コロッケ ― 衣がさくっと割れる、じゃがいもと牛肉と玉ねぎの一品
具は乾いた状態に、形はぎゅっと締めて。じゃがいも、玉ねぎ、牛肉のそれぞれの段階で水気を飛ばし、成形のときに空気だまりを押し出し、衣をつける前に冷やします。そうすれば、油の中で衣が割れにくくなります。
揚げたてのコロッケを割ると、パン粉の衣がさくっと音を立て、中からほっくりとしたじゃがいもが現れます。小さな塊が残るじゃがいもに、焼き色のついた牛ひき肉と、ゆっくり炒めて甘くなった玉ねぎが混ざっています。コロッケは日本のクロケットで、家庭の食卓にも、お弁当にも、街の惣菜店にも並ぶ日常の一品です。とんかつソースをたらし、千切りキャベツをたっぷり添えて食べます。
家庭で作るときにぶつかる悩みは、だいたい決まっています。具が水っぽくなる、成形中にだれる、油の中で衣が割れる。以下の手順は、そのひとつひとつを防ぐように組んであります。この記事で扱うのは、じゃがいもと牛肉と玉ねぎのタイプだけです。ホワイトソースで作るクリームコロッケや、かに、かぼちゃ、ごはんを使うものは別の料理なので、ここには混ぜません。
レシピは、Just One CookbookのNamiko Hirasawa Chenさんが、母から受け継いだ牛肉とじゃがいものコロッケとして紹介している「Japanese Croquettes (Korokke) お母さんのコロッケ」に沿っています。16個分で、分量は公開されているアメリカの計量単位のままにして、グラムへの換算は足していません。そこへ、アメリカの公的な指針から一般的な食品衛生の2点を重ねました。牛ひき肉は温度計で確かめること、成形した種は室温に置いたままにせず、すばやく冷やすことです。このレシピは、世界ごはん紀行の編集部では台所で試作していません。
日本の料理をもっと見たい方は、日本のレシピもご覧ください。
コロッケとは ― 洋食が日常の食卓に根づいた一皿
コロッケは、パン粉をつけて揚げたじゃがいものクロケットで、西洋の影響を受けた料理を日本が自分のものにした「洋食」の一品として定着しました。 西洋料理の影響は確かですが、この記事では、発祥の年や発明した人をひとつに決めて書くことはしません。
農林水産省は「うちの郷土料理」で、コロッケを東京都の料理として取り上げています。家庭で作るだけでなく、精肉店などで買って帰る惣菜としても日常的に広く食べられていると説明し、ごはんに合う洋風の一品料理が都市に根づいていく流れの中に位置づけています。同じページには、衣をつけて揚げるじゃがいものコロッケの基本的な作りが書かれていて、細かい点は地域や家庭によって違うとも添えられています。
キッコーマンの食文化シリーズ『The Japanese Table』は、コロッケをごはんと一緒に食べる洋食のひとつとして紹介しています。1920年前後に「コロッケの唄」が流行したこと、お弁当に詰められる料理であることも書かれています。これらの資料を合わせると、目新しい料理から、ごはんのおかずやお弁当の一品、帰り道に買う惣菜へと、ごく身近な料理になっていった姿が見えてきます。
選び方と代用
じゃがいも。 ラセットポテトは粉質で、つぶすと水っぽくなりにくい品種です。日本では男爵が同じ粉質のじゃがいもとして代わりに使えますが、ラセットとまったく同じに仕上がるとは限らないので、食感が少し変わることがあります。ねっとりした品種は水分が多く、締まった具を作るには不利です。
塩。 分量はDiamond Crystalのコーシャーソルトを基準にしています。結晶が大きく軽い塩です。粒の細かい食卓塩を使うなら、体積は半分にするか、重さを同じにしてください。スプーンですくうと食卓塩のほうがずっと塩辛いので、体積のまま1対1で置き換えないでください。
油。 玉ねぎを炒めるときも揚げるときも、癖のない油を使います。厚手で小さめの鍋なら、油をたくさん使わなくても2インチ(5cm)の深さを確保できます。
このレシピには、小麦(小麦粉、パン粉)、卵、牛肉、乳(バター)が含まれます。パン粉やとんかつソースの表示も見て、ほかのアレルゲンがないか確かめてください。生の牛ひき肉はほかの材料と分けて扱い、火が通ったかどうかは色ではなく、食品用温度計で確認します。
道具
- じゃがいもをゆでる大きめの鍋
- 火の通りを見る竹串または細いナイフ
- 大きめのフライパンと木べら
- 牛肉の確認に使う、すぐ測れる食品用温度計
- マッシャーまたは丈夫なフォーク
- 大きめのボウル
- じゃがいもと牛肉の水気を切るざるまたは水切りボウル
