かてめし:白いご飯を、具だくさんの一椀に
ご飯は白飯のまま炊き、野菜は別の鍋で少なめの醤油味の煮汁で煮て、最後に合わせます。炊いたあとに混ぜるのが、このレシピの要です。
炊きたての白いご飯がまだ湯気を立てているところへ、小さな短冊に切った具を鍋からあけます。白い大根、橙色の人参、薄くそいだごぼう、茶色の椎茸、淡い色の油揚げ。どれも醤油でつやつやしています。しゃもじで何度かさっくり返すと、白飯が具だくさんの一椀に変わります。東京のすぐ北西にある埼玉県に伝わる家庭料理、かてめしです。
農林水産省(農水省)は、かてめしを、ご飯の量を補うために野菜などを加えた料理として紹介しています。これは料理に伝わる話として示されており、埼玉県も、名前や料理の成り立ちには複数の説があるとしています。この記事でも、由来は伝承として語られているものとして扱い、確かな起源とは書きません。
ここで紹介するのは、農水省の郷土料理のページに載っている根菜の6人分レシピで、埼玉の伝統的な家庭料理を地元の伝承者がまとめた「埼玉ふるさとの伝承料理集」が提供元です。世界ごはん紀行では、このレシピの試作はしていません。油揚げを短冊に切ることと、炊飯器の水の目盛りを使うことは編集部での扱いで、掲載のレシピには油揚げの切り方も米を炊く水の量も指定がありません。具は大根、ごぼう、人参、干し椎茸、油揚げ。油で炒め、水と調味料で煮て、炊いたご飯に混ぜます。埼玉の別の地域には作り方がかなり違うかてめしもあり、それらは後半で別の料理として紹介し、このレシピには混ぜません。日本のほかの料理は日本のページもご覧ください。
かてめしはどこの味か:秩父、そしてその先へ
農水省によると、かてめしは埼玉県西部の秩父地方を中心に伝わり、さいたま市、比企郡、入間地域でも知られています。決まった一つのレシピがあるわけではなく、ご飯も具も、土地や家庭で変わります。農水省は、ご飯を増やす日常の工夫に加えて、行事やハレの日の料理としての顔も挙げています。
農水省が記している地域差は幅広いものです。
| 型 | 変わるところ | 記述のある場所 |
|---|---|---|
| 白飯に根菜を混ぜる型 | 煮た野菜、椎茸、油揚げを炊いたご飯に混ぜる | この記事で紹介する作り方 |
| 酢飯の型 | 味つけした酢飯に土地の具を混ぜる | 埼玉県北部の給食で挙げられている |
| ずいきの型 | 具に干したずいき(サトイモ科の植物の茎)を使う | 埼玉県南部と秩父で挙げられている |
| 茶飯・山菜の型 | 茶飯に具を混ぜる、または山菜を使う | ほかの地域の形として挙げられている |
埼玉県も、かてめしを秩父の伝統料理として紹介しています。かてめしという名前は、一皿の決まった料理というより、ご飯料理の仲間を指していると言えそうです。
道具
- 炊飯器、または米を炊く鍋
- 米を研いで浸水させるボウル
- 干し椎茸を戻す小さなボウル
- ごぼうをさらす水を入れたボウル
- 包丁とまな板
- フライパンまたは浅めの鍋
- へらまたは木べら
- 大きなボウル(混ぜ合わせる用)
- しゃもじ
- 計量スプーン
材料の選び方と読み方
水100ccは、野菜を煮る鍋にだけ入れます。ご飯は別の水で、いつもの炊き方か炊飯器の目盛りに従って炊いてください。100ccで3合のご飯は炊けません。
- 米。 研ぐ前の生米で450g(3合)を使います。
- 野菜。 大根、ごぼう、人参は、切る前の重さではかります。
- 干し椎茸。 乾物のまま4〜5枚を用意し、水で戻して使います。具を煮る水は、椎茸の戻し汁ではなく水100ccです。
- 油揚げ。 ほかの具と大きさをそろえて短冊に切ると、混ぜやすくなります。
- 調味料。 砂糖、みりん、酒は各大さじ1、塩は小さじ2/3。油も調味料も、それぞれの工程で一度に入れます。あとから足すことはしません。
油揚げは大豆から作られ、醤油も大豆が原料です。油揚げ、醤油、干し椎茸、ほかの市販の材料はどれも、アレルゲンの表示を確認してください。生の根菜や戻した椎茸を切ったあとは、包丁とまな板を洗います。煮た具をご飯に混ぜるときは、清潔な道具を使ってください。
取り違えやすい点と防ぎ方
| 起こること | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ご飯が硬い、またはべちゃっとする | 具を煮る水100ccを、米を炊く水と取り違えた | ご飯はいつもの水加減で炊く。100ccは具のためだけの水 |
