ひゅうが飯:しょうゆに漬けた魚と溶き卵、ごまをご飯に
魚はまずしょうゆだけに漬けます。そのあと、酒・みりん・卵・ごまを合わせたものに加え、すべてをご飯にのせて海苔で仕上げます。ご飯以外は加熱しません。
刺身がしょうゆに浸かっています。別のボウルでは、酒とみりんに溶き卵と白ごまが混ざります。その淡い色のたれに魚を入れ、ご飯にかけ、海苔をのせる。愛媛県が魚介料理集のなかで「ひゅうが飯(漬け丼)」として紹介しているのが、この魚の漬け丼です。
この料理は愛媛県南部の南予、宇和海の周辺に根づいています。西予市の観光物産協会は、日振島から伝わった漁師の食事だと説明していますが、由来には複数の説があるとも添えています。日本各地の郷土料理は日本のレシピでも紹介しています。
加熱する工程はなく、酒とみりんも火を通しません。乳幼児、小さなお子さん、高齢の方には出さないでください。しょうゆでは寄生虫は死にませんし、新鮮なだけで生で食べても安全とは言えません。買い物の前に、生食の注意の節を読んでください。
この記事は、愛媛県の2人分のレシピに沿っていて、ほかの版の分量は混ぜていません。編集部では試作も試食もしていません。 次の3点は、そのレシピにはない編集部の判断です。
- 冷蔵: 漬けている間、魚にふたをして冷やすのは、衛生面で付け加えた手順です。
- 細ねぎ: 県のレシピは材料に細ねぎを挙げていますが、作り方では使っていません。ここでは任意の薬味として、別の小皿に添えます。
- 鯛: 写真には例として鯛の刺身を使っています。県のレシピは「刺身」とだけ書いていて、魚種も重さも指定していません。
道具
- ふた付きの浅い保存容器(食品用)
- 清潔なボウル
- 混ぜるための菜箸
- 盛りつけ用のスプーン
- 丼 2つ
- 液体とごまを量る小さな計量具
- 包丁とまな板(切る必要があるときだけ)
選び方と代用
刺身は、生で食べる用として売られているものだけを使います。卵は新鮮なものを買って冷蔵してください。どちらも、表示された期限と保存方法に従います。
魚: 生食用の表示がある刺身を選びます。日本では「刺身用」「生食用」などと書かれたものです。それ以外の魚は、どんなに新鮮に見えても生では使わないでください。魚の種類は好みで選べますが、どの魚でも、生食の注意の節にある確認は欠かせません。
寄生虫対策: 冷凍されたものかどうかは、表示を見るか売り場で聞いて確認します。冷凍済みと決めつけないでください。家庭で冷凍する場合の条件は、生食の注意の節にあります。
卵: 新鮮な卵を選び、冷たく保ち、パックの期限と保存方法を確かめます。
しょうゆ: ふつうの濃口しょうゆで作れます。分量に幅があるのは味の強さに差が出るからなので、その範囲のなかで自分の好みを決めてください。
酒: 料理酒を代わりに使うことも考えられますが、この料理では加熱しないので、後述のアルコールへの注意はそのまま当てはまります。
食卓で:丼ができあがるまで

魚とご飯をつなぐのは、卵とごまに、漬けだれのしょうゆが移ったたれです。卵は2個とも溶いてたれに混ぜるので、卵黄が上にひとつ乗る形にはなりません。
作るのは、一度に食べきれる量だけにしてください。盛りつけたらすぐ食べる料理で、作り置きには向きません。
生食の注意:確かめておくこと

