麻婆茄子:揚げなくても、つややかなあんの中でなすがやわらかくなる
先にごま油でなすをふたをして火を通して取り出し、同じフライパンで豚ひき肉のあんを作り、最後に二つを合わせます。とろみは火を止めてからつけ、再び火をつけて、万能ねぎ、酢、ごま油ひとさじで仕上げます。
切ったなすを熱したごま油に入れ、塩を少々。ふたをして火は弱いまま、ふたの下に蒸気がたまっていきます。途中で一度鍋を振って、3分ほどたつと、なすはやわらかくなって取り出せる状態です。麻婆茄子(麻婆なす)は、揚げ油の鍋を用意せず、ふつうの家庭のフライパン一つでここから始まります。
この記事で扱うのは、日清オイリオが公開している2人分の家庭向けレシピ(なす300g、豚ひき肉150g)の一つだけです。これを「唯一の本物の麻婆茄子」や「四川の原型」として紹介するわけではありません。日本で公開されているほかのレシピは配合が違いますし、味の素の開発担当者はインタビューで、麻婆茄子を日本で発展した中華料理と説明し、四川の魚香茄子(ユーシャンチェズ)とは味付けが違うと述べています。この点はレシピのあとで詳しく触れます。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。日清オイリオのページには調理時間15分と書かれていますが、これは掲載されている数字で、この記事のために測った時間ではありません。また、同ページには湯のカップの規格、塩・こしょう「少々」の数値、酢の種類が書かれていないため、ここでも補っていません。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
豆板醤と甜麺醤は別のものです。 どちらも一般名で、スーパーの中華食材の売り場や通販で探せます。塩気と辛さはメーカーによって違い、同じ小さじ1でも瓶によって味が変わります。
甜麺醤は赤味噌とは別のもので、甜麺醤を含む合わせ味噌とも違います。置き換えの割合を確かめた記録がないため、このレシピでは代用の分量を示しません。
- なす: ふつうの日本の長なすで作れます。品種によって太さが違うので、本数よりも300gという重さを目安にしてください。
- にんにく・しょうが: 生のものをみじん切りにします。チューブ入りは香りも水分も違うため、同じ扱いにはしていません。
- 酒: 料理用の日本酒を使います。紹興酒にすると別の料理になります。
- 鶏がらスープの素: 市販の顆粒なら一般的なもので足りますが、メーカーによって塩分は違います。
- 片栗粉: 片栗粉を使います。コーンスターチは同じものとしては扱いません。
- 酢: 一般的な穀物酢で作れますが、酢によって酸味の強さは違います。
道具
- 幅広で蓋つきのフライパン
- 包丁とまな板
- なすをさらすボウル
- ざる
- キッチンペーパー
- 小さなボウル(下ごしらえ用)
- 火を通したなすを取り置く皿
- 計量スプーンと計量カップ
- ヘラまたは調理用の菜箸
- 盛り付ける器
- 食品用温度計(あれば)
うまくいかないときの戻し方
火加減や見た目の目安は一般的な調理の考え方で、ここに挙げた対処はこのレシピで試作して確かめたものではありません。
| 困りごと | 見るところ | 対処 |
|---|---|---|
| なすが焦げそう | ふたをして加熱している間の火が強い | 火を弱める。大さじ2より多く油を足さない |
| なすが油っぽく重い | 決めた量より多く油を足した | 次回は大さじ2を守り、ふたと弱火でやわらかくする |
| あんが水っぽい | コンロや鍋によって違い、2〜3分では足りないことがある | 時計よりも鍋の中を見て判断する。汁気がなくなるまで煮てからとろみをつける |
| とろみがだまになる | 片栗粉が沈んだまま、または混ぜ方が足りない | 次回は水溶き片栗粉を混ぜ直し、火を止めて混ぜながら加え、再び火をつけてからも混ぜ続ける |
| 塩辛い、または辛すぎる | 豆板醤と鶏がらスープの素はメーカーで違う | 使ったメーカーの味を覚えておき、次回調整する。このレシピには、確かめた減らし方はない |
| 豚肉に火が通ったかわからない | 色だけでは決められない | 中心部が75°Cで1分間以上、またはそれと同等の加熱を目安にする。温度計がなければ、よく混ぜて、生の部分や赤い部分がなくなるまで加熱を続ける |
アレンジで変わること
どれもこのレシピで試作したものではないので、自分なりの調整として考えてください。