| 味がしょっぱすぎる | 混ぜる段階で塩や醤油を足した | 味つけは煮る鍋で一度だけ |
| 具を炊飯器で一緒に炊いてしまった | 炊き込みご飯の作り方と混同した | このレシピでは具を別に煮て、あとから混ぜる |
| 他のレシピと椎茸の風味が違う | 椎茸の戻し汁で煮るレシピもある | このレシピは水で煮る。戻し汁を使うのは、ほかの家庭のレシピ |
ほかのかてめし
以下はどれも別の作り方で、分量は上のレシピには使っていません。
- 上尾市の給食のかてめし。 埼玉県上尾市は、米そのものを酒、塩、醤油と一緒に炊き、干しずいき、高野豆腐、昆布などの具を別に煮てから混ぜる給食版を公開しています。ずいきは、サトイモ科の植物の茎を干したものだと市は説明しています。
- ずいきのかてめし。 農水省は、埼玉県南部と秩父のかてめしでもずいきが使われると記しています。
- 酢飯のかてめし。 農水省は、埼玉県北部の給食で、酢飯に土地の具を混ぜる型があることを記しています。
- 茶飯・山菜のかてめし。 農水省は、茶飯や山菜を使う型を挙げています。具の詳しい中身は一定ではありません。
- 秋の里芋の型。 埼玉県は、里芋を米と一緒に炊く秋のかてめしを紹介しています。煮た具を後から混ぜる作り方とは別の方法です。
- JAさいたま女性部の型。 地域の農業協同組合であるJAさいたまの女性部のレシピも、煮た具を炊いたご飯に混ぜます。煮るときは椎茸の戻し汁と調味料を使い、ご飯をおにぎりにする方法も提案しています。家庭ごとに自分なりの作り方があることも強調しています。
ご飯を使った料理が好きなら、中国のチャーハンとも比べてみてください。白いご飯を食べ応えのある一皿に変える点は同じでも、方法はまったく違います。どちらもご飯を使う料理です。
食べ方と残ったとき

かてめしには、上に載せるものはいりません。混ぜ終わったらすぐ茶碗によそい、醤油味の具が温かいご飯の粒の間に入った状態で食べてください。
残ったときは、厚生労働省が示す家庭での一般的な食品衛生の考え方に従ってください。道具や食器は清潔なものを使い、調理の前後に食べ物を長く室温に置かず、残りは小さく浅い容器に小分けして早く冷まします。これは一般的な案内で、かてめしの保存期間を試したものではありません。この記事では、かてめしの保存期間、お弁当への使い方、再加熱の保証は案内しません。
よくある質問
かてめしとは何ですか?
埼玉県の混ぜご飯です。農水省は、ご飯の量を補うために野菜などを加えた料理と説明しています。秩父を中心に、さいたま市、比企郡、入間地域でも伝わっています。埼玉県は、由来には複数の説があるとしています。
かてめしは炊き込みご飯ですか?
このレシピでは違います。具は別の鍋で煮て、白飯として炊いたご飯に混ぜます。ただし、埼玉県が紹介する秋の里芋の型のように、具を米と一緒に炊くかてめしもあります。
具は決まっていますか?
決まっていません。農水省は、ご飯も具も地域によって違うと記しており、JAさいたま女性部のレシピも家庭ごとの違いを挙げています。ずいき、高野豆腐、昆布、山菜、酢飯、茶飯などは、ほかの型に登場します。
ずいきとは何ですか?
上尾市は、干しずいきをサトイモ科の植物の茎を干したものと説明しています。上尾市の給食版をはじめ一部のかてめしに使われますが、このレシピには入りません。
椎茸の戻し汁は使いますか?
このレシピは、具を水100ccで煮て、戻し汁は使いません。JAさいたま女性部のレシピは戻し汁で煮ているので、戻し汁を使うと、こちらではなくその家庭風の作り方に寄ります。
具はどのくらい煮ますか?
このレシピには、煮る時間も、煮汁がどのくらい残ったらよいかという終点の指定もありません。混ぜる前に具の汁気を切るかどうかの決まりもありません。この記事でも、煮る時間や汁気を切る決まりは足していません。
お弁当にしたり、取っておいたりできますか?
この記事は、かてめしのお弁当への向き不向き、持ち歩ける時間、保存期間、再加熱の方法を案内しません。一般的な家庭衛生として、道具を清潔に保つこと、食べ物を長く室温に置かないこと、残りを小さく浅い容器に分けて早く冷ますことだけが当てはまります。











