茶碗蒸し ― だしを味わう小さな一椀
静かに混ぜた卵とだしを、やわらかくなめらかになるまで蒸します。鶏肉は卵液の中に入れ、しいたけとかまぼこは蒸している途中で上にのせます。三つ葉と柚子の皮は最後です。
小さな耐熱の器が鍋から上がってきます。表面は淡くなめらかで、鶏肉は卵液の下に隠れています。上のほうにはしいたけとかまぼこの薄切りがのり、三つ葉と細い柚子の皮が少し添えられています。茶碗蒸し(ちゃわんむし)は、卵にだしを合わせて蒸した日本の甘くない卵の蒸し料理です。ここでのだしは昆布とかつお節で取ります。キッコーマン ホームクッキングはこれを汁物の一品として紹介しています。卵がだしを抱え込んでいて、味わっているのは実はだしそのものだと考えるとわかりやすい料理です。
名前は、小さな器の「茶碗」と、蒸す意味の「蒸し」を合わせたものです。具や配合はレシピによって違います。この記事で追うのは、料理研究家の小田真規子さんによるキッコーマン ホームクッキングの家庭向けレシピ1本です。具は鶏もも肉、生しいたけ、かまぼこで、仕上げに三つ葉と、あれば柚子の皮を添えます。えびやぎんなんは入りません。蒸し器は使わず、ふたのある普通の鍋で蒸します。専用の蒸し器がなくても作れるのがこのレシピのよいところです。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。分量、火加減、時間、見た目の目安は、公開されているキッコーマンのレシピをそのまま使っています。
道具
- だしを取るための片手鍋
- だしをこすための、キッチンペーパーを敷いたざる
- 計量カップ(このレシピのカップは200mL)
- 卵液を混ぜるボウルと、こすための目の細かい網
- 取り分けた卵液を入れる小皿
- 鍋の中に並べて入る耐熱の器(数も大きさも原本には指定がありません)
- 器が入る、ふたつきの鍋。透明なふたなら、開けずに中の様子を見られる
- 鍋底に敷く薄手の布
- 鍋に入れる水:3カップ(600mL)
- ふたを少しずらすための箸
選び方と代用
卵。 卵2個で合計100gと書かれていて、サイズの区分はありません。量れるなら量って、100gという数字を守ります。サイズを推測で決めないでください。
だし。 このレシピは、昆布とかつお節で自分でだしを取ります。仕込んだ量は卵液に要る300mLより多くなるので、残りは別の用途に使います。市販のだしなどほかのだしの素は、このレシピでは扱っていないため、案内しません。
具。 具は鶏もも肉、しいたけ、かまぼこの3つだけです。えびやぎんなんなどは別の茶碗蒸しのレシピに出てきますが、このレシピには入りません。足すと、入れない前提で作られた配合が変わってしまいます。
柚子。 原本では柚子の皮は「あれば」で、分量も書かれていません。柚子がなければ、三つ葉だけで仕上げます。
卵液の様子から何がわかるか、わからないか
このレシピの目安は、卵液の食感についてのものです。この方法の火加減、ふたの位置、時間とセットで、この鍋でのものとして見てください。資料は火加減を複数の言い方で説明しているため、なめらかに仕上がると保証する温度は、この記事では示しません。上の手順をそのまま使ってください。
| 見るもの・すること | 原本での使いどころ | わからないこと |
|---|---|---|
| 卵液を静かに混ぜてこす | 蒸す前に卵液に空気を入れない | それだけでは、完璧な食感の保証にならない |
| ふたをして蒸したあと、表面が白っぽくなる | 卵液が温まり固まり始めた合図 | 鶏肉がどれだけ熱くなったかは示さない |
| 弱火でふたを少しずらす | 蒸気を逃がし、強く煮立ちすぎるのを防ぐ | どの鍋にも通じる温度設定ではない |
| 真ん中がゆるくたわむ | 具と取り分けた卵液をのせる時機 | 鶏肉に火が通った印ではない |
| 表面が白く、具が動かない | 最後に蒸したあとの仕上がりの見た目 | 食品衛生上の確認ではない |
なめらかな卵液は、透き通っているとは限りません。鶏肉は卵液の中に隠れているものです。
キッコーマンのレシピには、鶏肉の温度は書かれていません。表面が白い、真ん中がゆるくたわむ、仕上がりの見た目といった目安は食感を表すだけで、鶏肉の中心の温度を確かめるものではありません。
肉の一般的な目安として、厚生労働省は、中心部を75°Cで1分以上加熱することが大切だとしています。この数字は厚生労働省のもので、このレシピのものではありません。鶏肉に火が通ったかどうかは、卵液の確認とは別に確かめてください。
水位も大切です。縁まで水に浸かった器には、沸いた湯が入ることがあります。原本は水位を縁より下にし、器は開けたまま蒸します。調節するのは鍋のふたです。器の形や、どれくらい満たすかも、蒸し方に影響することがあります。器の大きさや数は原本にないので、ここでも示しません。
小さな器で味わう一品

キッコーマンは茶碗蒸しを汁物の一品として紹介しています。卵にだしの味を運ばせる料理です。このレシピでだしを丁寧に取るのも、そのためです。昆布は、加熱する前に水に浸し、沸騰させません。かつお節は、火を止めてから浸します。ひと口ごとに、卵液と、下にある鶏肉、上のしいたけとかまぼこが口に入り、三つ葉と柚子が香りを添えます。
ここで使った資料では、茶碗蒸しの起源や広まった時期は確かめられないので、この記事では歴史について何も述べません。同じ国のほかの料理は、日本のページでご覧ください。
よくある質問
このレシピは、コンロの鍋で蒸す方法です。器は開けたままにして、火加減は鍋のふたで調節します。以下の答えの多くは、そこに戻ってきます。
何人分、何個の器で作れますか?
原本には書かれていません。何人分か、器の数、器の大きさのいずれも示されていないのです。鍋に並べて入る耐熱の器に卵液を分け、水位は縁より下に保ってください。レシピの200mLのカップは計量の単位で、盛りつける器の大きさではありません。
しいたけとかまぼこを後からのせるのはなぜですか?
このレシピの段取りがそうなっているからです。最初に器へ入れるのは、下味をつけた鶏肉だけです。しいたけとかまぼこは、1回目の蒸しのあと、真ん中がゆるくたわむようになってから、取り分けた卵液を回しかけてのせます。そのあと、器をもう一度短く蒸します。
器にアルミホイルやふたをしてもいいですか?
この方法ではしません。器は鍋の布の上に開けたまま置いて蒸し、かわりに鍋のふたで調節します。最初はふたをせず、1回目の蒸しではふたをし、そのあと弱火でふたを少しずらします。
蒸し器や電子レンジでも作れますか?
このレシピは、鍋で蒸す方法だけを扱っています。ほかに公開されている茶碗蒸しのレシピには蒸し器を使うものもありますが、分量も手順もそれぞれ別です。そちらの方法で作るなら、このレシピと混ぜず、そのレシピ全体に従ってください。
取っただしは全部使えますか?
使いません。水5〜6カップから取っただしは、卵液に必要な量より多くなります。卵2個に合わせるのは300mLだけです。残りは別の用途に使ってください。
卵液が固まっていれば、鶏肉に火は通っていますか?
卵液の目安からは、そのことはわかりません。レシピには鶏肉の温度が書かれていないのです。厚生労働省は、肉の中心を75°Cで1分以上加熱するよう案内しています。卵液の食感とは別の確認として扱ってください。














