北郷のかに巻き汁。澄んだ味噌汁に蟹のおぼろ状の凝固物が浮く一椀
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かに巻き汁の作り方|宮崎・北郷の川ガニを味噌と搗いてこす汁

約15分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 21

蟹を洗う

手順1: 蟹を洗う

手と食品用の道具をすべて清潔にします。生の蟹を流水でよく洗います。火を通す前は、蟹も搗いた液も決して味見しません。

STEP 22 / 21

甲羅を外した蟹を用意する

手順2: 甲羅を外した蟹を用意する

洗った蟹を、生ものを扱うための場所に置き、甲羅を外した状態にします。身だけをほぐした蟹ではありません。生の蟹に使った道具は、加熱後の料理や器から離しておき、使ったあとはよく洗います。

STEP 33 / 21

蟹を粗く砕く

手順3: 蟹を粗く砕く

すり鉢で蟹を粗く搗きます。ミキサーなら、粗く砕きます。味噌はまだ入れません。

STEP 44 / 21

味噌を加える

手順4: 味噌を加える

粗く砕いた蟹に、味噌100gを加えます。

STEP 55 / 21

さらに細かく搗く

手順5: さらに細かく搗く

蟹と味噌を合わせて、さらに細かくなるまで搗くか、ミキサーにかけます。水はまだ加えません。

STEP 66 / 21

水を少しずつ加える

手順6: 水を少しずつ加える

蟹と味噌に、水を少しずつ注ぎ、約400mlが入るまで続けます。

STEP 77 / 21

最初の液をこす

手順7: 最初の液をこす

混ぜたものをざるに通して、清潔なボウルに受けます。液はボウルにたまり、粗い蟹はざるに残ります。ボウルは脇に置いておきます。

STEP 88 / 21

ざるに残った蟹を搗く

手順8: ざるに残った蟹を搗く

ざるに残った蟹をすり鉢(またはミキサー)に戻し、もう一度搗くか、ミキサーにかけます。蟹も味噌も、新しく足しません。

STEP 99 / 21

残りの水を加える

手順9: 残りの水を加える

800mlのうち残りの水を、蟹に加えます。

STEP 1010 / 21

最初の液にこし入れる

手順10: 最初の液にこし入れる

蟹と水をざるに通して、最初の液が入ったボウルに受けます。ざるに残ったものを、ボウルにこそげ入れてはいけません。

STEP 1111 / 21

集めた液をもう一度こす

手順11: 集めた液をもう一度こす

集めた液をすべて、清潔なざるに通して、空の清潔なボウルに受けます。これは液をもう一度こす工程で、残りをこそげ取る作業ではありません。

STEP 1212 / 21

液を鍋に移す

手順12: 液を鍋に移す

こした液を、清潔な鍋に注ぎます。ほかのものは何も入れません。

STEP 1313 / 21

強火にかける

手順13: 強火にかける

鍋を強火にかけます。

STEP 1414 / 21

沸き始めたら弱火にする

手順14: 沸き始めたら弱火にする

汁が沸き始めたら、すぐに弱火にします。ここは火加減を切りかえる目印で、汁ができあがったという意味ではありません。

STEP 1515 / 21

弱火で十分に火を通す

手順15: 弱火で十分に火を通す

弱火で静かに煮て、やわらかなかたまりができるまで火を通します。食品用の温度計を使い、汁全体のいちばん冷たい部分が中心で75°Cに達し、そのまま1分保たれていることを確かめます。かたまりができたことだけでは、汁が安全だとは言えません。時計ではなく、温度で判断してください。

STEP 1616 / 21

生姜をおろす(任意)

手順16: 生姜をおろす(任意)

生姜を使う場合は、流水でよく洗ってからおろします。生の蟹に触れていないおろし器と小皿を使ってください。

STEP 1717 / 21

生姜汁を搾る(任意)

手順17: 生姜汁を搾る(任意)

おろした生姜を小さな目の細かいこし器に押しつけ、汁を小皿に受けます。使うのは汁だけです。残ったかすは汁に入れません。

STEP 1818 / 21

ねぎを刻む(任意)

手順18: ねぎを刻む(任意)

ねぎを使う場合は、流水でよく洗ってから刻みます。生の蟹に触れていない包丁とまな板を使ってください。

STEP 1919 / 21

火を通した汁に生姜汁を加える(任意)

手順19: 火を通した汁に生姜汁を加える(任意)

手順15のとおり汁全体に十分に火が通ってから、好みで生姜汁を加えます。

STEP 2020 / 21

火を通した汁にねぎを加える(任意)

手順20: 火を通した汁にねぎを加える(任意)