しょうゆ、酢、塩、わさびではアニサキスの幼虫は死にません。ですから、10〜20分の漬け込みは対策になりません。新鮮な魚が自動的に生で食べられるわけでもありません。冷凍や冷蔵で無菌になるわけではなく、魚を冷凍しても卵が安全になるわけではありません。
買う魚を間違えない。 生で食べる用として売られている刺身を使います。その表示がない魚は、この料理には使わず、加熱して食べてください。
寄生虫に備える。 アニサキスは、サバ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカなどの刺身が原因になりやすいとされています。ここに挙げていない魚でも、安全の保証はありません。幼虫は、次のどちらかで死にます。
- −20°Cで24時間以上冷凍する
- 中心を60°Cで1分以上加熱する
家庭で冷凍するときは、お使いの冷凍庫が実際に−20°Cに達しているかを確かめてください。家庭用冷凍庫の目安とされる−15°C以下は、一般的な保存の目標であって、寄生虫対策の条件ではありません。
低温を保つ。 魚も卵も、買ったらすぐ冷蔵庫に入れます。冷蔵庫は10°C以下に保ち、魚は袋か容器に入れて保管します。漬けている間も魚は冷蔵庫に入れ、作ったらすぐ食べ、残りは室温に置かないでください。
道具と手を清潔に。 生の魚の汁がほかの食品にかからないようにします。生の魚を切ったら、包丁とまな板を洗い、熱湯をかけてから次に使います。卵を触ったあとも含め、こまめに手を洗ってください。
避けたほうがよい人。
- 乳幼児と高齢の方: 加熱が足りない卵や魚は出さないでください。
- 病気への抵抗力が弱い方: 特に注意してください。
- 妊娠中の方、免疫が弱っている方: この料理は避けるか、先に医師に相談することをおすすめします。
- お子さん、アルコールを避けている方: このレシピは出さないでください。酒とみりんは加熱しないので、アルコールが飛んでいるとは考えないでください。
うまくいかないとき
| 困りごと | 対処 |
|---|---|
| 魚に生食用の表示がない | 生では使いません。しっかり火を通し、下の加熱した別案を作ります |
| 魚が冷凍済みか確認できない | 表示を見るか、売り場で聞きます。冷凍庫が−20°Cに達するなら、家庭で冷凍します。どちらもできなければ、加熱した別案にします |
| しょうゆの量や漬ける時間に迷う | しょうゆは15〜30cc、冷蔵庫で10〜20分の範囲に収めます。長く漬けても安全にはなりません |
| 卵を早く割りすぎた | 混ぜて出す準備ができてから割り、すぐ使います |
| 同席者が生ものやアルコールを避けている | この版は出さず、その人には加熱した別案を作ります |
アレンジ
ほかの魚: 生食用として売られている刺身なら、同じ手順で作れます。鯛は写真の例にすぎません。
しょうゆの量: 15〜30ccの範囲で加減します。ほかの分量は変えません。
ねぎ: 別添えにして、各自で入れるかどうか決められるようにします。
柑橘の皮: みかんやゆずの皮は、このレシピの材料にはない任意のひと工夫です。好みで少し加えてください。
加熱した別案: 伝統の料理ではなく、編集部の別案です。刺身のかわりに、中心を60°Cで1分以上になるまで火を通した魚を使い、卵は加熱したものにするか、卵なしにします。生のまま酒とみりんを足すのではなく、味つけを変えてください。
南予のひゅうが飯:背景と由来の話

ひゅうが飯は、南予と宇和海の周辺の料理とされています。由来は定まっておらず、日振島の漁師の食事とする話と、名前を古い日向国に結びつける話があります。どちらも歴史ではなく、伝わっている話として紹介します。
魚の種類にも幅があります。西予市の観光物産協会は、代表的な魚としてアジを挙げています。ただ、同じ協会が載せているレシピは、だしを含む別の配合の鯛版です。日本うま味調味料協会は、生の魚や卵黄といった南予の食材を紹介し、魚には地域差があるとも書いています。聞き取りをもとにしたその説明は、魚と卵の新鮮さも強調しています。同協会のレシピは、減塩コンテスト用に手を加えたものです。これらの版は混ぜず、この記事の分量は、愛媛県のレシピのみに従っています。県のレシピは、みかんやゆずの皮を任意で添える案も挙げています。
名前が似ていて紛らわしい料理が2つあります。大分県津久見市のひゅうが丼は別の郷土料理で、マグロと、卵黄入りの甘めのごまだれが特徴です。同じ愛媛県の宇和島鯛めしも、別の料理です。
よくある質問
しょうゆに漬ければ、魚は安全になりますか?
なりません。農林水産省のチラシは、しょうゆ、酢、塩、わさびなどの調味料ではアニサキスの幼虫は死なないと書いています。幼虫が死ぬのは、安全の節にある条件で冷凍または加熱したときです。
とても新鮮な魚なら、それで十分ですか?
十分ではありません。農林水産省は、鮮度だけでは生で食べて安全かどうか分からないと注意しています。生食用の表示がある魚介を選び、そうでないものは加熱するようすすめています。
魚の種類と量は、どれくらいがよいですか?
愛媛県のレシピは、魚種も量も示さず、「刺身」を適宜としているだけです。そのため、ここでも重さの目安は示しません。生食用として売られているものから、ご飯2膳分に合う量を選んでください。
アルコールは飛びますか?
このレシピには加熱する工程がないので、飛ぶとは考えないでください。お子さんやアルコールを避けている方には、この版は出さないでください。
残りは取っておけますか?
この料理には保存期間を示しません。作ったらすぐ食べ、室温に置かないでください。作る量も、一度に食べきれる分だけにします。
このレシピは試作されていますか?
いいえ。編集部では作っても食べてもいません。分量と順序は愛媛県のレシピに、安全の注意は日本の公的機関の情報によっています。