- 種を冷やすための浅いトレー(1枚以上)と、かぶせる蓋かラップ
- 小麦粉、卵、パン粉用の浅いボウル2つと浅いトレー1枚
- 揚げ物用の厚手で安定した鍋
- 揚げ物用の油温計
- トングまたは網じゃくし
- トレーに載せた網
水っぽい・割れる・油っぽいときの直し方
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 具が水っぽくて形にならない | じゃがいも、玉ねぎ、牛肉に水分が残っている | 湯切り後に弱火で水気を飛ばし、玉ねぎは本当に柔らかくなるまで炒め、牛肉の水分も飛ばす。フライパンに残った汁は戻さない |
| 油の中で衣が割れる・破裂する | 空気だまり、具がまだ温かい、衣に隙間がある | 成形のときに空気を押し出し、衣をつける前に種を冷やし、小麦粉・卵・パン粉で全面を覆う |
| 揚がりが油っぽい | 油の温度が下がった | 一度に揚げるのは2〜3個にし、温度計を見て、次の分の前に油温を戻す |
| トレーの上で種がだれる | 成形したときの具が熱すぎた | 温かい程度まで冷ましてから成形し、そのあと冷やす |
これらは、よくある原因であって、すべてではありません。割れてしまったら、水分、成形、冷却、油温の順に見直してください。
アレンジ
ここで挙げるのは上のレシピから外れたアレンジで、レシピの一部ではありません。味わいが変わります。
- 豚肉を一部使う:牛肉の一部を豚ひき肉に替えると、脂とうまみが変わります。
- 合いびき肉:牛肉と豚肉を混ぜると風味が変わり、脂の出方も違うので、しっかり汁を切ってください。
- かぼちゃ:かぼちゃのコロッケは、実質的には別の料理です。水分も甘さもじゃがいもとは違うので、それに合わせた作り方が必要です。
- 小さめのコロッケ:小さく成形する場合は、上に書いた時間をあてにせず、揚げ時間を確かめ直してください。
- ソース:とんかつソースの量は好みで加減してください。
食べ方と残りの扱い
コロッケは、油を切ったばかりでパン粉がいちばんさくっとしているときがおいしい時間です。洋食の出自のとおり、ごはんの隣に置くのが自然で、千切りキャベツがこってり感をやわらげてくれます。
残ったときは、すばやく冷まし、蓋つきの容器に入れて40°F(4°C)以下の冷蔵庫で保存します。加熱した後のコロッケを室温に2時間以上置いたままにしないでください。気温が90°Fを超えるときは1時間です。ここでは、決まった保存期間も、温め直しの時間も示しません。レシピの公開元には冷凍や温め直しの案もありますが、この記事では採用していません。
よくある質問
ラセットの代わりに男爵を使えますか?
使えます。男爵は粉質のじゃがいもなので、代わりとして妥当です。ただしラセットとまったく同じとは限らず、具の食感が少し変わることがあります。重さは同じ2ポンドにして、手順3のように湯切り後の水気をしっかり飛ばしてください。
コロッケが崩れてしまうのはなぜですか?
多くの場合、具に水分が多すぎるか、種が温かいまま油に入ったかのどちらかです。じゃがいもの水気を飛ばし、牛肉は炒めて汁を切り、成形のときに空気だまりを押し出し、衣をつける前に15〜30分冷やしてください。パン粉が全面を覆っているかも確かめましょう。
衣をつける順番は大事ですか?
大事です。小麦粉、溶き卵、パン粉の順です。小麦粉があることで卵がくっつき、卵がパン粉をつなぎとめます。最後にパン粉を軽く押さえてください。
油の温度と、一度に揚げる個数は?
油は温度計で測って340〜350°F(170〜180°C)に保ち、2〜3個ずつ、約2〜3分揚げます。一度にたくさん入れると温度が下がり、油っぽい仕上がりになりがちです。
成形した種は、台所で冷ましてから冷蔵庫に入れてもいいですか?
レシピの公開元では、成形した種を室温まで冷ましてから冷蔵しています。この記事では、米国FDAの指針に基づいて食品衛生の調整を加えました。浅いトレーに広げて早く冷まし、覆いをして冷蔵庫で15〜30分休ませます。FDAが示す、傷みやすい食品の室温での上限2時間(90°Fを超える場合は1時間)は、あくまで上限であって、目指して待つ時間ではありません。
赤みが消えるまで炒めても、牛肉に温度計を使うのはなぜですか?
ひき肉は、色だけでは安全の目安になりません。FoodSafety.govの表では、牛ひき肉の安全な最低内部温度は160°F(71°C)とされています。手順2で、肉の中心を食品用温度計で確かめてください。