- 豆板醤を減らす: 辛みは弱まります。確かめた分量はないので、目分量と味見で調整してください。
- 別の品種のなす: 本数よりも、300gという重さを目安にしてください。
- 別の肉: 作ることはできますが、同じレシピではなくなります。ここに書いた豚肉の加熱の目安が、ほかの肉に当てはまるとは考えないでください。
- 甜麺醤の代わりに味噌: 味が変わり、自分で割合を決めることになります。ここでは割合を示しません。
- 食卓に白いご飯: 食べ方の編集部からの提案です。材料ではなく、作り方も変わりません。
麻婆茄子はどこに位置するか:名前を共有する日本の家庭料理
名前から四川の麻婆豆腐と近い関係を想像しますが、このレシピを、四川の麻婆豆腐のなす版として読むのは適切ではありません。味の素のサイトに載っている「Cook Do®」の商品開発についてのインタビューで、同社の担当者は、麻婆茄子を日本で発展した中華料理で、四川の魚香茄子(ユーシャンチェズ)をアレンジした料理だと説明しています。開発担当者は上海で魚香茄子を食べた経験を振り返り、甘く、酸っぱく、辛く、麻婆茄子とは違う味だったと語っています。これは、この料理に関わる企業の担当者の話であり、第三者による歴史ではありません。この料理がどこで始まったのか、同じ名前の料理がほかの土地にあるのかどうかも、これで決まるわけではありません。
日本の家庭向けレシピでも、作り方は一つではありません。この記事が使った日清オイリオの2人分のレシピは、甜麺醤を使い、酢、万能ねぎ、ごま油で仕上げます。エスビー食品が公開している4人分のレシピは、赤味噌、砂糖、唐辛子を使い、なすを植物油で炒めてからあんに戻します。どちらも「日本の標準」とは言えません。 ここでは二つを混ぜておらず、エスビー食品の材料や分量はこのレシピに入っていません。
陳建民(チェン・ケンミン)の名前を出したくなるかもしれません。四川飯店の公式の沿革には、陳建民が1952年に来日し、1958年の秋に東京・田村町で店を開き、料理学校や後継者、各地の店を通じて四川料理を広めたと書かれています。ただし、その沿革には麻婆茄子を誰がいつ生み出したのかは書かれていないため、この記事では結びつけません。
ほかの日本の料理は、日本のレシピ一覧ページでご覧ください。
よくある質問
甜麺醤が見つからないときは何で代えられますか?
日清オイリオのレシピには、代わりになるものの割合が書かれていないため、正確な代用品は示せません。味噌に替えると味が変わり、分量も自分で決めることになります。エスビー食品の赤味噌のレシピは割合が違うので、その数字をこのレシピに当てはめることはできません。
なすは揚げないといけませんか?
このレシピでは揚げません。なすにごま油大さじ2と塩少々をからめ、ふたをして弱火で約2分、鍋を振ってから、もう一度ふたをして約1分火を通します。
湯は何mlですか?
日清オイリオは1/2〜2/3カップとだけ書いていて、どの規格のカップかは書いていません。この記事もその範囲のままにしていて、mlには換算していません。
「少々」の塩やこしょうはどれくらいですか?
日清オイリオに数字がないので、グラムや小さじで決めたりはしていません。塩は、なすに振る分と、Bの合わせ調味料の分の二か所に出てくるため、一つの量としてまとめて量らないでください。
豚肉は色が変わっていれば大丈夫ですか?
日清オイリオのレシピは「色が変わるまで」炒めると書いていますが、それは調理の目安で、安全の基準ではありません。厚生労働省は、多くの病原体に対する加熱の目安として、中心部が75°Cで1分間以上を示し、ひき肉製品は中心まで加熱するよう案内しています。これはこの料理のために書かれたものではないので、レシピの時間だけでそこに達するとは考えないでください。温度計がなければ、よく混ぜて、生の部分や赤い部分がなくなるまで加熱を続けます。
片栗粉の代わりにコーンスターチでもいいですか?
このレシピは片栗粉を使い、コーンスターチは同じものとしては扱いません。コーンスターチにするなら、自分なりの調整です。
作り置きはできますか?
この記事は、作ってすぐに食べることを前提にしていて、保存の期間や温め直しの方法は決めていません。
ご飯と一緒に食べないといけませんか?
いいえ。ご飯は食卓の提案で、日清オイリオの材料には入っていません。




















































