖、かつお節粉末、かつおエキスが含まれ、表示されているアレルゲンは乳成分です。ほかの顆粒だしを使う場合は、その製品の原材料とアレルゲン表示を確認してください。
この料理には大豆(豆腐としょうゆ)が含まれます。普通のしょうゆは小麦を含むのが一般的なので、使うしょうゆの表示を確認してください。指定の顆粒だしは、メーカーの商品ページでアレルゲンとして乳成分が表示されています。法定のアレルゲン表示とは別に、かつお由来の魚介の成分も含むため、基本のレシピはベジタリアン向けではなく、魚を避けている人にも向きません。実際に買った製品の表示を必ず確認してください。
道具
- つゆ用の小鍋
- ボウルに重ねるざる
- 清潔なキッチンペーパー
- 片栗粉を入れる浅いバットか皿
- 揚げ物に使える深さのある鍋
- 料理用温度計(175°Cを保つのに役立ちます。買い足しが必須ではありません)
- 穴あきお玉
- トレーに重ねる網(揚げたあとの油切り用)
- 小鉢2つ
衣がはがれる、油がはねる、豆腐が崩れるとき
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 衣がはがれる、油がはねる | 表面がまだ濡れていた、または片栗粉が厚すぎる・早すぎた | 水切り後に全面をしっかり拭き、揚げる直前に衣をつけ、余分な粉をはたく |
| 衣をつけたり揚げたりする途中で豆腐が崩れる | とてもやわらかい豆腐、または扱いが乱暴 | このレシピでは木綿豆腐を使い、穴あきお玉でそっと油に入れる |
| 1〜2分たっても浮かず、色づかない | 油が175°Cになっていない可能性がある | 温度計で確かめ、一度に揚げる数を減らす |
| つゆにとろみがつき、濁った | バットの片栗粉をつゆに入れた | 片栗粉のバットとつゆは別にしておく |
| 器に注ぐときにつゆがぬるい | 豆腐を揚げている間にさめた | 注ぐ直前に、もう一度煮立たせる |
| 全体が水っぽい味になる | 大根おろしから出る水分 | ほかのレシピにならい、大根おろしの水気を軽く切ってもよい。基本のレシピでは必須ではない |
アレンジ — 基本のレシピとは分けて考える
ほかの公開レシピにある作り方や、まだ試していない案です。結果が変わるので、別の料理として扱い、上の分量には混ぜないでください。
- 絹ごし豆腐:中がなめらかになりますが、扱いが難しくなります。木綿豆腐より、水切りは軽い力で穏やかに行います。
- 小麦粉の衣:旭化成のレシピは、豆腐に小麦粉をまぶして170°Cで揚げます。片栗粉の衣とは色も食感も変わります。
- めんつゆのつゆ:キッコーマンのレシピは、2人分の木綿豆腐1丁を4切れに切り、4倍濃縮のめんつゆ50mlと水150mlでつゆを作り、170°Cで薄く色づくまで揚げます。
- オクラの素揚げ:キッコーマンのレシピでは、オクラも素揚げして添えます。標準のレシピではなく、付け合わせの一案です。
- 植物性のだし:かつお由来の顆粒を昆布やしいたけのだしに替える案は、試していない別の案です。つゆの味は変わり、標準のレシピと同じ代用にはなりません。
よくある質問
絹ごし豆腐でも作れますか?
作れます。絹ごし豆腐も揚げ出し豆腐によく使われ、中がなめらかに仕上がります。ただしやわらかくて崩れやすいので、水切りは穏やかに、扱いも慎重に行ってください。このレシピは、形を保ちやすい木綿豆腐を使っています。
片栗粉がないときはどうしますか?
コーンスターチは別の材料なので、このレシピでは代用品として扱っていません。小麦粉の衣は、旭化成のレシピのように確立した別の作り方ですが、色と食感は変わります。
だしを植物性にできますか?
指定の顆粒だしはかつお由来の成分を含むため、基本のレシピはベジタリアン向けではありません。昆布やしいたけのだしにするのは、試していない別の案で、つゆの味は変わります。だしの製品を買うときは、原材料を確認してください。
どこまで前もって準備できますか?
工程1のように、つゆと薬味は先に用意できます。つゆは盛り付けまで熱く保ってください。豆腐は揚げる直前に衣をつけ、油から上げたらすぐに食べます。
残ったらどうしますか?
揚げ出し豆腐は、作りたてがいちばんです。残す場合は、家庭の食品衛生の一般的な注意に従い、浅い容器に小分けして速やかに冷まし、冷蔵庫に入れます。再加熱は、目安として75°C以上にしてください。この料理の保存期間は確かめられておらず、保存後の衣の食感も保証できません。
みりんのアルコールは飛びますか?
つゆはひと煮立ちさせるだけなので、アルコールが完全に飛ぶとは言えません。