好みでねぎを加えます。これも、汁全体に十分に火が通ってからです。

STEP 2121 / 21

作りたてをよそう

手順21: 作りたてをよそう

生の蟹やその道具に触れていない清潔な椀に、汁をよそいます。作りたてをすぐに出してください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

5品目

材料

甲羅を外した山太郎ガニ200g、味噌100g、水800ml。任意の生姜とねぎは別に置いたところ
蟹、味噌、水が汁のもと。生姜とねぎは好みで
材料 分量 代替・備考
山太郎ガニ(モクズガニとも呼ぶ)、甲羅を外したもの 200g 汁の旨みとおぼろ状のかたまりのもと。甲羅を外した蟹で、身だけをほぐしたものではない
味噌 100g 蟹と一緒に搗く。鍋の中の味つけはこれだけ
水 800ml 2回に分けて加え、蟹と味噌をざるに通す
生姜汁(任意) 適量 仕上げに加える生の香り。使うのは汁だけで、生姜の繊維や片は椀に入れない
ねぎ(任意) 適量 仕上げに加える生の薬味
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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

かに巻き汁 — 蟹を搗いてこし、やわらかなおぼろとして出会う

この鍋が守るもの

鍋に入るのは、蟹、味噌、水の3つだけです。蟹は火にかける前に搗いてこしておくので、脚も殻も椀には届きません。椀に見えるのは、澄んだ味噌汁に浮かぶ、ふわりとやわらかなおぼろ状のかたまりです。

宮崎県の北郷では、秋から冬にかけて山太郎ガニがとれます。モクズガニとも呼ばれる川の蟹で、川をさかのぼって育ち、産卵のために再び川を下ります。9〜10月ごろ、地元の台所ではこの蟹を味噌と一緒に搗き、こして、その液を煮上げて「かに巻き汁」にします。農林水産省(MAFF)は、味噌が蟹の旨みを包み込むことから、この名がついたと説明しています。

この記事で扱うのは、農林水産省の郷土料理サイトに掲載されている、JA宮崎県女性組織協議会のレシピひとつだけです。仕上がりは、蟹の身が塊で残るのではなく、おぼろ豆腐に似た、やわらかで不ぞろいなかたまりになります。

日本のほかの地域にも蟹の汁はありますが、別の料理です。ここではほかの地域の作り方は混ぜていません。

試作について

このレシピは、世界ごはん紀行では試作していません。分量と作り方は公開されているレシピによるもので、安全面の案内は別の公的な情報にもとづいています。


はじめに読んでください — 淡水蟹の生と加熱

かに巻き汁は、しっかり火を通す汁です。生の蟹を食べる料理ではありません。ただ、作る途中で生の蟹を扱います。厚生労働省(MHLW)は、モクズガニやサワガニなどの淡水蟹に関わる肺吸虫の感染経路として、生で食べること、加熱が不十分なこと、調理器具を介した二次汚染の3つを挙げています。

広島市の寄生虫に関する案内は、モクズガニをウェステルマン肺吸虫の感染源のひとつに挙げ、加熱の条件を中心温度75°Cで1分としています。この記事ではその条件を、汁全体のいちばん冷たい部分にも当てはめます。これは別の資料から加えた安全上の補足で、加熱時間や温度を示していないMAFFのレシピの数値ではありません。75°Cで1分は広島市の案内による条件です。

生の蟹の扱い
  • 生の蟹、搗いた生の混ぜもの、こした液は、火を通す前には決して味見したり食べたりしないでください。
  • 生の蟹に使った道具は、加熱後の料理や器と離しておき、使ったあとはよく洗ってください。
  • 汁全体のいちばん冷たい部分が、中心で75°Cに達し、そのまま1分保たれていることを確かめてください。
  • 沸き始め、おぼろ状の見た目、洗うこと、こすこと、この記事の写真は、汁が安全である証拠にはなりません。洗う、こすといった操作を、寄生虫を取り除く方法として扱わないでください。

道具

  • すり鉢とすりこ木、またはミキサー
  • ざる
  • こした液を受ける清潔なボウル
  • 鍋
  • 食品用の温度計
  • 盛りつけ用の椀
  • 生姜を使う場合は、おろし器、小さな目の細かいこし器、小皿
  • ねぎを使う場合は、生の蟹に触れていない包丁とまな板

選び方と代用

蟹は、国内で食品として合法的に販売されているものを使い、表示と取扱いの案内に従ってください。山太郎ガニは、海の蟹ではなく、モクズガニとも呼ばれる川の蟹です。この記事では、野外での採取、輸入、ほかの種類の蟹への置き換えはすすめません。合法な食品として買えない場合は、別のもので代用せず、この料理は作らないでください。

味噌の種類に指定はありません。蟹は、すり鉢とすりこ木でもミキサーでも処理できます。だし、麺、野菜は入れません。入れると別の汁になります。

うまくいかないときは

気づいたこと 意味すること 対処
搗いている途中で、味つけを確かめたくなる 混ぜたものはまだ生の状態 味見はしない。汁全体に十分に火が通るまで待つ
ざるに粗い蟹が残っている これで正常 鍋には入れない。液にこそげ入れない
火にかける前に、集めた液に細かいものが見える もう少しこす必要がある 清潔なざるにもう一度通してから、鍋に入れる
汁が沸き始めた ここで変わるのは火加減だけ 弱火にして、手順15の温度の条件を満たすまで火を通す
かたまりはできたが、温度は確かめていない かたまりは安全の証拠にならない 食品用の温度計で、汁のいちばん冷たい部分を確かめる
手近にあるのが、生の蟹に触れたまな板や道具しかない 薬味や火を通した汁を汚すおそれがある 薬味にも盛りつけにも使わない。別の清潔なものを用意する
椀に生姜のかすが入っている 汁に入れるのは生姜汁だけ おろした生姜を目の細かいこし器で押して、汁だけを使う

薬味と、ほかの地域の蟹の汁

このレシピでの選択は、おもに薬味です。何も加えずに出す、生姜汁を加える、ねぎを加える、両方を加える、のどれでもかまいません。蟹を処理する道具も、すり鉢とミキサーのどちらを使うか選べます。

日本のほかの地域にも、名前が似ていても、材料も作り方も違う蟹の汁があります。別の料理として知っておくとよいでしょう。

料理 地域 違い
かに巻き汁 宮崎・北郷 蟹を味噌と搗き、段階的にこす。任意の薬味のほかに具は加えない
つがに汁 高知 蟹を搗いてこす点は同じだが、材料、味つけ、作り方が異なる
かに汁 鳥取 具の入った味噌汁。紅ずわいがにの身、大根、にんじん、長ねぎを使う

北郷と川の蟹

北郷は、現在は宮崎県日南市の北郷・酒谷地域にあたります。MAFFによると、山太郎ガニはここで秋から冬にとれ、この汁は9〜10月ごろの食習慣に結びついています。川をさかのぼって育ち、のちに産卵のために川を下る蟹の暮らしが、この料理を支えています。

この汁の見た目は、作り方から生まれます。蟹は火を通す前に搗いてこしてしまうので、椀には蟹の姿はまったく残りません。澄んだ味噌汁の中に、おぼろ豆腐に似たやわらかなかたまりが浮くだけです。ほかの地域の料理も知りたい方は、日本の料理もご覧ください。

MAFFのレシピは加熱時間を定めておらず、この記事でも時間は足していません。この料理の起源についての歴史も、書き足していません。

よくある質問

蟹は生で食べるのですか?

いいえ。生の蟹から作り始めますが、しっかり火を通す汁です。生の蟹、搗いた混ぜもの、こした液は味見しないでください。厚生労働省は、淡水蟹による肺吸虫の感染経路として、生で食べること、加熱が不十分なこと、汚染された調理器具を挙げています。

75°Cで1分は、レシピに書かれている条件ですか?

いいえ。MAFFのレシピは、強火にかけて、沸き始めたら弱火にするとしています。75°Cで1分は広島市の寄生虫に関する案内の条件で、この記事では別の安全対策として、汁全体のいちばん冷たい部分に当てはめています。

ざるに残ったかすはこそげ取りますか?

いいえ。MAFFの英訳は、ざるをこそげ取るようにも読めますが、日本語の本文は、集めた蟹の液をもう一度こすとしています。この記事は日本語の本文に従っています。

蟹は、身だけをほぐしたものでなければいけませんか?

いいえ。日本語のレシピは「山太郎ガニ(甲羅をとったもの)」としており、この記事もそれを、殻のない身だけに狭めてはいません。蟹の分け方についても、レシピに書かれていないので説明しません。

火を弱めるのは、正確にはいつですか?

はじめは強火にかけ、汁が沸き始めたらすぐに弱火にします。強火のあとの任意の時点ではなく、日本語のレシピが指定しているのはこのタイミングです。

ほかの蟹を使ったり、だしや野菜を加えたりしてもよいですか?

この記事ではどちらもすすめません。蟹の置き換えはこのレシピの範囲外で、だし、麺、野菜は北郷の作り方に含まれていません。

凍らせれば安全になりますか? 残ったら保存できますか?

この記事で使った資料は、寄生虫対策としての冷凍の方法も、保存の目安も裏づけていないので、案内しません。この汁は、作りたてを出すものとして紹介しています。

主な参考リンク

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